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1 Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群で正しいのはどれか。
1.低身長がみられる。
2.先天性心疾患を伴う。
3.X染色体のモノソミーが原因である。
4.2本以上のX染色体と1本以上のY染色体を有する。
解答4
解説
クラインフェルター症候群とは、性染色体異常により生じる先天異常で、高身長・精子形成不全・無精子症などの性腺機能不全、言語発達遅延、女性化乳房が特徴である。X染色体がXXYであり、Y染色体をもつため性腺は精巣へと分化し、内性器・外性器とも男性型に分化するが、精巣は正常な機能は示さない。
1.× 「低身長」ではなく高身長がみられる。なぜなら、思春期の成長期において長骨が過剰に発達するため。
2.× 先天性心疾患を伴うのは、ダウン症候群である。ダウン症とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
3.× X染色体のモノソミーが原因であるのは、ターナー症候群である。クラインフェルター症候群は、X染色体が過剰(モノソミー)でXXYである。ちなみに、ターナー症候群とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみ(翼状頸)があり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失によって引き起こされる性染色体異常である。女性特有の染色体異常である。
4.〇 正しい。2本以上のX染色体と1本以上のY染色体を有する。クラインフェルター症候群とは、性染色体異常により生じる先天異常で、高身長・精子形成不全・無精子症などの性腺機能不全、言語発達遅延、女性化乳房が特徴である。X染色体がXXY(モノソミー)であり、Y染色体をもつため性腺は精巣へと分化し、内性器・外性器とも男性型に分化するが、精巣は正常な機能は示さない。
2 Aさんは、外陰部に軽い掻痒感を伴う隆起性病変に気づいて受診し、尖圭コンジローマと診断された。
Aさんの治療で正しいのはどれか。
1.抗菌薬の服用
2.ポビドンヨードによる消毒
3.副腎皮質ステロイドの塗布
4.イミキモドクリームの塗布
解答4
解説
尖圭コンジローマとは、性病の一種で、性器にイボのようなぶつぶつができる病気で、主に性行為や性行為に似た行為によって感染する。粘膜が接触することで、傷口などからヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入する。粘膜だけではなく皮膚に傷があれば、そこから感染することもある。
1.× 抗菌薬の服用は無効である。なぜなら、尖圭コンジローマの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)であるため。抗菌薬とは、細菌の増殖を抑制したり殺したりする働きのある化学療法剤のことである。細菌による感染症の治療に使用される医薬品である。
2.× ポビドンヨードによる消毒は無効である。なぜなら、尖圭コンジローマの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)であるため。ポビドンヨードとは、世界中で感染対策に使われている代表的な殺菌消毒剤の有効成分のひとつである。施設に感染症が流行していない場合は、ポビドンヨードやアルコール溶液などで断端を消毒することは勧められていない。
3.× 副腎皮質ステロイドの塗布は優先度が低い。なぜなら、炎症を抑えるために使用されるため。ステロイドは免疫反応を抑制するため、ウイルス感染の治癒を遅らせる可能性もある。
4.〇 正しい。イミキモドクリームの塗布を行う。イミキモドクリーム(一般名:ベセルナクリーム5%)は、尖圭コンジローマや日光角化症の治療薬として使用される塗り薬である。塗ると局所に炎症を起こし、感染した細胞を自分の免疫で徐々に除去する効果がある。また、ウイルス増殖を抑制し、免疫能を高める作用も持っている。
【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。
【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)
ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。
(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)
