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31 卵管性不妊症の原因となるのはどれか。2つ選べ。
1.淋菌
2.カンジダ
3.ヘルペス
4.クラミジア
5.B群溶連菌
解答1・4
解説
不妊症とは、避妊せず性行為を続けているのにもかかわらず、約1年妊娠しないことである。原因はさまざまである。病気によって排卵のはたらきや、卵管・子宮・精巣など妊娠に関わる臓器が病気によって悪くなっていることなどが関係しているといわれている。時に原因が分からないこともある。
卵管性不妊とは、卵管が何らかの原因で詰まっていたりすると、精子と卵子が出会うことが出来ず、結果的に妊娠が不可能な状態のことをいう。原因としては、クラミジア感染や内膜症が多い。クラミジアに感染することなどで、卵管が炎症がおき、卵管内で癒着がおこることで卵管性不妊になる。
1.〇 正しい。淋菌は、卵管性不妊症の原因となる。なぜなら、淋菌は、子宮頸部から感染拡大し、卵管や卵巣、骨盤腹膜などに炎症を起こすため。特に卵管炎を放置すると、不妊症や子宮外妊娠の原因となる可能性がある。ちなみに、淋菌とは、淋菌感染症の原因菌で、性感染症のひとつである。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅する。したがって、性交や性交類似行為以外で感染することはまれである。女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、また、上行性に炎症が波及していくことがある。米国ではクラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっている。その他、咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる。淋菌感染症は何度も再感染することがある。
2.× カンジダ(腟カンジダ症)とは、カンジダと呼ばれる真菌に感染することで腟に炎症が起きた状態である。腟カンジダになると、かゆみやおりものの変化など、さまざまな症状が出る。症状は性行為をしている時に強くなるといわれており、腟や腟の入り口部分に出る症状として、①強いかゆみ、②赤くなる、③皮膚が熱っぽいなどがあげられる。また、おりものの変化として、①量が増える、②白色でおかゆやチーズ、ヨーグルトのような見た目になるなどがあげられる。
3.× ヘルペス(性器ヘルペス)とは、ヘルペスウィルスの感染により性器に水泡(水ぶくれ)、腫れ、痛み、かゆみなどの症状が起こる。初めての感染のときに症状が強く出て、全身倦怠感やリンパ節の腫れを起こす。発病後たいてい1~2週間で症状は治まる。性器ヘルペスウイルス感染症は、5類感染症の定点把握対象疾患である。
4.〇 正しい。クラミジア(クラミジア性器感染症)は、卵管性不妊症の原因となる。なぜなら、卵管に感染し、卵管炎を引き起こして卵管の閉塞や瘢痕形成を引き起こすため。クラミジア(クラミジア性器感染症)は、放置すると子宮頚部から腹腔内へと進展し、子宮付属器炎や骨盤内炎症性疾患も発症する。しかし、無症状である場合が多く、卵管障害や卵管性不妊症が判明して、はじめて診断されるケースもある。そういう意味で、女性のクラミジア感染症は、男性に比して症状が軽度である一方で、合併症や後遺症などが深刻な問題になる場合が多いといえる。一般的にクラミジアによる症状は非特異的で、帯下(おりもの)増量、不正出血、下腹痛、性交痛などである。主な合併症:①子宮頸管炎、②子宮付属器炎、③骨盤腹膜炎、④肝周囲炎、⑤咽頭感染などである。
5.× B群溶連菌とは、膣内に常在することのある細菌で、妊婦以外では、膀胱炎などの尿路感染症でもおこさない限り問題となることは少ない。ところが、出産時にこのB群レンサ球菌が膣内に存在すると、生まれる新生児に敗血症、髄膜炎、肺炎などの重症のB群レンサ球菌感染症を起こすことがありえることが知られている。この母から子への感染が問題とされている。B群連鎖球菌は、新生児における、敗血症や髄膜炎、肺炎の主要な原因菌の一つである。髄膜炎が死亡原因となることや、髄膜炎の後遺症として、聴力や視力が失われたり、運動や学習の障害などが残る場合もある。妊婦では、膀胱炎や子宮の感染症(羊膜炎、子宮内膜炎)、死産を起こすことがある。妊婦以外では、尿路感染症、敗血症、皮膚・軟部組織の感染症および肺炎を起こすことがあり、死亡例もある(※参考:「B群レンサ球菌(GBS)感染症について」横浜市HPより)。
