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61 看護師のメンタルヘルスに関する対応で一次予防はどれか。
1.入職時のストレスマネジメントに関する研修
2.精神的不調が生じた看護師への公認心理師による相談
3.精神的不調で休職している看護師への復職支援プランの作成
4.精神的負荷がかかっている可能性のある看護師への産業保健師による面談
解答1
解説
疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。
一次予防:「生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。(※健康日本21において)
1.〇 正しい。入職時のストレスマネジメントに関する研修は、一次予防にあたる。なぜなら、ストレスマネジメントにより、生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること(一次予防)につながるため。ちなみに、ストレスマネジメント(ストレス管理)とは、個人のストレスレベルをコントロールする技術や心理療法を指す幅広い概念である。ストレス管理は、人々の日常生活を改善する事を目的にしている。本症例も含め、更年期女性へのケア介入として、①ライフスタイルの見直しや②ストレスマネジメントへの支援、③医療機関への受診等があげられる。
2.× 精神的不調が生じた看護師への公認心理師による相談は、二次予防にあたる。ちなみに、公認心理師とは、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識および技術をもって、助言や指導、援助、分析などを業とする人である。つまり、心の問題を抱えた人に対して、心理学の知識と技術を用いて援助する専門家である。
3.× 精神的不調で休職している看護師への復職支援プランの作成は、三次予防にあたる。
4.× 精神的負荷がかかっている可能性のある看護師への産業保健師による面談は、二次予防にあたる。産業保健師とは、企業内で働く保健師で、従業員の健康維持や改善を目的として業務に従事する職種のことである。健康診断や保健指導、健康相談など、労働者の健康管理に関する業務を担い、産業医や人事担当と協力しながら従業員の健康面をサポートする。
62 人を援助する過程で自分の職務に対して継続して努力したが、満足感や達成感が得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じるのはどれか。
1.悪性症候群
2.空の巣症候群
3.緊張病症候群
4.燃え尽き症候群
解答4
解説
1.× 悪性症候群とは、抗精神病薬の使用初期や、抗精神病薬・抗Parkinson病薬の急激な中断により、発熱(ときに40℃以上)、錐体外路症状(特に筋強剛)、自律神経症状(頻脈・発汗・流涎)、精神症状(昏迷、意識障害)、高CK血症などを来すものである。
2.× 空の巣症候群とは、子供が巣立ったり結婚した時に感じる憂うつ感や苦しみのことである。空の巣症候群は、壮年期の課題である。多くの女性が通過するといわれている。
3.〇 正しい。緊張病症候群とは、統合失調症やうつ病などでみられる意思障害を主とする精神運動障害である。①緊張病性興奮、②緊張病性昏迷、③カタレプシー、④反響言語・動作、⑤常同、⑥しかめ面などの奇異な表情の症状が含まれる。多くは急性期~消耗期で現れる。
4.× 燃え尽き症候群は、人を援助する過程で自分の職務に対して継続して努力したが、満足感や達成感が得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じる。燃え尽き症候群とは、バーンアウト症候群ともいい、それまでモチベーションを高く保っていた人が、突然やる気を失ってしまう症状である。努力に見合った結果が出なかった場合や、逆に大きな目標を達成したことで打ち込めるものがなくなり、何もやる気が起きなくなってしまう場合もある。
63 精神障害者保健福祉手帳の交付によって精神障害者に適用されるのはどれか。
1.行動援護の介護給付
2.所得税の障害者控除
3.自立支援医療(精神通院医療)
4.グループホームで必要な日常生活上の援助
解答2
解説
障害者総合支援法は、2013年に障害者自立支援法から障害者総合支援法へと改正され、障害者と障害児を対象とした障害保健福祉施策についてまとめられた法律である。これにより障害者の範囲が拡大され、身体障害者、精神障害者、知的障害者、障害児の全てが対象とされている。そして、対象となっている者は、認定調査というものを受け「障害支援区分」という障害の重症度分類によって7区分(非該当、区分1~6)に分けられる。それにより受けられるサービス内容が変わってくる。
①障害者も難病患者も自立できる社会をめざす。
②応能負担(所得に応じて自己負担額が変わること)が原則。
③あらゆる障害(身体・知的・精神+難病)についてこの法律で対応する。
④市区町村が事業の母体である。
【サービス内容】①更生医療(自立支援医療)、②育成医療(軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される、生活の能力を得るために必要な自立支援医療費の支給を行うもの)、③精神通院医療(精神疾患の治療に掛かる医療費を軽減する公的な制度)、④育成医療(障害児の身体障害を除去、軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される)がある。
1.× 行動援護の介護給付は、障害者総合支援法に規定されたものである。行動援護とは、知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等が行動する際の必要な援助を行う。【対象者】障害支援区分が区分3以上であって、障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上(障害児にあってはこれに相当する支援の度合)である者とされている。
