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問題76 正常な糸球体で濾過される物質はどれか。
1.フィブリノゲン
2.ミオグロビン
3.アルブミン
4.血小板
5.赤血球
解答2
解説
糸球体とは、腎臓に血液を送る動脈が徐々に細くなった先にある毛細血管の球形の塊である。糸球体は、腎臓の機能単位であるネフロンの一部で、腎臓の外側部分である腎皮質に集まっている。腎髄質は腎臓の内側部分で、集合管などが存在する。腎臓には心臓から送りだされる血液の約4分の1が流れ込み、糸球体でろ過される。この濾過された液を原尿といい、1日に約150リットル作り出される。原尿には、不要な老廃物と、体に必要な物質(水分、糖分、ナトリウム、アミノ酸など)が含まれている。
1.× フィブリノゲンとは、血漿タンパクの一つであり、凝固因子の活性化によってフィブリンとなり、血液を凝固させる働きを持つ。増加した場合、血漿の粘稠度が上昇し血栓形成傾向を示す。 一方、低値の場合、播種性血管内凝固症候群(DIC)と肝機能障害が疑われる。
2.〇 正しい。ミオグロビンは、正常な糸球体で濾過される物質である。そもそもミオグロビンとは、筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質である。球体の濾過膜を通過し、尿中に排泄される。激しい筋肉運動では筋肉中のミオグロビンが細胞膜の透過性の亢進のために逸脱するため高値となる。
3.× アルブミンとは、肝臓で作られるたんぱく質で、肝臓や栄養状態の指標となる。血清総蛋白の60%程度を占め肝臓で生成される。アルブミンが低値の場合は、低栄養状態、がん、 肝硬変など、一方で高値の場合は、脱水により血管内の水分が減少し、濃縮効果によることが考えられる。
4.× 血小板とは、出血の際の一次止血や血液凝固機能に関与する。血液中の細胞成分である。したがって、血小板の数が少なすぎたり、機能に異常があると出血傾向となる。
5.× 赤血球とは、細胞内にヘモグロビンを含み、主に酸素の運搬を行う。血液中の細胞成分である。ちなみに、ヘモグロビンのヘム鉄が、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。
問題77 冷たい川に飛び込んだときに急激に体温が低下する原因で正しいのはどれか。
1.対流による体熱の放散
2.放射による体熱の放散
3.熱伝導による体熱の放散
4.代謝による熱エネルギー産生の低下
5.骨格筋における熱エネルギー産生の低下
解答1
解説
(図引用:「輻射熱(放射熱)とは?」サーモバリア様HPより)
熱には3つの熱伝導形態があり、①熱伝導、②対流熱、③熱放射である。
①熱伝導は、物質を介して熱が伝わることをいう。(簡単にいうと、直接触れることによる熱の移動)
②対流熱は、液体や気体の流れに乗って熱が移動することをいう。
③熱放射は、温度差がある物体の間で、熱が移動することをいう。
④エネルギー変換熱は、電磁波や超音波など体内で吸収されて熱エネルギーに変換することをいう。
1.〇 正しい。対流による体熱の放散は、冷たい川に飛び込んだときに急激に体温が低下する原因である。対流熱とは、液体や気体の流れに乗って熱が移動することをいう。
2.× 放射による体熱の放散とはいえない。熱放射とは、温度差がある物体の間で、熱が移動することをいう。
3.× 熱伝導による体熱の放散とはいえない。熱伝導とは、物質を介して熱が伝わることをいう。
4~5.× 代謝/骨格筋による熱エネルギー産生の低下とはいえない。体温が低いと筋肉を収縮させて熱を発生させる。この現象をふるえ熱産生という。小刻みな収縮:シバリングによって生体内で熱が産生される現象である。寒さによる「ふるえ」は骨格筋の不随意運動による筋収縮で発生するエネルギーが熱となるため、熱産生が増加する。
問題78 インスリンを過剰に投与したときに現れる症候で正しいのはどれか。
1.発熱
2.浮腫
3.口渇感
4.顔面紅潮
5.手足のふるえ
解答5
解説
血糖値が低下するとカテコラミン(インスリン拮抗ホルモン)の分泌が上昇し、交感神経刺激症状が出現する。さらに血糖値が低下すると脳・神経細胞の代謝が低下し、中枢神経症状が出現する。頭痛や空腹感などの比較的軽度な症状から始まるが血糖値が低下し続けると昏睡に至る。低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。①自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。予防法として、飴や角砂糖などを携帯してもらう。
1.× 発熱ではなく「冷感」が生じる。発熱は、インスリン過剰投与による症状ではありません。発熱は感染や炎症などの原因で起こります。