32 子宮内膜症について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.経産婦では発症しない。
2.閉経後に発症しやすい。
3.発症リスクの1つに喫煙がある。
4.症状の1つに骨盤内疼痛がある。
5.治療法の1つに黄体ホルモン療法がある。
解答4・5
解説
子宮内膜症とは、子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、子宮の内側以外の部位に発生する病気である。腰痛や下腹痛、性交痛、排便痛などが出現する。経口避妊薬を内服することによりエストロゲンの総量が低く抑えられ、排卵を抑制し、子宮内膜症の症状を軽減し、子宮内膜症予防にもなる。なお、乳癌や子宮内膜癌などのエストロゲン依存性悪性腫瘍や子宮頸癌及びその疑いのある場合は腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがあるため禁忌となっている。
1~2.× 経産婦では発症しない/閉経後に発症しやすいと断言できない。むしろ、30歳代後半から40歳代の経産婦に多く見られる。原因は明らかとなっていないが、月経血が腹腔内に逆流する現象(90%の女性でみられる生理的な現象)が深く関わっていると考えられている。つまり、初経が早い、妊娠回数が少ない、月経周期が短いなどの理由で、月経の回数が増えると子宮内膜症の発生頻度が増加するという報告がある。
3.× 発症リスクの1つに「喫煙」はあげられない。なぜなら、原因は明らかとなっていないため。
4.〇 正しい。症状の1つに骨盤内疼痛がある。子宮内膜症の代表的な症状として、痛みと不妊を自覚することが多い。痛みの中でも月経痛は、子宮内膜症の患者さんの約90%にみられる。この他、月経時以外にも腰痛や下腹痛、排便痛、性交痛などがみられる。
5.〇 正しい。治療法の1つに黄体ホルモン療法がある。なぜなら、黄体ホルモンはエストロゲンの作用を抑える効果、すなわち内膜の増殖を抑制する作用があるため。エストロゲン依存性疾患の代表格として、乳がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症があげられる。エストロゲン依存性とは、『エストロゲンだけが高い状態だと進行してしまう病気』ということである。ちなみに、プロゲステロン(黄体ホルモン)は、妊娠初期は妊娠黄体から、妊娠8週以降は胎盤から分泌される。作用は、妊娠の維持(子宮筋の収縮抑制)、体温の上昇、乳腺の発育、妊娠中の乳汁分泌抑制である。厚くなった子宮内膜を、さらに受精卵が着床しやすい状態にする。
33 母乳生成に関与するホルモンで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.プロスタグランジンは乳腺を増殖させる。
2.プロゲステロンは乳腺を増殖させる。
3.エストロゲンは乳汁を生成する。
4.プロラクチンは乳汁を生成する。
5.オキシトシンは乳汁を生成する。
解答2・4
解説
1.× プロスタグランジンは、「乳腺を増殖」ではなく、主に炎症や血流の調整、子宮収縮などに関与するホルモンである。プロスタグランジンとは、子宮の内膜がはがれ落ちるときに増え、子宮を収縮させて、血液(経血)を押し出すはたらきがある。プロスタグランジンが過剰につくられると、子宮が激しく収縮するので、月経痛がひどくなる。ほかにも、細菌感染による急性炎症反応でプロスタグランジンが増加する。プロスタグランジンは、①血管拡張、②気管支平滑筋収縮、③急性炎症時の起炎物質で発痛作用がある。
2.〇 正しい。プロゲステロンは乳腺を増殖させる。ほかにも、プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。
