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問題56 入院中の高齢者への看護師の対応で適切なのはどれか。
1.入院当日から複数の看護師が関わる。
2.1回の訪室で多くの情報を聴取する。
3.1日のスケジュールは口頭で説明する。
4.退院後の生活を予測して情報収集する。
解答4
解説
1.× 入院当日から複数の看護師が関わる優先度は低い。なぜなら、入院当日はただでさえ覚えることが多く、新しい環境であり、入院患者にとってストレスや混乱の原因となるため。環境の変化によって症状の悪化や混乱を招くこともある(リロケーションダメージ)。
2.× 1回の訪室で多くの情報を聴取する優先度は低い。どれぐらいが「多くの情報」か基準はないが、高齢者にストレスや負担がかからないように配慮する必要がある。優先度が低い必要ではない情報は、のちのち何度かに分けて聞くようにしよう。
3.× 1日のスケジュールは口頭で説明する優先度は低い。なぜなら、口頭のみでは、「言った・言わない」で揉める可能性があるため。しっかり書面(スケジュール)で説明することで、揉めることもなくなり、さらに患者はその書面で見直すこともできる。
4.〇 正しい。退院後の生活を予測して情報収集する。なぜなら、高齢者は入院中に機能低下をきたしやすく、退院後、思わぬ日常生活動作ができないといったことがあるため。家屋状況や買い物、料理など、ADLだけではなくIADLまで情報収集しておくことが大切である。
IADL(手段的日常生活動作)とは、日常生活を送るために必要な動作の中でも基本的なADLよりも複雑で高度な動作をいう。項目として、①電話を使用する能力、②買い物、③食事の準備、④家事、⑤洗濯、⑥移送の形式、⑦自分の服薬管理、⑧財産取り扱い能力である。
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問題57 1歳6か月の身体発育曲線 (体重) を示す。
異常が疑われるのはどれか。
解答3
解説
1~2.〇 正常である。それぞれ基準線内に沿っての体重増加が見られている。
3.× 異常が疑われる。なぜなら、生後12か月から18か月にかけて、体重の増加が見られていないため。生後12か月まで平均の基準線に推移していたが、18か月で逸脱したことから、異常が疑われる。
4.〇 正常である。-0.25付近を推移しているが、基準線に沿って体重が増加していることから正常と考えられる。
(図引用:「平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要)」厚生労働省HPより)
パーセンタイル値は、乳幼児の身長・体重・頭囲・胸囲について評価するための指標のひとつである。計測値を小さいものから大きいものへと順番に並べ、全体を100として何番目であるかを表したものである。10パーセンタイルから90パーセンタイルまでは正常範囲とされる。
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問題58 幼児期の心理社会的特徴はどれか。
1.自己中心性
2.心理的離乳
3.ギャングエイジ
4.ボディイメージの変容
解答1
解説
1.〇 正しい。自己中心性は、幼児期の心理社会的特徴である。自己中心性とは、物事が自分にとってどう見えるかという視点から外界を認識するということである。常に認識の軸がいつも自分にある。2〜7歳ぐらいの時期である幼児期の子どもの多くは、「自分と相手では見ている位置が違うから、見える景色も違う」といった認識はまだ難しい。
2.× 心理的離乳とは、思春期に親や家族に反発する第二次反抗期がみられることである。 親などから精神的に自立し、友人関係が重要となる。
3.× ギャングエイジとは、小学校後半から思春期の前までの時期(児童期)をいう。同性同年代の閉鎖的集団をつくり、メンバーの間だけで通用する合い言葉や秘密の遊び場をつくったりする。それまでの親や教師への一方的依存関係から脱却して、より対等で相互的な人間関係を求めるようになる時期であるが、親や教師からは一見反逆集団のようにみえるため、ギャング・エイジと呼ばれる。
4.× ボディイメージの変容とは、思春期において重要な心理社会的特徴である。この時期には、身体的成長や第二次性徴に伴って、自分の身体に対する認識や評価が変化する。一般的には、ボディイメージの変容も喪失体験なので、衝撃、防御的退行、承認、適応といったプロセスを経て受容していく。
乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
児童期・学童期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
前成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
