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次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
41歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠41週3日、午前7時に前期破水し、午前10時に入院した。体温37.0℃。内診所見は、子宮口3cm開大、展退度50%、Station-2であった。
51 午後6時の内診所見は、子宮口9cm開大、展退度80〜90%、Station±0、小泉門が10時方向に触れた。羊水流出がみられ、混濁はない。陣痛間欠2分、陣痛発作60秒。陣痛発作時、産婦は顔をしかめている。胎児心拍数陣痛図は正常波形であった。
この時点の援助で適切なのはどれか。
1.禁食とする。
2.努責の練習をする。
3.分娩体位をとってもらう。
4.背部から腰部へのマッサージを行う。
解答4
解説
(※図引用:「助産師基礎教育テキスト:第 5 巻:2020 年版訂正ご案内」株式会社日本看護協会出版会様HPより)
・41歳の初産婦(妊娠経過:順調)。
・妊娠41週3日午前7時:前期破水(午前10時に入院)。
・午後6時:子宮口9cm開大、展退度80〜90%、Station±0、小泉門が10時方向に触れた。
・羊水流出がみられ、混濁はない。
・陣痛間欠2分、陣痛発作60秒。陣痛発作時、産婦は顔をしかめている。
・胎児心拍数陣痛図:正常波形。
→上記の評価から、正常範囲から逸脱しているものを見抜けるようにしよう。本症例の場合、Station±0、小泉門が10時方向に触れていることから、正常な下降回旋状態であるといえる。第2回旋がまだ完了していない状況であるため、その促進となるよう支援しよう。
1.× あえて、禁食とする必要はない。なぜなら、食事がとれるときに摂取すること(エネルギー摂取すること)で、出産もしくは帝王切開に控え、体力の獲得・温存につながるため。
2~3.× 努責の練習をする/分娩体位をとってもらうには時期尚早である。なぜなら、努責は、分娩第2期以降が望ましいため。児の娩出が促進する効果が期待できる。早いタイミングで努責(いきみ)を行うと産道に傷がついたり赤ちゃんの頭に無理がかかったりする。したがって、分娩第1期は呼吸法や肛門圧迫で努責(いきみ)を逃すように支援する。陣痛時にいきみを生じていることから体位を変えていきみを逃しつつお産が進むようにして経過を観察する。
4.〇 正しい。背部から腰部へのマッサージを行う。なぜなら、本症例は、陣痛発作時、産婦は顔をしかめているため。産痛が示唆される。背部や腰部へのマッサージは、産婦のリラクゼーションを助け、痛みの緩和に有効な支援方法である。ちなみに、産痛とは、出産時に子宮が収縮したり、産道が開いたりするなどによって生じる疼痛を総称したもので、下腹部痛や腰痛などの痛みを感じる。
【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。
・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。
・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。
・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。
次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
41歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠41週3日、午前7時に前期破水し、午前10時に入院した。体温37.0℃。内診所見は、子宮口3cm開大、展退度50%、Station-2であった。
52 分娩時の第4回旋で正しいのはどれか。
1.児の右肩甲が先進し、顔面は母体の左大側に向く。
2.児の左肩甲が先進し、顔面は母体の左大側に向く。
3.児の右肩甲が先進し、顔面は母体の右大側に向く。
4.児の左肩甲が先進し、顔面は母体の右大側に向く。
解答2
解説
(※図引用:「助産師基礎教育テキスト:第 5 巻:2020 年版訂正ご案内」株式会社日本看護協会出版会様HPより)
