この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
11 Traube〈トラウベ〉聴診器とその聴診法との写真を下に示す。写真の右下が妊婦の頭側である。
聴診法で正しいのはどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
解答2
解説
3. 作動原理
本品は、胎児心音を聴くために用いる機械式の聴取装置である。本品のトランペット側を聴診部に当て、中空管を経て伝達・拡大した胎児心音をベル側で聴診する。
【使用目的又は効果】
本品は、胎児の心音を聴くために用いる機械式の聴取装置である。本品はトランペット型中空管からなり、胎児心音は中空管の気道を経て伝達される。
【使用方法等】
本品のトランペット側を聴診部に、ベル側を耳にそれぞれ当て、胎児心音を聴診する。
(※引用:「Traube〈トラウベ〉聴診器」アトムメディカル株式会社様HPより)
1.× ①は、トラウベ聴診器に触れているため、正確な胎児心音を聴診できない。
2.〇 正しい。②は、トラウベ聴診器を用いて、正確な胎児心音を聴診する方法である。
3.× ③は、(1)トランペット側を耳に当てている、(2)トラウベ聴診器に触れているため、正確な胎児心音を聴診できない。
4.× ④は、トランペット側を耳に当てているため、正確な胎児心音を聴診できない。
12 妊娠中の運動の説明で適切なのはどれか。
1.「妊娠16週以降は、仰向けで実施できる運動をしましょう」
2.「運動するときは、1分間に140回くらいの脈拍が目安です」
3.「妊娠高血圧症候群の予防としてウォーキングをしましょう」
4.「適度な運動をしておけば、お産が長引くことはありません」
解答2
解説
(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P99-100」公益社団法人 日本産科婦人科学会より)
1.× 妊娠16週以降、仰向けで実施できる運動を指導する必要はない。むしろ、仰臥位での運動は避けたほうが良い。なぜなら、大きくなった子宮が下大静脈を圧迫し、母体の血流が低下するため。したがって、仰臥位低血圧症候群を引き起こす可能性がある。ちなみに、仰臥位低血圧症候群とは、妊娠末期の妊婦が仰臥位になった際、子宮が脊柱の右側を上行する下大静脈を圧迫することにより右心房への静脈還流量が減少、心拍出量が減少し低血圧となることである。左側臥位をとることで圧迫が解消され、症状が改善する。
2.〇 正しい。「運動するときは、1分間に140回くらいの脈拍が目安です」と説明する。「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P100」において、「妊娠中に行う有酸素運動についても、非妊時と同様に過度とならないことが重要である。TaIk test(運動中に負担を感じることなく会話ができる状態を保つ)は、日常的に簡便に用いることができる指標である。なお、カナダのガイドラインでは、妊娠中の適切な心拍数の範囲として、①20歳未満:140~155 回/分、②20~29歳:135~150回/分、③30~39歳:130~145回/分、④40歳以上:125~140回/分を推奨しているので、あわせて参照する」と記載されている。
3.× 「妊娠高血圧症候群の予防としてウォーキングをしましょう」と伝えるより優先されるものが他にある。なぜなら、妊娠中の運動が妊娠高血圧症候群の予防となる明確な根拠が乏しいため。「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 P100」において、「3ー2.妊娠中の運動には妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、Dystociaなどの予防的効果があるとの報告があるが、対象とする集団やまた具体的な運動の種類や強度については、一定の見解がなく、効果についてもいまのところ十分なエビデンスはないとの意見もある」と記載されている。
4.× 「適度な運動をしておけば、お産が長引くことはありません」と伝える必要はない。なぜなら、分娩時間は個々の妊婦によって異なる多くの要因に影響されるため。運動だけで分娩時間をコントロールできるとは限らないため、「ありません」と断定したり約束すべきではない。
13 帝王切開既往妊婦が経腟分娩する際の管理で正しいのはどれか。
1.陣痛発来した時点で帝王切開の術前検査を行う。
2.微弱陣痛ではプロスタグランディン製剤を用いる。