3.× エストロゲンは、「乳汁を生成」ではなく、生殖器官を発育・維持(乳腺を増殖)する。エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
4.〇 正しい。プロラクチンは乳汁を生成する。プロラクチンとは、乳腺刺激ホルモンともいい、脳の下垂体から分泌され、妊娠すると高くなり乳腺を成長させ乳汁産生を行う。一般的に出産後など授乳期間中において、乳頭の刺激で高くなり乳汁を分泌する。
5.× オキシトシンは、「乳汁を生成」ではなく、乳汁射出(射乳反射)に関与する。オキシトシンとは、視床下部で合成され、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。
34 新生児において核黄疸の発症リスクを増加させる因子はどれか。2つ選べ。
1.低血糖
2.低酸素血症
3.高カルシウム血症
4.低ナトリウム血症
5.代謝性アルカローシス
解答1・2
解説
核黄疸とは、間接ビリルビンが新生児の主として大脳基底核等の中枢神経細胞に付着して黄染した状態をいい、神経細胞の代謝を阻害するため死に至る危険が大きく、救命されても不可逆的な脳損傷を受けるため治癒不能の脳性麻痺等の後遺症を残す疾患である。核黄疸のリスク因子として、未熟児、溶血、新生児仮死、代謝性アシドーシス、呼吸ひっ迫、低体温、低タンパク血症、低血糖、感染症、頭蓋内出血、薬剤などがある。
「急性期の臨床症状として、Ⅰ期(生後数日)には筋緊張低下、嗜眠、哺乳力減弱をきたし、Ⅱ期(生後数日~ 1 週間)には筋緊張亢進、後弓反張、発熱、甲高い泣き声、痙攣などを呈し、Ⅲ期(生後 1 ~ 2 週間以降)には筋緊張亢進は減弱ないし消退する。更に慢性期(生後 1 ~ 1 年半)の臨床症状としてアテトーゼ、上方凝視麻痺、難聴などの核黄疸後遺症が出現する。通常、Ⅰ期では可逆性のことも多いが、Ⅱ期に至ると不可逆性でありビリルビン毒性による脳障害が惹起されるものと考えられている。核黄疸の発症予防のためには、I 期症状の段階での適切な治療が必要である」(※引用:「核黄疸(ビリルビン脳症)の発症予知と予防」著:李 容桂様 )。
1.〇 正しい。低血糖は、新生児において核黄疸の発症リスクを増加させる因子である。なぜなら、低血糖は、脳・神経細胞の代謝が低下させるため。血糖値が低下するとカテコラミン(インスリン拮抗ホルモン)の分泌が上昇し、交感神経刺激症状が出現する。さらに血糖値が低下すると脳・神経細胞の代謝が低下し、中枢神経症状が出現する。頭痛や空腹感などの比較的軽度な症状から始まるが血糖値が低下し続けると昏睡に至る。低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。①自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。予防法として、飴や角砂糖などを携帯してもらう。
2.〇 正しい。低酸素血症は、新生児において核黄疸の発症リスクを増加させる因子である。なぜなら、低酸素状態では、脳の血液循環が不足していることが示唆され、ビリルビンが脳内に溜まりやすくなるため。
3.× 高カルシウム血症とは、血清総カルシウム濃度が10.4mg/dL(2.60mmol/L)を上回るか,または血清イオン化カルシウム濃度が5.2mg/dL(1.30mmol/L)を上回った状態である。症状は多尿、便秘、筋力低下、錯乱、昏睡がある。副甲状腺機能亢進症やがんの骨転移、ビタミンDの過剰投与などでみられる。
4.× 低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が非常に低い状態をいう。原因として、大量の水分摂取、腎不全、心不全、肝硬変、利尿薬の使用などでナトリウム濃度が低下する。血中のナトリウムの正常値は、136~147mEq/lであるが、125mEq/L以下となれば、低ナトリウム性脳症が生じる。血中のナトリウムが120~130mEq/Lで軽度の疲労感がみられ、120mEq/L以下では頭痛や嘔吐、食欲不振、精神症状が加わり、110mEq/Lまで低下すると昏睡や痙攣等が起きる。