・41歳の初産婦(妊娠経過:順調)。
・妊娠41週3日午前7時:前期破水(午前10時に入院)。
・午後6時:子宮口9cm開大、展退度80〜90%、Station±0、小泉門が10時方向に触れた。
・羊水流出がみられ、混濁はない。
・陣痛間欠2分、陣痛発作60秒。陣痛発作時、産婦は顔をしかめている。
・胎児心拍数陣痛図:正常波形。
→本症例の場合、小泉門が10時方向に触れていることから、第2胎向(第2前方後頭位)であることが読み取れる。
【児頭の産道通過機転】
第1回旋(屈曲):児頭が骨盤入口部に進入する時、児頭は両耳結合線を軸とする横軸回旋をして強い前屈位をとる(後頭位)。この第1回旋により、先進部は小泉門となり、小斜径で産道に接するようになる。
第2回旋(内回旋):児頭は先進する小泉門が常に母体前方に向かうように、胎児長軸を軸とする縦軸回旋をしながら下降する(前方後頭位)。分娩所要時間のうち、この過程に最も時間を要する。
第3回旋(伸展):児頭後頭部が恥骨結合下を通過して、後部が恥骨下縁に接すると、そこを支点として頭部が反屈状に横軸回旋する。この運動によって、児頭は前頭、顔面、オトガイ部の順に会陰を滑って娩出される。第1回旋の逆の動きである。
第4回旋(外回旋):児頭娩出に引き続き、肩甲の下降が起こり、それに伴って児の顔面が母体大腿内側を向く縦軸回旋をする。第2回旋の逆の動きである。
第1・第3回旋:胎児の姿勢を変化させる回旋(胎勢回旋・横軸回旋)である。
第2・第4回旋:体幹の向きが移動する回旋(胎向回旋・縦軸回旋)である。
1.× 児の「右肩甲」ではなく左肩甲が先進し、顔面は母体の左大側に向く。
2.〇 正しい。児の左肩甲が先進し、顔面は母体の左大側に向くことは、本症例(第2前方後頭位)の分娩時の第4回旋である。
3.× 児の右肩甲が先進し、顔面は母体の右大側に向くことは、第1前方後頭位の分娩時の第4回旋である。
4.× 児の左肩甲が先進し、顔面は母体の「右大側」ではなく左大側に向く。
次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
Aさん(35歳、経産婦)。3200gの児を正常分娩にて出産した。夫と2歳の長女との4人暮らし。実母は徒歩5分のところに住んでおり、手助けが必要なときはいつでも訪問が可能である。
53 助産師は、保健センターから新生児訪問の委託を受けて、生後28日に訪問した。「赤ちゃんの体重が増えない気がします。1回の授乳に40分から1時間かかって私が疲れるのでミルクに切り替えたい」と相談された。児の体重増加量は30g/日であった。
母乳哺育について優先して観察すべきAさんに関する項目はどれか。
1.食事内容
2.水分摂取量
3.授乳時の姿勢
4.乳房のタイプ
解答3
解説
・Aさん(35歳、経産婦、3200gの児を正常分娩)。
・4人暮らし:夫と2歳の長女。
・実母は徒歩5分のところに住む(手助け可能)。
・助産師は、保健センターから新生児訪問の委託を受けて、生後28日に訪問。
・「赤ちゃんの体重が増えない気がします。1回の授乳に40分から1時間かかって私が疲れるのでミルクに切り替えたい」と。
・児の体重増加量:30g/日であった。
→本症例の不安や希望に対して、共感しつつ専門的に判断・助言・支援できるようにしよう。児の体重増加量は,
【新生児の生理的体重の変化】
正期産により出生した正常な新生児の生理的体重減少率は、出生体重の3~10%の範囲であり、生後3~5日がそのピークである。減少率とは、出生時体重からの減少の割合で、「(出生時の体重-現在の体重)÷ 出生時の体重 × 100」で算出される。
【正常乳児の一日体重増加量の目安】
・0~3か月:25~30g
・3~6か月:20~25g
・6~9か月:15~20g
・9~12か月:7~10g
1.× 食事内容/水分摂取量の優先度は低い。なぜなら、母乳哺育の疲労感の原因は、「食事内容/水分摂取量」ではなく、1回の授乳に40分から1時間かかっていることが考えられるため。また、食事内容/水分摂取量の確認が、児の体重が増えていない心配への解決とはなりにくい。