2.× 浮腫は生じにくい。浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
3.× 口渇感は、高血糖症状の一つである。高血糖症状は、著しい口渇、多飲、多尿、全身倦怠感などがある。これは、高血糖状態が続くと血漿浸透圧が上昇し、利尿が進むことで水・電解質の喪失が起こり、脱水状態に来す。高血糖の他にも、肝機能障害などの合併症、血流感染や静脈炎などのリスクがある。
4.× 顔面紅潮ではなく「顔面蒼白」が生じる。顔面紅潮とは、皮膚内にある毛細血管が拡張して血液がうっ滞するために皮膚が赤くみえている状態である。毛細血管は、自律神経による支配を受けているため、運動や怒り、不安、興奮等で交感神経が刺激されると血管は収縮し顔面紅潮につながる。
5.〇 正しい。手足のふるえは、インスリンを過剰に投与したときに現れる症候である。手足のふるえは、インスリン過剰投与によって引き起こされる低血糖の症状である。インスリンが過剰に働くことで、血糖値が急激に下がり、低血糖症状として手足のふるえが現れる。
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
問題79 僧帽弁狭窄症について正しいのはどれか。
1.弁口面積が拡大する。
2.左心房内圧が上昇する。
3.狭心痛を合併することが多い。
4.弁尖の先天的な3尖化が原因となる。
5.胸骨右縁第2肋間で心雑音を聴取する。
解答2
解説
(※図引用:「僧帽弁閉鎖不全症の原因、症状—早期に診断し適切な治療を行うために」Medical Note様HPより)
僧帽弁狭窄症とは、僧帽弁の開口部が狭くなり、左心房から左心室への血流が妨害(閉塞)されている状態である。
1.× 弁口面積は、「拡大」ではなく減少する。なぜなら、僧帽弁狭窄症は、僧帽弁の開口部が狭くなる病気であるため。弁口面積とは、心臓の弁の出口の広さのことを指す。
2.〇 正しい。左心房内圧が上昇する。なぜなら、僧帽弁狭窄症は、僧帽弁の開口部が狭くなる病気であるため。左心室から左心房への血流が妨げられ、左心房内圧が上昇する。
3.× 狭心痛を合併することは、「多い」のではなく少ない。なぜなら、狭心痛は、冠動脈の血流低下による(狭心症による)ものであるため。
4.× 原因は、「弁尖の先天的な3尖化」ではなくリウマチ熱である。リウマチ熱とは、A群レンサ球菌と呼ばれる細菌に感染することによって起こる病気である。子どもの頃に感染・発症することが一般的で、中年期になってから僧帽弁狭窄症を引き起こすことがある。
5.× 「胸骨右縁第2肋間」ではなく、胸骨左縁第5肋間で心雑音を聴取する。ちなみに、胸骨右縁第2肋間は、肺動脈弁領域である。
苦手な方まとめました↓
問題80 検査の画像を以下に示す。
狭心症の手術に最も重要な検査はどれか。
解答3
解説
狭心症とは、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる病気である。治療は、血管を拡張させる薬(硝酸薬)や、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する薬(抗血小板薬)を用いる。
1.× A(頭部MRI画像)は、頭部断面の構造をみるMRI、頭部の血管の様子を調べるMRAの両方を調べられる。脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など)の検出やリスク発見、特に虚血性の脳卒中である「脳梗塞」の検出力に優れている。
2.× B(胸部エックス線画像)は、肺や心臓の状態を調べる検査であり、主な適応疾患として、肺結核や肺炎などの炎症、肺癌、肺膿傷、肺気腫などの疾患や、気管支拡張症、心臓肥大などである。心胸郭比や心拡大の有無を調べることができる。
3.〇 正しい。C(冠動脈造影)は、狭心症の手術に最も重要な検査である。冠動脈造影とは、狭心症や心筋梗塞を確定するために行われる検査である。足の付け根や手首からカテーテルという細くやわらかい管を挿入し、冠動脈の中にX線に反応する造影剤を入れ、X線撮影する。
4.× D(心筋シンチグラフィ:心臓核医学検査)は、放射性同位元素を注射し、心筋に取り込まれた放射性同位元素から放出される放射線を撮影することにより、心筋の血流や心筋のダメージの程度を評価する検査である。負荷心筋血流シンチグラフィでは、心臓の状態や動きを調べ、狭心症や心筋梗塞、心筋症などの病気の有無やその程度を診断する。また、心臓の心筋に栄養を運ぶ血流の流れ(状態)を見るのに有用な検査である。具体的な血管まで見えず、設問で求められている狭心症の手術に最も重要な検査とはいえない。
5.× E(腹部CT画像)は、臓器や血管の状態を詳しく観察できる。炎症や腫瘍など、血流が豊富な部分に多くの造影剤が集まっていくため、炎症や腫瘍などの正確な位置を把握することができる。