第98回(H27) 助産師国家試験 解説【午前51~55】

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次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、1回経産婦)。Aさんは第1子を3年前に病院で正常分娩し、現在の健康状態は良好である。妊娠が判明し、今回は助産所での出産を希望して妊婦健康診査を受けている。妊娠経過は順調である。

51 妊娠39週3日。Aさんは、自然に陣痛発来し助産所に到着した。入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、Station+1、第2頭位。4時間後に子宮口全開大し、四つん這いの姿勢で分娩することになった。その後、順調に経過し児頭が娩出した。
 第4回旋で児が顔を向ける方向はどれか。

1.産婦の腹側
2.産婦の背側
3.産婦の右方向
4.産婦の左方向

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(38歳、1回経産婦)。
・妊娠39週3日(自然に陣痛発来し助産所に到着)。
・内診所見:子宮口4cm開大、Station+1、第2頭位
・4時間後:子宮口全開大、四つん這いの姿勢で分娩する。
・順調に経過し児頭が娩出
→四つん這いの体位でも、回旋は変わらない。今回は、第2頭位であることに注意する。ちなみに、第2頭位とは、胎児の背中が母体の右手側にあることをいう。

1.× 産婦の腹側に、児が顔を向ける場合は、異常となる。第2回旋異常で後方後頭位に該当する。後方後頭位とは、胎児後頭が母体の後方に向かって回旋(先進部の小泉門が後方に回旋)したものをいう。分娩の経過中に後方後頭位をとるものは1~5%であるが、約70%は分娩進行中に前方後頭位に変わり、一部は定在横定位になる。産道に比べて児頭が相対的に小さい場合に起こりやすいとされ、広骨盤または過少児頭の場合に問題となる。

2.× 産婦の背側に、児が顔を向ける場合は、第2回旋が正常に終えた場合である。

3.× 産婦の右方向に、児が顔を向ける場合は、第1頭位にて第4回旋で児が顔を向ける方向である。ちなみに、第2頭位の場合は、産婦の右方向に、児が顔を向けることはない。

4.〇 正しい。産婦の左方向が第4回旋で児が顔を向ける方向である。

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」)

”児頭の産道通過機転”

第1回旋(屈曲):児頭が骨盤入口部に進入する時、児頭は両耳結合線を軸とする横軸回旋をして強い前屈位をとる(後頭位)。この第1回旋により、先進部は小泉門となり、小斜径で産道に接するようになる。
第2回旋(内回旋):児頭は先進する小泉門が常に母体前方に向かうように、胎児長軸を軸とする縦軸回旋をしながら下降する(前方後頭位)。分娩所要時間のうち、この過程に最も時間を要する。
第3回旋(伸展):児頭後頭部が恥骨結合下を通過して、後部が恥骨下縁に接すると、そこを支点として頭部が反屈状に横軸回旋する。この運動によって、児頭は前頭、顔面、オトガイ部の順に会陰を滑って娩出される。第1回旋の逆の動きである。
第4回旋(外回旋):児頭娩出に引き続き、肩甲の下降が起こり、それに伴って児の顔面が母体大腿内側を向く縦軸回旋をする。第2回旋の逆の動きである。

第1・第3回旋:胎児の姿勢を変化させる回旋(胎勢回旋・横軸回旋)である。
第2・第4回旋:体幹の向きが移動する回旋(胎向回旋・縦軸回旋)である。

 

 

 

 

 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、1回経産婦)。Aさんは第1子を3年前に病院で正常分娩し、現在の健康状態は良好である。妊娠が判明し、今回は助産所での出産を希望して妊婦健康診査を受けている。妊娠経過は順調である。

52 Aさんは、3480gの女児を正常分娩で出産した。会陰裂傷第1度であったが縫合はしていない。産褥1日、Aさんは「お産のときに痔が出てしまいました。トイレで戻そうとしたのですが、痛くて触れません。妊娠中からありました。授乳で座っているのもつらいです」と話した。Aさんの脱肛は2cm×2cmの大きさで、腫脹がみられた。
 Aさんへの対応で適切なのはどれか。

