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41 成人に対する一次救命処置(BLS)において、胸骨圧迫と人工呼吸との回数比で正しいのはどれか。
1.20対1
2.20対2
3.30対1
4.30対2
解答4
解説
一次救命処置とは、呼吸が止まり、心臓も動いていないと見られる人の救命へのチャンスを維持するため、特殊な器具や医薬品を用いずに行う救命処置であり、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主な内容とする。
成人に対する一次救命処置では、胸骨圧迫を30回したのち、人工呼吸を2回行い(30対2)、これを繰り返す。成人であれば胸骨が少なくとも5~6cm沈むように圧迫し、1分間に100~120回のテンポで行う。よって、胸骨圧迫と人工呼吸との回数比は、選択肢4.30対2が正しい。
(※画像引用:「BLSとは?」日本ACLS協会ガイド様HPより)
一時救命処置(BLS)とは、Basic Life Supportの略称で、心肺停止または呼吸停止に対する一次救命処置のことである。正しい知識と適切な処置の仕方さえ知っていれば誰でも行うことができる。
1.周囲の安全を確認
救助者の安全を最優先し、二次災害を防ぐためにまずは周囲の安全を確認する。
2.緊急通報とAEDを要請
大声で叫んで助けを呼ぶなど、周囲の人に119番通報とAEDの手配を頼む。
3.呼吸を確認
普通の呼吸が確認できたら、回復体位(横向き)にして救急車を待つ。
呼吸をしていない、もしくは正常な呼吸でない場合はCPRを開始する。
4.CPR(心肺蘇生法)を開始
胸骨圧迫からはじめる。人工呼吸ができるようなら行うが、胸骨圧迫のみでも構わない。
5.(AEDが入手できた場合)AEDで解析する
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42 成人男性に対する全身麻酔下の膵頭十二指腸切除術が9時に開始されてから40分間の経過を表に示す。
9時40分の時点で、間接介助の看護師が医師に確認の上、実施することとして適切なのはどれか。
1.輸血を準備する。
2.下半身を心臓より高くする。
3.加温マットの設定温度を上げる。
4.次の尿量測定を40分後に実施する。
解答3
解説
①体温の低下がみられる。
②心拍数の増加がみられる。
→膵頭十二指腸切除術とは、膵頭部と十二指腸を一括して切除する手術術式である。 胆道再建を伴うため、胆嚢および中下部胆管も同時に切除される。消化器外科学領域では最も侵襲の大きい手術の一つである。膵頭十二指腸切除術後合併症として膵液瘻、腹腔内出血、腹腔内膿瘍、胃排泄遅延、胆汁漏、胆管炎、消化管潰瘍、消化管出血などが考えられる。
1.× 輸血を準備は必要ない。なぜなら、本症例の出血量は40分で30mLと少ないため。手術時における輸血の適応として、循環血液量に対する出血量の割合が20%未満の場合となる。おおよその目安としては、900mlぐらいまで輸血は必要ない。
2.× 下半身を心臓より高くする必要はない。なぜなら、低血圧(ショック)の状態はみられないため。おおよそ目安として、収縮期血圧90mmHg以下であれば下半身を心臓より高くする。ちなみに、手術時の血圧低下に対しては、輸液と昇圧剤の投与で対処することが多いため、医師に報告・相談するほうが良い。
3.〇 正しい。加温マットの設定温度を上げる。なぜなら、本症例の体温が著明に低下しているため。膵頭十二指腸切除術は、消化器外科学領域では最も侵襲の大きい手術の一つである。そのため、大きな切開創を伴い、術野からの水分が蒸発し気化熱が奪われたり、輸液や洗浄液へ体温が移動する伝導により体温が低下する。体温の低下により、血液凝固障害や麻酔覚醒遅延、悪寒戦慄(シバリング)などさまざまな二次障害が発生する恐れがあるため、対応が必要である。
4.× 次の尿量測定は、「40分後」ではなく20分後に実施する。なぜなら、麻酔中は尿量が1時間で0.5〜1.0mL/kg以上になるように管理するため。次の測定を20分後にすることで、ちょうど1時間の計測が可能となる。ちなみに、全身麻酔による腎血流量・糸球体濾過率の低下、出血、外科的ストレスによる抗利尿ホルモンの分泌が増加することにより、尿量は減少する。
