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51 Aさん(54歳、女性)は甲状腺機能亢進症と診断され、放射性ヨウ素内用療法を受けることとなった。
看護師の説明で正しいのはどれか。
1.「治療前1週間は海藻類を摂取しないでください」
2.「治療中は体を固定します」
3.「治療後の副作用に脱毛があります」
4.「治療後1週間は生野菜を摂取しないでください」
解答1
解説
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。放射線性ヨウ素内用療法は、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や甲状腺がんに対して行われる治療のひとつである。甲状腺機能亢進症では、放射性ヨウ素から放出されるベーター線で正常な甲状腺細胞を破壊し、甲状腺機能亢進症を改善させる。
【治療後1週間の注意事項】
・不要な放射性ヨウ素を早く体外に出すため十分に水分を摂る。
・排泄後、2度水を流す。尿の飛散による汚染を軽減させるため便座に座る。
・汗に少量の放射性ヨウ素が出るから入浴は最後に入る。
・可能ならば1人で寝る。
・唾液や体液にごく少量の放射性ヨウ素が出るからキスやセックスを避ける。
・子供との親密に接触(距離1m以内)すること、近くで長時間過ごすこと(添い寝など)などは避ける。
1.〇 正しい。「治療前1週間は海藻類(ヨウ素)を摂取しないでください」と説明する。放射性ヨウ素を用いた甲状腺の検査前(甲状腺シンチグラフィーなど)は、1~2週間ヨード制限食として、わかめなどの海藻類の摂取が制限される。
2.× 治療中は体を固定する必要があるのは、「放射線治療」である。
3.× 治療後の副作用に脱毛があるのは、「放射線治療」である。他にも、疲労感やだるさ、食欲不振、貧血などのほか、感染や出血しやすくなるなどがあげられる。一方、放射性ヨウ素内用療法の副作用には、機能低下症の症状が現れる。例えば、身体がだるい、気力がでない、食欲がない、顔や手足がむくむ、便秘するなどである。
4.× 治療後1週間(3日程度でも良い施設もある)は、「生野菜」ではなく海藻類(ヨウ素)を摂取しないよう伝える。
52 老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示したのはどれか。
1.エリクソン(Erikson,E.H.)
2.レビンソン(Revinson,D.J.)
3.ペック(Peck,R.)
4.ユング(Jung,C.G.)
解答3
解説
1.× エリクソンとは、人間のライフサイクルを乳児期~老年期の8段階に分け、各段階の発達課題と心理・社会的危機があるとする発達理論を提唱した。
2.× レビンソンとは、人生の発達段階・ライフサイクルを四季(人生の四季)になぞらえ4つの発達期があると提唱した。「人生は約25年つづく発達期が繰り返され、各発達期は互いに重なる約5年の過渡期でつながっている」としている。
3.〇 正しい。ペックが、老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示した。ペックとは、老年期における心理・社会的発達課題として、定年退職、子どもの独立といった役割の喪失という危機があるなかで、①新たに人生の価値を見いだすこと(自我の分化)、②身体的健康の危機を超越して快適に生きること、③死への危機に立ち向かうこと(自我の超越)の3つを挙げている。
4.× ユングとは、個人の無意識のさらに下に、人類に共通する「集合的無意識」があることを提唱した。内向・外向の性格分類を提唱した。
乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望
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53 介護保険制度における施設サービスはどれか。
1.介護医療院サービス
2.小規模多機能型居宅介護
3.サービス付き高齢者向け住宅
4.認知症対応型共同生活介護<認知症高齢者グループホーム>
解答1
解説
施設サービスは、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」に入所した要介護状態にある高齢者に対して提供されるサービスである。
1.〇 正しい。介護医療院サービスは、介護保険制度における施設サービスである。介護医療院とは、要介護高齢者の長期療養・生活のための施設である。目的として、要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことである。
2.× 小規模多機能型居宅介護は、介護保険制度における地域密着型サービスである。小規模多機能型居宅介護とは、デイサービスを中心に訪問介護やショートステイを組み合わせ、在宅での生活の支援や、機能訓練を行うサービスで、居宅・通所・短期入所を状況に応じて組み合わせて行うものである。
