この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
46 下垂体腺腫について正しいのはどれか。
1.褐色細胞腫が最も多い。
2.トルコ鞍の狭小化を認める。
3.典型的な視野障害として同名半盲がある。
4.代表的な外科治療として経鼻的な経蝶形骨洞法による下垂体切除術がある。
解答4
解説
下垂体腺腫は、下垂体前葉由来の良性腫瘍である。トルコ鞍近傍で好発する。下垂体腺腫では、視交叉が圧迫されると視神経の一部が障害され両耳側半盲となる。視力・視野障害の他にも、下垂体前葉機能障害(成長ホルモン低下症状や卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの低下症状など)や視床下部障害(尿崩症)が起こる。
1.× 褐色細胞腫はない。なぜなら、褐色細胞腫は、副腎髄質や交感神経幹に発生する腫瘍であるため。褐色細胞腫とは、交感神経(自律神経の一種)に働きかけるホルモンであるカテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)の産生能を有する腫瘍である。主に、腎臓の上に位置する副腎髄質から発生する。カテコラミンは、交感神経に働いて、身体中の血管を収縮させたり、心臓の収縮能を増加させることで、脳や腎臓などの臓器への血流調整に、重要な役割を果たす。褐色細胞腫ではこのカテコラミンが過剰に分泌され、高血圧や頭痛、動悸、発汗、不安感、便秘、腸閉塞(麻痺性イレウス)など多様な症状を呈する。また、糖尿病、脂質異常症を併発することもある。ちなみに、下垂体腺腫で代表的なものは、プロラクチン産生腫瘍(プロラクチノーマ)、成長ホルモン産生腫瘍、ホルモンを産生する機能性腫瘍である。
2.× トルコ鞍の「狭小化」ではなく拡大化を認める。トルコ鞍とは、脳下垂体直下の骨性部の名称のことで、下垂体がトルコ鞍の中に存在する。下垂体腺腫は、下垂体が腫大するため、下垂体が収まるトルコ鞍に風船様拡大がみられる。
3.× 典型的な視野障害として、「同名半盲」ではなく両耳側半盲がある。なぜなら、下垂体の前方に視神経交叉があり、腫瘍の増大とともにこれが圧迫を受けるためである。
4.〇 正しい。代表的な外科治療として経鼻的な経蝶形骨洞法による下垂体切除術がある。経蝶形骨洞手術とは、ハーディ手術ともいわれ、下垂体腺腫の摘出によく用いられる手術法である。鼻腔と蝶形骨洞を経由して下垂体に到達する術式である。合併症(出血、髄膜炎、視機能障害、眼球運動障害など)も5%以下と比較的安全な手術と考えられているが、 下垂体前葉機能障害については、その多く(60~70%)は術前と変わらず、改善が得られる症例は20%以下と報告されている。
障害視野:両眼の視野の左半部。
障害部位:右視索、右外側膝状体、右視放線、右後頭葉など。
47 緑内障と診断された患者への説明で適切なのはどれか。
1.「治療すれば視野障害は改善します」
2.「水晶体の代謝が低下して起こる病気です」
3.「自覚症状がなくても進行しやすい病気です」
4.「眼瞼のマッサージが眼圧降下に効果的です」
解答3
解説
緑内障とは、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経が障害され、視野障害をきたす疾患である。一般的な症状として、①見える範囲が狭くなる、②一部が見えにくくなる、③見えない部分が出現するなどである。病気の種類や進行度合いなどによって薬物療法、レーザー治療、手術などが検討される。一度悪くなった視界・視野の症状は改善されることはないため、早い段階で治療を受けることが大切である。
1.× 治療しても視野障害の改善は見込めない。なぜなら、緑内障とは、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経が障害され、視野障害をきたす疾患であるため。視神経が圧迫され不可逆的な変性を起こす。したがって、早い段階で治療を受けることが大切である。
2.× 水晶体の代謝が低下して起こる病気は、「緑内障」ではなく白内障の説明である。ちなみに、白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気である。主な原因は加齢である。他にも、糖尿病や妊娠初期の風疹ウイルス感染などにより生じる。
3.〇 正しい。「自覚症状がなくても進行しやすい病気です」と説明する。なぜなら、緑内障の視野障害は、ゆっくりと進行し、鼻側から生じることが多く、視野は両眼で補いあうため。視野が狭くなった、ものが欠けて見える気がすると感じたときには、症状がかなり進んでしまっていることが多い。
4.× 眼瞼のマッサージは、眼圧降下に効果的とはいえない。病気の種類や進行度合いなどによって薬物療法、レーザー治療、手術などが検討される。
48 梅毒について正しいのはどれか。
1.ウイルス感染症である。
2.感染経路は空気感染である。
3.治療の第一選択薬はステロイド外用薬である。
4.梅毒血清反応における生物学的偽陽性の要因に妊娠がある。
解答4
解説
梅毒とは、5類感染症の全数把握対象疾患であり、スピロヘータ(細菌)の一種である梅毒トロポネーマ感染により発症し、この梅毒トロポネーマが脳の実施まで至ると、進行性麻痺となる。性行為や胎盤を通じて感染する。梅毒に特徴的な症状として、陰茎・外陰部を中心に生じる無痛性の硬結(指で触れることのできる硬い丘疹)やバラ疹(全身にできる淡い紅斑)などがあり、進行すると神経系の病変を生じて死に至ることもある。
【臨床的特徴】
Ⅰ期梅毒:感染後3~6週間の潜伏期の後に、感染局所に初期硬結や硬性下疳、無痛性の鼠径部リンパ節腫脹がみられる。
Ⅱ期梅毒:感染後3か月を経過すると皮膚や粘膜に梅毒性バラ疹や丘疹性梅毒疹、扁平コンジローマなどの特有な発疹が見られる。
