この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
76 乳房について正しいのはどれか。
1.月経前に乳房が張りやすいのはエストロゲンの影響である。
2.乳腺周囲の平滑筋はオキシトシンによって弛緩する。
3.乳腺はアポクリン汗腺が変化したものである。
4.乳房は褐色脂肪組織である。
5.乳管は乳汁を産生する。
解答3
解説
(※画像引用:日本医師会様HPより)
1.× 月経前に乳房が張りやすいのは、「エストロゲン」ではなくプロゲステロンの影響である。プロゲステロン(黄体ホルモン)とは、妊娠の準備のため基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させ、乳腺を発達させる働きがある。また栄養や水分を体にたくわえようとするため浮腫や体重増加しやすい。妊娠が成立しなければ、排卵の1週間後くらいから黄体ホルモン(プロゲステロン)は減り始め、さらに1週間くらい経つと子宮内膜がはがれ月経が始まる。
2.× 乳腺周囲の平滑筋はオキシトシンによって、「弛緩」ではなく収縮する。オキシトシンとは、視床下部で合成され、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。
3.〇 正しい。乳腺はアポクリン汗腺が変化したものである。エクリン腺は口唇・亀頭・陰唇を除く全身の皮膚に分布する。手掌・足底・額に特に多い。エクリン汗の成分はアポクリン腺からの汗(アポクリン汗)に比べて薄い。一方、アポクリン汗腺は、主に脇や陰部などの真皮に存在する。
4.× 乳房は、褐色脂肪組織ではない。褐色脂肪組織とは、多房性で小型の脂肪滴を有するという形態学的な特徴を有する褐色脂肪細胞より主に構成されており、高い熱産生能を有する組織である。褐色脂肪組織は新生児の熱酸性のための組織であるが、低出生体重児の場合は褐色脂肪細胞が少ないため低体温になりやすい。成人では、臓器(腎臓や副腎)や横隔膜にみられる。
5.× 乳汁を産生するのは、「乳管」ではなく乳腺である。乳腺で産生された乳汁は、乳管を通って乳管洞に溜まる。乳頭の刺激(吸啜やマッサージ)により母親の視床下部が刺激され、下垂体後葉からオキシトシンが分泌される。このオキシトシンが乳汁を乳房から押し出す。
エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
77 小脳の機能はどれか。
1.睡眠と覚醒
2.姿勢反射の中枢
3.振動感覚の中継
4.随意運動の制御
5.下行性の疼痛抑制
解答4
解説
・小脳半球(新小脳)は、四肢(特に上肢)の協調運動を司っている(失調性歩行、企図振戦、構音障害など)。失調性歩行は、ワイドベースや酩酊歩行、よろめき歩行ともいう。
・小脳虫部は、体幹と下肢の協調運動、片葉小節葉を含む古小脳は身体のバランス維持と頭頸部の協調運動を司る(主に体幹失調)。
1.× 睡眠と覚醒の機能は、主に視床下部の機能である。視床下部とは、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。
2.× 姿勢反射の中枢は、脳幹や大脳皮質の機能である。姿勢反射とは、体が傾いたときに、健常人は重心を移動してバランスを取る反射のことで、立ち直り反射やパラシュート反応などをいう。ちなみに、脳幹とは、中枢神経系を構成する部位が集まっている器官で、中脳、橋、延髄から構成されている。この脳幹は視床下部と通信をすることで覚醒と睡眠間の移行を制御する。
3.× 振動感覚の中継は、脊髄から大脳へと経由する。深部感覚(振動覚、位置覚)の伝導路は、後根 ⇒ 後索(下肢からの線維は薄束を通って薄束核に終わり、上肢からの線維は楔状束を通って楔状束核に終わる) ⇒ 延髄(後索核) ⇒ 毛帯交叉 ⇒ 内側毛帯 ⇒ 視床後外側腹側核 ⇒ 感覚野となる。深部感覚とは、位置感覚・運動感覚・振動感覚・重量感覚・抵抗感覚など筋・腱・関節に関係する感覚のことである。
