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6 妊娠中期以降における羊水の機能で正しいのはどれか。
1.臍帯下垂の予防
2.プロラクチンの産生
3.胎児の運動空間の確保
4.胎盤でのガス交換の補助
解答3
解説
①胎児の保護作用
・物理的および機械的刺激に対する保護作用
・感染防御作用
・前期破水および早産の予防
②胎児発育にかかわる作用
③分娩時の作用
④羊水から得られる臨床情報
1.× 臍帯下垂の予防には寄与しない。臍帯下垂とは、破水していない状態で、赤ちゃんより先に臍帯が降りてきている状態で、内診をすると赤ちゃんの頭ではなく臍帯が触れる状態をいう。原因として、①赤ちゃんの姿勢に問題がある場合(さかごや横位など)や、児頭骨盤不均衡、低出生体重児分娩、羊水過多症、多胎妊娠などである。
2.× プロラクチン(催乳ホルモン)の産生には寄与しない。プロラクチン(催乳ホルモン)の産生は、下垂体前葉である。ちなみに、プロラクチン放出ホルモンは視床下部から分泌される。乳腺の発育と乳汁の産生に働く。
3.〇 正しい。胎児の運動空間の確保は、妊娠中期以降における羊水の機能である。胎児が正常に発育するためには羊水の存在は欠かせない。仮に、羊水過少症がある場合には胎児の発育は遅延する。さらに、胎児の肺低形成・顔面や手足の変形・老人様皮膚などが起こる。胎児は子宮内で呼吸様運動(横隔膜の上下運動により胎児肺の肺胞液が肺胞と気管支の間を出入りすることによって胎児期の肺胞の成熟を図っている)を行い、生まれた直後の自発呼吸に備え肺成熟を進行させている。羊水がない場合にはこの運動ができず、子宮の外に出た場合に肺が正常に機能しないために多くの胎児は出生直後に死亡する。また、胎児が羊水を飲み込むことによって胎児消化管の発育も促進している。
4.× 胎盤でのガス交換の補助には寄与しない。なぜなら、ガス交換は胎盤内の絨毛間で行われるため。胎盤では絨毛と脱落膜の接するところで、ガス交換や栄養素の摂取が行われ、再び臍静脈へと流れ込む。
7 乳汁分泌を抑制するための薬剤の使用が禁忌となるのはどれか。
1.Basedow<バセドウ>病
2.妊娠高血圧症候群
3.産後うつ病
4.妊娠糖尿病
解答2
解説
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1. 本剤の成分又は麦角アルカロイドに対し過敏症の既往歴のある患者
2. 妊娠高血圧症候群の患者[産褥期における痙攣、脳血管障害、心臓発作、高血圧が発現するリスクが高い。]
3. 産褥期高血圧の患者
4. 心エコー検査により、心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限及びこれらに伴う狭窄等の心臓弁膜の病変が確認された患者及びその既往のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
(※一部抜粋:「アップノールB錠」高田製薬株式会社様HPより)
1.× Basedow<バセドウ>病とは、甲状腺ホルモンが過剰に作られる状態である甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気である。症状は、頻脈、体重減少、手指のふるえ(振戦)、発汗増加などを生じる。亜急性甲状腺炎では、甲状腺の圧痛がみられる。
2.〇 正しい。妊娠高血圧症候群は、乳汁分泌を抑制するための薬剤の使用が禁忌である。妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(血圧140/90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。
3.× 産後うつ病とは、産褥婦の約3%にみられ、産褥1か月以内に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。産後うつ病の患者への適切な対応が大切である。抑うつ状態の患者に対し、まずは患者の不安に寄り添い、共感的態度をとることが基本である。
4.× 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見、または発症した糖尿病まではいかない糖代謝異常のことである。糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す血糖値が上がった状態である。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。
8 更年期女性の尿失禁で正しいのはどれか。
1.腹圧性尿失禁には膀胱訓練の指導を行う。
2.低用量の副腎皮質ステロイドが有効である。
3.腹圧性尿失禁には抗コリン薬が有効である。
4.切迫性尿失禁よりも腹圧性尿失禁の方が多い。
解答4
解説
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。例えば、①自律神経失調症状の代表的なものとして発汗異常、ほかにのぼせ、顔のほてり、動悸、めまいなどが生じる。②精神神経症状としては、情緒不安やイライラ、抑うつ、不安、不眠などが起こる。
