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11 児娩出時の体幹の把持方法の写真をした図に示す。適切なのはどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
解答3
解説
1.4.× ①/④は、頸部に負担がかかり安定していない。また設問文に「体幹の把持方法の写真」と書かれているにもかかわらず、体幹を把持しているとはいいにくい。
2.× ②は、腋窩(上腕骨近位端)を第2指のみ把持し、脱臼のリスクが高い。
3.〇 正しい。③がもっとも適切な体幹の把持方法である。手掌全体で、児の上腕含め体幹を包み込むように把持できている。これにより、把持の力の分散をしつつ誘導しやすい。
12 36歳の初産婦。妊娠40週2日。午前11時25分に女児を娩出し、午前11時35分に胎盤を娩出した。胎盤娩出後の子宮底の高さは臍下2横指、硬式テニスボール様の硬さであった。出血が持続し、出血量は800mL。腟鏡診で、頸管9時方向に裂傷が認められた。
この時点で助産師がまず行う処置はどれか。
1.子宮双手圧迫法
2.子宮底輪状マッサージ法
3.麦角アルカロイドの準備
4.ガーゼの腟内充填による圧迫
解答4
解説
・36歳の初産婦(妊娠40週2日)
・午前11時25分:女児を娩出、午前11時35分:胎盤を娩出。
・胎盤娩出後:子宮底の高さは臍下2横指、硬式テニスボール様の硬さ。
・出血が持続、出血量は800mL。腟鏡診で、頸管9時方向に裂傷が認められた。
→本症例は、「子宮復古の状態は良好」といえるが、頸管裂傷が疑われ、異常出血がみられる。それぞれの手技の対応方法をおさえておこう。ちなみに、頸管裂傷とは、子宮頸管に裂けてできた傷が起こることであり、急速に分娩が進行することや吸引分娩などの処置、巨大児などが原因となる。頸管裂傷になると持続的な出血(鮮紅色の出血)が起こる。主に分娩の際に生じる可能性があり、大量出血など生命の危険にまでつながるリスクがある。
1.× 子宮双手圧迫法より優先されるものが他にある。子宮双手圧迫法とは、左手を腟内に、右手を子宮底部のある腹壁に、それぞれ置き、それら両手で子宮を挟み込むように圧迫する方法である。適応は弛緩出血である。輸液、子宮収縮薬投与などの初期治療を開始する。ちなみに、弛緩出血とは、児と胎盤の娩出後に本来なら子宮が収縮することで止まるはずの出血が続いてしまう状態である。原因は、子宮筋の収縮不全に起因して起こる。
2.× 子宮底輪状マッサージ法より優先されるものが他にある。子宮底部の輪状マッサージとは、子宮筋を刺激して、子宮収縮を促進させるマッサージである。 排尿・排便を定期的に促し、膀胱・直腸充満からの圧迫による子宮収縮不全を防止する。早期離床を促し、悪露の貯留による子宮収縮不全を防止する。
3.× 麦角アルカロイドの準備より優先されるものが他にある。麦角アルカロイドとは、小麦・ライ麦などに寄生する麦角菌により産生されるアルカロイドである。麦角アルカロイドにはリゼルグ酸、エルゴタミン、エルゴメトリン、エルゴクリスチンなどがあり、エルゴメトリンは子宮の平滑筋を収縮させ、陣痛促進や分娩後の子宮出血抑制(分娩後子宮収縮剤)に用いられた。
4.〇 正しい。ガーゼの腟内充填による圧迫が最も優先される。充填(読み:じゅうてん)とは、いれ物・すき間に物を(一杯に)詰めることである。特に分娩後の対応として、①止血操作とし双手圧迫、②子宮膣内強圧タンポン法、③子宮収縮薬の使用が挙げられる。腟内ガーゼ充塡は、分娩時の助産過程における必要に応じた救急処置である。
・分娩直後:①子宮底長(11~12cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・分娩後12時間:①子宮底長(15cm)、②子宮底の高さ(臍高~臍上1~2横指少し右方に傾く)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・1~2日:①子宮底長(11~17cm)、②子宮底の高さ(臍下1~2横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・3日:①子宮底長(9~13cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・4日:①子宮底長(9~10cm)、②子宮底の高さ(臍と恥骨結合の中央:臍恥中央)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・5日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・6日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・7~9日:②子宮底の高さ(恥骨結合上わずかに触れる)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・10日以降~3週間:②子宮底の高さ(腹壁上より触知不能)、③悪露の色調・におい(黄色・無臭)
