この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
16 在胎38週0日、2,860gで出生した男児。母乳栄養のみである。日齢3の体重は2,520gであった。
児の状態で介入が必要な所見はどれか。
1.哺乳間隔6時間
2.排尿回数8回/日
3.排便回数6回/日
4.総ビリルビン値10mg/dL
解答1
解説
・出生児:在胎38週0日、2,860g。
・母乳栄養のみ。
・日齢3の体重:2,520g。
→正期産により出生した正常な新生児の生理的体重減少率は,出生体重の3~10%の範囲であり、生後3~5日がそのピークである。減少率とは、出生時体重からの減少の割合で、「(出生時の体重-現在の体重)÷出生時の体重×100」で算出される。本症例の体重減少率は、「(2,860g-2,520g)÷2,860g×100」=11.88…。つまり、約12%の体重減少率として観察される。生理的体重減少率から逸脱した範囲であるため介入が必要である。
1.〇 正しい。哺乳間隔6時間は、介入が必要な所見である。なぜなら、間隔が空きすぎているため。これが体重減少の一因と考えられる。新生児期の授乳は、一般的に2~3時間おきの授乳は生理的範囲内で、1日8~12回が目安とされている。
2.× 排尿回数8回/日は、介入が必要な所見とはいえない。なぜなら、夏場や気温が高い日など汗をいっぱいかいた日は必然的に排尿回数が減少するため。本症例の場合は、哺乳量の少なさも要因として考えられる。ちなみに、1回の尿の量は5~10mlとほんのわずかであるが、その代わり1日の尿の回数が15~20回と多い。成長とともに、1回の尿の量が増え、1日の回数が減っていく。これはからだ全体が発育していくように、おしっこを貯める膀胱も成長していくからである。
3.× 排便回数6回/日は、介入が必要な所見とはいえない。なぜなら、排便回数は個人差が大きく、1日に10回以上排便することもあるが、1〜2日に1回程度の場合もある。一応、目安としては、母乳栄養児の場合、20~30ℊ/日を7~10回する。一方、人工栄養児の場合、40~60ℊ/日を7~10回する。
4.× 総ビリルビン値10mg/dLは、介入が必要な所見とはいえない。なぜなら、総ビリルビン値10mg/dLは病的黄疸とはいえないため。病的黄疸の早期発見は重要である。①早発黄疸(生後72時間以内の黄疸),②血清総ビリルビン値の上昇速度が5mg/dL/24h以上,③生後72時間以後の血清ビリルビンが15mg/dL以上,④遷延性黄疸(生後2週間以上持続するもの),⑤血清直接ビリルビン値が2mg/dL以上。
17 経過が良好である産褥早期の褥婦に対し、母子の愛着形成を促進するために助産師が行う支援として最も適切なのはどれか。
1.出産体験の振り返り
2.うつ病スクリーニングの実施
3.祖父母との良好な関係構築の支援
4.ファミリー・サポート・センター事業の紹介
解答1
解説
愛着形成は、精神科医のジョン・ボルビィが1969年に著書「愛着行動」の中で書かれた考え方である。 「子どもが不安な時に親や身近にいる信頼できる人にくっつき安心しようとする行動」のことである。
1.〇 正しい。出産体験の振り返りは、母子の愛着形成を促進するために助産師が行う支援である。分娩後早期に振り返りを行うことは、分娩に対する自己肯定感を高め、母親として次のステップとなる子育てへの大きな原動力と心の準備ができると言われている。(※参考:「助産師の分娩に対する振り返りの考察~バースレビューの活用調査から~」国保水俣市立総合医療センターHPより)
2.× うつ病スクリーニングの実施は、母子の愛着形成との関連性は低い。うつ病スクリーニングの一つに、エジンバラ産後うつ病質問票がある。エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS:Edinburgh Postnatal Depression Scale)とは、産後うつ病をスクリーニングするために使用する質問票のことである。10項目の質問で、対象者は過去7日間の気分を答える。日本におけるカットオフポイント(区分点)は9点で、EPDS9点以上で「うつの可能性が高い」と考える。ただし、9点以上がうつ病で、8点以下はうつ病ではないと判断するものではない。
3.× 祖父母との良好な関係構築の支援は、母子の愛着形成との関連性は低い。母子の愛着形成は、「祖父母」ではなく「母子」との関係性を重視する。
4.× ファミリー・サポート・センター事業の紹介は、母子の愛着形成との関連性は低い。子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)は、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の保護者を会員として、児童の預かり等の援助を受けることを希望する者と援助を行うことを希望する者との相互援助活動である。