1.× 膀胱訓練の指導を行うのは、「腹圧性尿失禁」ではなく過活動膀胱(切迫性尿失禁)である。尿が少量しかたまっていないのに尿意を感じてしまう過活動膀胱では、膀胱訓練をすることで少しずつためられる尿量が増えていくと期待される。最初は30秒程度からスタートし、徐々に我慢する時間を延ばしていく。ちなみに、腹圧性尿失禁とは、おなかに力が入ったときに漏れてしまうタイプの失禁のことをいう。40代以上の女性に多いのが特徴の一つである。特に出産を経験した女性では、分娩時の骨盤底筋へのダメージにより、腹圧性失禁を起こすようになる。骨盤底筋は、骨盤の底にある筋。内臓や子宮、膀胱などを本来のあるべき位置に収まるように、下から支える役割を担う。しかし、骨盤底筋が弱くなると、内臓や子宮、膀胱などの臓器が下がり、骨盤内の臓器で一番下側にくるのが膀胱であるため、常に内臓や子宮に押されている形になる。すると、少しの力がお腹にかかっただけで、膀胱を圧迫してしまい、尿漏れが起こすといったメカニズムである。
2.× 低用量の副腎皮質ステロイドは有効ではない。なぜなら、副腎皮質ステロイドは炎症や免疫抑制のため使用されることが多いため。更年期女性の尿失禁は炎症によって起こっているわけではなく、加齢による尿道交付金や骨盤庭括約筋の萎縮、エストロゲン減少により生じている。
3.× 抗コリン薬が有効であるのは、「腹圧性尿失禁」ではなく過活動膀胱(切迫性尿失禁)である。抗コリン薬は、アセチルコリンの働きを抑えて副交感神経を抑制し、交感神経を優位にする働きを持つ。なぜなら、ムスカリン受容体を遮断するため。ちなみに、前立腺肥大症に、抗コリン薬を使用は禁忌である。なぜなら、交感神経系が緊張状態となり、尿閉を悪化させるため。適応疾患として、過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍、気管支喘息、肺気腫パーキンソン病などに用いられる。
4.〇 正しい。切迫性尿失禁よりも腹圧性尿失禁の方が多い。切迫性尿失禁とは、尿意を感じると我慢ができずに尿が漏れる尿失禁で、過活動膀胱や急性期の膀胱炎などで起こることが多い。過活動膀胱に対しては、抗コリン薬やβ受容体刺激薬を用い、膀胱炎炎などの感染に対しては抗生剤治療を行う。つまり、薬物療法を用いる。
【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。
【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)
ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。
(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)
9 分娩期における子宮頸管の状態で正しいのはどれか。
1.軟産道を構成する組織の中で腟入口の次に抵抗が大きい。
2.分娩進行中に後唇側の開大は遅れることが多い。
3.初産婦は外子宮口が早く開大する。
4.内子宮口側が広がり展退が進む。
解答4
解説
1.× 軟産道を構成する組織の中で、「腟入口の次」ではなく最も子宮頸管の抵抗が大きい。産道は、①軟産道と②骨産道に分けられる。①軟産道とは、子宮下部、子宮頸管、腟、外陰部の筋肉や靱帯からなる柔らかい部分(軟部組織)のことである。 一方、骨産道とは、そのまわりにある骨盤の内側を指す。
2.× 分娩進行中に後唇側の開大は「遅れることが多い」とは言えない。拡大状況は子宮頚管の熟化状況によるため、「後唇側だけ」限局的に遅れるようなことはない。
3.× 初産婦は、「外子宮口」ではなく内子宮口が早く開大する。ちなみに、経産婦は外・内子宮口が同時に拡大することが多い。ちなみに、子宮の入り口から腟までの部分を子宮頸管といい、腟側を外子宮口、赤ちゃん側を内子宮口という。
4.〇 正しい。内子宮口側が広がり展退が進む。子宮頸管の展退(短縮)とは、分娩時に、胎児の通路となる子宮頚管が子宮筋の収縮や胎児の下降で短くなることで、軟らかくなると共に開きやすくなることである。この現象が、早期に起こると早産に結びつく。
10 正常分娩において、胎盤が剝離していると判断できるのはどれか。
1.恥骨結合上の下腹部を圧迫して臍帯が腟内に引き込まれるのを確認した時点
2.腟口近くで臍帯を挟んだコッヘルが手前に大きく下がってきた時点
3.腟から暗赤色の血液の流出が確認されて5分が経過した時点
4.子宮底部が臍高で軟らかく触知できた時点
解答2
解説
・シュレーダー徴候(Schroder徴候):児娩出後ほぼ臍高にあった子宮底が胎盤剥離するとやや上昇し右に傾く。
・アールフェルド徴候(Ahlfeld徴候):胎児娩出直後に臍帯の腟入口に位置する部に止血鉗子で目じるしをつけておくと、胎盤が剥離下降してくるとこの目じるしが10〜15cm外方へ下垂する現象である。
・キュストナー徴候(Kustner徴候):胎児娩出後に恥骨結合上から子宮下方を骨盤内に圧すると臍帯が圧出される状態である。
・シュトラスマン徴候(Strassmann徴候):一方の手で臍帯を持ち、他方の手で子宮底を叩いても手に響かない。癒着しているときは手に響く。
1.× 胎盤剝離の場合、恥骨結合上の下腹部を圧迫すると、臍帯は「腟内に引き込まれる」のではなく、さらに下降する様子が見られる。この状態であればキュストナー徴候(Kustner徴候)という。
2.〇 正しい。腟口近くで臍帯を挟んだコッヘルが手前に大きく下がってきた時点(アールフェルド徴候)で胎盤が剝離していると判断できる。アールフェルド徴候(Ahlfeld徴候)とは、胎児娩出直後に臍帯の腟入口に位置する部に止血鉗子で目じるしをつけておくと、胎盤が剥離下降してくるとこの目じるしが10〜15cm外方へ下垂する現象である。
3.× 腟から暗赤色の血液の流出が確認されて5分が経過した時点だけでは、胎盤が剝離していると判断できない。なぜなら、胎盤は胎児分娩後10~15分後も子宮収縮を再開し、その際にも出血がみられるため。
4.× 子宮底部が臍高で軟らかく触知できた時点だけでは、胎盤が剝離していると判断できない。シュレーダー徴候(Schroder徴候)とは、児娩出後ほぼ臍高にあった子宮底が胎盤剥離するとやや上昇し右に傾く徴候のことである。