経過晩期:感染後3年以上を経過すると顕症梅毒としてゴム腫、梅毒によると考えられる心血管症状、神経症状、眼症状などが認められることがある。なお、感染していても臨床症状が認められないものもある。先天梅毒は、梅毒に罹患している母体から出生した児で、①胎内感染を示す検査所見のある症例、②Ⅱ期梅毒疹、骨軟骨炎など早期先天梅毒の症状を呈する症例、③乳幼児期は症状を示さずに経過し、学童期以後にHutchinson3徴候(実質性角膜炎、内耳性難聴、Hutchinson歯)などの晩期先天梅毒の症状を呈する症例がある。また、妊婦における梅毒感染は、先天梅毒のみならず、流産及び死産のリスクとなる。(※一部引用:「梅毒」厚生労働省HPより)
1.× 「ウイルス」ではなく、スピロヘータ(細菌)による感染症である。ウイルスによる感染症は、成人T細胞白血病やA型肝炎ウイルスなどである。
2.× 感染経路は、「空気感染」ではなく接触感染である。梅毒は、性行為や胎盤を通じて感染する接触感染である。ちなみに、空気感染とは、飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染するものをいう。例えば、結核、水痘、麻疹などが該当する。
3.× 治療の第一選択薬は、「ステロイド外用薬」ではなく、ペニシリン系抗菌薬である。ステロイド外用薬とは、ステロイド系抗炎症薬の軟膏剤であり、皮膚外用治療で一般的に使われる医薬品である。接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎といった炎症性皮膚疾患の治療に使用される。
4.〇 正しい。梅毒血清反応における生物学的偽陽性の要因に妊娠がある。梅毒の検査は、リン脂質に対する抗体を検出している。リン脂質は細胞質などの成分として生物界に広く分布している。そのため、梅毒以外の疾患でもリン脂質に対する抗体が産生され、反応が陽性となることがある。これを生物学的偽陽性という。したがって、その要因には妊娠や自己免疫疾患などがある。
感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。
①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。
②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。
③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。
(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)
49 老年期の加齢に伴う生殖器および生殖機能の変化で正しいのはどれか。
1.卵巣が肥大する。
2.腟壁が薄くなる。
3.精液中の精子がなくなる。
4.男性はテストステロンが増加する。
解答2
解説
・男性は加齢とともにホルモンの変化、陰茎血管系の異常などにより性行為に支障を来す。個人差もあるが、精子形成能力は70歳になっても維持される。
・女性は閉経に伴い急激は性ホルモンが低下する。
・性行為に結びつかなくても、スキンシップを図ることで欲求が充足されることが少なくない。
1.× 卵巣は、「肥大」ではなく退縮し、機能を停止する。卵巣重量は、80歳台では1/3にまで減少する。ちなみに、加齢に伴い肥大するのは前立腺である。
2.〇 正しい。腟壁が薄くなる。なぜなら、閉経後の女性は、エストロゲンの作用により膣壁のコラーゲンが減少するため。それに伴い、膣と周辺組織が萎縮する。その結果、膣分泌液量の低下により、萎縮性膣炎や外陰部搔痒症、感染症が起こりやすくなる。
3.× 精液中の精子はなくならない。個人差もあるが、精子形成能力は70歳になっても維持される。ただし、加齢に伴い、精巣は萎縮し、精子の数と運動性は減少する。また、勃起するのに時間を要したり、射精量も減少がみられる。
4.× 男性はテストステロンが、「増加」ではなく減少する。テストステロン(アンドロゲン、男性ホルモン)は、精巣から分泌される。作用は、筋肉の増大・骨格の発達・陰毛の発毛に作用する。女性でも卵巣や副腎からごく微量分泌される。分泌量は、男性の人生の中で20〜30代の頃がピークといわれている。
類似問題です↓
50 高齢者の薬物動態の特徴で正しいのはどれか。
1.薬物の吸収の亢進
2.薬物の代謝の亢進
3.薬物の排泄の増加
4.血中濃度の半減期の延長
解答4
解説
内服薬は、消化管より吸収→門脈→肝臓に達する。血中タンパク質との抱合や代謝を受けて、全身に循環する。その後、薬物およびその代謝物は、肝臓(胆汁)や腎臓(尿)より排出される。その循環に支障が来たした場合、薬効に変化が生じる。
加齢に伴い、肝臓で薬を分解する能力や、薬を腎臓から身体の外へ排出する能力が低下する。また、高齢者は身体の中の水分の割合が少なくなり脂肪が多くなるため、脂肪にとける薬が身体の中にたまりやすくなる。その結果、薬効が強く出て、副作用が現れることがよくある。
1.3.× 薬物の吸収/薬物の排泄は、「亢進」ではなく低下する。なぜなら、加齢により消化機能が低下するため。加齢により消化管では、消化液の分泌低下、蠕動運動の低下が起こる。ほかにも、腸の運動低下、腹筋の弛緩、直腸内圧閾値上昇により、便秘傾向になる。
2.× 薬物の代謝は、「亢進」ではなく低下する。なぜなら、加齢により肝臓への血流量や肝臓の機能が低下するため。したがって、副作用が生じやすくなる。ちなみに、薬の代謝とは、体内で起こる薬の化学変化のことをいう。役目を終えた薬は、主に肝臓にある酵素の働きによって、排出されやすい性質へと変えられる。
4.〇 正しい。血中濃度の半減期が延長する。半減期とは、薬物の血中濃度がある濃度から半分の濃度になるために要する時間のことである。つまり、薬物は半減期が短いほど体内から速く排泄される。