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81 短期記憶と関係が深いのはどれか。
1.橋
2.海馬
3.脊髄
4.松果体
5.視床下部
解答2
解説
1.× 橋とは、中脳と延髄に挟まれた、脳幹の一部である。運動に関する情報を大脳から小脳に伝える役割をもつ。
2.〇 正しい。海馬は、短期記憶と関係が深い。Papez回路(パペッツ回)は、大脳辺縁系にある常同と記憶に関与するサークル上の連絡路である。「海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回→海馬傍回→海馬・・・」というサークルをたどる。
3.× 脊髄とは、脳から延長した円柱状の神経の束で、中枢神経の一部で、脳からの司令で手足を動かしたり、痛みやしびれといった感覚を脳に伝える重要な回路である。
4.× 松果体とは、大脳半球の間に位置し、メラトニン(概日リズム調整ホルモン)の分泌、性腺刺激ホルモンの分泌抑制に関与する。
5.× 視床下部とは、間脳に位置し、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。つまり、視床下部は自律神経の最高中枢である。
82 市町村による大腸がん検診の項目はどれか。2つ選べ。
1.問診
2.直腸診
3.血液検査
4.便潜血検査
5.腹部エックス線検査
解答1・4
解説
がん検診とは、がんの症状がない人々において、存在が知られていないがんを見つけようとする医学的検査である。がん検診は健康な人々に対して行うものである。
(※引用:「市町村のがん検診について」厚生労働省様HPより)
1.4.〇 正しい。問診/便潜血検査は、市町村による大腸がん検診の項目である。便潜血検査とは、便に含まれる微量の血液(ヒトヘモグロビン)の有無を調べる検査である。消化管からの目に見えない出血を見つけることができ、特に大腸がんのスクリーニング検査に有効である。
2.× 直腸診とは、直腸を診察する方法で、痔核や直腸がん、ポリープ、前立腺肥大などの診断に有効な方法である。診断方法は極めて簡単で、肛門に指を挿入して指診する。
3.× 血液検査とは、体内の情報を調べるために、採血した血液中の成分を測定する検査である。血液には全身の健康状態が反映されているため、血液検査を行うことで全身の状態を把握し、病気の早期発見や早期治療に役立てることができる。
5.× 腹部エックス線検査とは、腹腔内に異常がないか調べるための基本的な検査である。腹部臓器の状態、腸閉塞や腸管穿孔、異常なガスや腹水、結石の有無などがわかる。
健康増進法は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本の法律である。都道府県と市町村は、地域の実情に応じた健康づくりの促進のため、都道府県健康増進計画(義務)および市町村健康増進計画(努力義務)を策定する。平成14(2002)年に制定された。
【市町村が行う健康増進事業】
①健康手帳、②健康教育、③健康相談、④訪問指導、⑤総合的な保健推進事業、⑥歯周疾患検診、⑦骨粗鬆症検診、⑧肝炎ウイルス検診、⑨がん検診、⑩健康検査、⑪保健指導などである。
【都道府県の役割】
都道府県は、都道府県健康増進計画において、管内市町村が実施する健康増進事業に対する支援を行うことを明記する。都道府県保健所は、市町村が地域特性等を踏まえて健康増進事業を円滑かつ効果的に実施できるよう、必要な助言、技術的支援、連絡調整及び健康指標その他の保健医療情報の収集及び提供を行い、必要に応じ健康増進事業についての評価を行うことが望ましい。都道府県は、保健・医療・福祉の連携を図るとともに、市町村による健康増進事業と医療保険者による保健事業との効果的な連携を図るために、地域・職域連携推進協議会を活性化していくことが望ましい。
83 開心術後の心タンポナーデで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.徐脈
2.心音減弱
3.心拍出量の増加
4.中心静脈圧の上昇
5.吸気時収縮期圧の10mmHg上昇
解答2・4
解説
心タンポナーデとは、心臓を包んでいる2層の膜(心膜)の間に体液などの血液が貯留し、心臓が圧迫される。その結果、血液を送り出す心臓のポンプ機能が阻害され、 典型的にはふらつきや息切れを感じ、失神することもある。他にも、心音減弱および頸静脈怒張がみられる。心膜腔に大量の血液が貯留し、著明な心室拡張障害から静脈還流障害が生じ、血圧低下およびショック状態に至る病態である。開心術後の合併症として生じ得る。
1.× 「徐脈」ではなく頻脈となる。なぜなら、心タンポナーデでは、心臓が圧迫され、1回心拍出量が減少するため。心拍出量を維持しようとする生体の反応によって頻脈になる。
2.〇 正しい。心音減弱は、開心術後の心タンポナーデである。なぜなら、心臓を包んでいる2層の膜(心膜)の間に体液などの血液が貯留するため。
3.× 心拍出量は、「増加」ではなく減少する。なぜなら、心タンポナーデでは、心臓が圧迫され、1回心拍出量が減少するため。したがって、血圧も低下し、放置すればショックに至る。