5.× 代謝性アルカローシスとは、嘔吐などで起こる。嘔吐により胃液(酸性)が失われ、HCO3−が高値となるのが特徴である。
(総)ビリルビンとは、赤血球が壊れたときにできる黄色い色素のことである。総ビリルビンは、①間接ビリルビンと②直接ビリルビンをあわせていう。基準値:0.2〜1.2mg/dLである。肝細胞の障害により、直接ビリルビンが上昇する。急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、自己免疫性肝炎などがあげられる。腎臓からも排泄され、主に肝臓で代謝されるため、肝臓や胆嚢の状態を知るための重要な指標となる。一方、間接ビリルビンが上昇する代表的な疾患は溶血性貧血であり、溶血により多くの赤血球が壊れ、ビリルビンが肝臓の処理能力を超えて過剰に増加する。
35 非妊時と比較して妊娠中期に低下するのはどれか。2つ選べ。
1.耐糖能
2.肺活量
3.腎血流量
4.機能的残気量
5.糸球体濾過量〈GFR〉
解答1・4
解説
1.〇 正しい。耐糖能は、非妊時と比較して妊娠中期に低下する。妊娠中期には、プロゲステロンの影響でインスリン抵抗性が増加し、血糖値が上がりやすくなるため。これは妊娠糖尿病のリスクを増加させる。ちなみに、妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見、または発症した糖尿病まではいかない糖代謝異常のことである。糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す血糖値が上がった状態である。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。
2.× 肺活量は、妊娠中ほとんど変化しない。ちなみに、肺活量とは、[最大吸気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。
3.5.× 腎血流量/糸球体濾過量〈GFR〉は、増加する。なぜなら、妊娠による循環血液量や心拍出量の増加、末椎血管抵抗の低下が起こるため。ちなみに、循環血液量が最大になるのは、妊娠32週ころである。妊娠により母体では様々な生理的変化が出現する。中でも、循環器系変化は顕著である。循環血液量と心拍出量は妊娠の進行と伴に増加し、妊娠28~32週頃にはピークとなり、非妊娠時の約1.5倍の増加を示す。
4.〇 正しい。機能的残気量は、非妊時と比較して妊娠中期に低下する。なぜなら、妊娠に伴う子宮の拡大により横隔膜が上に押し上げられるため。ちなみに、機能的残気量とは、安静時呼気位の後に残っている空気量のことをいう。機能的残気量は、胸郭の弾性収縮力の障害が大きい疾患(肺線維症、胸郭変形、胸膜肥厚)で減少する。
(※図引用:「妊娠期の生理学的変化」)
心疾患合併の頻度は全分娩の1~3%である。妊娠により母体では様々な生理的変化が出現する。中でも、循環器系変化は顕著である。循環血液量と心拍出量は妊娠の進行と伴に増加し、妊娠28~32週頃にはピークとなり、非妊娠時の約1.5倍の増加を示す。正常妊娠ではこうした増加に対し、末梢血管抵抗が低下し、腎臓や子宮への血流量を増加させている。実際、腎血流量は非妊娠時に比べ30%増加し、子宮血流量は10倍になる。これらの循環変化は母体が順調に胎児を育んで行く上に必須のものであるが、心疾患を合併した妊婦ではしばしば負担となる。また、分娩中は子宮収縮により静脈環流量が増加し、第2期では努責による交感神経興奮により頻脈になり、心拍出量が増加する。したがって、分娩中は心疾患合併妊婦の症状が悪化する危険な時期といえる。分娩後(産褥早期)、子宮は急速に収縮し静脈環流量が増加するが、循環血液量は急には減少しないため、一過性に心負担は増加する。この心拍出量増加は、産後の利尿により循環血液量が減少するまで継続する。産褥期に一過性に浮腫が増悪することがあるが、こうした循環器系変化のためと考えられる。
(※一部引用:「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」(中井章人著,東京医学社)より)