3.〇 正しい。授乳時の姿勢は、母乳哺育について優先して観察すべきAさんに関する項目である。なぜなら、授乳時の姿勢は、授乳がうまくいくかどうかに大きく影響するため。正しい姿勢でないと、赤ちゃんが効果的に母乳を吸うことができず、授乳時間が長くなり、母親も疲れてしまう。また、母親は、確実な摂取が行えているか不安となりやすい。したがって、効果的な吸着(ラッチオン)が行えるように支援する。児の下顎が乳房に埋もれこむようにすることで効果的な吸着(ラッチオン)が行えるようになる。①口が大きく開く、②唇が外向き、③下顎が乳房に触れている、④乳房の上方に比べ下方を深く含んでいるといった深い吸い方ができると乳頭亀裂などのトラブルが少なくなる。
4.× 乳房のタイプより優先されるものが他にある。なぜなら、乳房のタイプを聞くことは、繊細な問題で、助産師との関係性を壊しかねないため。また、本症例(経産婦)の場合、生後28日である。乳房のタイプは、授乳初期に授乳が困難になる要因となることがある。とはいえ、乳房のタイプを知ることで、授乳姿勢をさらに専門的に支援できる。まずは基本的な授乳時の姿勢を確認し、ほかに問題がないようであれば乳房のタイプを評価しよう。
(※図引用:「産褥婦さんの乳房のタイプ」看護師イラスト集HPより)
【乳房の形と抱きやすい姿勢】
Ⅰ型(a<b):縦抱き
Ⅱa型(a≒b):横抱き
Ⅱb型(a>b):フットボール抱き(脇抱き)
Ⅲ型(a>>b):添え乳(or脇抱き)
次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
Aさん(35歳、経産婦)。3200gの児を正常分娩にて出産した。夫と2歳の長女との4人暮らし。実母は徒歩5分のところに住んでおり、手助けが必要なときはいつでも訪問が可能である。
54 Aさんは「最近、長女が言うことを聞かない。いけないことだと分かっているが、授乳で疲れているときに反抗されると、イライラして長女を叩いてしまう」と話した。助産師はAさんの話をよく聴き、思いを受け止めた。
その後のAさんへの助言として適切なのはどれか。
1.「なぜ反抗するのかを長女に聞いてみましょう」
2.「叩きそうになったら大きく深呼吸しましょう」
3.「児童虐待再発防止プログラムに参加してみませんか」
4.「長女が言うことを聞かないときには厳しく叱りましょう」
解答2
解説
・Aさん(35歳、経産婦、3200gの児を正常分娩)。
・4人暮らし:夫と2歳の長女。
・実母は徒歩5分のところに住む(手助け可能)。
・Aさんは「最近、長女が言うことを聞かない。いけないことだと分かっているが、授乳で疲れているときに反抗されると、イライラして長女を叩いてしまう」と話した。
・助産師はAさんの話をよく聴き、思いを受け止めた。
→2歳の長女にも、「Aさんに注意を向けてほしい」「かまってほしい」など言いたいけど言えないで行動で表現しているとも考えられる。また、防衛機制の一つである「赤ちゃん返り(退行)」の症状がみられていると考えられる。赤ちゃんを家族として受け入れながら、情緒的な安定が保てるように配慮することが大切になる。退行とは、ある程度の発達を遂げた者が、より低い発達段階に「子供がえり」して、未熟な行動をすることをいう。
1/4.× 「なぜ反抗するのかを長女に聞いてみましょう」・「長女が言うことを聞かないときには厳しく叱りましょう」と伝える必要はない。なぜなら、長女は2歳であるため。言葉での表現や説明は困難であると考えられる。
2.〇 正しい。「叩きそうになったら大きく深呼吸しましょう」と伝える。なぜなら、怒りを感じ際の深呼吸は、呼吸リハビリテーションといい、冷静な行動をとりやすくなるため。アンガーマネジメントのひとつである。アンガーマネジメントとは、怒りの感情を整理してコントロールするスキルである。怒りの感情と上手に付き合うことで、人間関係を悪化させたり、自分を苦しめることを避けたりすることができる。6秒ルール、グラウンディング、呼吸リハビリテーションなどがあげられる。
3.× 「児童虐待再発防止プログラムに参加してみませんか」と伝える必要はない。なぜなら、虐待と判断するには時期尚早であり、慎重に決めなければならないため。ちなみに、児童虐待再発防止プログラムとは、主に、家族の再統合プログラムというものがあり、児童虐待やその他の理由で親子が分離した子どもと家族が再び一緒に生活することを目指す支援である。
