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問題71 Aさん(70歳、男性、要介護1)は脳梗塞の後遺症で左不全麻痺がある。家屋内は杖を使用して移動が可能である。Aさんから 「入浴が不安なので安全な方法を教えてほしい」と訪問看護師に相談があった。
Aさんへの助言で適切なのはどれか。
1.手すりは左手で持つ。
2.左足から浴槽に入る。
3.浴室内を杖で移動する。
4.浴槽から出るときは入浴台〈バスボード〉を使う。
解答4
解説
・Aさん(70歳、男性、要介護1)
・脳梗塞の後遺症で左不全麻痺。
・家屋内:杖を使用して移動可能。
・Aさん 「入浴が不安なので安全な方法を教えてほしい」と。
・訪問看護師に相談があった。
→訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。
1.× 手すりは、「左手(麻痺側)」ではなく右手(非麻痺側)で持つ。なぜなら、本症例は、脳梗塞の後遺症で左不全麻痺であるため。左手(麻痺側)での手すりの把持は、体を支えるためには不十分となりやすく、転倒につながりやすい。
2.× 「左足(麻痺側)」ではなく右足(非麻痺側)から浴槽に入る。なぜなら、本症例は、脳梗塞の後遺症で左不全麻痺であるため。左足(麻痺側)から浴槽に入ると、感覚障害による熱傷のリスクが高まるだけでなく、転倒にもつながりやすい。
3.× 浴室内を杖で移動する優先度は低い。なぜなら、浴室内は滑りやすく、杖を使っての移動は危険であるため。代わりに、手すりや滑り止めマットを設置するっ必要がある。
4.〇 正しい。浴槽から出るときは入浴台〈バスボード〉を使う。バスボードとは、浴槽の上に設置する横型のボードで、浴槽の出入りの際に、ボードに腰掛けることで安全に遂行できるものである。本症例は、脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があるため、バスボードを使用することで安全に浴槽から出入りができる。
問題72 看護マネジメントのプロセスの「統制」はどれか。
1.看護職員の仕事への動機付けを行う。
2.病棟の目標をもとに看護活動の年間計画を立案する。
3.褥瘡ケアの改善に取り組むための担当チームを構成する。
4.病棟の1年間の業務評価に基づき看護活動の計画を修正する。
解答4
解説
①計画:目標数値を設定し、外部・内部環境を分析して戦略を立案する。
②組織化:組織体を設計、もしくは再構築して各部門の役割と責任を明確する。
③指揮:達成に向けて指示を出す。
④調整:各部門の活動は部分最適になることがある。
⑤統制:評価・モニタリングして計画未達の場合には計画の修正や新たな施策を検討する。
そして、再び①〜④のプロセスを繰り返していきます。
1.× 看護職員の仕事への動機付けを行うことは、「指揮」に該当する。指揮とは、達成に向けて指示を出すことである。
2.× 病棟の目標をもとに看護活動の年間計画を立案することは、「計画」に該当する。計画とは、目標数値を設定し、外部・内部環境を分析して戦略を立案することである。
3.× 褥瘡ケアの改善に取り組むための担当チームを構成することは、「組織化」に該当する。組織化とは、組織体を設計、もしくは再構築して各部門の役割と責任を明確することである。
4.〇 正しい。病棟の1年間の業務評価に基づき看護活動の計画を修正することは、看護マネジメントのプロセスの「統制」である。統制とは、評価・モニタリングして計画未達の場合には計画の修正や新たな施策を検討することである。
問題73 職員数が300人の病院の看護師の働き方に関するマネジメントで、労働安全衛生法に基づいて規定されているのはどれか。
1.1年以内ごとに1回、定期に心理的な負担の程度を把握するための検査を行う。
2.8時間を超える夜勤の時は1時間以上の休憩時間を確保する。
3.生理日に就業が著しく困難な場合は休暇の請求ができる。
4.妊娠中は請求すれば時間外労働が免除される。
解答1
解説
「労働安全衛生法」とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律である。事業者は安全衛生管理体制を整備することが義務づけられており、それぞれの事業規模に応じた①衛生管理者、②総括安全衛生管理者などを選任しなければならない。
①衛生管理者
職場の衛生にかかわる技術的事項の管理を行う。少なくとも毎週1回作業場の巡視を行い、設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに健康障害防止措置を講じなければならない。
②総括安全衛生管理者
安全管理者、衛生管理者を指揮し、安全・衛生・健康・事故防止などの統括管理を行う。その事業場で統括管理する者(工場長、支店長 等)を充てなければならない。
1.〇 正しい。1年以内ごとに1回、定期に心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行う。心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック制度)は、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務づける制度である。平成26(2014)年6月の法改正で、労働者50人以上の事業所で毎年1回、すべての労働者に対してストレスチェックを実施することが義務づけられた。ストレスチェック後に「高ストレス判定」が出た場合、会社の対応が義務つけられている。①検査の結果「高ストレス者」と判定された労働者から申し出があった場合、産業医などの医師による面談(面接指導)を実施すること。②面接指導の結果に基づき、医師の意見を聞き、必要に応じ就業上の措置を講じることも義務となる。