18 日本の母子健康手帳の改正した年とその内容の組合せで正しいのはどれか。
1.昭和23年(1948年):妊産婦手帳制度が始まった。
2.昭和33年(1958年):母子健康手帳と改称された。
3.昭和40年(1965年):妊婦1人につき1冊から子ども1人につき1冊に変更された。
4.平成24年(2012年):便色カードが追加された。
解答4
解説
(図引用:「平成24年母子健康手帳の改正について」日本産婦人科医会記者懇談会より)
1.× 妊産婦手帳制度が始まったのは、「昭和23年(1948年)」ではなく昭和17年(1942年)である。ちなみに、昭和23年(1948年)は、児童福祉法の改正に伴い妊産婦手帳から母子手帳に改称された年である。児童福祉法とは、児童の福祉を担当する公的機関の組織や、各種施設及び事業に関する基本原則を定める日本の法律である。児童が良好な環境において生まれ、且つ、心身ともに健やかに育成されるよう、保育、母子保護、児童虐待防止対策を含むすべての児童の福祉を支援する法律である。
2.× 母子健康手帳と改称されたのは、「昭和33年(1958年)」ではなく昭和40年(1965年)である。根拠法令は母子健康法である。ちなみに、母子保健法は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。
3.× 「妊婦1人につき1冊」から「子ども1人につき1冊」に変更されたのは、「昭和40年(1965年)」ではなく昭和23年(1948年)である。1948年(昭和23年)の時代背景として、当時はまだ戦後間もなく、子どもたちが栄養失調に悩み、感染症も多い時代であった。その時、妊娠中のお母さんと生まれた子どもの健康を守る手帳として、世界ではじめて考えられたのが「母子手帳」であった。従来は「妊婦1人につき1冊」であったが、母性保護から母子保健思想へと転換し、「子ども1人につき1冊」に変更された。ちなみに、「昭和40年(1965年)」に、母子健康手帳と改称された。
4.〇 正しい。便色カードが追加されたのは、平成24年(2012年)である。平成24年母子健康手帳の主な改正点として、①妊娠経過の記載欄について改正、②成長発達の確認項目の一部について達成時期を記載する形式に改める、③新生児期・1ヶ月健診時の情報の拡充 、④平成22年乳幼児身体発育調査の結果に基づき、乳幼児身体発育曲線と幼児の身長体重曲線を改正、⑤任意記載ページについて改正を行った。
(※図引用:「胆道閉鎖症早期発見のための便色カード活用マニュアル」厚生労働省HPより)
松井式便色カードは、胆道閉鎖症等の早期発見のための便色カードである。母子保健法施行規則の一部を改正する省令(平成 23年)により、母子健康手帳に掲載することが義務付けられた。
正常:4~7である。1~3の場合は、胆道閉鎖症などの可能性があるので、小児科医の受診を勧めている。便の色の確認は、生後2週間、生後1か月、生後1~4か月と数回行うように勧めている。
(※参考:「胆道閉鎖症早期発見のための便色カード活用マニュアル」厚生労働省HPより)
19 高校1年生を対象に健康教育を行うこととした。
健やか親子21(第2次)の指標を踏まえた内容で優先度が高いのはどれか。
1.食育
2.う歯の予防
3.肥満の予防
4.性感染症の防止
解答4
解説
(※図引用:「課題の概要」厚生労働省HPより)
健やか親子21は、平成25年の第1次計画の最終評価報告書を受け、平成27年度より第2次計画が開始されている。第1次計画では目標を設定した指標が多かったため、第2次計画では見直しを行い、目標を設けた52の指標と、目標を設けない「参考とする指標」として28の指標を設定した。第2次計画の中間評価は5年後、最終評価は10年後を予定している。
<目標>
1. 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進(十代の自殺、人工妊娠中絶、性感染症罹患)
2. 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援(妊産婦死亡、産後うつ病、産婦人科医・助産師数)
3. 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備(低出生体重児、事故、妊娠・育児期間中の喫煙)
4. 子どものこころの安らかな発達の促進と育児不安の軽減(虐待死亡、母乳育児、心の問題に対応する小児科医)
(※参考:「健やか親子21(第2次)について」厚生労働省HPより)