2.〇 正しい。所得税の障害者控除は、精神障害者保健福祉手帳の交付によって精神障害者に適用される。精神障害者保健福祉手帳は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律<精神保健福祉法>」に規定されている。精神障害者保健福祉手帳とは、精神障害者の自立と社会参加の促進を図ることを目的としてつくられたものである。障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称した一般的な呼称であり、 制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なる。対象は、何らかの精神障害(てんかん、発達障害などを含む)により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約があるものである。ちなみに、精神障害者保健福祉手帳を取得することで、①生活の助けとなるサービス(自治体ごとに公共料金などの割引、税金の免除・減免など)や、②働くことへのサービス(障害者求人へ応募できることや就労に関する支援の対象となるなど)を受けることができる。
3.× 自立支援医療(精神通院医療)は、障害者総合支援法に規定されたものである。自立支援医療とは、精神疾患の治療にかかる医療費を軽減する制度である。経済的な不安を軽くすることで、体調の安定や治療への専念などにつなげることができる。
4.× グループホームで必要な日常生活上の援は、障害者総合支援法に規定されたものである。グループホームとは、共同生活援助ともいい、『障害者総合支援法』の訓練等給付のひとつである。ひとりで生活できない障害者が共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を受けるものである。主に夜間や休日に精神障害者が共同生活を営む住居で、食事の世話・服薬指導など、相談や日常生活の援助を行う。
64 都道府県知事に対し、精神科病院に医療保護入院となっている患者の退院請求をすることができるのはどれか。
1.警察官
2.検察官
3.患者本人
4.精神保健福祉士
解答3
解説
精神医療審査会は、『精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)』により、都道府県・指定都市に設置されるものである。精神医療審査会とは、精神科病院に入院中の患者家族等から退院請求や処遇改善請求があったときに、入院の必要性や処遇の妥当性について審査を行う機関である。
1.× 警察官とは、主に防犯活動を行う職種である。
2.× 検察官とは、刑事事件や告訴のあった事件の捜査を行い、犯罪や違法行為をした人や法人(被告人)を裁判所に訴える(起訴する)職種である。
3.〇 正しい。患者本人は、都道府県知事に対し、精神科病院に医療保護入院となっている患者の退院請求をすることができる。これは、精神保健福祉法38条(退院等の請求)において「精神科病院に入院中の者又はその家族等は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、その者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命じ、若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じることを求めることができる。」と規定されている(※引用:「精神保健福祉法」e-GOV法令検索様HPより)
4.× 精神保健福祉士とは、『精神保健福祉士法』に基づき、精神障害者に対する相談援助などの社会福祉業務に携わる専門職である。また、その家族に対しても相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な援助を行う。
①任意入院:患者本人の同意:必要。精神保健指定医の診察:必要なし。そのほか:書面による本人意思の確認。備考:本人の申し出があれば退院可能。精神保健指定医が必要と認めれば、72時間以内の退院制限が可能。入院権限:精神科病院管理者。
②医療保護入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意。備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る。入院権限:精神科病院管理者
③応急入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察。そのほか:医療および保護の依頼があるが、家族等の同意が得られない。備考:入院期間は72時間以内。入院後直ちに知事に届け出る。知事指定の病院に限る。入院権限:精神科病院管理者
④措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:2人以上の診察、そのほか:自傷・他害のおそれがある。備考:国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る。入院権限:都道府県知事
⑤緊急措置入院:患者本人の同意:必ずしも必要としない。精神保健指定医の診察:1人の診察、そのほか:自傷・他害のおそれが著しく、急を要する。備考:入院期間は72時間以内。指定医が1人しか確保できず時間的余裕がない場合、暫定的に適用される。入院権限:都道府県知事
65 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査において、要介護者等のいる世帯に同居している主な介護者の特徴で正しいのはどれか。
1.性別は男性が多い。
2.続柄は子が最も多い。
3.年齢は60~69歳が最も多い。
4.ストレスの原因は「自由にできる時間がない」が最も多い。
解答3
解説
主な介護者をみると、要介護者等と「同居」が54.4%で最も多く、次いで「別居の家族等」が13.6%となっている。「同居」の主な介護者の要介護者等との続柄をみると、「配偶者」が23.8%で最も多く、次いで「子」が20.7%、「子の配偶者」が7.5%となっている。また、「同居」の主な介護者を性別にみると、男35.0%、女65.0%で女が多く、これを年齢階級別にみると、男女とも「60~69歳」が28.5%、31.8%と最も多くなっている。(※引用:「令和元年(2019年)国民生活基礎調査」厚生労働省様HPより)
1.× 性別は、「男性(35%)」ではなく女性(65%)が多い。
2.× 続柄は、「子(20.7%)」ではなく配偶者(23.8%)が最も多い。
3.〇 正しい。年齢は60~69歳が最も多い。
4.× ストレスの原因は「自由にできる時間がない」ではなく、「家族の病気や介護」が最も多い。(※参考:「国民生活基礎調査」政府統計の総合窓口)