この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
11 分娩第2期の産痛について正しいのはどれか。
1.腰背部の痛みが増強する。
2.外陰部の伸展圧迫に伴い強くなる。
3.陣痛間欠時に呼吸に集中することで緩和される。
4.第10〜12胸神経および第1腰神経へ伝達される。
解答2
解説
(図引用:「女性器の解剖と整理」医学出版様より)
1.× 腰背部の痛みが増強するのは、「分娩第1期」である。なぜなら、子宮体部の収縮に伴い、子宮下部が伸張され、腰背部の神経が刺激されるため。ちなみに、分娩第2期では、外陰部の痛みが主体である。
2.〇 正しい。外陰部の伸展圧迫に伴い強くなる。なぜなら、胎児が産道を通過し、外陰部や膣、会陰部が大きく伸展され痛みを伴うため。ちなみに、分娩第2期は、赤ちゃんが産道を通っている間で、子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。
3.× 「陣痛間欠時」ではなく陣痛発作時に呼吸に集中することで緩和される。陣痛間隔時は、リラックスした自然な呼吸をするのがよい。①いきみたくなるまで、フーフー呼吸(3秒かけて鼻から吸い、3秒かけて口から吐く)を行い、②いきみたくなったら、フーウン呼吸(3秒かけて口から吐き、息を吐ききったら「ウン」と同時に力を抜く)を行う。
4.× 第10〜12胸神経および第1腰神経へ伝達されるのは、分娩第1期(子宮部)の産痛である。分娩第2期の産痛(腔や会陰)は、第2~4仙髄へ伝達される。
【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。
・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。
・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。
・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。
12 妊娠40週0日の初産婦。3700gの児を正常分娩した。分娩所要時間5時間30分。会陰裂傷第3度。分娩時出血量600mLで、麦角アルカロイドを使用した。分娩後4時間経過し、排尿を促した。子宮底の高さは臍下2横指、子宮は硬く触れる。排尿時痛、下腹部痛および創部の拍動痛を訴えた。
最も疑われるのはどれか。
1.胎盤遺残
2.外陰部血腫
3.尿路感染症
4.子宮復古不全
解答2
解説
・妊娠40週0日の初産婦(3700gの児:正常分娩)。
・分娩所要時間:5時間30分、会陰裂傷:第3度。
・分娩時出血量:600mL(麦角アルカロイド使用)。
・分娩後4時間経過:排尿を促した。
・子宮底の高さ:臍下2横指、子宮は硬く触れる。
・排尿時痛、下腹部痛および創部の拍動痛を訴えた。
→それぞれの選択肢の消去できる理由も分かるようにしよう。
1.× 胎盤遺残は考えにくい。なぜなら、子宮が硬く収縮しており、出血量も良好であるため。胎盤遺残とは、通常赤ちゃんの出生後数分~10分ほどで自然に排出される胎盤が、なにかしらの原因で排出されず子宮内に残ってしまう状態のことをいう。胎盤・卵膜の遺残は、出血が多く凝血塊が貯留するため、弛緩出血を助長する。弛緩出血とは、児と胎盤の娩出後、本来なら子宮が収縮することで止まるはずの出血が続く状態である。原因は、多胎妊娠や巨大児による子宮の過伸展、子宮収縮剤の長時間投与、長引く分娩による母胎の疲労、子宮奇形などの体質によるもの、子宮内の凝血塊の遺残、全身麻酔などが挙げられる。
2.〇 正しい。外陰部血腫がもっとも疑われる。なぜなら、会陰裂傷第3度や創部の拍動痛を訴えているため。外陰部血腫とは、分娩時や産褥中に外陰部や腟壁に血腫を形成する状態である。外陰部血腫の症状には、浮腫や腫脹、裂傷後の血腫、 違和感、疼痛がみられる。
3.× 尿路感染症より優先されるものが他にある。なぜなら、排尿時痛だけでは判断しにくいため。尿路感染症は、主に頻尿や炎症所見(痛み、血液データなど)から判断する。ちなみに、尿路感染症とは、尿道、膀胱、腎臓などの尿路に細菌などが感染し、炎症を引き起こす病気のことである。主に女性に多く見られ、症状としては尿の頻度や痛み、燃焼感、血尿などがある。治療には抗生物質を使用し、治療期間は一般的に約1週間程度である。尿白血球は陽性となる。
4.× 子宮復古不全は考えにくい。なぜなら、子宮底の高さは臍下2横指、子宮は硬く触れるため。子宮復古不全とは、妊娠によって大きくなった子宮が出産を終えて元に戻る過程である子宮復古に異常が起き、通常の子宮収縮が認められない病態である。 原因は、①子宮内に胎盤の一部が残っている場合(子宮内残留)や、②母体疲労によるもの、③胎盤や卵膜の子宮内感染など原因は多岐に渡る。子宮復古不全では子宮の収縮が悪いため、悪露の量が多く、子宮底が高く柔らかく触れる。