1.円座を利用するよう勧める。
2.授乳以外は横になるよう勧める。
3.肛門部に冷罨法を行うよう勧める。
4.臥床時は下肢を挙上するよう話す。
5.骨盤底筋訓練を実施するよう説明する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(38歳、1回経産婦)。
・3480gの女児:正常分娩で出産。
・会陰裂傷第1度:縫合せず。
・産褥1日「お産のときにが出てしまいました。トイレで戻そうとしたのですが、痛くて触れません。妊娠中からありました。授乳で座っているのもつらいです」と。
脱肛2cm×2cmの大きさ、腫脹あり。
→脱肛とは、肛門の開閉にかかわる支持組織(肛門括約筋や粘膜、間質から成る:痔核)が肛門の外に出ることである。原因として、お産によるいきみや、生まれるときに赤ちゃんの頭で圧迫されたことなどである。 内服薬としては消炎鎮痛作用のあるもののほかに、便通を整える整腸剤や緩下剤などを服用する。保存療法で改善がみられない場合や、Ⅲ度以上の痔核では、硬化療法(ALTA療法)、結紮切除術(LE)などの手術が適応される。

1.〇 正しい。円座を利用するよう勧める。なぜなら、本症例は、脱肛がみられ、圧迫などの刺激により痛みが生じているため。刺激を与えないようなセルフケアの指導が望ましい。円座とは、会陰切開などを行った産後の女性や、腰痛や痔に悩まされている人が、痛みを和らげるために用いることがある。 また、姿勢や骨盤の矯正を目的として用いられることもある。

2.× 授乳以外は横になるよう勧めるより優先されるものが他にある。なぜなら、「授乳で座っているのもつらいです」という発言の直接的な解決とはいえないため。

3.× 肛門部に、「冷罨法」ではなく温熱療法を行うよう勧める。なぜなら、温めることで血流が改善し、痛みの軽減に寄与するため。

4.× 臥床時は下肢を挙上するよう話す必要はない。なぜなら、下肢の挙上は、血流を改善することでむくみの軽減をはかる方法であるため。脱肛の症状に直接的な効果はない。

5.× 骨盤底筋訓練を実施するよう説明する必要はない。なぜなら、骨盤底筋訓練は、過活動膀胱に対する運動方法であるため。骨盤底筋は子宮、膀胱、直腸を含む骨盤臓器を支える筋肉で、骨盤底筋を強化することで尿漏れ対策となる。仰臥位が基本的な姿勢であるが、腹臥位や座位など日常生活の中でどんな姿勢で行ってもよい。座位や膝立て背臥位などで、上体の力を抜いてお尻の穴を引き上げて「きゅっ」とすぼめ、5秒キープする動作を10~20回ほど繰り返す方法と、すぼめたりを繰り返す方法の2種類ある。

痔核の重症度分類(Goligher分類:ゴリガー分類)

Ⅰ度:排便時にうっ血し、膨隆する(痛みなし)。
Ⅱ度:排便時に内痔核が脱出するが、排便後に自然還納する。
Ⅲ度:脱出を納めるのに用手的還納を要する。
Ⅳ度:痔核が大きく外痔核まで一塊化しているため完全には還納できない。

会陰裂傷の重症度

第1度:会陰の皮膚、腟壁粘膜のみに限局し、筋層には達しない裂傷。
第2度:会陰筋層まで及ぶが、肛門括約筋には達しない裂傷。
第3度:肛門括約筋や腟直腸中隔に達する裂傷。
第4度:第3度裂傷に加え、肛門粘膜や直腸粘膜の損傷を伴う裂傷。

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 Aさん(29歳、1回経産婦)。前回の出産は2年前であり、妊娠経過は順調で、微弱陣痛のため子宮収縮薬を使用し病院で正常分娩した。今回妊娠が判明し、妊娠18週0日に自宅での出産を希望して自宅分娩を扱う開業助産師を受診した。開業助産師は近隣の助産師と協力体制をとっている。

