第112回(R5) 看護師国家試験 解説【午前46~50】

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問題46 放射線治療で人体の吸収線量を表す単位はどれか。

1.Bq
2.eV
3.Gy
4.Sv

解答

解説
1.× Bq(ベクレル)は、放射能の強さの単位である。1Bqは1秒間に1個の放射性壊変をする放射性物質の量を表す。
2.× eV(電子ボルト)は、エネルギーの単位のひとつである。素粒子、原子核、原子、分子などの運動エネルギーを表す単位である。
3.〇 正しい。Gy(グレイ)は、放射線治療で人体の吸収線量を表す単位である。物体が単位質量当たりに放射線から受けるエネルギー量を示す単位であり、吸収線量と呼ばれる。
4.× Sv(シーベルト)は、生体の被曝(放射線)による生物学的影響の大きさの計量単位である。吸収線量に放射線の種類に応じた加重係数をかけたものである。

 

 

 

 

 

問題47 Aさん (62歳、男性) は呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され、呼吸機能検査を受けた。換気障害の分類を図に示す。
 Aさんの換気障害の分類で当てはまるのはどれか。

1.A
2.B
3.C
4.D

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん (62歳、男性)
・呼吸困難と咳嗽が増強した。
・診断:特発性肺線維症による間質性肺炎
→間質性肺炎とは、肺の間質組織の線維化が起こる疾患の総称で、慢性的かつ進行性の特徴を持つ。病因は、喫煙、職業上の曝露、感染、免疫不全などである。症状は咳、痰、呼吸困難などで、早期には特徴的な症状がないこともある。

(※図引用:yakugaku lab様HP)

1.〇 正しい。A(拘束性換気障害)が、Aさんの換気障害の分類で当てはまる。特発性肺線維症は、肺胞の損傷により間質が分厚く硬くなる病態である。原因不明とされているが、危険因子として喫煙が挙げられる。50歳以上の男性での発症頻度が高い。特発性間質性肺炎のうち最も頻度が高く、緩徐に進行する予後不良の疾患である。繰り返す肺胞上皮の損傷とそれに伴う修復の異常により、間質の線維化、肺胞構造の再構築が起こる。乾性咳嗽と徐々に増悪する労作性呼吸困難が主症状である。また、ばち指がみられることもある。肺癌や気胸の合併がみられる。特徴的な所見の確認に加え、詳細な病歴聴取や診察、各種検査による他疾患の除外が重要である。
2.× B(正常)とはいえない。なぜなら、本症例の診断は、特発性肺線維症による間質性肺炎と言われているため。
3.× C(混合性換気障害)は、制限性換気障害と閉塞性換気障害が同時に存在する状態である。肺気腫などが該当する。
4.× D(閉塞性換気障害)は、気管支喘息や気管支拡張症などが該当する。喘息など閉塞性換気障害のある人では、呼気時の気道抵抗は著明に上昇する。

 

 

 

 

 

問題48 右肺尖部の肺癌の胸壁への浸潤による症状はどれか。

1.散瞳
2.構音障害
3.閉眼困難
4.上肢の疼痛

解答

解説

パンコースト腫瘍とは?

Pancoast腫瘍(パンコースト腫瘍)は、肺尖部の腫癌で第一肋骨、頚椎へと浸潤していくもので周囲への浸潤の結果、種々の症状を来す。症状は、上肢痛やしびれ、交感神経節への圧迫によるHorner症候群(眼険下垂、縮瞳、発汗減少)などである。

1.× 散瞳ではなく、「縮瞳」が起こる。Pancoast腫瘍(パンコースト腫瘍)は、肺尖部の腫癌で第一肋骨、頚椎へと浸潤していくもので周囲への浸潤の結果、種々の症状を来す。症状は、上肢痛やしびれ、交感神経節への圧迫によるHorner症候群(眼険下垂、縮瞳、発汗減少)などである。
2.× 構音障害は、反回神経麻痺ブローカ失語にて生じる。構音障害とは、発語・発声に関与する神経・筋系の障害であり、言語の理解は正常であるが正しく発語できない状態である。
3.× 閉眼困難ではなく「眼険下垂(開眼困難)」が起こる。眼瞼下垂とは、まぶたが下がってきて見にくくなる病態である。その原因は、上まぶたを上げる筋肉の力が弱くなったり、その付着部である腱が弱くなったり、はがれたり、また、穴が開いたりすることである。
4.〇 正しい。上肢の疼痛は、右肺尖部の肺癌の胸壁への浸潤による症状である。Pancoast腫瘍(パンコースト腫瘍)の特徴的症状である。

 

 

 

 

 

問題49 胃切除術後のダンピング症候群を予防するための食事指導で適切なのはどれか。

1.15分以内に食べる。
2.糖質の多い食事を摂る。
3.1回の摂取量を少なくする。
4.1日の食事回数を少なくする。

解答

解説

ダンピング症候群とは?