第1度:会陰の皮膚、腟壁粘膜のみに限局し、筋層には達しない裂傷。
第2度:会陰筋層まで及ぶが、肛門括約筋には達しない裂傷。
第3度:肛門括約筋や腟直腸中隔に達する裂傷。
第4度:第3度裂傷に加え、肛門粘膜や直腸粘膜の損傷を伴う裂傷。
尿路感染症は、感染診断名としては、①腎盂腎炎と②膀胱炎とに分けられる。一方で、その病態による一般的分類法として尿路基礎疾患のある・なしで、複雑性と単純性とに分ける。頻度として多い女性の急性単純性膀胱炎は外来治療の対象である。急性単純性腎盂腎炎は高熱のある場合、入院が必要なこともある。複雑性尿路感染症は、膀胱炎、腎盂腎炎とも、症状軽微な場合、外来治療が原則であるが、複雑性腎盂腎炎で尿路閉塞機転が強く高熱が認められるものでは、入院の上、腎瘻造設などの外科的ドレナージを要することもある。それら病態を見極めるための検査として、画像診断(超音波断層、静脈性腎盂造影、X線CTなど)が必要となる。感染症としての診断には、適切な採尿法による検尿で膿尿を証明すること、尿培養にて原因菌を同定し
薬剤感受性を検査することが基本である。
【疑うべき臨床症状】
尿路感染症の症状は、急性単純性膀胱炎では排尿痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、下腹部痛が、急性単純性腎盂腎炎では発熱、悪寒、側腹部痛が、主たるものである。複雑性尿路感染症では膀胱炎、腎盂腎炎それぞれにおいて、単純性と同様の症状が見られるが、無症状に近いものから、強い症状を呈するものまで幅が広い。上部尿路閉塞に伴う膿腎症では高熱が続くこともある。
(※引用:「尿路感染症」より)
・分娩直後:①子宮底長(11~12cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・分娩後12時間:①子宮底長(15cm)、②子宮底の高さ(臍高~臍上1~2横指少し右方に傾く)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・1~2日:①子宮底長(11~17cm)、②子宮底の高さ(臍下1~2横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・3日:①子宮底長(9~13cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・4日:①子宮底長(9~10cm)、②子宮底の高さ(臍と恥骨結合の中央:臍恥中央)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・5日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・6日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・7~9日:②子宮底の高さ(恥骨結合上わずかに触れる)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・10日以降~3週間:②子宮底の高さ(腹壁上より触知不能)、③悪露の色調・におい(黄色・無臭)
・4~6週間:③悪露の色調・におい(白色・無臭)
13 産後うつ病で正しいのはどれか。
1.再発は5%以下である。
2.一過性の気分の変調である。
3.産後6か月ころに発症しやすい。
4.抑うつ気分が2週以上持続する。
解答4
解説
マタニティーブルーズとは、分娩数日後から2週程度の間に多くの褥婦が経験し、原因は産後のホルモンの変動である。症状は、涙もろさ、抑うつ気分、不安、緊張、集中力の低下、焦燥感などの精神症状と、頭痛、疲労感、食欲不振などの身体症状がみられる。それらの症状が2週間以上持続する場合には産後うつ病を疑う。
産後うつ病とは、産褥婦の約3%にみられ、産褥1か月以内(特に2週間以内)に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。産後うつ病の患者への適切な対応が大切である。抑うつ状態の患者に対し、まずは患者の不安に寄り添い、共感的態度をとることが基本である。
1.× 再発は、「5%以下」ではなく約25%である。産後うつ病にかかったことのある場合は、約3~4人に1人の割合で再発する(※参考:「産後うつ病」MSDマニュアル家庭版HPより)。
2.× 一過性の気分の変調であるのは、マタニティーブルースである。産後うつ病では、抑うつ状態が2週間以上は持続する。ちなみに、一過性とは、医学で症状が短期間起こり、すぐ消える性質を意味する。また、一般に、すぐに現れて、またすぐに消えてしまうような性質を持つ。