53 Aさんと初めて会った際の助産師の対応で最も適切なのはどれか。

1.自宅分娩の分娩費用を説明する。
2.自宅分娩の申し込みの手続きを行う。
3.自宅分娩を希望したことを称賛する。
4.自宅分娩には家族の理解が必要であることを説明する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(29歳、1回経産婦)。
・前回2年前の出産(正常分娩):妊娠経過は順調、微弱陣痛のため子宮収縮薬を使用した。
・今回妊娠が判明(妊娠18週0日):自宅での出産を希望、自宅分娩を扱う開業助産師を受診。
・開業助産師:近隣の助産師と協力体制をとっている。
→日本では1955年頃まではお産婆の介助により自然分娩をしていた自宅出産が殆どであった。現在は、産婦人科など医療機関での出産が当たり前となり、新生児死亡率や母親の死亡率は低下して、未熟児の生育率は向上した。しかし、自宅で家族に囲まれてリラックスして自然な形で分娩したいという理由から、自宅出産を選択する方もわずかながら増えてきている。もちろん、お母さんと赤ちゃんに何かあった場合に自宅出産ではどうしても対応が遅れてしまい、そのせいで深刻な事態が起こりやすくなってしまうということを強く認識、伝えておくことが重要である。

1.× 自宅分娩の分娩費用を説明する優先度は低い。なぜなら、Aさんと初めて会った際で、分娩費用の話はAさんに誤解を生みやすいため。また、すでにAさんは1回出産を経験しており、ある程度の出産費用について理解しており、Aさんは「自宅出産」を希望したとも考えられる。つまり、Aさんから「自宅出産の費用」について聞いてこられたら丁寧に答えればよいが、Aさんと会った際の助産師の最初の対応として、助産師から伝える事柄としては他に優先度が高いものがある。

2.× 自宅分娩の申し込みの手続きを行う優先度は低い。なぜなら、自宅分娩を希望したからといって、早々に自宅分娩を決定できないため。まずは、Aさんの健康状態や家族の理解・準備が整っているかを確認する必要がある。

3.× 自宅分娩を希望したことを称賛する優先度は低い。なぜなら、自宅分娩にもデメリットがあるため。称賛とは、ほめたたえることである。何らかの理由で、自宅分娩が行えなかった場合、自責に発展しかねない。

4.〇 正しい。自宅分娩には家族の理解が必要であることを説明する。なぜなら、自宅分娩には、お母さんと赤ちゃんに何かあった場合に自宅出産ではどうしても対応が遅れてしまうため。そのせいで深刻な事態が起こりやすくなってしまうということを強く認識、伝えておくことが重要である。

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 Aさん(29歳、1回経産婦)。前回の出産は2年前であり、妊娠経過は順調で、微弱陣痛のため子宮収縮薬を使用し病院で正常分娩した。今回妊娠が判明し、妊娠18週0日に自宅での出産を希望して自宅分娩を扱う開業助産師を受診した。開業助産師は近隣の助産師と協力体制をとっている。

54 Aさんは、夫と子どもとの3人暮らし。自宅はマンションの4階で間取りは2LDKである。夫は会社員で育児には協力的である。
 自宅分娩のために助産師が行う事前準備で適切なのはどれか。

1.助産師が待機する部屋を準備するようAさんに依頼する。
2.助産師が到着するまで何もしないように夫に説明する。
3.分娩時は子どもを預けるようにAさんに説明する。
4.分娩時の協力を近隣の助産師に依頼する。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(29歳、1回経産婦)。
・前回2年前の出産(正常分娩):妊娠経過は順調、微弱陣痛のため子宮収縮薬を使用した。
・今回妊娠が判明(妊娠18週0日):自宅での出産を希望、自宅分娩を扱う開業助産師を受診。
・開業助産師:近隣の助産師と協力体制をとっている。
・3人暮らし:夫と子ども。
・自宅:マンションの4階(間取りは2LDK)。
・夫(会社員):育児には協力的
→夫の協力も得られそうだが、夫が仕事中の昼間の出産になる場合や、どのような部屋を使用しつつ出産するか検討する必要がある。

1.× 必ずしも「助産師が待機する部屋」を準備するようAさんに依頼する必要はない。「助産業務ガイドライン 2019」において、「無床助産所の取り扱い対象者は、原則として助産師の移動所要時間を1時間以内とすること」と記載されている。したがって、助産師が待機していればよい。