成人期(結婚から子供が生まれる時期):生殖性vs自己没頭
壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望
問題59 正常な幼児期の基本的生活習慣で、2歳0か月ころまでに習得するのはどれか。
1.鼻をかむ。
2.スプーンを使う。
3.夜間のおむつがとれる。
4.洋服のボタンをとめる。
解答2
解説
1.× 鼻をかむこと(一人で自立の場合)は、4歳に習得できる。
2.〇 正しい。スプーンを使うことは、正常な幼児期の基本的生活習慣で、2歳0か月ころまでに習得する。
3.× 夜間のおむつがとれることは、4歳に習得できる。
4.× 洋服のボタンをとめることは、3歳に習得できる。
(※図:日本版デンバー式発達スクリーニング検査)
問題60 母子保健法に規定されているのはどれか。
1.母子健康包括支援センター
2.乳児家庭全戸訪問事業
3.助産施設
4.特定妊婦
解答1
解説
母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。
1.〇 正しい。母子健康包括支援センターは、母子保健法(22条)に規定されている。子育て世代包括支援センター(母子健康包括支援センター)は、主に乳幼児を中心とした母子保健に関する相談への対応を行っている。子育て世代包括支援センターとは、母子保健法に基づき市町村が設置するもので、保健師等の専門スタッフが妊娠・出産・育児に関する様々な相談に対応し、必要に応じて支援プランの策定や地域の保健医療福祉の関係機関との連絡調整を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を一体的に提供している。
2.× 乳児家庭全戸訪問事業は、児童福祉法(第6条の3)に規定されている。児童福祉法(第6条の3)「この法律で、乳児家庭全戸訪問事業とは、一の市町村の区域内における原則として全ての乳児のいる家庭を訪問することにより、厚生労働省令で定めるところにより、子育てに関する情報の提供並びに乳児及びその保護者の心身の状況及び養育環境の把握を行うほか、養育についての相談に応じ、助言その他の援助を行う事業をいう」と記載されている(※引用:「児童福祉法」e-GOV法令検索様HPより)。
3.× 助産施設は、児童福祉法(第35~36条)に規定されている。児童福祉法(第35条)「国は、政令の定めるところにより、児童福祉施設(助産施設、母子生活支援施設、保育所及び幼保連携型認定こども園を除く。)を設置するものとする」、また(第36条)「助産施設は、保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由により、入院助産を受けることができない妊産婦を入所させて、助産を受けさせることを目的とする施設とする」と記載されている(※引用:「児童福祉法」e-GOV法令検索様HPより)。
4.× 特定妊婦は、児童福祉法(第6条の3)に規定されている。ちなみに、特定妊婦とは、妊娠中から家庭環境におけるハイリスク要因を特定でき、出産前の支援が必要な妊婦のこと。ハイリスク要因には、収入基盤の不安定さ、親が知的・精神的障害者、若年の妊婦、妊婦健康診査未受診、妊娠届の未提出などがある。
第三章 母子健康包括支援センター
第二十二条 市町村は、必要に応じ、母子健康包括支援センターを設置するように努めなければならない。
2 母子健康包括支援センターは、第一号から第四号までに掲げる事業を行い、又はこれらの事業に併せて第五号に掲げる事業を行うことにより、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に関する包括的な支援を行うことを目的とする施設とする。
一 母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に関する支援に必要な実情の把握を行うこと。
二 母子保健に関する各種の相談に応ずること。
三 母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導を行うこと。
四 母性及び児童の保健医療又は福祉に関する機関との連絡調整その他母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に関し、内閣府令で定める支援を行うこと。
五 健康診査、助産その他の母子保健に関する事業を行うこと(前各号に掲げる事業を除く。)。
3 市町村は、母子健康包括支援センターにおいて、第九条の相談、指導及び助言並びに第十条の保健指導を行うに当たつては、児童福祉法第二十一条の十一第一項の情報の収集及び提供、相談並びに助言並びに同条第二項のあつせん、調整及び要請と一体的に行うように努めなければならない。
(※引用:「母子保健法:22条」e-GOV法令検索様HPより)