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46 急性髄膜炎患者への対応で正しいのはどれか。
1.鎮痛薬は禁忌である。
2.頭部に温罨法を行う。
3.部屋の照明を暗くする。
4.腰椎穿刺直後は頭部を高くする。
解答3
解説
髄膜炎とは、なんらかの理由(主な病原体:髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌)で、髄膜が炎症を起こす病気である。症状は、髄膜炎の3大症状でもある発熱、頭痛、項部硬直で、75%以上の意識障害(傾眠~昏睡と程度は様々)である。他にも、嘔吐や羞明もよくみられる。けいれんは初期症状にみられ、髄膜炎の全経過を通して20~40%に起きる。
1.× 鎮痛薬は「禁忌ではない」。むしろ、髄膜炎の症状の一つに頭痛があげられる。鎮痛薬は痛みを緩和する作用を持つため、髄膜炎に有効である。
2.× 頭部に温罨法を行う優先度は低い。なぜなら、髄膜炎の症状の一つに発熱があげられるため。発熱を抑えるため冷罨法が勧められる。
3.〇 正しい。部屋の照明を暗くする。なぜなら、部屋が明るいと髄膜炎が助長されるため。髄膜炎の際は、発作が起こると光や音、においなどに過敏になり、動作で症状が悪化する特徴を持つ。
4.× 腰椎穿刺直後は頭部を「高く」ではなく低くする。なぜなら、腰椎穿刺後は、頭蓋内圧が低下していることから低髄圧症状(頭痛や嘔気・嘔吐等)が出現する可能性があること、穿刺部から髄液漏を起こす可能性があるため。腰椎穿刺後は、1時間程度ベッド上で安静にする必要がある。
47 膀胱鏡による組織検査を受ける成人男性への説明で正しいのはどれか。
1.「検査前は膀胱に尿をためてください」
2.「尿道から内視鏡を挿入します」
3.「膀胱に二酸化炭素を注入します」
4.「検査後24時間はベッドで安静にします」
解答2
解説
(※図引用:「膀胱鏡検査を受けられる患者さんへの説明文書」東京女子医科大学HPより)
膀胱鏡検査とは、内視鏡器具を使用し、尿道から膀胱等を観察する検査である。
1.× 検査前は、「膀胱に尿をためる」のではなく排尿しておく。なぜなら、尿は淡黄色から淡黄褐色で、尿があると膀胱内を観察しくいため。したがって、観察しやすいように無色透明の生理食塩水を注入しながら、膀胱内を観察する。
2.〇 正しい。「尿道から内視鏡を挿入します」と説明する。膀胱鏡検査とは、内視鏡器具を使用し、尿道から膀胱等を観察する検査である。
3.× 膀胱に「二酸化炭素」ではなく生理食塩水を注入する。観察しやすいように無色透明の生理食塩水を注入しながら、膀胱内を観察する。
4.× 検査後「24時間」ではなく1時間程度はベッドで安静にする。なぜなら麻酔薬投与による副作用や検査の合併症の有無を確認するため。状況や状態によって、施設の方針で安静することなく普段通り過ごしてもらうこともある。合併症として、感染や血尿、麻酔薬のアレルギーがある。ちなみに、生検施行時には、結果が出るまで通常1~2週間かかる。
48 家族周期における発達段階で、高齢者が配偶者を失った後の段階はどれか。
1.完結期
2.教育期
3.充実期
4.分離期
解答1
解説
【1段階:家族の誕生】互いに満足できる結婚生活を確立し、調和のとれた親族ネットワークを楽き、家族計面を立てる。
【2段階:出産家族(第1子が2歳6ヶ月未満)】家族員個々の発達ニーズを満たし、新しい役割(父親、母親など)を学習する。家族で役割の調整を行い、家族機能や家族関係を拡大する。
【3段階:学齢前期の子どもをもつ家族(第1子が2歳6ヶ月から6歳末満)】子どもが役割を取得できるように育て、事故や健康被害を予防する。第1子のニーズを満たしながら、第2子のニーズを満たす。親役制と夫婦役割、親子関係を調整する。
【4段階:学童期の子どもをもつ家族(年長児が6~12歳未満)】子どもの社会化を促し、子どもが学業に励むように配慮する。子どもが親から分離できるように促す。円満な夫婦関係を維持する。
【5段階:10代の子どものいる家族】子どもの自由や責任を認め、子どもを巣立たせる準備をする。家族の統合を徐々に緩め、子どもを解き放していく。両親と子どもとの間に開放的なコミュニケーションを確立する。
【6段階:新たな出発の時期にある家族(第1子が家庭を巣立ってから末子が巣立つまで)】第1子の巣立ちを援助し、その他の子どもには巣立たせる準備をする。子どもの結婚により新しい家族を迎え、家族を拡張する。子ども夫婦のライフスタイルや価値観を認め、夫婦役割を調整し再確立する。
【7段階:壮年期の家族(空の巣から退職まで)】成長した子どもとの関係を再定義しながら子どもから独立することに取り組む。健康的な環境を整える。年老いた両親や孫との有意義な関係を維持する。夫婦関係を強固なものにする。
【8段階:退職後の高齢者家族(配偶者の退職から死まで)】満足できる生活状況を維持し、減少した収入での生活に適応し夫婦関係を維持する。家族の絆を統合させたものとして維持する。配偶者の喪失に適応し人生を振り返り自分の存在の意味を見出す。