2.× 助産師が到着するまで「何もしないように」夫に説明する必要はない。なぜなら、分娩の進行に応じて、助産師が到着するまでの間に夫ができること(精神的なケアや呼吸法のサポートなど)があるため。むしろ、夫に何をすべきか具体的に指示する。

3.× 「分娩時は子どもを預ける」ようにAさんに説明する優先度は低い。なぜなら、家族の判断に任せるところであるため。出産の立ち合いは、非常に慎重に決めるべきことである。立ち合い出産のメリット・デメリットをおさえておこう。

4.〇 正しい。分娩時の協力を近隣の助産師に依頼する。「助産業務ガイドライン 2019」において、「無床助産所の取り扱い対象者は、原則として助産師の移動所要時間を1時間以内とすること」と記載されている。

1.助産所における活用

①分娩を取り扱う助産所は、有床・無床にかかわらず、本ガイドラインに則り業務を遂行すること。ただし、本ガイドラインの推奨は、妊産婦の個別の状況に応じて例外も容認されることがありうる。推奨されているケア、緊急の対応であっても、助産師がそれらの実施は適切でないと判断する場合や、産婦とその家族が望まないこともありうる。そのような場合には、事前に嘱託医師・連携医療機関と協議の上、妊産婦とその家族に十分なインフォームド・コンセントを行い、書面によって同意を得たのちに、より適切と考えられる対応を行うこともある。
②医師による妊婦健康診査では、妊婦に嘱託医師あるいは嘱託医療機関などの受診を勧め、その受診を確認しておくこと。
無床助産所の取り扱い対象者は、原則として助産師の移動所要時間を1時間以内とすること
④助産所で分娩を取り扱う際は、複数の助産師で対応すること。
⑤助産所におけるケアは、妊産婦のインフォームド・コンセントを得た上で実施すること。⑥個人情報を保護すること。
⑦新生児蘇生法(NCPR)講習会の修了認定を受けていること。
⑧夜間や休日の場合、医療機関が遠距離のため搬送に時間を要する場合、搬送などに社会的要因が関連する場合などは、事前に医師と話し合い、対応を検討しておくこと。
⑨医師との協働管理が予測される場合は、早めに医師に報告、相談しておくこと。

(※引用:『助産業務ガイドライン 2019』)

 

 

 

 

 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
 Aさん(29歳、1回経産婦)。前回の出産は2年前であり、妊娠経過は順調で、微弱陣痛のため子宮収縮薬を使用し病院で正常分娩した。今回妊娠が判明し、妊娠18週0日に自宅での出産を希望して自宅分娩を扱う開業助産師を受診した。開業助産師は近隣の助産師と協力体制をとっている。

55 妊娠39週5日。午前7時に陣痛が発来し、助産師がAさんの自宅に午前7時30分に到着した。到着時の内診所見は、子宮口6cm開大、展退度80%、Station+1。軽い努責感がある。胎児心拍数陣痛図で、胎児心拍数基線130bpm、30分前から陣痛発作に伴い最下点100bpmの緩やかに下降する徐脈が出現し、20〜30秒で回復している。基線細変動は正常である。
 この時点での助産師の対応として最も適切なのはどれか。

1.Aさんに努責を促す。
2.嘱託医師に報告する。
3.そのまま経過観察する。
4.急いで新生児蘇生の準備をする。

解答

解説

本症例のポイント

・Aさん(29歳、1回経産婦)。
・前回2年前の出産(正常分娩):妊娠経過は順調、微弱陣痛のため子宮収縮薬を使用した。
・妊娠39週5日午前7時:陣痛発来、助産師が午前7時30分に到着。
・内診所見:子宮口6cm開大展退度80%、Station+1。
・軽い努責感がある。
胎児心拍数基線130bpm、30分前から陣痛発作に伴い最下点100bpmの緩やかに下降する徐脈が出現、20〜30秒で回復。
・基線細変動:正常。
→胎児は、早発一過性徐脈が疑われる。早発一過性徐脈とは、子宮収縮にともなって心拍数の減少の開始から最下点まで30秒以上の経過でゆるやかに下降し、子宮収縮の消退にともなってゆるやかに元に戻る徐脈のことをいう。一過性徐脈の最下点が子宮収縮の最強点と概ね一致しているものをいう。