4.〇 正しい。随意運動の制御は、小脳の機能である。小脳が障害されると一般的に、企図振戦や眼振、筋トーヌス低下、運動失調、体幹動揺、構音障害、大字症などがみられる。
5.× 下行性の疼痛抑制は、中脳から脊髄へと経由する。下行性疼痛抑制系とは、中脳の腹側被蓋野に痛みの信号が伝わるとドパミンニューロンからドパミンが放出されることで活性化する。ドパミンの刺激を受けて内因性オピオイドが放出され、オピオイド受容体を介した神経伝達により、セロトニンやノルアドレナリンが放出され脊髄後角に抑制の信号が送られる。
78 出生後の成長で、最も早く成人の大きさに達するのはどれか。
1.脳
2.肺
3.肝臓
4.心臓
5.脊柱
解答1
解説
スカモンの発育曲線(発育発達曲線)とは、ヒトは生まれてから成人(20歳)するまでの各器官の発育の急速な時期をわかりやすく図式化したもの。子どもの発育には、急速な時期と緩慢な時期が存在する。
1.〇 正しい。脳は、出生後の成長で、最も早く成人の大きさに達する。スキャモン曲線(図②:神経型)には脳、脊髄などが該当する。神経型は出生直後から急激に発育し、幼児期のうちに成人に近いレベルに達する特徴を持つ。
2~5.× 肺/肝臓/心臓/脊柱は、スキャモン曲線(図③:一般型)に該当する。一般形には心臓や肺、骨、筋肉などが該当する。S字状の形状を持つのが特徴である。
類似問題です↓
79 大動脈解離で真腔と偽腔(解離腔)が形成される。
偽腔が形成される大動脈壁の部位はどれか。
1.外膜
2.外膜と中膜の間
3.中膜
4.中膜と内膜の間
5.内膜
解答3
解説
大動脈解離とは、大動脈内膜に生じた亀裂(エントリー)から血液が流入し、中膜部分が解離した状態である。ほとんどの場合、高血圧症を基礎に持つ患者に突如発生する。
大動脈解離は、大動脈が裂ける場所によって2つに分類される。
・スタンフォードA型:上行大動脈から裂けるタイプ
→A型は病気が発症して48時間以内に破裂を起こしやすく、緊急手術が必要。
・スタンフォードB型:上行大動脈は裂けず、背中の大動脈(下行大動脈)から裂けるタイプ
→B型はA型に比し、すぐには破裂しないことが多いため、お薬と絶対安静の治療が中心であるが、このB型も破裂の兆候が認められたり(背中の痛みが持続)、腹部内臓や下半身への血の流れが悪くなる場合は緊急の治療を必要とする。
1~2.4~5.× 外膜/外膜と中膜の間/中膜と内膜の間/内膜よりも偽腔が形成される部位として優先度が高いものが他にある。
3.〇 正しい。中膜は、偽腔が形成される大動脈壁の部位である。もともとの血液の通る場所を真腔といい、血管がさけたことによりできた血液のとおる場所を偽腔という。
(※図引用:「【保存版】大動脈解離まとめ!症状・治療・CT画像所見のポイントは?」画像診断まとめ様HPより)
類似問題です↓
80 甲状腺クリーゼについて正しいのはどれか。
1.低体温となる。
2.致死率は2%以下である。
3.誘因として感染症が多い。
4.初期症状として徐脈を認める。
5.甲状腺ホルモンの欠乏症である。
解答3
解説
甲状腺クリーゼとは、甲状腺中毒症(甲状腺ホルモン高値)の治療が不十分であったり治療を受けていない場合に、肺炎などの感染症や大怪我・手術などのストレスをうけると、甲状腺ホルモンの過剰な状態に耐え切れなくなり、複数の臓器の機能が低下し、死の危険が切迫した状態になることを指す。症状として、高熱、頻脈、意識朦朧、心臓や肝臓の急速な機能低下、呼吸停止、全身性の黄疸がみられる。生命が危険な状態にあるため、入院し呼吸や血圧の管理、血中の甲状腺ホルモンを減らす必要がある。
1.× 「低体温」ではなく高熱となる。なぜなら、甲状腺ホルモンには、カラダ全体の新陳代謝を促進する働きがあるため。
2.× 致死率は、「2%以下」ではなく約10%である。
3.〇 正しい。誘因として感染症が多い。誘因としては感染が最も多く、特に上気道炎・肺炎が多数を占める。
4.× 初期症状として、「徐脈」ではなく頻脈を認める。症状として、高熱、頻脈、意識朦朧、心臓や肝臓の急速な機能低下、呼吸停止、全身性の黄疸がみられる。
5.× 甲状腺ホルモンの「欠乏症」ではなく過剰で起こる。