児童虐待には4つの種類がある。①身体的虐待、②性的虐待、③保護の怠慢・拒否(ネグレクト)、④心理的虐待である。どの種類に当てはまるかということよりも、子どもに対する養育者の不適切な対応は虐待ととらえ早期に対応することが必要である。まずは、子ども(被害者を含む)の状況を速やかに把握し、安全の確保が最優先となる。
次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
Aさん(35歳、経産婦)。3200gの児を正常分娩にて出産した。夫と2歳の長女との4人暮らし。実母は徒歩5分のところに住んでおり、手助けが必要なときはいつでも訪問が可能である。
55 エジンバラ産後うつ病自己質問票で、Aさんの得点は10点であった。
対応として適切なのはどれか。
1.子育て広場を紹介する。
2.乳児院への入所を勧める。
3.夫婦で精神科を受診するよう勧める。
4.ファミリーサポートセンターを紹介する。
5.直ちに保健センターの母子担当の保健師に連絡をする。
解答5
解説
(※図引用:「エジンバラ産後うつ病自己評価票」株式会社杏林舎様HPより)
産後うつ病をスクリーニングするために使用する質問票のこと。10項目の質問で、対象者は過去7日間の気分を答える。日本におけるカットオフポイント(区分点)は9点で、EPDS9点以上で「うつの可能性が高い」と考える。ただし、9点以上がうつ病で、8点以下はうつ病ではないと判断するものではない。
エジンバラ産後うつ病自己質問票は,
Aさんの得点は10点であり、産後うつ病のリスクがある状態である。
1.× 子育て広場を紹介するより優先されるものが他にある。なぜなら、うつ状態では、社会的交流がさらに負担となり、症状が悪化する恐れがあるため。ちなみに、子育てひろば(地域子育て支援拠点)とは、0~3歳を中心とした乳幼児とその保護者が、一緒に遊んで過ごせる場所である。
2.× 乳児院への入所を勧めるより優先されるものが他にある。なぜなら、Aさんは、養育ができない状態と判断するには時期尚早であり、実母は徒歩5分のところに住んでおり、手助けが必要なときはいつでも訪問が可能であるため。ちなみに、乳児院とは、保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する児童福祉施設であり、児童養護施設が原則として1歳以上の児童を養育するのに対し、1歳未満の乳児を主に養育する。
3.× 夫婦で精神科を受診するよう勧めるより優先されるものが他にある。なぜなら、必ずしも夫婦一緒に受診する必要はないため。まずは、育児のほか、家事や身の回りの状態を評価し、必要であれば精神科に受診を検討する。
4.× ファミリーサポートセンターを紹介するより優先されるものが他にある。なぜなら、うつ状態では、社会的交流がさらに負担となり、症状が悪化する恐れがあるため。子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)は、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の保護者を会員として、児童の預かり等の援助を受けることを希望する者と援助を行うことを希望する者との相互援助活動である。
5.〇 正しい。直ちに保健センターの母子担当の保健師に連絡をする。なぜなら、Aさん(35歳、産後うつ病の疑い)で、2歳の長女に手を出してしまっているため。相談すべき相手が必要と考えられる。ちなみに、市町村保健センターとは、健康相談、保健指導、健康診査など、地域保健に関する事業を地域住民に行うための施設である。地域保健法に基づいて多くの市町村に設置されている。産前・産後の事業も行われている。
産後うつ病とは、産褥婦の約3%にみられ、産褥1か月以内(特に2週間以内)に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。産後うつ病の患者への適切な対応が大切である。抑うつ状態の患者に対し、まずは患者の不安に寄り添い、共感的態度をとることが基本である。
マタニティーブルーズとは、分娩数日後から2週程度の間に多くの褥婦(約30%)が経験し、原因は産後のホルモンの変動である。症状は、涙もろさ、抑うつ気分、不安、緊張、集中力の低下、焦燥感などの精神症状と、頭痛、疲労感、食欲不振などの身体症状がみられる。それらの症状が2週間以上持続する場合には産後うつ病を疑う。