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51 高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい理由はどれか。
1.1秒率の減少
2.残気量の減少
3.嚥下反射の亢進
4.気道の線毛運動の亢進
解答1
解説
・肺残気量は増大し、肺活量、1秒率、拡散能は低下する。
・咳嗽反射、気道粘膜の線毛運動が低下する。
・喀痰排出が不十分になる。
1.〇 正しい。1秒率の減少することで、高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい。1秒率とは、息を努力して吐き出したときに呼出される空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量の割合である。
2.× 残気量は、「減少」ではなく増加するため、高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい。残気量とは、最大に呼出させた後、なおも肺内に残っている空気量のことをいう。
3.× 嚥下反射は、「亢進」ではなく低下するため、高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい。嚥下反射とは、食べ物を口に入れてから嚥下するまでの咽頭期の段階で起こる反射のことである。
4.× 気道の線毛運動は、「亢進」ではなく低下するため、高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい。したがって、痰(気道分泌物)を排出しにくくなる。ちなみに、線毛とは、相互に共調運動 して気道に侵入した病原体や異物を粘液と共に体外に輸送・排泄する役割をもつ。
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52 加齢に伴う高齢者の循環器系の変化で正しいのはどれか。
1.運動時の心拍出量が増大する。
2.拡張期血圧が上昇する。
3.心室壁が厚くなる。
4.脈圧が狭小化する。
解答3
解説
・心臓は左室肥大傾向があり、臓器重量は増加する。
・運動負荷時の心拍出量は、加齢に伴い低下する。
・収縮期血圧が上昇する(拡張期血圧は減少する)。
・動脈硬化が起こりやすくなり、虚血性心疾患が増加する。
1.× 運動時の心拍出量は、「増大」ではなく減少する。なぜなら、心臓は左室肥大傾向があり、心臓の弾性が低下するため。
2.× 拡張期血圧が、「上昇」ではなく減少する。拡張期血圧とは、心臓が拡張したときの血圧を指す。 拡張期圧、最小血圧、最低血圧ともいう。 拡張期とは、全身から戻った血液が心臓にたまり、心臓が拡張している状態である。
3.〇 正しい。心室壁が厚くなることは、加齢に伴う高齢者の循環器系の変化である。なぜなら、動脈硬化が起こり、より強い心臓の拍出の力が必要になるため。
4.× 脈圧が、「狭小化」ではなく増大する。脈圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差である。血圧は重力の影響を受けるため体位に影響され、臥位が最も高く立位で低くなる。
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53 結晶性知能はどれか。
1.よく利用するスーパーマーケットから自宅までの近道を考える。
2.パソコン教室で操作方法を覚える。
3.携帯電話に電話番号を登録する。
4.外国語の単語を暗記する。
解答1
解説
(※図引用:知能の複数の下位側面(佐藤眞一(2006)2)より)
①流動性知能は、加齢とともに低下する。
②結晶性知能は、加齢でもあまり低下しない。
③機械的記憶能力は、加齢とともに低下する。
④論理的記憶能力は、加齢でもあまり低下しない。
④意欲・行動力は、加齢により低下する。
1.〇 正しい。よく利用するスーパーマーケットから自宅までの近道を考えることは、結晶性知能である。結晶性知能とは、理解力・洞察力といった、経験や学習などから長期にわたり獲得していく知能である。60歳手前でピークを迎え、それ以降は緩やかに低下する特徴がある。また、老年期にも維持されやすい認知機能といえる。
2〜4.× パソコン教室で操作方法を覚えること/携帯電話に電話番号を登録すること/外国語の単語を暗記するは、流動性知能である。流動性知能とは、情報処理のスピードや、その状況の法則性を発見する能力など、新しい環境に適応するための能力のことである。20歳頃にピークを迎え60歳頃より急激に低下する。
54 令和元年度(2019年度)「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」の結果において、養護者による高齢者虐待に関する説明で正しいのはどれか。
1.夫による虐待が最も多い。
2.被虐待者の9割が女性である。
3.心理的虐待が全体の6割を占めている。
4.被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡが最も多い。
解答4
解説
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」は、平成18年に施行された『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)』に基づいて、毎年度、全国の市町村および都道府県において行われた高齢者虐待への対応状況を調査しているものである。
(※図引用:「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」厚生労働省HPより)
1.× 虐待が最も多いのは、「夫」ではなく息子である。被虐待高齢者から見た虐待者の続柄は、「息子」が7,409人(40.2%)で最も多く、 次いで「夫」が3,930人(21.3%)、「娘」が3,280人(17.8%)である。
2.× 被虐待者の女性は、「9割」ではなく7.5割である。被虐待高齢者17,427人のうち、「女性」が13,111人(75.2%)を占め、年齢では「80 ~84歳」が4,093人(23.5%)、「75~79歳」が3,727人(21.4%)であった。
3.× 心理的虐待は、全体の「6割」ではなく4割を占めている。養護者による虐待において特定された被虐待高齢者17,427人のうち、虐待の種別で は「身体的虐待」が 11,702人(67.1%)で最も多く、次いで「心理的虐待」が6,874人(39.4%)、「介護等放棄」が3,421人(19.6%)、「経済的虐待」が2,997人(17.2%) であった。
4.〇 正しい。被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡが最も多い。要介護度3以上の者が803人(75.8%)、被虐待高齢者の認知症日常生活自立度Ⅱ以上の者が 804人(75.8%)、要介護認定者のうち障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)A 以上の者が610人(57.5%)であった。
(※図:認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランク)
55 退職した高齢者に就労機会を提供するのはどれか。
1.シルバー人材センター
2.老人福祉センター
3.老人クラブ
4.自治会
解答1
解説
1.〇 正しい。シルバー人材センターは、退職した高齢者に就労機会を提供する。シルバー人材センターとは、高年齢者が働くことを通じて生きがいを得ると共に、 地域社会の活性化に貢献する組織である。センターは、原則として市(区)町村単位に置かれており、基本的に都道府県知事の指定を受けた社団法人で、 それぞれが独立した運営をしている。センターでの働き方は「生きがいを得るための就業」を目的としているため、 一定した収入(配分金)の保証はない。
2.× 老人福祉センターとは、老人の生活、住宅、身上等に関する相談に応じ、適当な援助、指導を行う。また、老人の疾病の予防、治療に関する相談に応じ、適当な援助、指導を行い、老人の健康増進を図るための栄養、運動等の指導を行う。
3.× 老人クラブとは、地域を基盤とした高齢者が自主的に集まって活動する組織である。老人会、老人クラブ、シニアクラブ、敬老会ともいう。
4.× 自治会とは、同一地域の居住者たちによって共通利益の実現と生活の向上を目的としてつくられた組織であり、地域に住んでいる人々が快適に過ごせるよう地域の清掃活動や消防訓練、祭りなどの企画・運営を担っている。