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問題61 産褥期の生理的変化で正しいのはどれか。
1.児が乳頭を吸啜することによってオキシトシンが分泌される。
2.子宮が非妊時の大きさに戻るのは分娩後約2週である。
3.分娩後は一時的に尿量が減少する。
4.プロゲステロンが増加する。
解答1
解説
産褥期(さんじょくき)とは、出産後のカラダが元の状態に戻るまでのおよそ6~8週間の期間をいう。一般的に産後6〜8週間ほどの期間をいう。乳汁の分泌や後陣痛、悪露の排出、子宮復古などがおこる。手足のむくみや産褥熱、産褥性心筋症などに注意を払う必要がある。
1.〇 正しい。児が乳頭を吸啜することによってオキシトシンが分泌される。オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。
2.× 子宮が非妊時の大きさに戻るのは、「分娩後約2週」ではなく分娩後約6~8週である。
3.× 分娩後は一時的に尿量が「減少」ではなく増加する。なぜなら、産後は乳汁の産生に伴い、水分の排出方向に向かうため。ただし、これは一時的である。また、産後は膀胱の感覚が鈍くなることがあるため、病院のスタッフは母親に少なくとも4時間おきに定期的に排尿するように促す。
4.× プロゲステロンは、「増加」ではなく減少する。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、妊娠初期は妊娠黄体から、妊娠8週以降は胎盤から分泌される。作用は、妊娠の維持(子宮筋の収縮抑制)、体温の上昇、乳腺の発育、妊娠中の乳汁分泌抑制である。厚くなった子宮内膜を、さらに受精卵が着床しやすい状態にする。
・分娩直後:①子宮底長(11~12cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・分娩後12時間:①子宮底長(15cm)、②子宮底の高さ(臍高~臍上1~2横指少し右方に傾く)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・1~2日:①子宮底長(11~17cm)、②子宮底の高さ(臍下1~2横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・3日:①子宮底長(9~13cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・4日:①子宮底長(9~10cm)、②子宮底の高さ(臍と恥骨結合の中央:臍恥中央)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・5日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・6日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・7~9日:②子宮底の高さ(恥骨結合上わずかに触れる)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・10日以降~3週間:②子宮底の高さ(腹壁上より触知不能)、③悪露の色調・におい(黄色・無臭)
・4~6週間:③悪露の色調・におい(白色・無臭)
問題62 大規模災害が発生し、被災した住民は自治体が設置した避難所に集まり避難生活を始めた。発災3日、自治体から派遣された看護師は避難所の片隅で涙ぐんでいるAさんへの関わりを始めた。Aさんは「悲しい気持ちが止まりません」と話している。
このときのAさんへの看護師の発言で適切なのはどれか。
1.「災害以外のことを何か考えましょう」
2.「あなたの悲しい気持ちは乗り越えられるものですよ」
3.「悲しい気持ちが止まらないのは異常なことではないですよ」
4.「みんなが大変なのですからAさんも元気を出してください」
解答3
解説
・大規模災害発生
・被災住民:避難所に集まり避難生活開始。
・発災3日:避難所の片隅で涙ぐんでいるAさんへの関わりを始めた。
・Aさん「悲しい気持ちが止まりません」と。
→災害後にみられる主な精神症状は、①再体験(フラッシュバック):心的外傷の原因となった出来事を繰り返して思い出したり、悪夢をみたりする症状、②回避:心的外傷の原因となった出来事を連想させることや関連することを避けようとする、③過覚醒:神経が高ぶった状態が続き、不安や不眠が強く現れ、集中することが困難となることが見られやすくなる。
1.× 「災害以外のことを何か考えましょう」と伝える必要はない。なぜなら、話のすり替えであるため。Aさんの「悲しい気持ちが止まりません」という発言に対し、傾聴や共感、受容した態度で接することが大切である。
2.× 「あなたの悲しい気持ちは乗り越えられるものですよ」と伝える必要はない。なぜなら、「乗り越えられる」と根拠のない発言であるため。Aさんの悲しい感情や事情を一切無視した発言である。
3.〇 正しい。「悲しい気持ちが止まらないのは異常なことではないですよ」と伝える。なぜなら、最も選択肢の中で受容的な態度であるため。また、実際、災害後にみられる精神症状としても当てはまる。
4.× 「みんなが大変なのですからAさんも元気を出してください」と伝える必要はない。なぜなら、あえてみんなと比較する必要がないため。「みんな大変だから元気を出せ」というまったく意味の分からない励ましである。
