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41 成人のがん患者が痛みの程度を数値で回答するスケールはどれか。
1.フェイススケール
2.NRS
3.VAS
4.VRS
解答2
解説
1.× フェイススケールとは、痛みの強さを評価するスケールである。顔の表情がいくつか並んでいるなかから、今の痛みの状況を表すのに一番ふさわしいと思うものを選んでもらう。小児では有用性が確認されているが、成人では気分が影響しやすいため通常は用いない。
2.〇 正しい。NRSは、成人のがん患者が痛みの程度を数値で回答するスケールである。NRS(numerical rating scale:数字評価スケール)では、0(痛みなし)~10(想像できる最大の痛み)の数字で11段階に区分し、現在の痛みの程度を示してもらう。
3.× VAS(Visual Analogue Scale:視覚的アナロクスケール)で痛みの強さを評価する。まったく痛くない状態を0cm、予想されるなかで最も痛い状態を10cmとしたときに今どのくらい痛いかを指さしてもらい、何cmかを測ることで痛みの程度を定量化する。
4.× VRS(Verbal Rating Scale)は、痛みの強さを表す言葉を順に並べて、患者の現在の痛みを表している言葉を選んでもらうことで痛みを評価する方法である。「0:痛みなし」「1:軽度の痛み」「2:中等度の痛み」「3:重度の痛み」「4:耐えられない最悪の痛み」の5段階の中から痛みの程度を選ぶ評価法である。
42 肝切除術後3日の患者のドレーンから黄褐色の排液がみられた。
考えられる原因はどれか。
1.黄疸
2.出血
3.腹水
4.胆汁漏
解答4
解説
・胃:膵液漏、乳び漏(乳び色)
・膵臓:膵液漏(赤ワイン色)
・肝臓,胆嚢:胆汁漏(黄褐色)
・腸:出血(濃血性)
1.× 黄疸の場合、ドレーンの色は変化ない。黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの、②肝細胞の障害によるもの、③胆汁の流れの障害によるもの、④体質によるもの、などがある。
2.× 出血の場合、ドレーンの色は濃血性となる。
3.× 腹水の場合、ドレーンの色は淡黄色となる。腹水とは、タンパク質を含む体液が腹腔に蓄積した状態である。
4.〇 正しい。胆汁漏が考えられる原因である。胆汁漏の場合、ドレーンの色は黄褐色となる。胆汁漏(※読み:たんじゅうろう)とは、縫合または切開した胆管から胆汁が漏れ出ることである。肝切除術後の主要な合併症で、切除面や胆管吻合部から生じる胆管炎が原因である。胆汁漏は重篤な胆汁感染と関連し、敗血症や敗血症性ショックに移行し、高い死亡率となる。
43 減感作療法を受ける患者への説明で適切なのはどれか。
1.「治療期間は1か月です」
2.「静脈内注射でアレルゲンを投与します」
3.「治療後はアレルゲンを気にせず生活できます」
4.「投与後30分はアナフィラキシー症状を観察します」
解答4
解説
減感作療法とは、アレルギーの発生に関連する物質を、意図的に体内に投与することで、アレルギー反応に身体を慣れさせ、次第に症状を緩和していく治療法のことを指す。抗ヒスタミン薬の服用のような、一時的に症状を抑えるための対症療法とは異なり、アレルギー体質の改善を促す根本的治療として有効であると考えられている。
1.× 治療期間は、「1か月」ではなく3~5年間である。
2.× 「静脈内注射」ではなく皮下注射や舌下でアレルゲンを投与する。
3.× 治療後もアレルゲンを気にしながら生活する必要がある。なぜなら、治療後に大量のアレルゲンが体内に入った場合、アレルギー反応が強く出てしまう恐れがあるため。減感作療法とは、少しずつ身体に与えるものである。
4.〇 正しい。「投与後30分はアナフィラキシー症状を観察します」と説明する。なぜなら、副作用を起こしている可能性があるため。軽い副作用では、口内炎、舌の下の腫れ、口の中の腫れ、のどのイガイガ感、耳の痒みなどがみられる。
44 尋常性乾癬の患者への説明で正しいのはどれか。
1.患部に日光を当てない。
2.搔痒感があるときは患部を温める。