3.分娩第2期遷延でも吸引分娩は行わない。
4.分娩後1時間は頻回に母体の血圧測定を行う。
解答4
解説
(※引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P199」)
1.× 「陣痛発来した時点」ではなく妊娠34週頃に、帝王切開の術前検査を行う。なぜなら、陣痛発来した時点で、帝王切開の術前検査を行うと、急変があった場合、対応しきれないため。ちなみに、検査内容には、採血、レントゲン、心電図、下肢エコーなどがある。
2.× 微弱陣痛では、プロスタグランディン製剤を用いない(※上の図:3.参照)。なぜなら、プロスタグランディンは子宮収縮を強く促すため、子宮破裂のリスクが増加する可能性があるため。代わりに、オキシトシンを慎重に使用することがある。ちなみに、微弱陣痛とは、一旦分娩開始した(陣痛の間隔が10分以内ごとであり 、痛みを伴う子宮収縮により分娩が進行)にも関わらず、陣痛の強さが弱く、発作の持続が短く、かつ陣痛の間隔が長くなってしまい、分娩が進行しない状態をいう。子宮口の開き具合により、6分30秒以上(子宮口の開き:4~6cm)、6分以上(子宮口の開き:7~8cm)、4分以上(子宮口の開き:9~10cm)が陣痛周期の目安とされている。子宮口が完全に開いてから(分娩第2期)は、初産婦では4分以上、経産婦では3分30秒以上が微弱陣痛の目安となる。
3.× 必ずしも、分娩第2期遷延でも吸引分娩は行わないとはいえない(下の図:9.参照)。吸引・鉗子娩出術によっても児を娩出できない場合の緊急帝王切開は、可及的速やかに実施する。ちなみに、第2期遷延とは、子宮口全開大後に標準の第2期所要時間(初産婦では2時間,経産婦では1時間)を超えて、分娩に至らない状態を指す。分娩第2期の遷延や吸引分娩などは、膀胱や尿道に対する圧迫や損傷のリスクを高め、尿閉を引き起こす可能性がある。
4.〇 正しい。分娩後1時間は頻回に母体の血圧測定を行う(※上の図:5.参照)。なぜなら、子宮破裂に留意する必要があるため。子宮破裂とは、子宮が自然に裂けて開くことであり、強い腹痛が続き、胎児の心拍数が異常に下がる。帝王切開の既往がある女性で治癒した瘢痕線に沿って起こることが多い。他に多胎妊娠や羊水過多なども原因となることがある。
(※図引用:「産婦人科診療ガイドライン産科編2020 P206」)
プロスタグランディンとは、子宮の内膜がはがれ落ちるときに増え、子宮を収縮させて、血液(経血)を押し出すはたらきがある。プロスタグランジンが過剰につくられると、子宮が激しく収縮するので、月経痛がひどくなる。また、一般的に、プロスタグランジンとは、細菌感染による急性炎症反応で増加する。プロスタグランジンは、①血管拡張、②気管支平滑筋収縮、③急性炎症時の起炎物質で発痛作用がある。
14 30歳の初産婦。身長158cm、体重68kg。推定児体重3800g。第1頭位。陣痛間欠2分、発作50秒で、肛門圧迫感が強く努責がかかっている。内診所見は、子宮口8cm開大、展退度80%、Station±0、小泉門が5時方向に触れる。
このときにとる体位として最も適切なのはどれか。
1.坐位
2.蹲踞位
3.左側臥位
4.四つん這い
解答4
解説
・30歳の初産婦(身長158cm、体重68kg)。
・推定児体重3800g。第1頭位(陣痛間欠2分、発作50秒)。
・肛門圧迫感が強く努責がかかっている。
・子宮口8cm開大、展退度80%、Station±0、小泉門が5時方向に触れる。
→本症例は、回旋異常が疑われる。なぜなら、Station±0において、小泉門を5時方向に触れているため。Station±0より高い位置の場合、右側臥位または四つん違いを試みるのが望ましい。
→第1頭位とは、胎児の背中が母体の左手側にあることをいう。つまり第1頭位の場合、入口部における小泉門は母体の左方にある。
→第2頭位とは、胎児の背中が母体の右手側にあることをいう。
(※図引用:「助産師基礎教育テキスト:第 5 巻:2020 年版訂正ご案内」株式会社日本看護協会出版会様HPより)
1.× 坐位(半坐位)の【利点】①分娩第2期が短縮できる、②新生児との対面がしやすい、③子宮胎盤循環が良好に保たれる、④娩出力が有効、⑤会陰裂傷予防があげられる。【欠点】①背中の支えが必要、②母体血圧が上昇しやすい、③墜落分娩、④外陰部の浮腫が生じやすい、⑤脱肛を生じやすい。
2.× 蹲踞位の【利点】①娩出力が有効、②腹部内圧の増加により、胎児と骨盤誘導線が一致し、娩出しやすい。③胎児の下降と回旋を促す。【欠点】①足の疲労、②墜落分娩、③母体血圧が上昇しやすい、④会陰裂傷の危険性の増加、⑤脱肛・子宮脱を生じやすい。