3 新生児の帽状腱膜下血腫について正しいのはどれか。
1.骨膜下の出血である。
2.生後4、5日で発症する。
3.骨縫合を越えることはない。
4.出血性ショックの原因となる。
解答4
解説
帽状腱膜下血腫とは、吸引分娩や鉗子分娩の際に大きな外力が頭皮にかかり、帽状腱膜(読み:ぼうじょうけんまく)と骨膜の間に出血がおこることである。出産直後は観察されないが、生後数時間から1日のうちに出血がすすみ、頭の皮下が腫れていく。血液がにじむため、皮膚の色は暗赤色にみえ、ときに大出血を起こし、貧血やショック状態になることがあるため注意する必要がある。
1.× 「骨膜下」ではなく「帽状腱膜下(帽状腱膜と骨膜の間)」の出血である。ちなみに、頭血腫とは、骨膜の下に血がたまったものである。ただし、頭血腫が赤くなったり、液体が出てきたりする場合には、主治医に相談すべきである。
2.× 「生後4、5日」ではなく、生後数時間から1日で発症する。出血が広がるまで、出産直後は観察されないのが特徴である。
3.× 骨縫合を越えることは「ない」と断定できない。むしろ、骨縫合を越えて拡がるのが特徴で広範囲に出血が広がる可能性がある。一方、頭血腫の場合は、骨膜下(骨と骨膜の間)の出血であるため、骨縫合は超えることはない。
4.〇 正しい。出血性ショックの原因となる。なぜなら、ときにときに大出血を起こすため。ショックとは、体液の喪失、心臓機能の低下、血管系虚脱などにより組織への酸素供給が障害され、放置すれば進行性に全身の臓器還流障害から急速に死に至る重篤な病態である。頻度的に最も多いのは出血性ショックである。出血性ショックとは、外傷や、消化管などからの出血によって血液循環量の低下が原因で起こるショックのことである。術後出血が原因となることもある。
4 50歳の女性。夫と2人暮らし。更年期の健康教室終了後に「月経が不規則になりそろそろ生理が止まりそうで寂しい気がします。最近、これまでのように性欲がありません。妻としてこれでいいのかと思っています」と助産師に相談した。簡略更年期指数の得点は100点中23点であった。
最初の対応で最も適切なのはどれか。
1.カウンセリングを勧める。
2.医療機関の受診を勧める。
3.健康的なライフスタイルについて指導する。
4.女性としての自己イメージについて確認する。
解答4
解説
・50歳の女性(2人暮らし:夫)
・更年期の健康教室終了。
・「月経が不規則になりそろそろ生理が止まりそうで寂しい気がします。最近、これまでのように性欲がありません。妻としてこれでいいのかと思っています」と。
・簡略更年期指数の得点:100点中23点(問題ない)。
→本症例は、更年期に伴う身体的および心理的変化、家族の役割(妻としてこれでいいのか)について不安を感じている。まず彼女の気持ちや自己イメージについて話し合い、彼女が抱える感情や思いを理解することが重要である。
→簡略更年期指数とは、更年期の症状の有無や程度を把握するための指数である。自記式質問票を用いて客観的数値で表すことができる。10項目100点満点である。
(※図引用:「簡略更年期指数」東京大学医学部付属病院様HPより)
1~3.× カウンセリングを勧める/医療機関の受診を勧める(医師の診察)/健康的なライフスタイルについて指導する(生活指導)優先度は低い。なぜなら、精神的な不安は聞かれるものの簡略更年期指数の得点は100点中23点であるため。カウンセリングを勧める必要があるのは、51~65点である。
4.〇 正しい。女性としての自己イメージについて確認する。本症例は、更年期に伴う身体的および心理的変化、家族の役割(妻としてこれでいいのか)について不安を感じている。まず彼女の気持ちや自己イメージについて話し合い、彼女が抱える感情や思いを理解することが重要である。
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
5 Dubowitz法による新生児成熟度の評価において成熟度が高いのはどれか。
1.耳介が平坦である。
2.乳腺線維を触れない。
3.皮膚の血管が見えない。
4.足底のしわがない。
解答3
解説
デュボヴィッツ法とは、姿勢・筋緊張・反射などの検査から新生児の全体的な反応をとらえ、中枢神経系の機能不全に対する早期診断法として有用である評価法である。「脳性麻痺リハビリテーションガイドライン」でも推奨グレードが高い。
(※図引用:「極出生体重児の成熟度判定」)
1.× 耳介が平坦であるのは、「0点」の判定である。
2.× 乳腺線維を触れないのは、「1点」の判定である。
3.〇 正しい。皮膚の血管が見えないのは、「4点」の判定である。
4.× 足底のしわがないのは、「0点」の判定である。