3.機械的刺激が加わらないよう患部を覆う。
4.落屑が多いときは蛋白質の摂取を減らす。
解答3
解説
尋常性乾癬とは、皮膚に紅斑ができ、次第にその表面が銀白色の細かいかさぶたで覆われ、やがてそれがフケのようにボロボロとはがれる皮膚の病気である。
乾癬は、症状によって5つのタイプ(尋常性乾癬、関節性乾癬、膿疱性乾癬、滴状乾癬、乾癬性紅皮症)に分けられる。最も多いタイプがここで述べる尋常性乾癬である。男性のほうが女性より多いといわれ、好発年齢は男性が30代~40代、女性が20代である。乾癬の原因は解明されていないが、細菌やウイルスによって起きる病気ではない。
尋常性乾癬の治療法として、基本は、ステロイド剤やビタミンD誘導体の外用薬である。難治な場合は、紫外線療法または、ビタミンA誘導体や免疫抑制剤による内服療法、最先端のバイオ技術によって生み出された生物学的製剤による治療法も注目されている。
1.× 患部に日光を「当てる」。難治な場合は、紫外線療法も推奨されており、適度な日光浴が良いとされている。
2.× 搔痒感があるときは患部を「温める」のではなく冷やす。なぜなら、冷やすことで血管が収縮し、炎症の軽減につながるため。一方、温めたり飲酒・喫煙は血管が拡張し搔痒感が出現し、乾癬を悪化させる。
3.〇 正しい。機械的刺激が加わらないよう患部を覆う。乾癬では症状が出ていない皮膚に引っ掻くなどの刺激を与えると、その刺激をきっかけに新たな発疹が現れることがある。これをケブネル現象という。衣服や眼鏡、ベルトなどの刺激によっても起こるため、衣服は柔らかい素材やゆったりしたサイズのものを選び、皮膚を掻いたりしないよう指導する。
4.× 落屑が多いときは、蛋白質の摂取を「減らす」のではなく増やす。なぜなら、落屑により皮膚を構成するタンパク質などの栄養素がどんどん奪われていくため。落屑とは、フケのように剥がれ落ちていく症状のことである(※読み:らくせつ)。ただし、バランスの良い食生活をベースにタンパク質の摂取を心がけてもらうよう指導する。
45 喉頭摘出および気管孔造設術を受けた患者にみられるのはどれか。
1.難聴
2.嗅覚低下
3.咀嚼困難
4.誤嚥
解答2
解説
(※図引用:「illustAC様」)
気管孔造設術とは、喉頭癌や咽頭癌などの治療のため喉頭を全摘出する手術や、重度の嚥下障害のある重症心身障害児の誤嚥を防止するために「気道と食道の完全分離」が行われる手術である。呼吸のために気管を頚部の皮膚に縫合して造られた孔(永久気管孔)を造設する。永久気管孔は、気管を経て肺に空気が入る孔で、一生閉じることはない。
特徴(※参考:「喉頭摘出術後の生理的変化」公益社団法人 銀鈴会様HPより)
①喉頭喪失のため、術前と同じ発声ができなくなる。
②嗅覚を感じる部分に臭素を含む気流が届かず、嗅覚が低下する。
③口からの空気の出し入れが困難となり、熱いものを吹いて冷ませない。
④啜りこむ動作が困難となる。
1.× 難聴は呈しにくい。なぜなら、聴覚の伝導路に影響を及ぼさないため。ちなみに、聴覚の伝導路は、【蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回】である。
2.〇 正しい。嗅覚低下は、喉頭摘出および気管孔造設術を受けた患者にみられる。
3.× 咀嚼困難は呈しにくい。咀嚼困難とは、噛むことがうまくできないことをいう。原因は、咀嚼筋の機能障害や歯が抜ける、入れ歯の不適合などが考えられる。咀嚼筋とは、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋肉の総称である。咀嚼筋は一般的に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類が挙げられる。三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。
4.× 誤嚥は呈しにくい。なぜなら、気管孔造設術により、気道と食道の完全分離するため。誤嚥が起こることがない。ちなみに、誤嚥とは、食物などが、なんらかの理由で、誤って喉頭と気管に入ってしまう状態のことをいう。