【超急性期:~24時間と急性期:~2,3日】
①災害状況:野外への避難、通信・交通・ライフラインの途絶、避難所生活開始。
②保健活動:救急対応(救護所の開設、必要な医療物品の準備)、地域の被害状況、ライフライン、衛生状態の把握、住民の安否確認と身元確認、避難行動要支援者の安否確認と移動、健康危機管理、避難所準備と周知、救護所や避難所の巡回健康相談と衛生管理および環境整備、職員の健康管理(急性期)。
【亜急性期:~2,3週間】
①災害状況:避難所生活の継続、水や食料の不足、衛生環境の悪化。
②保健活動:巡回健康相談、食中毒や感染症等の二次的な健康障害の予防活動、生活用品の確保、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症・肺塞栓症)の合併症対策、こころのケア対策の実施、派遣保健師配置やボランティアの活用、職員の健康管理、通常業務の調整。
問題63 精神病床に入院し、身体的拘束が必要となる攻撃性の高い精神疾患患者のケアで正しいのはどれか。
1.心的外傷〈トラウマ〉体験を想定して支援を行う。
2.患者が暴力行為に及んだ場合は積極的に反省を促す。
3.患者の攻撃性が収まるまで疾患や治療の教育を行うことは避ける。
4.患者の身体的拘束が解除されてから病棟のスケジュールの説明を行う。
解答1
解説
1.〇 正しい。心的外傷〈トラウマ〉体験を想定して支援を行う。なぜなら、身体拘束は患者の行動を強く制限する最終手段であり、身体拘束そのものが心的外傷〈トラウマ〉体験となる可能性が高いため。身体拘束が認められるためには、①切迫性、②非代替性、③一時性の3つの要件がすべて満たされていなければならない。したがって、身体拘束は最終手段である。
2.× 患者が暴力行為に及んだ場合は、「積極的に反省を促す」のではなく、まずは医療スタッフで会議する。なぜなら、患者が暴力行為に及んだ場合でも、様々な要因が考えられるため。極端ではあるが、患者が暴力行為を促した要因がある。
3.× 患者の攻撃性が収まるまで、疾患や治療の教育を行うことは「避ける」のではなく「適宜行っていく」。なぜなら、患者の攻撃性が見られている原因が、仮に統合失調症であった場合、統合失調症に対する内服など行うため。
4.× 患者の身体的拘束が解除されてから、病棟のスケジュールの説明を行う必要はない。インフォームドコンセントとは、患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセスである。
【挑発的な態度・振舞いを避ける】
①凝視を避ける。ただし,完全に目をそらさずアイコンタクトは保つ
②淡々とした表情を保つ
③高慢,威圧的な印象を与えることを避けるため,姿勢や態度に注意する。特に,腰に手を当てたり,腕組みをしない
④ゆっくりと移動し,急な動作を行わない。身体の動きは最小限にし,身振り手振りが多過ぎることや,そわそわと身体を揺すったり,身体の重心を移動させるのを避ける。
【相手のパーソナルスペースを尊重し,自分自身が安全なポジションを保つ】
①患者に対応する前に,暴力発生を誘発したり,けがの原因になる,あるいは武器として使用される可能性のある所持品(ネクタイ,スカーフ,装飾品,ペン,ハサミ,バッジなど)を除去する
②いかなる時も相手に背を向けない
③通常より広いパーソナルスペース(最低でも腕の長さ2本分以上)を保つ
④対象の真正面に立つのを避け,およそ斜め 45°の立ち位置とする
⑤両手は身体の前面に出し,手掌を相手に向けるか,下腹部の前で軽く組むなど,相手に攻撃の意思がないことを示し,万一の攻撃・暴力発生に備える
⑥出入口を確認し,自分と対象の双方の退路を保つ位置に立つ。出入口やドアの前に立ちふさがらない
⑦壁やコーナーに追い詰められないようにする
⑧警告なしに相手に触れたり,接近しない
(引用:「興奮・攻撃性への対応」日本精神科救急学会様HPより)
問題64 一般の事業所や企業に就労を希望する精神障害者に対して行う支援で、24か月間を原則として就職に必要な訓練や求職活動を行うのはどれか。
1.就労移行支援
2.自立生活援助
3.ピアサポート
4.就労継続支援A型
解答1
解説
1.〇 正しい。就労移行支援は、一般の事業所や企業に就労を希望する精神障害者に対して行う支援で、24か月間を原則として就職に必要な訓練や求職活動を行う。就労移行支援とは、一般就労などを希望する就業が可能と思われる65歳未満の障害者に対して、知識・能力の向上、実習、職場探しなどを通じ、適性に合った職場への就労が見込まれる障害者を対象としたサービスである。事業所内での作業などを通じた訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援などを実施する。就労移行支援の期限は2年(特例で3年)である。本症例は、元の職場に戻るための準備をしている段階である。
2.× 自立生活援助とは、平成30年4月1日施行となる改正障害者総合支援法の中で新たに創設された障害福祉サービスである。居宅において単身等で生活する障害者につき、定期的な巡回訪問又は随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により、居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題を把握し、必要な情報の提供及び助言並びに相談、関係機関との連絡調整等の自立した日常生活を営むために必要な援助を行う。