1.3.× 食育/肥満の予防より優先度が高いものがほかにある。食育/肥満の予防は、基盤課題B学童期・思春期から成人期に向けた保健対策であるが、設問は「高校1年生」を対象としている。
2.× う歯の予防は、基盤課題A切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策である。
4.〇 正しい。性感染症の防止は優先度が高い。健やか親子21の目標に①思春期の保健対策の強化と健康教育の推進(十代の自殺、人工妊娠中絶、性感染症罹患)と掲げられている。
20 Aさん(28歳)は無月経を主訴に産婦人科医院を受診し、妊娠の診断を受けた。助産師が次回の妊婦健康診査までに母子健康手帳の交付を受けるよう説明したところ、Aさんから公費の助成が受けられる妊婦健康診査について質問があった。
助産師の説明で正しいのはどれか。
1.「血液検査を毎回行います」
2.「保健指導の費用は自己負担です」
3.「血液検査の項目にはHIV抗体検査が含まれています」
4.「妊娠初期は2週に1回の妊婦健康診査が助成の対象になります」
解答3
解説
・Aさん(28歳、妊娠)
・助産師が次回の妊婦健康診査までに母子健康手帳の交付を受けるよう説明した。
・Aさんから公費の助成が受けられる妊婦健康診査について質問があった。
1.× 血液検査は、「毎回」ではなく、妊娠の経過によって回数は異なる。血液検査は、①妊娠初期に1回、血液型(ABO血液型・Rh血液型、不規則抗体)、血算、血糖、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体の検査を実施する。②妊娠24週から35週までの間に1回、血算、血糖の検査を実施する。③妊娠36週以降に1回、血算の検査を実施する。④妊娠30週頃までにHTLV-1抗体検査を実施する。
2.× 保健指導の費用は「自己負担」ではなく公費負担となる。 各回実施する基本的な妊婦健康診査の項目として、①健康状態の把握(妊娠月週数に応じた問診、診査等)、②検査計測、③保健指導を実施するとともに、妊娠期間中の適時に、必要に応じた医学的検査があげられる。
3.〇 正しい。血液検査の項目にはHIV抗体検査が含まれている。血液検査は、①妊娠初期に1回、血液型(ABO血液型・Rh血液型、不規則抗体)、血算、血糖、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体の検査を実施する。②妊娠24週から35週までの間に1回、血算、血糖の検査を実施する。③妊娠36週以降に1回、血算の検査を実施する。④妊娠30週頃までにHTLV-1抗体検査を実施する。
4.× 妊娠初期は、「2週に1回」ではなく4週間に1回の妊婦健康診査が助成の対象になる。妊娠初期より妊娠23週(第6月末)まで は4週間に1回である。妊娠24週(第7月)より妊娠35週(第9月末)までは2週間に1回である。妊娠36週(第10月)以降分娩までは、1週間に1回である。計14回程度となる。
(1)妊婦健康診査においては、各回、基本的な妊婦健康診査の項目として、①健康状態の把握(妊娠月週数に応じた問診、診察等)、②検査計測、③保健指導を実施するとともに、妊娠期間中の適時に、必要に応じた医学的検査を実施すること。
(2)基本的な妊婦健康診査の一環として、各回実施する検査計測の項目の例としては、子宮底長、腹囲、血圧、浮腫、尿化学検査(糖・蛋白)、体重があり、第1回目の健康診査では、身長も測定すること。
(3)基本的な妊婦健康診査の一環として、各回実施する保健指導については、妊娠中の食事や生活上の注意事項等について具体的な指導を行うとともに、妊婦の精神的な健康の保持に留意し、妊娠、出産、育児に対する不安や悩みの解消が図られるようにすること。
(4)各回実施する基本的な妊婦健康診査の項目以外の各種の医学的検査について、標準的な検査項目を以下に例示するので、市町村における公費負担の対象となる検査項目の設定にあたって参酌されたい。(医学的検査の例)
①血液検査
・妊娠初期に1回、血液型(ABO血液型・Rh血液型、不規則抗体)、血算、血糖、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体の検査を実施。
・妊娠24週から35週までの間に1回、血算、血糖の検査を実施。
・妊娠36週以降に1回、血算の検査を実施。
・妊娠30週頃までにHTLV-1抗体検査を実施。
②子宮頸がん検診(細胞診)
妊娠初期に1回実施。
③超音波検査
妊娠23週までの間に2回、妊娠24週から35週までの間に1回、36週以降に1回実施。
④B群溶血性レンサ球菌(GBS)
妊娠24週から35週までの間に1回実施。
⑤性器クラミジア
妊娠30週頃までに1回実施。
(※「妊婦健康診査について」厚生労働省HPより)