1.〇 正しい。完結期は、高齢者が配偶者を失った後の段階である。完結期は、家族の発達段階の8段階である。満足できる生活状況を維持し、減少した収入での生活に適応し夫婦関係を維持する。家族の絆を統合させたものとして維持する。配偶者の喪失に適応し人生を振り返り自分の存在の意味を見出す。
2.× 教育期は、家族の発達段階の4段階である。子どもの社会化を促し、子どもが学業に励むように配慮する。子どもが親から分離できるように促す。円満な夫婦関係を維持する。
3.× 充実期は、家族の発達段階の1段階である。互いに満足できる結婚生活を確立し、調和のとれた親族ネットワークを楽き、家族計面を立てる。
4.× 分離期は、家族の発達段階の6段階である。第1子の巣立ちを援助し、その他の子どもには巣立たせる準備をする。子どもの結婚により新しい家族を迎え、家族を拡張する。子ども夫婦のライフスタイルや価値観を認め、夫婦役割を調整し再確立する。
家族発達理論とは、家族の変化過程を家族そのものの発達、成長であると捉え、その家族のたどる周期的変化の各期を家族周期(ファミリー・ライフサイクル)で表し、それぞれの時期に特有の家族の発達課題があると考える理論のことをいう。2つの基本的な考え方があり、①家族は時間的経過のなかで連続的な発達段階をたどること、②家族は発達段階に応じた固有の発達課題を持つことの考え方がベースになっている。
類似問題です↓
49 老人性難聴の特徴はどれか。
1.両側性に生じる。
2.混合性難聴である。
3.低音域が障害される。
4.外耳の障害によって起こる。
解答1
解説
(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)
老人性難聴とは、加齢によって耳(内耳)と脳(聴覚中枢)が障害されて聴こえにくくなっている状態である。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。他にも、語音弁別能や周波数選択性の低下、補充現象などの症状が複数現れる。ちなみに、補充現象とは、聞こえが悪いのに、音を大きくすると大きくした比率以上に大きく聞こえる現象である。
1.〇 正しい。両側性に生じる。老人性難聴は、加齢によって耳(内耳)と脳(聴覚中枢)が衰え聴こえにくくなる。左右差は見られにくい。
2.× 老人性難聴は、「混合性」ではなく感音性難聴である。混合性難聴混合性難聴とは、伝音性難聴と感音性難聴の両方の機能障害が合わさった難聴である。伝音性難聴とは、外耳や中耳などの「伝音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。一方、感音性難聴とは、内耳や聴神経など「感音器」と呼ばれる部分の障害によって起こる難聴である。老人性難聴は、感音性難聴のひとつであり、加齢により内耳などが衰える事により発症する。
3.× 「低音域」ではなく高音域が障害される。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。これは、蝸牛におけるコルチ器の有毛細胞(高音域を識別する部位)が、加齢に伴い変性・減少していくためといわれている。
4.× 「外耳」ではなく内耳の障害によって起こる。外耳とは、耳介と外耳道からなる部分である。一方、内耳とは、聴覚に関わる蝸牛と平衡覚をつかさどる前庭や3つの半規管(三半規管)からなる部分である。
中耳は、外耳と内耳にある空間のことである。
構成は、鼓膜・鼓室・耳管・乳突洞・乳突蜂巣からなる。
ちなみに、鼓室には3つの耳小骨(ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨)があり、鼓膜から内耳へ音の振動を伝える。
類似問題です↓
50 高齢という理由で高齢者を画一的に捉え、差別することを意味するのはどれか。
1.エイジズム
2.アディクション
3.パターナリズム
4.アンチエイジング
解答1
解説
1.〇 正しい。エイジズムは、高齢という理由で高齢者を画一的に捉え、差別することを意味する。エイジズムとは、年齢による差別、特に高齢者に対する偏見や差別をいう。具体的には、年齢が高いというだけで高齢者を画一的集団としてとらえ、役に立たない、能力が低下しているなどの否定的な考えのもと、高齢者を差別することである。
2.× アディクション(嗜癖:しへき)は、依存症とも訳され、「身体的・精神的・社会的に、自分の不利益や不都合となっているにもかかわらず、それをやめられずに反復し続けている状態」である。
3.× パターナリズム(父権主義)とは、弱い立場の者の意思・判断に関係なく強い立場の者が介入・干渉し、それに従うべきだとする考えのことである。医療において、患者の意思にかかわらず、医師などの専門家に任せた治療を進めることを指す。
4.× アンチエイジングとは、抗加齢や抗老化を意味する言葉で、老化を抑えて若々しさを維持することを目的した言葉である。