3.× 「左」ではなく右側臥位をとることも推奨される。なぜなら、本症例は、第1頭位であるため。側臥位の【利点】①会陰裂傷の防止、②産婦が休息しやすい、③後方後頭位の回転に有効、④子宮胎盤血流量の減少が少ない。【欠点】①娩出力の低下、②産婦の表情がわかりづらい、③分娩時に足を保持する者が必要、④胎児心音が聴取しづらい。
4.〇 正しい。四つん這いをとることが最も推奨される。四つんばいの主な特徴として、①産道裂傷をきたしにくい、②腰痛緩和、③介助者が産婦と顔を合わせられないことである。四つん這いの【利点】①陣痛の緩和、②骨盤・下半身の動かせる(腹圧の調整が可能)、③子宮による大動脈の圧迫がない、④児を股間から腹部に抱くことができるため、早期母子接触を行いやすい。⑤回旋異常が戻りやすい。【欠点】①小陰唇の裂傷が生じやすい。②産婦と介助者の顔が反対であるため、互いの顔がみえない。③胎児心音が聴取しにくい。④下肢のしびれが生じやすい。
(※参考:「フリースタイル出産」看護roo!様HPより)
第1回旋(屈曲):児頭が骨盤入口部に進入する時、児頭は両耳結合線を軸とする横軸回旋をして強い前屈位をとる(後頭位)。この第1回旋により、先進部は小泉門となり、小斜径で産道に接するようになる。
第2回旋(内回旋):児頭は先進する小泉門が常に母体前方に向かうように、胎児長軸を軸とする縦軸回旋をしながら下降する(前方後頭位)。分娩所要時間のうち、この過程に最も時間を要する。
第3回旋(伸展):児頭後頭部が恥骨結合下を通過して、後部が恥骨下縁に接すると、そこを支点として頭部が反屈状に横軸回旋する。この運動によって、児頭は前頭、顔面、オトガイ部の順に会陰を滑って娩出される。第1回旋の逆の動きである。
第4回旋(外回旋):児頭娩出に引き続き、肩甲の下降が起こり、それに伴って児の顔面が母体大腿内側を向く縦軸回旋をする。第2回旋の逆の動きである。
第1・第3回旋:胎児の姿勢を変化させる回旋(胎勢回旋・横軸回旋)である。
第2・第4回旋:体幹の向きが移動する回旋(胎向回旋・縦軸回旋)である。
15 在胎38週で出生した児。出生体重2600g、身長48cm。分娩時に羊水混濁を認めた。出生直後、体温37.1℃、心拍120/分、呼吸数52/分。中心性チアノーゼはなく、活気があって筋緊張は良好である。
アセスメントで正しいのはどれか。
1.このまま経過観察する。
2.酸素投与が必要である。
3.口内吸引が必要である。
4.保育器への収容が必要である。
解答1
解説
・在胎38週で出生(出生体重2600g、身長48cm)。
・分娩時:羊水混濁を認めた。
・出生直後:体温37.1℃、心拍120/分、呼吸数52/分。
・中心性チアノーゼはなく、活気があって筋緊張は良好である。
→上記評価の正常範囲は、しっかり把握しておこう。ちなみに、低出生体重児とは、2500g未満児のこと。1500g未満を「極低出生体重児」、1000g未満を「超低出生体重児」と呼ぶ。低体温、低血糖、貧血、黄疸(高ビリルビン血症)などが起こりやすく、感染への抵抗力も弱いため、外的ストレスをできる限り減らす。ポジショニングは、体内にいるときに近い姿勢を保つ。子宮内環境に近づける。
1.〇 正しい。このまま経過観察する。なぜなら、出生直後の状態は正常範囲内で、比較的安定しているため。
2.× 酸素投与は不要である。なぜなら、NCPRのアルゴリズムにおいて、出生直後のチェックポイント(早産児、弱い呼吸、啼泣、筋緊張低下)のいずれも該当しないため。
3.× 口内吸引は不要である。なぜなら、本児の呼吸数は52/分、中心性チアノーゼはないため。羊水混濁とは、胎児が子宮内で大腸から老廃物(胎便)を排出することで羊水が濁っている状態を指す。羊水混濁の原因として、胎児のストレスや胎便吸引症候群を示唆することがある。ちなみに、胎便吸引症候群とは、出生前または周産期に肺に胎便(暗緑色の、無菌の便)を吸い込んだ新生児にチアノーゼや呼吸困難(呼吸窮迫)がみられることである。酸素不足などのストレスによって反射的にあえぎ、胎便を含む羊水を肺に吸い込んでしまうことなどで起こる。
4.× 保育器への収容は不要である。なぜなら、出生直後の状態は正常範囲内で、比較的安定しているため。ちなみに、閉鎖式保育器とは、未熟性の高い出生直後の新生児・未熟児を収容する医療機器である。
(※図引用:「JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版‐第4章 新生児の蘇生(NCPR)」一般社団法人 日本蘇生協議会より)