3.× ピアサポートとは、自助グループ活動の一つであり、同じ問題や障害を背景にもつ人が、仲間同士として支え合うこという。ピアサポートを行う人たちのことを、「ピアサポーター」という。介護者同士の交流を促す場として、認知症介護者交流会、家族会、認知症カフェなどがある。
4.× 就労継続支援A型とは、利用期限制限なしで、【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者、② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者、③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者に実施し、【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能なものである。
①就労移行支援事業:利用期間2年
【対象者】一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)①企業等への就労を希望する者
【サービス内容】一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。
②就労継続支援A型(雇用型):利用期限制限なし
【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。
③就労継続支援B型(非雇用型):利用制限なし
【対象者】就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者
① 企業等や就労継続支援事業(A型)での就労経験がある者であって、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者
② 就労移行支援事業を利用したが、企業等又は就労継続事業(A型)の雇用に結びつかなかった者
③ ①、②に該当しない者であって、50歳に達している者、又は試行の結果、企業等の雇用、就労移行支援事業や就労継続支援事業(A型)
の利用が困難と判断された者
【サービス内容】
通所により、就労や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援。平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする。事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事へ報告、公表。
(引用:「就労移行支援について」厚生労働省様HPより)
問題65 Aさん(70歳、男性)は神経因性膀胱のため、膀胱留置カテーテルを挿入し在宅療養を開始することになった。
Aさんが行う膀胱留置カテーテルの管理で適切なのはどれか。
1.外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。
2.カテーテルは大腿の内側に固定する。
3.蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせる。
4.カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さない。
解答1
解説
膀胱留置カテーテルとは、尿道に留置する方法である。長期の留置により、膀胱が膨らみにくくなるため、他の方法が選択できるのであれば、長期留置は避けるべきである。
1.〇 正しい。外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。なぜなら、蓄尿量が多いと移動の妨げや尿の重みで抜去につながるおそれがあるため。ちなみに、蓄尿バッグの尿の破棄は、12時間ごとまたは蓄尿バッグの8割ほどどの尿がたまったときに実施する。頻回な蓄尿バッグの開放は、かえって感染リスクにつながる。
2.× カテーテルは、「大腿の内側」ではなく、下腹部に固定する。なぜなら、男性の場合、大腿部に固定するとカテーテルにより尿道損傷を起こすおそれがあるため。一方、女性の場合は太ももに固定する。男女ともに、カテーテルにゆとりがないと、体動のたびにカテーテルが引っ張られて、抜去しやすくなったり、尿道粘膜が摩擦によって損傷される危険性がある。女性の場合、膣から離すことで、膣分泌物によるカテーテル汚染を防ぐ。
3.× 蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせる優先度は低い。なぜなら、本症例から「尿が見られなくない」といった希望は聞かれていないため。ちなみに、蓄尿バッグにカバーをかける目的は、消臭や目隠しである。
4.× カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さないと決める必要はない。普段、カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さないが、留置カテーテルの閉塞などのトラブルにより外すこともある。しかし、普段は、カテーテルと蓄尿バッグの接続を不用意に外して接続部が不潔になると、逆行性の尿道感染をおこすおそれがあるため、外さないように指導する必要がある。つまり、状況に応じて外すことも考えられるため、今回の選択肢の中から考えると優先度が高いものが他にある。