43 インスリン製剤について正しいのはどれか。
1.経口投与が可能である。
2.冷凍庫で長期保存できる。
3.皮下注射は同じ部位に行う。
4.飛行機に搭乗する際は手荷物として持ち込む。
解答4
解説
インスリン製剤とは、膵臓から分泌される血糖降下作用を持つペプチドであるインスリンを製剤化したものである。つまり、インスリンそのものを外から補う目的として服用する。「単位(U)」で表す。
【注意点】
①未使用の製剤は2~8℃ で冷蔵保存する必要がある。開封後は室温で保管し、4~8週間程度が使用期限となる。
②インスリン製剤はホルモン剤なので皮下注射で投与する。
③皮下注射は同一部位に繰り返すと硬結などを起こす。
1.× 経口投与は、「可能」ではなく不可能(効果がない)である。なぜなら、インスリンが小腸から吸収されず、消化管で容易に分解されてしまうため。
2.× 冷凍庫で長期保存はできない。なぜなら、インスリン製剤は、未使用の製剤は2~8℃ で冷蔵保存する必要があるが、開封後は室温で保管し、4~8週間程度が使用期限となるため。一般的に、おおよその目安として、「短期」は1年以内、「中期」は3~5年まで、「長期」は5年以上でたとえば10年、20年という期間を指すことが多い。ちなみに、病院などで処方された医療用医薬品は、製造後、未開封の状態で3~5年が使用期限である。
3.× 皮下注射は、「同じ部位」ではなく、毎回約2cmずつずらしながら行う。なぜなら、インスリン注射は同じ所に連続して打つと、皮膚の硬結(インスリンボール)につながるため。硬結部位からではインスリン吸収が低下してしまうため、インスリン注射は毎回違う部位に行うことが大切である。
4.〇 正しい。飛行機に搭乗する際は手荷物として持ち込む。なぜなら、インスリン注射が必要な糖尿病の患者さんがインスリン注射を打たなくなると、高血糖の状態となるため。 特に1型糖尿病の患者さんでインスリンを打たないと重度の高血糖の状態となり、意識を失ったりする重篤な合併症が起きる可能性がある。したがって、機内で食事をすることも想定して手荷物として持ち込む。主治医の証明書があると、よりスムーズに手荷物検査などパスできる。
高血糖症状は、著しい口渇、多飲、多尿、全身倦怠感などがある。これは、高血糖状態が続くと血漿浸透圧が上昇し、利尿が進むことで水・電解質の喪失が起こり、脱水状態に来す。高血糖の他にも、肝機能障害などの合併症、血流感染や静脈炎などのリスクがある。
44 廃用症候群を予防する方法で正しいのはどれか。
1.関節固定後の等張性運動
2.ギプス固定後からの等尺性運動
3.下腿の中枢から末梢へのマッサージ
4.足底板の装着による下腿三頭筋の収縮
解答2
解説
廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
1.× 関節固定後の等張性運動は行うことができない。なぜなら、関節が固定されおり、関節を動かせないため。等張性運動とは、①求心性等張性運動、②遠心性等張性運動がある。①求心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋の短縮が起こる状態である。②遠心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋が収縮しながら筋長は伸びる状態である。関節固定後に行えるのは、等尺性運動である。等尺性運動とは、関節を動かさない筋肉の収縮で、筋の長さは一定である特徴を持つ。ギプス固定している間の筋の廃用予防のための筋力トレーニングとして重要である。
2.〇 正しい。ギプス固定後からの等尺性運動は、廃用症候群を予防する方法である。等尺性運動とは、関節を動かさない筋肉の収縮で、筋の長さは一定である特徴を持つ。ギプスにより患部の安静が長期間になると、同一肢位が長時間続くことから関節と筋肉の拘縮と筋力低下を起こし、廃用症候群を起こしやすくなる。ギプス固定している間の筋の廃用予防のための筋力トレーニングとして重要である。
