第111回(R4) 看護師国家試験 解説【午後76~80】

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76 平成27年(2015年)時点での世界の三大感染症に入るのはどれか。

1.ポリオ<急性灰白髄炎>
2.マラリア
3.天然痘
4.麻疹

解答2

解説

世界の三大感染症とは?

①エイズ
②結核
③マラリア

1.× ポリオ<急性灰白髄炎>とは、ポリオウイルスによる感染症であり、痛みは伴いにくい。感染者の90~95%は症状がでないのが特徴である。1%以下の確率で、ウイルスに関連した左右対称性の弛緩麻痺を呈する。
2.〇 正しい。マラリアは、世界の三大感染症に入る。マラリアとは、マラリア原虫という寄生虫で引き起こされる疾患で、マラリア原虫が感染した蚊に刺されることで伝搬される。刺されてから発症するのは1週間位後で、はじめは発熱や頭痛、そして寒気や吐き気といった風邪に似た症状が多い。したがって、マラリアだと気づきにくいのが特徴である。その後、脳症や、じん臓・肝臓の機能障害、重症貧血といった合併症で死に至る危険がある。
3.× 天然痘とは、天然痘ウイルスによる感染症である。急激な発熱や頭痛、悪寒で発症し、一時的に解熱するが、口腔や咽頭粘膜に発疹が出現し、顔面や四肢、そして全身に発疹がひろがる。
4.× 麻疹とは、麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。

 

 

 

 

 

77 肩峰があるのはどれか。

1.鎖骨
2.胸骨柄
3.肩甲棘
4.上腕骨
5.烏口突起

解答3

解説

(※図引用:「illustAC様」)

1.× 鎖骨は、肩甲骨の肩峰とつらなり肩鎖関節を構成する。
2.× 胸骨柄は、胸骨の一部で、鎖骨とつらなり胸鎖関節を構成する。
3.〇 正しい。肩甲棘に肩峰がある。
4.× 上腕骨は、肩甲骨の関節窩とつらなり肩甲上腕関節を構成する。
5.× 烏口突起は、上腕二頭筋の付着部である。また、肩峰とつらなり鳥口肩峰靭帯を構成する。働きとして、肩関節を保護すると共に、上腕骨が水平より上方にあがることを抑制する。

 

 

 

 

78 股関節を屈曲させるのはどれか。

1.大腿二頭筋
2.大殿筋
3.中殿筋
4.小殿筋
5.腸腰筋

解答5

解説
1.× 大腿二頭筋の作用は、股関節伸展、外旋、膝関節屈曲である。
2.× 大殿筋の作用は、股関節伸展、外旋、外転(上部:内転、下部:骨盤の下制)である。
3.× 中殿筋の作用は、股関節外転(前部:内旋、後部:外旋)である。
4.× 小殿筋の作用は、股関節外転、内旋である。
5.〇 正しい。腸腰筋は、股関節を屈曲させる。腸骨筋と大腰筋の2筋からなる。腸骨筋の作用は、股関節屈曲、外旋である。大腰筋の作用は、股関節屈曲である。

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【5問】筋についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

79 採血時に操作を誤ったため溶血し、採血管内の血漿が暗赤色になってしまった。この血漿の電解質濃度を測定したときに、本来の値よりも高くなるのはどれか。

1.塩化物イオン
2.重炭酸イオン
3.カリウムイオン
4.カルシウムイオン
5.ナトリウムイオン

解答3

解説

溶血とは?

溶血とは、血液中の血球細胞膜が極度の伸展や損傷のために破れ、細胞内液が流出する現象である。カリウムは、細胞内の主要な陽イオンであり、体内のカリウムのほとんどが細胞内に分布しているため、溶血が起きると、血清カリウムの濃度が上昇する。溶血の原因としては、①不適切な採血手技、②血球成分の異常、③採血検体の不適切な保存が主に挙げられる。

1.× 塩化物イオン(Cl)は変化しない。塩化物イオンは、胃酸の主成分で、胃で食べ物を殺菌したり、消化を助けたりしている。
2.× 重炭酸イオン(HCO3)は変化しない。重炭酸イオンは、体が酸性に傾いたとき、腎臓によって、血液中に重炭酸イオン(アルカリ性物質)を放出し、アシドーシスを防ぐ働きをする。
3.〇 正しい。カリウムイオンが、本来の値よりも高くなる。溶血とは、血液中の血球細胞膜が極度の伸展や損傷のために破れ、細胞内液が流出する現象である。カリウムは、細胞内の主要な陽イオンであり、体内のカリウムのほとんどが細胞内に分布しているため、溶血が起きると、血清カリウムの濃度が上昇する。溶血の原因としては、①不適切な採血手技、②血球成分の異常、③採血検体の不適切な保存が主に挙げられる。
4.× カルシウムイオン(Ca2+)は変化しない。カルシウムイオンは、生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%である。骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応に寄与する。
5.× ナトリウムイオン(Na)は変化しない。ナトリウムイオンは、主にカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持している。他にも、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節している。

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【7問】電解質についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

80 糸球体濾過量の推定に用いられる生体内物質はどれか。

1.尿素
2.イヌリン
3.ビリルビン
4.クレアチニン
5.パラアミノ馬尿酸

解答4

解説

糸球体濾過量とは?

糸球体濾過量とは、腎臓の機能を表す指標で「GFR(Glomerular Filtration Rate)」とも呼ばれる。腎臓のなかにある糸球体(毛細血管の集合体)が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示している。推算糸球体濾過量(eGFR)の正常値は、「60ml/分/1.73㎡以上」で、年齢、性別、血清クレアチニン値、シスタチンC値から計算する。①正常(G1:90以上)、②軽度低下(G2:60〜89)、③中等度低下(G3a:45〜59、G3b:30〜44)、④高度低下(G4:15〜29)、⑤末期腎不全(G5:15以下)に分類される。

1.× 尿素とは、動物の尿中に含まれる有機化合物であり、たんぱく質や核酸の分解生成物中の窒素分を体外に排出する役割を受け持っている。検査値が高い場合、腎臓のはたらきが悪くなっていることが考えられ、逆に低い場合、尿素を作る肝臓の働きが悪くなっているか、タンパク質の摂取が極端に少ないことなどが考えられる。
2.× イヌリンとは、糸球体濾過量を測定する指標として国際的によく用いられる。健常成人では約 100mL/分/1.73m2とされている。ただし、日本では、種々の事情により、実地診療(保険診療)には導入されていない。
3.× (総)ビリルビンとは、赤血球が壊れたときにできる黄色い色素のことである。総ビリルビンは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。肝細胞の障害により、直接ビリルビンが上昇する。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、自己免疫性肝炎などがあげられる。
4.〇 正しい。クレアチニンは、糸球体濾過量の推定に用いられる生体内物質である。クレアチニンとは、筋肉を動かすためのエネルギーを使った後に出てくる老廃物の一つで、体にとって不要なもので、尿として体の外に出す必要がある。
5.× パラアミノ馬尿酸とは、腎血漿流量の測定に使用される。糸球体で濾過され、尿細管で分泌されるが、再吸収はされない物質であり、血液が腎臓を通過することによりその90%が尿中に排出される。

 

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