3.× サービス付き高齢者向け住宅(サ高住、サ付き)とは、主に民間事業者が運営する安否確認や様々な生活支援サービスを受けられるバリアフリー対応の賃貸住宅である。
4.× 認知症対応型共同生活介護<認知症高齢者グループホーム>は、介護保険制度における地域密着型サービスである。認知症である者に対し、共同生活をする住居で、入浴・排泄・食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うものである。1つの共同生活住居に5~9人の少人数の利用者が、介護スタッフとともに共同生活を送る。24時間の専門的援助体制のもと、料理や買い物などの家事に参加する。
地域密着型サービスとは、高齢者が住み慣れた地域でサービスを受けられるようにするものである。原則として、その市町村の被保険者しか利用できない。今後増加が見込まれる認知症高齢者や中重度の要介護高齢者等が、出来る限り住み慣れた地域で生活が継続できるように、市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービスである。
【地域密着型サービス9種類】
①定期巡回・随時対応型訪問介護看護
②夜間対応型訪問介護
③認知症対応型通所介護
④小規模多機能居宅介護
⑤看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
⑥認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
⑦地域密着型特定施設入居者生活介護
⑧地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
⑨地域密着型通所介護
54 30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するのは次のうちどれか。
1.基礎代謝率
2.最大換気量
3.細胞内水分量
4.神経伝導速度
解答2
解説
老年期とは、一般的に65歳以上をいう。
(図引用:「加齢による身体機能の変化」著:瀬尾 芳輝)
1.× 基礎代謝率は、30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において80~90%程度である。ちなみに、基礎代謝率とは、活動に必要な最低限のエネルギーのことである。
2.〇 正しい。最大換気量は、30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下する。なぜなら、加齢に伴い、肺の萎縮や気道狭窄、胸郭運動の弾力性や呼吸筋力の低下によって吸気量・呼気量ともに低下するため。ちなみに、最大換気量とは、一定の時間内の空気を胸から出し入れ(換気)の量である。
3.× 細胞内水分量は、30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において90%程度である。細胞内水分量とは、その名の通り、細胞膜の内側に存在する水分である。
4.× 神経伝導速度は、30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において90%程度である。低下していく原因として、加齢に伴い、血流減少による髄鞘の変性や、骨の形状変化による神経への圧力、末梢神経細胞の自己修復の遅延などが生じるためである。神経伝達速度や感覚・反射機能が低下し、動作はゆっくりぎこちなくなっていく。
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55 高齢者の健康障害の特徴で正しいのはどれか。
1.症状の出現は定型である。
2.治療の効果が現れやすい。
3.疾患の発生に心理的要因の影響は少ない。
4.薬物の副作用<有害事象>が発生しやすい。
解答4
解説
①予備力の低下
②内部環境の恒常性維持機能の低下
③複数の病気や症状をもっている
④症状が教科書どおりには現れない
⑤現疾患と関係のない合併症を起こしやすい
⑥感覚器機能の低下
(※参考:「高齢者の身体と 疾病の特徴」日本医師会様HPより)
1.× 症状の出現は、「定型」ではなく「不定形」である。なぜなら、複数の病気や症状をもっているため。例えば、肺炎の一般的な症状といわれる高熱・咳・白血球増多も高齢者の場合50~60%しかみられないといわれている。
2.× 治療の効果が「現れやすい」のではなく現れにくい。高齢者は予備力が低下しており、ほかに内部環境として、①体温調節能力の低下、②水・電解質バランスの異常、③耐糖能の低下、④血圧の変化などをきたしやすいため。
3.× 疾患の発生に心理的要因の影響は「少ない」のではなく大きい。老いの変化は、①社会的・環境的要因、②身体的要因、③心理的要因が密接に関係している。老いの変化は今まで育った社会背景、生活習慣などの諸因子が相互に作用した結果であり、個人差が大きい。
4.〇 正しい。薬物の副作用<有害事象>が発生しやすい。なぜなら、高齢者は身体の中の①水分の割合が少なくなり、②脂肪が多くなるため。つまり、脂肪にとける薬が身体の中にたまりやすくなる。