2.× 8時間を超える夜勤の時は1時間以上の休憩時間を確保することは、「労働基準法(34条)」に記載されている。(休憩)第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない(※引用:「労働基準法」e-GOV法令検索様HPより)。
3.× 生理日に就業が著しく困難な場合は休暇の請求ができることは、「労働基準法(68条)」に記載されている。(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない(※引用:「労働基準法」e-GOV法令検索様HPより)。
4.× 妊娠中は請求すれば時間外労働が免除されることは、「労働基準法(66条)」に記載されている。第六十六条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない(※引用:「労働基準法」e-GOV法令検索様HPより)。
労働基準法は、労働条件に関する最低限の基準を定めるものである。労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。
問題74 国際協力として5歳未満児死亡率の高い地域に1年間派遣されることになった看護師が、派遣される地域の住民に対して行う活動でプライマリヘルスケアの原則に基づいた活動はどれか。
1.高度な治療を目的とした活動
2.医学的研究の遂行を優先した活動
3.派遣先で入手できる資源を利用した活動
4.派遣される専門家チームを中心とする活動
解答3
解説
プライマリヘルスケアは、アルマ・アタ宣言(1978年)で提唱されたものである。地域住民が一次的に利用する保健医療サービスを指す。
提唱元:アルマ・アタ宣言(WHOとUNICEF)
概念:「すべての人々に健康を」を目標に、病気の治療よりも予防対策や健康管理に重点を置いた保健活動
【4つの原則】
①住民のニーズに基づくこと
②地域資源の有効活用
③住民参加
④農業・教育・通信・建設・水利等、多分野間の協調と統合
【8つの活動項目】
①健康教育(ヘルスプロモーション)
②食料の供給と栄養の改善
③安全な飲料水の供給と基本的な環境衛生
④母子保健サービス(家族計画を含む)
⑤主要な感染症の対策(予防接種)
⑥風土病の対策
⑦簡単な病気やけがの治療(プライマリケア)
⑧必須医薬品の供給
(※参考:「プライマリ・ヘルス・ケア」特定非営利活動法人シェア様HPより)
1~2.× 高度な治療を目的とした活動/医学的研究の遂行を優先した活動の優先度は低い。なぜなら、設問の地域は、5歳未満児死亡率の高い地域であるため。プライマリヘルスケアの概念は、「すべての人々に健康を」を目標に、病気の治療よりも予防対策や健康管理に重点を置いた保健活動である。
3.〇 正しい。派遣先で入手できる資源を利用した活動は、プライマリヘルスケアの原則に基づいた活動である。【4つの原則】として、①住民のニーズに基づくこと、②地域資源の有効活用、③住民参加、④農業・教育・通信・建設・水利等、多分野間の協調と統合があげられる。
4.× 「派遣される専門家チーム」ではなく地域住民を中心とする活動を行う。プライマリヘルスケアでは、地域住民の参加や協力が重要視される。
問題75 音を感知するラセン器 〈Corti器〉があるのはどれか。
1.蝸牛管
2.半規管
3.鼓室
4.鼓膜
5.前庭
解答1
解説
(※画像引用:やまだカイロプラクティック院様)
聴覚刺激は、内耳のラセン器で受容され、双極細胞の末梢性突起を経て、中枢性突起に伝えられる。そして蝸牛神経として橋に入り、蝸牛神経核に達し、ニューロンを交代する。蝸牛神経核から起こる線維が交差し台形体をつくる。その後、外側毛帯となり橋の背側部を上行→中脳下丘→視床後端にある内側膝状体に至る。ここで中継され、内包後脚のレンズ下部を通り、側頭葉の聴覚野(上側頭回の上面)に達する。
1.〇 正しい。蝸牛管は、音を感知するラセン器がある。コルチ器とは、内耳の蝸牛にあり、聴覚に関与する。コルチ器の有毛細胞は、音の振動に対して有毛細胞が動くことで音を感知する。コルチ器官は、聴覚の受容器細胞である有毛細胞と複数の支持細胞で構成される。ちなみに、蝸牛とは、中耳から伝えられた音波を感じとり、それがどのような音であったかを分析して、聴神経(蝸牛神経)を通して脳へ伝える役割を持つ。
2.× 半規管とは、頭部を回転した場合に生じる回転加速度(角加速度)を受容し、耳石器(卵形嚢と球形嚢)は、頭部の傾きや乗り物やエレベーターに乗った場合に生じる直線加速度を受容する(頭部の傾きの検出も、重力方向、すなわち直線加速度を感知することである)。外側半規管は水平面に反応、前半規管は前額面に反応、後半規管は矢状面に反応する。
3.× 鼓室とは、中耳にある空気が充満した空間で、音を振動として伝達する役割がある。鼓膜からの振動を耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)を通じて内耳の蝸牛管へ伝達させる。
4.× 鼓膜とは、外耳と中耳を隔てる薄い膜状の構造物で、音波の振動を受け取り、骨伝導によって中耳へ伝達する。鼓膜から、ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨の順に伝わっていく。
5.× 前庭とは、内耳の一部で、平衡感覚に関与している。前庭は、垂直方向の加速度や重力による刺激を感知する役割を果たす。
(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)