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問題36 針刺し事故を防止する方法で適切なのはどれか。
1.採血時に手袋を着用する。
2.採血部位をアルコールで消毒する。
3.抜針した採血針はキャップをして破棄する。
4.針専用の廃棄容器は容量が8割程度に達したら処分する。
解答4
解説
感染予防策は、院内感染の防止策として推奨されている方法である。感染の有・無にかかわらず患者と医療スタッフすべてに適応される予防対策である。患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚は感染のおそれがあるとみなして対応・行動する方法である。
1.× 採血時に手袋を着用することは、「針刺し事故の防止」ではなく感染予防のために行う。ちなみに、針刺し事故とは、医療従事者が業務中に、患者血液が付着した器具によって被る外傷を代表例として示す言葉である。これら外傷は、日常の診療行為のなかで常に起こりうる状況にあり、医療従事者それぞれが本人自身および他人のことを考えて注意を払えば、確実に減少させうる種類の事故である。
2.× 採血部位をアルコールで消毒することは、「針刺し事故の防止」ではなく清潔保持のために行う。アルコール綿で拭くのは、皮膚の皮脂や垢(あか)を取り除き、刺入時に病原菌が侵入するのを防ぐために行う。
3.× 抜針した採血針はキャップをして破棄してはならない。なぜなら、キャップの再装着(リキャップ)は、針刺し事故につながりやすいため。その場で専用の廃棄容器に捨てる。
4.〇 正しい。針専用の廃棄容器は、容量が8割程度に達したら処分する。なぜなら、針専用の廃棄容器がいっぱいになると、針が外に飛び出して針刺し事故を引き起こす可能性があるため。容器の容量が8割程度に達したら処分することで、針刺し事故を防止することができる。
問題37 安楽な姿勢を保持する体位と枕を挿入する位置の組合せで適切なのはどれか。
1.Sims〈シムス〉位:腰背部
2.側臥位:胸腹部
3.半座位:前胸部
4.腹臥位:膝窩部
解答2
解説
1.× Sims〈シムス〉位は、「腰背部」ではなく胸腹部や膝に挿入する。Sims(シムス)位は、腹臥位に近い側臥位である。お腹を押しつぶすことなく敷布団に預けることができるため、重苦しさを感じにくい寝姿勢である。膣や直腸の診察に用いる体位で、妊婦特有の違和感をやわらげる効果も期待できる。
2.〇 正しい。側臥位は、胸腹部に挿入する。側臥位は、患者が横向きに寝る体位である。側臥位は、支持基底面が狭いため不安定である。したがって、膝を曲げたり、胸腹部に枕を挿入することで、患者の体が安定し、快適な姿勢が維持できる。
3.× 半座位は、「前胸部」ではなく頭部や膝窩部に挿入する半坐位(ファウラー位)とは、上体を45~60度起こし、膝をやや屈曲した体位である。これは、呼吸困難や胸の苦しさを軽減する目的で行うこともある。
4.× 腹臥位は、「膝窩部」に挿入しない。腹臥位(うつ伏せ)は、肺痰促進などの目的で用いられる体位である。基底面が広いため、緊張感が少なく、舌根沈下による気道閉塞を防ぐことができる。デメリットとして、より足尖位として拘縮しやすいこと、関節痛や腰痛を引き起こしやすいことがあげられる。
問題38 便の性状と原因の組合せで正しいのはどれか。
1.灰白色便:Crohn〈クローン〉病
2.鮮紅色便:鉄剤の内服
3.タール便:上部消化管出血
4.米のとぎ汁樣便:急性炎
解答3
解説
1.× Crohn〈クローン〉病は、「灰白色便」ではなく鮮紅色便である。クローン病とは、小腸や大腸などの粘膜に、慢性的な炎症を引き起こす病気のことで、クローン病は10~20歳代で発症するケースが多く、主に小腸や大腸に炎症が現れる。現在のところ、はっきりした発症原因はよく分かっていない。一般的な症状は腹痛と下痢である。しかし、口から肛門まで全ての消化器官に炎症を引き起こす可能性があるため、症状は人によって大きく異なる。栄養の消化吸収障害、炎症による消耗に伴う必要エネルギーの増加などが起こるため、食事・栄養管理は重要である。したがって、クローン病の食事療法は高カロリー・低脂肪食・低残渣食が基本とされている。低残渣食とは、胃腸に負担をかけないように調整した食事のことで、日常の食事で胃腸にもっとも負担をかける成分は食物繊維で、それを制限し負担をかけやすい脂肪の多い物・刺激の強い物・極端に冷たい物などを控えた食事のことである。必要エネルギーの補給のほか、腸管の安静と食事性アレルゲンの除去を目的として栄養療法を行う。治療では小腸や大腸などの炎症や、過剰な免疫作用を抑える薬物療法が中心に行われる。一方、灰白色便は、胆道閉鎖症でみられる便である。胆道閉鎖症とは、胆汁の通り道である胆管が生後間もなく完全に詰まってしまい、胆汁を腸管内へ排泄できない疾患である。症状は生後数か月以内の黄疸、灰白色便、肝腫大、ビタミンK不足による出血傾向などがある。治療には手術療法により詰まった胆管の一部を切除、もしくは肝移植が必要になることもある。