ダンピング症候群とは、胃切除後、摂取した食物が急速に小腸に流入するために起こる。2種類に分類され、①早期ダンピング症候群:食事中や直後(30分程度)にみられる早期と、②後期ダンピング症候群:食後2~3時間たってみられる後期(晩期)に分けられる。早期ダンピング症候群は、食物が腸に急速に流れ込むことで起こる。主な症状は、動悸、めまい、冷汗、顔面紅潮、全身倦怠感など。腹痛、下痢、悪心、嘔吐などの腹部症状がみられる場合もある。

1.× 「15分以内」ではなく30分以上かけてゆっくり食べる。なぜなら、摂取した食物が急速に小腸に流入し、早期ダンピング症候群を誘発するため。早期ダンピング症候群では、食後30分以内に全身症状と腹部症状が起こる。
2.× 糖質の多い食事を摂る必要はない。むしろ、糖質の摂取を抑え、緩やかに消化される食物を選ぶ。したがって、お茶漬けにも注意する必要がある。
3.〇 正しい。1回の摂取量を少なくする。さらに、回数をわけて少しずつ食べるとよい。
4.× 1日の食事回数を「少なく」ではなく分ける(増やす)。ダンピング症候群は、胃切除や食道切除の特徴的な術後合併症である。摂取した食物が急激に小腸へと流れ込むことにより、体液が腸管内に移行して循環血液量減少や低血糖症状が起こる。したがって、分割食(6~8回に分けて食べる)にして少量ずつ摂取するようにするように指導する。

ダンピング症候群の食事

【早期ダンピング】
早期ダンピング症候群では、食後30分以内に全身症状と腹部症状が起こります。全身症状には、眠気・全身倦怠感・冷汗・動悸などです。腹部症状には腹部膨満・腹鳴・腹部不快感・下痢などがあります。
・1回の食事量を減らし、回数をわけて少しずつ食べましょう。
・食事中の水分量は少なめにし、流し込むような食べ方はやめましょう。
・お茶漬けにも注意しましょう。
・よく噛んでゆっくり(30分以上)時間をかけて食べるようにしましょう。
・症状がでた時は、頭を高くして横になって休みましょう。

【後期ダンピング】
後期ダンピング症候群は食後90分~3時間くらいで発症する低血糖症状です。
・予兆がある場合は早めに甘いもの(飴、ジュース、角砂糖)を摂りましょう。
・いつ起きても安心なように外出時は飴や角砂糖を持ち歩くようにしましょう。
・頻繁に起きる場合は、食後2時間くらいに糖質を多く含む捕食を摂るようにしましょう。
・症状がでた時は、甘いものを摂り、頭を高くして横になって休みましょう。

(※引用:「症状対処編」国際医療福祉大学様HPより)

 

 

 

 

 

問題50 重度の肝硬変で基準値よりも低い値を示す血液検査項目はどれか。

1.血清アルブミン〈Alb〉
2.血清ビリルビン〈Bil〉
3.血中アンモニア〈NH3〉
4.プロトロンビン時間〈PT〉

解答

解説
1.〇 正しい。血清アルブミンは、重度の肝硬変で基準値よりも低い値を示す血液検査項目である。なぜなら、肝硬変が進行すると、肝臓の合成機能が低下するため。ちなみに、血清アルブミン値は、正常:4.0g/dL以上、低栄養予備軍:3.5〜3.9g/dL、低栄養:3.5g/dL未満である。栄養状態を検査できる項目として、血清総たんぱく(TP)、アルブミン(Alb)、 コリンエステラーゼ(ChE)、ヘモグロビン(Hb)、総リンパ球数(TLC)である。血清アルブミンの血中半減期は、約15~21日であり、2~3週間前の静的栄養状態を示す。
2.× 血清ビリルビンは、肝硬変により上昇する。なぜなら、肝硬変では、肝臓の解毒機能が低下するため。(総)ビリルビンとは、赤血球が壊れたときにできる黄色い色素のことである。総ビリルビンは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。肝細胞の障害により、直接ビリルビンが上昇する。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、自己免疫性肝炎などがあげられる。腎臓からも排泄され、主に肝臓で代謝されるため、肝臓や胆嚢の状態を知るための重要な指標となる。
3.× 血中アンモニアは、肝硬変により上昇する。なぜなら、肝硬変では、肝臓の解毒機能が低下するため。体内のアンモニアは、たんぱく質の代謝の過程で作られ、肝臓で尿素に合成され排泄される。したがって、肝障害があると、血液中にアンモニアがたまり、高アンモニア血症となる。
4.× プロトロンビン時間は、肝硬変により上昇する。プロトロンビン時間とは、血液の凝固因子に関する指標の一つ。外因系及び共通系の凝固異常を判定する検査指標として用いられる。基準値は9.5〜12.0秒とされており、これを大きく超える場合には凝固因子の先天的な欠乏症や異常症、ビタミンKの不足や吸収障害、肝硬変をはじめとする肝障害などが疑われる。

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