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6 出生前診断について適切なのはどれか。
1.出生前診断の結果を理由とした人工妊娠中絶については母体保護法に規定されている。
2.胎児に侵襲のある検査は対象にならない。
3.健康な児を出産するために行われる。
4.胎児の異常や疾患を調べる。
解答4
解説
出生前診断とは、妊娠中に実施される胎児の発育や異常の有無などを調べる検査を行い、その検査結果をもとに、医師が行う診断のことをいう。広い意味では、通常の妊婦健診で行われる超音波(エコー)検査や胎児心拍数モニタリングなどを使った診断も出生前診断に含まれる。出生前診断を行うことにより、形態異常や染色体異常といった胎児の先天性疾患を調べることができる。超音波画像を使う超音波検査(エコー検査)は、形態異常を検査するものである。血液や羊水などを採取して行われる検査は、染色体異常を調べる検査になる。
羊水検査とは、羊水穿刺により羊水中に浮遊する胎児細胞を分析し、染色体の数や構造の異常などを診断する検査である。15~16週以降の胎児染色体異常・遺伝子異常に適応となり、ほぼ100%で確定診断が可能である。
1.× 出生前診断の結果を理由とした人工妊娠中絶については母体保護法に「規定されているわけではない」。母体保護法とは、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する堕胎罪の例外事項を定めること等により、母親の生命健康を保護することを目的とした法律である。1948年7月13日に公布された。母体保護法(医師の認定による人工妊娠中絶)第14条「都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの。二 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの。」(※一部引用:「母体保護法」e-GOV法令検索様HPより)
2.× 胎児に侵襲のある検査も「対象となる」。侵襲的検査は、確定的検査に分類され、①羊水検査、②絨毛検査、③臍帯血検査が当てはまる。それぞれ流産や胎児死亡のリスクが含んでいる。ちなみに、羊水検査とは、羊水穿刺により羊水中に浮遊する胎児細胞を分析し、染色体の数や構造の異常などを診断する検査である。15~16週以降の胎児染色体異常・遺伝子異常に適応となり、ほぼ100%で確定診断が可能である。
3.× 健康な児を出産するために行われるわけではない。なぜなら、出生前診断とは、妊娠中に実施される胎児の発育や異常の有無などを調べる検査であるため。もし、出生前診断で問題が見つかれば、妊娠中から病気や障害についての理解を深めることができ、赤ちゃんを育てていく環境整備の準備ができる。また、病気によっては出産後すぐ、あるいは胎児のうちに治療ができる可能性もある。
4.〇 正しい。胎児の異常や疾患を調べる。出生前診断とは、妊娠中に実施される胎児の発育や異常の有無などを調べる検査を行い、その検査結果をもとに、医師が行う診断のことをいう。広い意味では、通常の妊婦健診で行われる超音波(エコー)検査や胎児心拍数モニタリングなどを使った診断も出生前診断に含まれる。出生前診断を行うことにより、形態異常や染色体異常といった胎児の先天性疾患を調べることができる。超音波画像を使う超音波検査(エコー検査)は、形態異常を検査するものである。血液や羊水などを採取して行われる検査は、染色体異常を調べる検査になる。
(※図引用「産婦人科ガイドライン」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)
7 卵子の発生で正しいのはどれか。
1.卵子の染色体は23本である。
2.プロラクチンによって第一減数分裂が再開する。
3.卵母細胞の形成期間は胎児期から思春期である。
4.1個の卵母細胞から形成される卵子は2個である。
解答1
解説
1.〇 正しい。卵子の染色体は23本である。22本の常染色体と、性染色体であるXまたはY染色体1本をもつ。
2.× 「プロラクチン」ではなく黄体形成ホルモンによって第一減数分裂が再開する。減数分裂とは、その名が示す通り、細胞あたりの染色体数を半減させる特殊な分裂様式である。LHサージとは、黄体形成ホルモンが一過性に放出される現象である。LHサージは排卵直前の大きさのグラーフ卵胞の卵母細胞の成熟分裂を再開させ、排卵を引き起こす。このLHサージにより第一減数分裂前期で停止していた減数分裂が再開し、第二減数分裂中期で停止する。 また、LHサージにより卵胞は急激に増大し、卵丘細胞・卵子複合体として排卵され、卵管采に捉えられ卵管膨大部に運ばれる。ちなみに、プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)は、脳の下垂体から分泌され、妊娠すると高くなり乳腺を成長させ乳汁産生を行う。授乳期間中は乳頭の刺激で高くなり乳汁を分泌する。