3.× そもそもマッサージ自体に廃用症候群を予防する効果はない。また、血流改善(浮腫の改善)のために行われるマッサージは、下腿の「中枢から末梢へ」ではなく「末梢から中枢へ」行われる。
4.× 足底板の装着しただけでは、下腿三頭筋の収縮は起こらない。なぜなら、足底板とは、足の筋肉、靱帯、関節の負担を軽減するために用いられるため。足や膝に痛みがある場合や、歩きにくさがある場合に適応となる。主に扁平足、足底筋膜炎、外反母趾、アキレス腱炎、シンスプリント、靭帯損傷、変形性膝関節症、前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、半月板損傷などである。インソールとも呼ばれる。ちなみに、下腿三頭筋は足関節底屈する作用を持ち、つま先立ちした際に収縮する。
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45 造影CTの際に最も注意が必要なのはどれか。
1.閉所に対する恐怖がある患者
2.気管支喘息の既往がある患者
3.ペースメーカーを装着している患者
4.既往に上部消化管造影検査後の腹痛がある患者
解答2
解説
造影CTとは、ヨード造影剤を静脈注射して行うCT検査である。造影剤を使用することにより、病変の存在、形態や性状などがより詳しく描出される。検査時間は撮影する部位、注射の有無によって異なるが、5分から30分程度である。検査中はベッドに仰向けに寝て、身体を動かさないようにする。ヨード造影剤のアレルギーや気管支喘息がある方は、原則として造影剤を使用できない。また、発疹・蕁麻疹などのアレルギーを起こしやすい体質、薬剤過敏症の方、脱水症状・高血圧症・動脈硬化・糖尿病・甲状腺疾患・肝機能低下のある方は控えたほうが良い。
1.× 閉所に対する恐怖がある患者より優先度が高いものが他にある。なぜなら、アイマスクをして受けてもらったり、一緒に会話しながら検査してもらったりと、閉所に恐怖感を感じる患者でも対応可能なことが多いため。
2.〇 正しい。気管支喘息の既往がある患者は、造影CTの際に最も注意が必要である。なぜなら、気管支喘息は造影CTの副作用を起こす可能性が高いため。原則、ヨード造影剤のアレルギーや気管支喘息がある方は、原則として造影剤を使用できないが、医師の管理下のもとで行うこともある。その際は十分注意が必要である。また、発疹・蕁麻疹などのアレルギーを起こしやすい体質、薬剤過敏症の方、脱水症状・高血圧症・動脈硬化・糖尿病・甲状腺疾患・肝機能低下のある方は控えたほうが良い。
3.× ペースメーカーを装着している患者より優先度が高いものが他にある。なぜなら、CTはX線を用いた検査であり、基本的にペースメーカーに影響は与えないため。ペースメーカーが問題となるのは、核磁気共鳴画像法(MRI)である。ちなみに、核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。
4.× 既往に上部消化管造影検査後の腹痛がある患者より優先度が高いものが他にある。なぜなら、使用する造影剤は異なるため。消化管造影検査とは、硫酸バリウム製剤を口や肛門、瘻孔から注入し、X線透視により形態を検査するもののことである。
核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。
【MRI検査の禁忌】
①体内の電子電機部品(ペースメーカ、移植蝸牛刺激装置(人工内耳)、植込み型除細動器、神経刺激器、植込み型プログラマブル注入ポンプ):MRI対応型もあるためしっかり確認する。
②素材の確認できない脳動脈クリップ:MRI対応型もあるためしっかり確認する。
③目や脳など特定の重要臓器に迷入した鉄片などの強磁性体の破片
④眼部のインプラントや材料で強磁性金属を使用しているもの
⑤磁場によって活性化するもの(磁力で装着する義眼、磁石部分が脱着不能な義歯など)
⑥目のメークアップ用品、カラーコンタクト
⑦入れ墨
⑧補聴器
⑨いくつかの管腔内デバイス
⑩ニトログリセリン真皮浸透絆創膏
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