(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P229」)

(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P231」)

1.× Aさんに努責を促すのは、「分娩第2期以降(子宮口完全開大)」である。本症例は分娩第1期(子宮口6cm開大、展退度80%)である。早いタイミングで努責(いきみ)を行うと産道に傷がついたり赤ちゃんの頭に無理がかかったりする。分娩第1期は呼吸法や肛門圧迫で努責(いきみ)を逃す。

2.〇 正しい。嘱託医師に報告する。なぜなら、胎児は、早発一過性徐脈が疑われるため。これは心拍数波形レベル3に該当し、助産師は「医師に報告する」必要がある(※参考:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P231」)。

3.× そのまま経過観察する必要はない。なぜなら、「分娩監視装置を一定時間(20 分以上)装着してモニタリングを記録し、評価する」必要があるため(※参考「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P223」)。詳しくは下参考。

4.× 急いで新生児蘇生の準備をする必要はない。なぜなら、胎児心拍数基線130bpm、基線細変動は正常であるため。現時点で急いで準備を始める必要があるほどの危険な状況ではない。

分娩期

【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。

・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。

・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。

・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。

連続モニタリングの適応

「経過観察」を満たしても、以下の場合は連続モニタリングを行う(ただし、トイレへの歩行や病室の移動等で胎児心拍数が評価できない期間を除く)
1)分娩第2期のすべての産婦
2)分娩時期を問わず、以下のような場合(①子宮収縮薬使用中、②用量41mL以上のメトロイリンテル挿入中、③用量41mL未満のメトロイリンテル挿入中であっても陣痛が発来した場合、④無痛分娩中、⑤38℃以上の母体発熱中、⑥上記以外に産婦が突然強い子宮収縮や腹痛を訴えた場合)
3)分娩時期を問わず、以下のようなハイリスク妊娠の場合(①母体側要因:糖尿病合併、“妊娠中の明らかな糖尿病”、コントロール不良な妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、妊娠・分娩中の低酸素状態が原因と考えられる脳性麻痺児、子宮内胎児死亡児出産既往(概ね30週以上)、子癇既往、子宮体部への手術歴、②胎児側要因:胎位異常、推定体重<2,000g、胎児発育不全、多胎妊娠、サイトメガロウイルス感染胎児、③胎盤、羊水、臍帯の異常:低置胎盤、羊水過多、羊水過少、臍帯卵膜付着が診断されている場合)
4)その他、ハイリスク妊娠と考えられる産婦(コントロール不良の母体合併症等)
7.以下の場合は分娩監視装置を一定時間(20 分以上)装着してモニタリングを記録し、評価する。1)破水時、2)羊水混濁あるいは血性羊水を認めたとき、3)間欠的児心拍数聴取で(一過性)徐脈、頻脈を認めたとき、4)分娩が急速に進行したり、排尿・排便後など、胎児の位置の変化が予想される場合(間欠的児心拍聴取でもよい)

(※引用「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P223」)

胎児心拍数陣痛図の基準値

胎児心拍数基線は、10分間の区間の平均心拍数で5の倍数で表現する。基線は一過性変動部分や基線細変動増加の部分は除外し、2分間以上持続している部分で判断する。胎児心拍数基線細変動は、胎児心拍数基線が判読可能な部分で判読する。基線細変動は、胎児心拍数基線の細かい変動で、定義上、1分間に2サイクル以上の胎児心拍数の変動で、振幅、周波数とも規則性がないものを指す。

①胎児心拍数基線
・頻脈:160bpm以上
・正常脈:110bpm~160bpm
・徐脈:110bpm未満

②胎児心拍数基線細変動
・細変動消失:肉眼的に認められない
・細変動減少:5bpm以下
・細変動中等度:6~25bpm
・細変動増加:26bpm以上

 

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