・4~6週間:③悪露の色調・におい(白色・無臭)
13 産褥4日の褥婦のバイタルサインで正常から逸脱しているのはどれか。
1.体温38.0℃
2.呼吸数20/分
3.脈拍60/分、整
4.血圧136/80mmHg
解答1
解説
1.× 体温38.0℃は、産褥4日の褥婦のバイタルサインで正常から逸脱している。なぜなら、分娩後に体温が一過性に37.5℃程度に上昇することがあるが、一般的に24時間以内には平熱に戻るため。体温38.0℃は、感染症の可能性(例えば、子宮内感染、乳腺炎、尿路感染など)を示唆する。
2.〇 呼吸数20/分は正常範囲内(16~24回/分)である。
3.〇 脈拍60/分、整は正常範囲内(50~100回/分)である。
4.〇 血圧136/80mmHgは正常範囲内(140/90mmHg未満)である。
14 乳腺炎の褥婦に対する指導で正しいのはどれか。
1.搾乳しない。
2.乳房を温める。
3.授乳を継続する。
4.高エネルギー食を摂る。
解答3
解説
乳腺炎とは、乳汁を分泌する乳腺で炎症を起こす病気である。産後1週間以内にみられることが多く、うっ滞した乳汁が乳管内で炎症を起こすことで生じる。通常、症状は片側の乳房に生じることが多い。症状として乳房の熱感、痛み、腫れ、発熱や倦怠感が見られる。
1.× 搾乳「する」。なぜなら、乳腺炎は、乳汁を分泌する乳腺(おっぱいの出口)が詰まってしまうことで起こるため。ちなみに、搾乳とは、児の哺乳力が弱いか、陥没乳頭などでうまく捕乳できない場合に、母乳を絞って哺乳瓶で与える方法である。
2.× 乳房を「温める」のではなく冷やす。なぜなら、炎症症状がみられるため。むしろ、温熱により炎症症状が増強する恐れがある。炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。
3.〇 正しい。授乳を継続する。なぜなら、授乳を中断すると、乳汁が乳房に溜まり、炎症が悪化する可能性があるため。また、乳汁の排出は症状の改善につながる。授乳中に乳房の痛みがある場合は、ポジションや冷やしたりと、工夫することで痛みを軽減しつつ授乳を続ける。
4.× 高エネルギー食を摂る優先度は低い。なぜなら、高エネルギー食と乳腺炎の直接的な治療や予防には関係が薄いため。授乳中は、一般成人女性の必要カロリーに450kcalを上乗せしたものが適切な摂取カロリーで行う。
(※引用:「主食を中心に、エネルギーをしっかりと」厚生労働省様HPより)
15 Aさん(29歳、経産婦)。妊娠36週0日で胎児機能不全のため緊急帝王切開を受け2320gの男児を出産した。児は一過性多呼吸〈TTN〉のためNICUに入院した。産褥1日、助産師は午前9時にAさんを訪室した。Aさんは「私の子は元気ですか、心配です。今すぐに子どもに会いたい。午後の面会時間に来る上の子や夫に状況を話したい」と訴えた。
Aさんへの説明で適切なのはどれか。
1.「午後の面会時間まで待ちましょう」
2.「一過性多呼吸は心配のない病気です」
3.「赤ちゃんに早めに会えるよう調整してみます」
4.「お母さんも赤ちゃんも元気になったら会いに行きましょう」
解答3
解説
・Aさん(29歳、経産婦、2320gの男児を出産)。
・妊娠36週0日(胎児機能不全):緊急帝王切開。
・児:一過性多呼吸のためNICUに入院した。
・産褥1日「私の子は元気ですか、心配です。今すぐに子どもに会いたい。午後の面会時間に来る上の子や夫に状況を話したい」と。
→Aさんの精神的な不安、希望に沿った支援を行おう。
→胎児機能不全とは、お産の途中でさまざまな原因によって胎児が低酸素状態になることをいう。胎児仮死、胎児ジストレスとも呼ぶ。原因としては母体の妊娠高血圧症候群、胎盤早期剥離、臍帯の圧迫などである。新生児蘇生法ガイドライン(NCPR)に従って蘇生初期処置を行い、蘇生終了後、新生児の健康に不安がある場合、新生児管理に関する十分な知識と経験がある医師に相談する。
緊急帝王切開となった母親は自身の分娩に対する受容と同時に児の
1.× 「午後の面会時間まで待ちましょう」と伝える必要はない。なぜなら、Aさんは「今すぐ子供に会いたい」と言っていることから、Aさんの不安を軽視しているように感じられる可能性があるため。
2.× 「一過性多呼吸は心配のない病気です」と伝える必要はない。なぜなら、Aさんの不安は、一過性多呼吸だけでないため。また、一般的に、一過性多呼吸は予後良好であるが、必ずしも保証や断言できず、何かあった場合、訴訟されるリスクがある。安易な約束や保証、励ましなどは行わないほうが良い。
3.〇 正しい。「赤ちゃんに早めに会えるよう調整してみます」と伝える。なぜなら、Aさんの希望に寄り添い、安心感を提供するものであるため。児はNICUにいるが、チームで会う方法を模索すべきである。
4.× 「お母さんも赤ちゃんも元気になったら会いに行きましょう」と伝える必要はない。なぜなら、Aさんの子に対する健康状態の不安を解決する発言とはいえないため。また、「元気になったら」というあいまいな基準は、さらにAさんの不安を増強しかねない。今のこの状態を説明すべきである。