2.× 鉄剤の内服は、「鮮紅色便」ではなくタール便である。鮮紅色便は、下部消化管出血や直腸・肛門周囲の出血によって引き起こされる。
3.〇 正しい。上部消化管出血は、タール便がみられる。タール便とは、胃潰瘍など上部消化管出血のときに排出される血便の一種である。一般的に食道、胃、十二指腸からの出血は、ヘモグロビンの鉄が胃酸で酸化されるため起こる。
4.× 急性炎は、「米のとぎ汁様便」ではなく脂肪便や水様便になりやすい。ただ、便の形状については、急性膵炎の症状とは直接関連しない場合が多い。米のとぎ汁様便とは、ロタウイルスが原因の冬季下痢症が原因となり、白い水の様な下痢(米のとぎ汁様)が出る。熱が出ることもあり脱水状態になりやすく、まれにけいれんを起こすことがある。感染の多くは汚れた手(排泄物を扱った後)の不十分な手洗いや、汚染した環境を介してウイルスが体に入ると考えられる。
急性膵炎とは、膵臓の突然の炎症で、軽度のものから生命を脅かすものまであるが、通常は治まる。主な原因は、胆石とアルコール乱用である。男性では50歳代に多く、女性では70歳代に多い。症状として、飲酒・過食後に左上腹部痛・心窩部痛が発症する。悪心・嘔吐、悪寒、発熱、背部への放散痛もみられ、腹痛はアルコールや脂質の摂取で増悪する。
検査:膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼとリパーゼの血中濃度)が上昇する。
【治療】
軽症例:保存療法(禁食、呼吸・循環管理、除痛 等)
重症例:集中治療[臓器不全対策、輸液管理、栄養管理(早期経腸栄養)、感染予防、腹部コンパートメント症候群対策]
(※参考:「急性膵炎」MSDマニュアル家庭版より)
問題39 患者の足底と杖をつく位置を図に示す。
両上肢の動きに制限がなく、右下肢に軽度の筋力低下がある患者の三点歩行で、歩き始めの杖の位置が適切なのはどれか。
1.A
2.B
3.C
4.D
解答1
解説
(※図引用:「杖のつく位置」めぐみ訪問看護ステーションHPより)
1.〇 正しい。Aが、歩き始めの杖の位置である。①杖を健側につき、②15cm×15cm前につくことができている。
2~4.× B/Dは、患側についている。杖を健側につく理由として、主に歩行時に患側の負担を軽減するためである。正常歩行において、最も負担がかかるタイミングは片足立ちになった際である。右足を振り出したら、反対側の左手は振られ、左足は片足立ちとなっている。その際に、左足の負担を軽減するために右手に杖をつくのが良い。より正常歩行に自然な杖のつき方が可能となる。
3.× Cは、15cm×15cm前につくことができていない。前方につくことによって、支持基底面を拡大することができ安定しやすい。また、体幹も軽度前屈するため、重力による前方への推進力を得られやすい。
問題40 創傷治癒の成熟期の状態はどれか。
1.マクロファージが創内を清浄化する。
2.基底細胞が創面を覆う。
3.肉芽組織を形成する。
4.瘢痕を形成する。
解答4
解説
①血液凝固期(術後~数時間後):出血による凝固塊が欠損をふさいで止血する時期である。
②炎症期(術直後~3日目ころ):炎症性細胞(好中球、単球、マクロファージなど)が傷に遊走して、壊死組織や挫滅組織などを攻める時期である。
③増殖期(3日目~2週間後):線維芽細胞が周辺から遊走して、細胞外マトリックスを再構築し、血管新生が起こり、肉芽組織が形成される時期である。
④成熟期(2週間~数か月後)(再構築期:リモデリング期):線維芽細胞が減り、線維細胞へと成熟し変化するじきである。コラーゲンの再構築が起き、創部の抗張力が高くなることで創傷が治癒していく。
1.× マクロファージが創内を清浄化するのは、炎症期である。
2~3.× 基底細胞が創面を覆う/肉芽組織を形成するのは、増殖期である。
4.〇 正しい。瘢痕を形成するのは、成熟期である。瘢痕とは、傷跡のことである。擦り傷や切り傷、火傷(やけど)、手術の傷跡など様々な原因で瘢痕ができ、一般的に傷が深いほど目立つ傷になり、浅い傷であっても範囲が広いときになる状態となる。