4.〇 正しい。中心静脈圧の上昇は、開心術後の心タンポナーデである。なぜなら、静脈還流が障害されているため。ちなみに、中心静脈圧とは、心臓の右心房近くの大静脈の血圧のことをいう。中心静脈圧が上昇している場合、循環血液量が上回る状態、静脈うっ血の右心不全状態、心タンポナーデ等の心拡張障害が疑われる。反対に中心静脈圧が低下している場合、循環血液量が減少している状態(大量出血、脱水、熱傷など)が疑われる。
5.× 吸気時収縮期圧の10mmHg「上昇」ではなく下降する。この現象を、奇脈という。この原因として、心膜液が貯留しているために吸気時に右室への血液灌流量が増加し、拡張した右室が左室の拡張を制限することや、肺血管床が拡大して肺から左房への灌流量が減少するためである。
84 Sjögren〈シェーグレン〉症候群でリンパ球が浸潤して障害が起こるのはどれか。2つ選べ。
1.胸腺
2.涙腺
3.甲状腺
4.唾液腺
5.副甲状腺
解答2・4
解説
Sjögren症候群(シューグレン症候群)は、涙腺・唾液腺などの外分泌腺炎を特徴とする自己免疫疾患である。男女比(1:9)で女性に多い(特に、40歳代の中年女性)。唾液腺・涙腺の慢性炎症が生じる膠原病で、乾性角結膜炎(ドライアイ)、口腔乾燥(ドライマウス)を主症状とする。皮膚症状は環状紅斑など多彩であるが、全身の紅斑・水庖は生じない。これらの乾燥症状に対し、人工涙液点眼や水分摂取といった対症療法を行う。
1.× 胸腺とは、胸骨裏面の前縦隔に位置する免疫担当臓器で、Tリンパ球が成熟する場所である。10~12歳頃に最も大きくなり、その後は加齢とともに小さくなる。
2.4.〇 正しい。涙腺/唾液腺は、シェーグレン症候群でリンパ球が浸潤して障害が起こる。リンパ球浸潤による腺組織の障害が腺分泌能の低下、眼と口腔内の乾燥症を来す。
3.× 甲状腺とは、のどぼとけの下にある蝶ような形をした臓器で、甲状腺ホルモン(T3およびT4)とカルシトニンを分泌している。甲状腺ホルモンは、カラダ全体の新陳代謝を促進する働きがある。カルシトニンは、甲状腺から分泌されるホルモンで、骨吸収を抑制する働きを持つ。
5.× 副甲状腺とは、甲状腺の裏側にある米粒大の内分泌器官で、副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌して血中カルシウムの濃度を調節している。
85 成人の気管内吸引の方法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.実施前に咽頭部の分泌物を吸引する。
2.吸引圧は-40kPa(300mmHg)に調整する。
3.気管チューブと同じ内径のカテーテルを用いる。
4.カテーテルは気管分岐部にあたらないように挿入する。
5.カテーテルの挿入開始から終了まで30秒で行う。
解答1・4
解説
1.〇 正しい。実施前に咽頭部の分泌物を吸引する。なぜなら、誤嚥防止のため。気管吸引に伴い、咳嗽で分泌物が下気道に流れ込むと、肺炎を起こすおそれがある。
2.× 吸引圧は、「-40kPa(300mmHg)」ではなく、-20kPa(150mmHg)を超えないように調整する。吸引圧が高すぎた場合、気道粘膜の損傷や肺胞虚脱のおそれがある。ちなみに、気管吸引前には口腔及びカフ上部の吸引を行い、カフ圧は2~2.9kPaに保つようにする。
3.× 気管チューブと同じ内径のカテーテルを「用いない」。なぜなら、吸引カテーテルのサイズが大きいと、気道内に過度の陰圧がかかり、気道粘膜の損傷や肺胞虚脱のおそれがあるため。気管チューブとは、気管挿管の際に気管内に挿入する気道確保のためのチューブをさす。吸引カテーテルのサイズ(外径)は、気管チューブ内径の1/2以下を用いる。
4.〇 正しい。カテーテルは気管分岐部にあたらないように挿入する。気管チューブは、気管分岐部から3~5cm上に先端が来るように留置されている。深く挿入すると無気肺や出血、肉芽形成を合併する恐れがある。
5.× カテーテルの挿入開始から終了まで、「30秒」ではなく15秒以内(1回の吸引時間は10秒以内)で行う。なぜなら、吸引中は無呼吸となるため。必ずモニター等でSpO2の確認しながら実施する。
「気管吸引とは、人工気道を含む気道からカテーテルを用いて機械的に分泌物を除去するための準備、手技の実施、 実施後の観察、アセスメントと感染管理を含む一連の流れのこと」と定義されている。(※引用:気管吸引ガイドライン2013)
【目的】口腔内・鼻腔内吸引は気道内の貯留物や異物を取り除くこと。
①人工呼吸器関連肺炎などの感染リスクを回避する。(ディスポーザブル手袋を着用、管吸引前には口腔及びカフ上部の吸引を行う)
②吸引中は無呼吸となるため必ずモニター等でSpO2の確認しながら、カフ圧は-20kPa(150mmHg)以内に保ち、1回の吸引時間は10秒以内とする。
③カテーテル挿入時は陰圧をかけず、自発呼吸がある場合は、患者さんの吸気に合わせて吸引を行う。
④終了後は気道内の分泌物がきちんと吸引できたか、呼吸音等で確認する。
(※参考:「吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コツ」ナース専科様HPより)