3.× 卵母細胞の形成期間は胎児期に完了する。胎生期に一次卵母細胞は、第1減数分裂を開始し前期で休止し、休止したまま出生し成長する。第1減数分裂の再開は排卵時である。その後、受精のときに2回目の減数分裂が起こり、卵子は半分の遺伝子を持つようになり、精子の持ち込んだ半分の遺伝子と一緒になり受精が成立し、赤ちゃんの遺伝子ができる。2回の減数分裂でいらない遺伝子が半分ずつできるが、卵子はそれを極体として卵子の外に出す。それを第1極体、第2極体という。胎児の卵巣には600万~700万個の卵母細胞が存在し、卵母細胞の大半は次第に消失していき、出生時までに100万~200万個程度にまで減少する。思春期には約40万個となる。
4.× 1個の卵母細胞から形成される卵子は、「2個」ではなく1個である。卵母細胞とは、卵子のもとになる細胞である。卵原細胞が有糸分裂で増殖した後に肥大したものが卵母細胞である。卵母細胞とは、発生の初期に原始生殖細胞が出現し、雌性の原始生殖細胞の結果である。ちなみに、1個の卵母細胞から形成される卵子は、1個と極体3個(計4個)に分かれる。一方、1個の精母細胞から形成される精子は4個に分かれる。ちなみに、極体とは、卵母細胞が減数分裂して成熟した卵子をつくる際、著しい非対称分裂により、卵子にならない小さな娘細胞が生じるものをさす。
卵割球
・前核期胚(1日目)
・4分割期胚(2日目)
・8分割期胚(3日目)
桑実胚(4日目):割球が16個から32個の状態を指す。
胚盤胞(5日目):胎盤と胎児になる部分が確認できる状態になっているより成長した胚。
8 正常妊娠に伴う肺機能の変化で非妊時に比べ妊娠後期に減少するのはどれか。
1.肺活量
2.1回換気量
3.最大吸気量
4.機能的残気量
解答4
解説
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
妊娠中の呼吸生理機能は,母体の呼吸状態および胎盤における母体と胎児間のガス交換を反映する.妊娠の進行に伴い胸式呼吸から腹式呼吸へと変化する.予備吸気量,1回換気量,肺活量は増加するが,予備呼気量,残気量は減少する.安静呼気時の肺容量(機能的残気量)は,妊娠子宮による横隔膜の上昇により低下する.一方,吸気容量は増加するため全肺気量はほとんど変化しない.妊娠中の内分泌学的変化により末梢気管支は拡張するが,主気管支の拡張性が変化することはない.妊娠前期より,プロゲステロンの呼吸中枢に対する直接作用として分時換気量を増加させ,妊娠末期にかけて増加していく酸素消費量に対応する.呼吸数の増加,および酸素消費量の増加を上回る心拍出量の増加による動静脈酸素分圧較差の低下によって,動脈血酸素分圧は上昇する.呼吸数の増加と二酸化炭素分圧の低下は,腎臓での重炭酸の排出を促進させ,代償性呼吸性アルカローシスとして血中pHは正常域に維持される.妊娠後期には労作時の分時換気量と酸素消費量は最大となるが,予備呼吸量は維持されるため,労作が制限されることはない.動脈血酸素分圧は肺胞レベルの換気量増加によって上昇する.一方,動脈血二酸化炭素分圧は低下し,胎盤レベルでの胎児から母体への二酸化炭素の移動を促進させる(※引用:「心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン(2010年改訂版)」).
1.× 肺活量は、妊娠中ほとんど変化しない。ちなみに、肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。
2.× 1回換気量は、増加する。なぜなら、妊娠中、母体の酸素需要は増加するため。ちなみに、1回換気量とは、安静時に意識せずに行っている呼吸1回あたりの換気量である。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が有効な換気量であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分はガス交換には無効な死腔換気量である。
3.× 最大吸気量は、増加する。なぜなら、妊娠中、胸郭が広がり、肺がより広がることが可能になるため。最大吸気量とは、安静に呼気した状態から深呼吸する際に吸った空気の量である。最大吸気量 = 1回換気量 + 予備吸気量で表せる。
4.〇 機能的残気量は、正常妊娠に伴う肺機能の変化で非妊時に比べ妊娠後期に減少する。なぜなら、妊娠の後期において、子宮が肺を圧迫するため。したがって、予備呼気量や残気量も減少する。ちなみに、機能的残気量とは、安静時に呼気した状態からさらに吐き出すことのできる空気の量(予備呼気量)と残気量を合わせたものである。
(※図引用:「妊娠期の生理学的変化」)
心疾患合併の頻度は全分娩の1~3%である。妊娠により母体では様々な生理的変化が出現する。中でも、循環器系変化は顕著である。循環血液量と心拍出量は妊娠の進行と伴に増加し、妊娠28~32週頃にはピークとなり、非妊娠時の約1.5倍の増加を示す。正常妊娠ではこうした増加に対し、末梢血管抵抗が低下し、腎臓や子宮への血流量を増加させている。実際、腎血流量は非妊娠時に比べ30%増加し、子宮血流量は10倍になる。これらの循環変化は母体が順調に胎児を育んで行く上に必須のものであるが、心疾患を合併した妊婦ではしばしば負担となる。また、分娩中は子宮収縮により静脈環流量が増加し、第2期では努責による交感神経興奮により頻脈になり、心拍出量が増加する。したがって、分娩中は心疾患合併妊婦の症状が悪化する危険な時期といえる。分娩後(産褥早期)、子宮は急速に収縮し静脈環流量が増加するが、循環血液量は急には減少しないため、一過性に心負担は増加する。この心拍出量増加は、産後の利尿により循環血液量が減少するまで継続する。産褥期に一過性に浮腫が増悪することがあるが、こうした循環器系変化のためと考えられる。