3.× 「産後6か月」ではなく産褥1か月以内(特に2週間以内)に発症しやすい。
4.〇 正しい。抑うつ気分が2週以上持続する。産後うつ病は、典型的には抑うつ気分が2週間以上続くことが診断の基準の一つである。早期診断、早期治療は、母親と子どもにとって重要である。出産後2週間以上悲しみの感情が続いたり、日常的な活動をつらく感じている場合、もしくは自分や子どもを傷つけたいという思考がある場合は、主治医の診察を受ける必要がある。
14 34歳の初産婦。妊娠41週1日。妊婦健康診査のため妊娠16週から受診している助産所に来所した。身長152cm、体重56kg(非妊時体重46kg)。血圧122/88mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(±)。妊娠経過で特記すべきことはない。
このときの対応で最も適切なのはどれか。
1.医療機関へ入院を勧める。
2.過期産となることを説明する。
3.次回の受診を1週後にする。
4.連携する産婦人科医に相談する。
解答4
解説
・34歳の初産婦(妊娠41週1日)。
・妊婦健康診査:妊娠16週から受診している助産所に来所した。
・身長152cm、体重56kg(非妊時体重46kg)。血圧122/88mmHg。
・尿蛋白(±)、尿糖(±)。
・妊娠経過で特記すべきことはない。
→上記評価から、正常か異常所見か見極められるようにしよう。本症例の場合、「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」の「B.連携する産婦人科医師と相談の上,協働管理すべき対象者」における「4.異常妊娠経過が予測される妊婦、妊娠中に発症した異常」の「予定日を超過した場合(妊娠41週以降)」に該当する(※引用:「助産業務ガイドライン 2019」)※詳しくは下図参照。
1.× 医療機関へ入院を勧める必要はない。なぜなら、現時点で「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」の「C.産婦人科医師が管理すべき対象者」の該当項目はないため。
2.× 過期産となることを説明する必要はない。なぜなら、現時点(妊娠41週1日)では該当しないため。ちなみに、過期産とは、42週0日以後の分娩である。
3.× 次回の受診を1週後にする必要はない。なぜなら、現時点で、産婦人科医師との相談が必要であるため。
4.〇 正しい。連携する産婦人科医に相談する。本症例の場合、「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」の「B.連携する産婦人科医師と相談の上,協働管理すべき対象者」における「4.異常妊娠経過が予測される妊婦、妊娠中に発症した異常」の「予定日を超過した場合(妊娠41週以降)」に該当する(※引用:「助産業務ガイドライン 2019」)※詳しくは下図参照。
(※図引用:「Ⅲ.妊婦管理適応リスト」助産業務ガイドライン 2019より)
15 新生児の身体を構成する水分の割合について正しいのはどれか。
1.体重当たりの割合は成人より小さい。
2.成長に伴い細胞内の割合は小さくなる。
3.細胞内の割合より細胞外の割合が大きい。
4.早産児は正期産児より体重当たりの割合が小さい。
解答3
解説
1.× 体重当たりの割合は成人より「大きい」。体重当たりの割合は、成人が約60%に対して、新生児は約70~80%である。これは、胎内環境の影響が大きい。胎児は母体の羊水に囲まれており、生まれてくるまでその環境で育つ。このため、生まれたばかりの赤ちゃんは体内に多くの水分を保持している。
2.× 成長に伴い細胞内の割合は、「小さく」ではなく大きい。なぜ成長に伴い、細胞自体の大きさが大きくなったり、体細胞が増加するため。
3.〇 正しい。細胞内の割合より細胞外の割合が大きい。成人の体液は、60%のうちの40%が細胞内液で、細胞外液は20%である。一方、新生児の体液は、80%のうちの35%が細胞内液で、45%が細胞外液である。なぜなら、体の出入りの激しい水分の比率が高いため。細胞内液とは、細胞の中にある水分のことである。一方、細胞外液とは、血液など細胞の外にある水分のことである。
4.× 早産児は正期産児より体重当たりの割合が「小さい」ではなく大きい。なぜなら、早産児は、組織の発達段階(特に筋肉や脂肪組織)が未熟であるため。妊娠期間が進むにつれて脂肪組織や筋肉が増加し、それに伴い体内の水分割合は徐々に減少する。早産児はこれらの発達が未熟なことが多いため、相対的に水分の割合が高くなる。
過期産児とは:在胎42週以上に出生した児。
正期産児とは:在胎37週以降42週未満に出生した児。
早産児とは:在胎22週以降37週未満に出生した児。
超早産児とは:在胎28週未満に出生した児。