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31 助産所業務ガイドラインで、嘱託医療機関に緊急に搬送すべき新生児の症状とされているのはどれか。2つ選べ。
1.直腸温38.1℃
2.出生時体重2400g
3.生後12時間排便がない。
4.生後18時間に黄疸を認める。
5.他症状のない生後6時間の心雑音
解答1・4
解説
(※引用:「助産業務ガイドライン 2014 P34」)
日本助産師会:助産師業務ガイドライン2009によると,
2.出生時体重2,300g未満である。
3.生後24時間以上胎便の出ない腹部膨満があるときである。
5.生後24時間以降にも心雑音が聴取される場合。
1.〇 正しい。直腸温38.1℃は、助産所業務ガイドラインで、嘱託医療機関に緊急に搬送すべき新生児の症状とされている(※上図参照:発熱)。
2.× 出生時体重は、「2400g」ではなく2300g未満である(※下図参照)。
3.× 生後「12時間」ではなく24時間以上排便がない(※上図参照:腹部膨満)。
4.〇 正しい。生後18時間に黄疸を認める。これは、「生後24時間以内の黄疸」に当てはまる(※上図参照:黄疸)。
5.× 他症状のない「生後6時間」ではなく生後24時間の心雑音である。生後24時間以内の心雑音では動脈管開存の場合があるが,全身チアノーゼや多呼吸を伴う場合は搬送する。生後24時間以降に心雑音を聴取する場合は,医師に相談する。チアノーゼの目安はSpO2 90%以下である。SpO2 91~95%は注意深くモニタリング継続する(※引用:「助産業務ガイドライン 2014 P32」)。
(※図引用:「Ⅳ.正常分娩急変時のガイドライン」助産業務ガイドラインより)
32 第1前方後頭位の分娩経過でStation+3のときの所見について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.矢状縫合は左斜径に一致する。
2.小泉門は10時方向に触れる。
3.恥骨結合後面3分の2を触知できる。
4.児頭の最大周囲径は骨盤峡部にある。
5.Hodge〈ホッジ〉骨盤平行平面区分法では第4平行平面である。
解答4・5
解説
(※図引用:「助産師基礎教育テキスト:第 5 巻:2020 年版訂正ご案内」株式会社日本看護協会出版会様HPより)
第1頭位とは、胎児の背中が母体の左手側にあることをいう。つまり第1頭位の場合、入口部における小泉門は母体の左方にある。
第2頭位とは、胎児の背中が母体の右手側にあることをいう。
不正軸進入とは、胎児の頭が背骨に対して左右どちらかへ傾いた状態で骨盤の中に入り込んでしまい、恥骨や仙骨が邪魔になって分娩が停止してしまう状態である。
1.× 矢状縫合は、「左斜径」ではなくほぼ縦径に一致する。ちなみに、矢状縫合が左斜径といえるのは、第1前方後頭位の分娩経過でStation±0のときである。
2.× 小泉門は、「10時方向」ではなく1時方向に触れる。ちなみに、小泉門が10時方向といえるのは、第2前方後頭位の分娩経過でStation±0のときである。
3.× 恥骨結合後面3分の2を触知できるのは、第1前方後頭位の分娩経過でStation-3のときである。第1前方後頭位の分娩経過でStation+3のときは、恥骨結合後面は、下縁のみ触知できる。
4~5.〇 正しい。児頭の最大周囲径は骨盤峡部にある。Hodge〈ホッジ〉骨盤平行平面区分法では第4平行平面である。
これらは、第1前方後頭位の分娩経過でStation+3のときの所見である。
ホッジの平行平面とは、骨盤入口平面に平行な4つの平面を想定して区分する方法である。主にX線写真にて評価する。CP(chief plane:主要面)という表現を用いる。
CPⅠ : 第Ⅰ平行平面(岬角ー恥骨結合上縁)(骨盤入口平面)
CPⅡ : 第Ⅱ平行平面(恥骨結合下縁で入口平面に平行)
CPⅢ : 第Ⅲ平行平面(坐骨棘で入口平面に平行)
CPⅣ : 第Ⅳ平行平面(仙骨先端で入口平面に平行)
33 2010年版の「日本人の食事摂取基準」で授乳婦に付加量が設定されている栄養素はどれか。2つ選べ。
1.カルシウム
2.ビタミンA
3.ビタミンK
4.食物繊維
5.鉄
解答2・5
解説
(図引用:「《参考資料1》対象特性 1 妊婦・授乳婦」厚生労働省HPより)
1.× カルシウムは、授乳婦の付加量はない。カルシウムとは、骨や歯を形成するミネラルで、身体の機能の維持・調節に不可欠な栄養素である。カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなり、骨の発育障害や成長不良を引き起こす可能性がある。主に血液検査で測定する。
2.〇 正しい。ビタミンAの推奨量は、+450ugRE/日である。授乳中にビタミンAを摂取する理由は、母乳に十分なビタミンAが含まれているためである。授乳によって母親が欠乏症にかかることはほとんどないこと、また、乳児の免疫力を高める効果が期待できる。ちなみに、ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める役割があり、暗いところでの視力を保つ働きがある。ビタミンA欠乏は、眼球乾燥症・夜盲症を生じる。夜盲症とは、暗いところではたらく網膜の細胞に異常があり暗順応が障害されて、暗いところや夜に見えにくくなる病気である。