(※一部引用:「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」(中井章人著,東京医学社)より)
9 単純拡散によって胎盤を通過するのはどれか。
1.IgG
2.酸素
3.アミノ酸
4.グルコース
解答2
解説
拡散とは、物質粒子(あるいは分子、イオン)がある空間を拡がり散る現象のことをいう。また、受動輸送とは、エネルギーを必要としない栄養素の吸収方法である。拡散(受動輸送)には、①単純拡散と②促進拡散とよばれる2つのタイプがあり、③能動輸送があげられる。
①単純拡散とは、細胞膜を通して起こる溶質の拡散のことである。単純拡散によって通過する物質には、脂溶性物質や酸素や二酸化炭素のようなガス体がある。また分子量の小さなイオン等はイオンチャネルを単純拡散で通過する。
②促進拡散とは、単純拡散で細胞膜を通過できないような分子量の大きい溶質を、輸送タンパクを利用して拡散させる方法をいう。これは、濃度勾配または電気的勾配に従い移動が行われる。例えば、グルコースやアミノ酸などが該当する。濃度勾配または電気的勾配に従った方向に輸送する場合は、エネルギーを必要としない。
③能動輸送とは、エネルギーを使いながら、濃度の低い方から高い方へ濃度勾配に逆らって、積極的な栄養素の吸収を行うものをさす。例えば、糖質やアミノ酸など輸送される。能動輸送で栄養素が吸収される場合には、担体が必要である。
1.× IgGは、促進拡散によって胎盤を通過する。絨毛細胞表面に存在する受容体を介して、母体血から胎児血へ通過する。ちなみに、IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。
2.〇 正しい。酸素は、単純拡散によって胎盤を通過する。なぜなら、酸素はガス体であるため。単純拡散とは、細胞膜を通して起こる溶質の拡散のことである。単純拡散によって通過する物質には、脂溶性物質や酸素や二酸化炭素のようなガス体がある。また分子量の小さなイオン等はイオンチャネルを単純拡散で通過する。
3.× アミノ酸は、能動輸送によって胎盤を通過する。能動輸送とは、エネルギーを使いながら、濃度の低い方から高い方へ濃度勾配に逆らって、積極的な栄養素の吸収を行うものをさす。例えば、糖質やアミノ酸など輸送される。能動輸送で栄養素が吸収される場合には、担体が必要である。
4.× グルコースは、促進拡散によって胎盤を通過する。促進拡散とは、単純拡散で細胞膜を通過できないような分子量の大きい溶質を、輸送タンパクを利用して拡散させる方法をいう。これは、濃度勾配または電気的勾配に従い移動が行われる。例えば、グルコースやアミノ酸などが該当する。濃度勾配または電気的勾配に従った方向に輸送する場合は、エネルギーを必要としない。
10 正常新生児の特徴で正しいのはどれか。
1.嗅覚はない。
2.痛覚はない。
3.視力は0.2程度である。
4.甘味の濃淡の識別ができる。
解答4
解説
「新生児」とは、生まれた日を0日とカウントして、生後28日未満までの赤ちゃんのことを指す。 また、それ以降は「乳児」と呼ばれ、満1歳からは「幼児」と呼ばれる。
1.× 嗅覚は「ある」。新生児は、成人の嗅覚以上に優れていると考えられている。なぜなら、お母さんと他の人の母乳を嗅ぎ分け、愛着の形成に関与するため。愛着(アタッチメント)とは、主に乳幼児期の子どもと母親をはじめとする養育者との間で築かれる、心理的な結びつきのことである。ネグレクトによって反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)が起こる。反応性愛着障害とは、5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、その異常は、情動障害を伴い、周囲の変化に反応したものである(例:恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性、みじめさ、ある例では成長不全)。こどもの対人関係の障害である。
2.× 痛覚は「ある」。生後6か月までは成人の2倍痛みに敏感である報告がある。子供の頃に強い痛みを経験してその痛みを記憶してしまうと、成人してから痛がりになるとする研究報告がある。これは、新生児自身、身を守るためと言われている。
3.× 視力は、「0.2程度」ではなく約0.02〜0.04程度である。なぜなら、新生児の脳は、未発達であるため。周囲がぼんやりとしか見えていない程度である。生後2か月:ものを立体的に捉える力が発達、生後3か月:動くものを目で追うことができるようになる。
4.〇 正しい。甘味の濃淡の識別ができる。
味蕾とは、味細胞の集まりで、味蕾の数は乳幼児で約1万個、成人になるにつれて約7500個まで減少するといわれている。味蕾にある30~70個ある味細胞が味を識別する。新生児がもっとも好む味覚は、甘味やうま味といわれている。