3.× ビタミンKは、授乳婦の付加量はない。ビタミンKとは、血液凝固のほかに骨形成(骨をつくる骨芽細胞の働き)を促進する作用と骨吸収(骨を壊す破骨細胞の働き)を抑制する作用がある。骨粗鬆症における骨量(骨の材料であるカルシウムとリンの量)の減少を抑えたり痛みを和らげる効果がある。
4.× 食物繊維は、授乳婦の付加量はない。食物繊維とは、人の消化酵素によって消化されにくい(胃腸に負担をかける)ため。ただし、カロリーも少なく、肥満防止となる食物繊維の働きは、高血圧、高脂血症、糖尿病の食事療法に効果がある。
5.〇 正しい。鉄の推奨量は、+2.5mg/日である。授乳中に鉄分を摂取する理由は、母体から鉄が優先して母乳に移行し赤ちゃんに届けられるため。したがって、授乳中の母体は特に鉄が不足しやすい。
(※引用:「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」厚生労働省様HPより)
34 子宮筋腫合併妊婦。妊娠34週で、子宮底部の筋層内筋腫は直径8cmであり、胎盤付着位置は筋腫の直上である。
特に注意すべき産科合併症はどれか。2つ選べ。
1.常位胎盤早期剝離
2.児頭骨盤不均衡
3.分娩後出血
4.過強陣痛
5.頸管裂傷
解答1・3
解説
・子宮筋腫合併妊婦(妊娠34週)。
・子宮底部の筋層内筋腫:直径8cm、胎盤付着位置は筋腫の直上。
→子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患である。子宮筋腫は切迫流産・早産、前期破水、胎盤の位置異常、妊娠高血圧症候群などのリスクとなる。分娩時または産後に、次回の妊娠を希望する場合や妊娠中の合併症を増加させないために、子宮筋腫核出術を行う場合もある。
1.〇 正しい。常位胎盤早期剝離は、特に注意すべき産科合併症である。常位胎盤早期剝離とは、子宮壁の正常な位置に付着している胎盤が、胎児娩出以前に子宮壁より剥離することをいう。剥離出血のため、性器出血や激しい腹痛、子宮内圧の上昇、子宮壁の硬化が起こり、ショック状態を起こすことがある。胎盤が早い時期に剥がれると、在胎週数の割に成長しなかったり、死亡することさえある。また、低酸素のために急速に胎児機能不全に陥る。
2.× 児頭骨盤不均衡とは、胎児の頭が母体の骨盤に比べて大きかったり、母体の骨盤の形に問題があったりして、胎児がスムーズに骨盤を通過できず分娩の進行が停止する場合を指す。全分娩の約4~6%にみられる。
3.〇 正しい。分娩後出血は、特に注意すべき産科合併症である。分娩後出血とは、1000mLを超える失血または分娩24時間以内の循環血液量減少の症状または徴候を伴う失血である。
4.× 過強陣痛とは、子宮口が十分に開いていないのに分娩直前の陣痛が過剰に強く起きる事をさす。子宮の収縮が非常に強く長く続くのが特徴で、定義として、子宮口7cmの過強陣痛(外側法)は、2分以上の陣痛持続時間の場合をいう。
5.× 頸管裂傷とは、子宮頸管に裂けてできた傷が起こることであり、急速に分娩が進行することや吸引分娩などの処置、巨大児などが原因となる。頸管裂傷になると持続的な出血(鮮紅色の出血)が起こる。主に分娩の際に生じる可能性があり、大量出血など生命の危険にまでつながるリスクがある。
妊娠高血圧症候群とは、妊娠時に高血圧(血圧140/90mmHg以上)を発症した場合をいう。妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合を高血圧合併妊娠という。妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類される。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。常位胎盤早期剥離の原因には、妊娠高血圧症候群(合併率 25~50%)、子宮内感染、子宮内圧の急激な変化などが挙げられる。
35 セルフヘルプグループ活動はどれか。2つ選べ。
1.死産を経験した母親の会
2.助産所が主催する両親学級
3.21トリソミーの児をもつ親の会
4.高齢初産婦を対象とした出産準備教室
5.助産師によるベビーマッサージの講習会
解答1・3
解説
自助グループ(セルフヘルプグループ、当事者グループ)に、同じ問題や悩みを抱える者同士が集まり、自分の苦しみを訴えたり、仲間の体験談を聞いたりすることで問題を乗り越える力を養っていくものである。同じ悩みをかかえる人々がコミュニティをつくって交流するもので、例えば、青年期のひきこもり状態にある者の支援として、同じような健康課題への対処能力を高めるために活動するグループをつくることが有効である。
1.3.〇 正しい。死産を経験した「母親の会」/21トリソミーの児をもつ「親の会」は、セルフヘルプグループ活動である。親の会とは、普段悩んでいる悩みを話して、他のお母さんがアドバイスしたり共感したりする、いわゆる座談会のようなものである。
2.× 助産所が主催する「両親学級」/高齢初産婦を対象とした「出産準備教室」/助産師によるベビーマッサージの「講習会」は、セルフヘルプグループ活動に該当しない。なぜなら、出産準備教室/母親教室/講習会は、体系的で専門的な指導が受けられる一方で、一方的な知識の提供になりやすいため。