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問題26 骨格筋の細胞膜には( )に対する受容体がある。自己抗体がこの受容体の働きを阻害すると骨格筋は収縮できなくなる。
( )に入る神経伝達物質として正しいのはどれか。
1.アセチルコリン
2.アドレナリン
3.ドパミン
4.ノルアドレナリン
解答1
解説
1.〇 正しい。アセチルコリンが、( )に入る神経伝達物質である。設問:骨格筋の細胞膜には(アセチルコリン)に対する受容体がある。自己抗体がこの受容体の働きを阻害すると骨格筋は収縮できなくなる。アセチルコリンとは、代表的な神経伝達物質であり、①運動神経の神経筋接合部、②交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで放出される。アセチルコリンは、中枢神経で働く場合と末梢神経で働く場合で作用が異なる。①運動神経の神経筋接合部では、筋収縮に作用する。
2.× アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎というところの中の髄質から分泌されるホルモンである。主な作用は、心拍数や血圧上昇などがある。自律神経の交感神経が興奮することによって分泌が高まる。
3.× ドパミンとは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質である。脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられている。 統合失調症の治療薬は、ドパミンD2受容体に結合して不活性化させる。
4.× ノルアドレナリンとは、激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質である。ノルアドレナリンが交感神経の情報伝達物質として放出されると、交感神経の活動が高まり、その結果、血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、体を活動に適した状態となる。副腎髄質ホルモンとして放出されると、主に血圧上昇と基礎代謝率の増加をもたらす。
問題27 健常な女子(15歳)が野外のコンサートで興奮し、頻呼吸を起こして倒れた。このときの女子の体内の状態で正しいのはどれか。
1.アルカローシスである。
2.ヘマトクリットは基準値よりも高い。
3.動脈血酸素飽和度 〈SaO2〉は 100% を超えている。
4.動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉は基準値よりも高い。
解答1
解説
1.〇 正しい。アルカローシスである。興奮によって頻呼吸を起こすと、二酸化炭素が体から速く排出され、血液中の二酸化炭素濃度が低下する。これにより、血液のpHが上昇し、呼吸性アルカローシス(アルカリ性傾向)が生じたと考えられる。過換気症候群とは、器質的障害が認められないのにストレスや緊張、不安などの心理的要因等により発作的に肺胞過換気状態を生じ、呼吸性アルカローンスに基づく臨床症状を呈する病態をいう。1回換気量と呼吸数の増加により分時換気量が増加する。
2.× ヘマトクリットは基準値よりも高いと断言することはできない。ヘマトクリット値とは、血液中に占める赤血球の体積の割合を示す数値である。貧血検査などに利用される。成人男性で40~50%、成人女性で35~45%程度が正常値であるとされる。
3.× 動脈血酸素飽和度 〈SaO2〉は 100% を超えることはない。動脈血酸素飽和度とは、酸素はヘモグロビンと結合している比率のことで、正常ではヘモグロビンの約96~99%に酸素が結合している。
4.× 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉は基準値よりも「高い」のではなく低い。なぜなら、本症例のように、頻呼吸が起こると、二酸化炭素が体から速く排出されるため。動脈血二酸化炭素分圧は基準値よりも低くなる。
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問題28 薬物の分解、排泄の速さの指標となるのはどれか。
1.最高血中濃度
2.生物学的半減期
3.濃度曲線下面積
4.最高血中濃度到達時間
解答2
解説
1.× 最高血中濃度とは、薬物を投与した後、2回目の投与を行う前に、血中において薬物が到達する最大濃度のことである。薬物動態学における標準的な測定値である。
2.〇 正しい。生物学的半減期は、薬物の分解、排泄の速さの指標となる。生物学的半減期とは、薬物の血中濃度が半分になるまでの時間で、薬物の分解や排泄速度を示す指標とる。半減期が短いほど、薬物は体内から速く排泄されることを意味する。
3.× 濃度曲線下面積とは、薬物動態学の分野において、血漿中の薬物濃度の変化を時間の関数として記述した曲線の定積分である。したがって、薬物の全体的な暴露度を示します。
4.× 最高血中濃度到達時間とは、薬物が最高血中濃度に達するまでの時間である。これは、薬物の吸収速度に関連する。
問題29 多発性骨髄腫で腫瘍化しているのはどれか。
1.B細胞
2.T細胞
3.形質細胞
4.造血幹細胞
解答3
解説
多発性骨髄腫は、形質細胞がクローン性に増殖するリンパ系腫瘍である。増殖した形質細胞やそこから分泌される単クローン性免疫グロブリンが骨病変、腎機能障害、M蛋白血症などさまざまな病態や症状を引き起こす。多発性骨髄腫の発症年齢は65~70歳がピークで男性が女性より多く約60%を占める。腫瘍の増大、感染症の合併、腎不全、出血、急性白血病化などで死に至る。
主な症状として、頭痛、眼症状の他に①骨組織融解による症状(腰痛・背部痛・圧迫骨折・病的骨折・脊髄圧迫症状・高カルシウム血症など)や②造血抑制、M蛋白増加による症状(貧血・息切れ・動悸・腎機能障害)、易感染性(免疫グロブリン減少)、発熱(白血球減少)、出血傾向(血小板減少)などである。
1.× B細胞とは、T細胞と同じリンパ球の一種で、免疫機構を担う重要な細胞である。 B細胞は、リンパ球の約20~40%を占め、骨髄で産生され骨髄内で分化、成熟する。
2.× T細胞とは、血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種である。胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取ってT細胞と名付けられた。T細胞は膠原特異的な免疫応答である獲得免疫に関与する。免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞や癌細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類される。
3.〇 正しい。形質細胞は、多発性骨髄腫で腫瘍化している。多発性骨髄腫は、形質細胞がクローン性に増殖するリンパ系腫瘍である。増殖した形質細胞やそこから分泌される単クローン性免疫グロブリンが骨病変、腎機能障害、M蛋白血症などさまざまな病態や症状を引き起こす。多発性骨髄腫の発症年齢は65~70歳がピークで男性が女性より多く約60%を占める。腫瘍の増大、感染症の合併、腎不全、出血、急性白血病化などで死に至る。
4.× 造血幹細胞とは、骨髄に存在し、全ての血液細胞(赤血球、白血球、血小板)の前駆細胞である。造血幹細胞がさまざまな細胞に成長する過程を「分化」という。ちなみに、造血幹細胞が腫瘍化した場合は、骨髄増殖性腫瘍という。
問題30 くも膜下出血の成因で最も多いのはどれか。
1.外傷
2.脳腫瘍
3.脳動脈瘤
4.脳動静脈奇形
解答3
解説
くも膜下出血とは、くも膜と呼ばれる脳表面の膜と脳の空間(くも膜下腔と呼ばれ、脳脊髄液が存在している)に存在する血管が切れて起こる出血である。約85%が、破裂脳動脈瘤が原因である。くも膜下出血ではくも膜下腔に血液が流入し、CTでは高吸収域として抽出される。合併症には、①再出血、②脳血管攣縮、③正常圧水頭症などがある。①再出血:発症後24時間以内が多く、死亡率も高い。②脳血管攣縮:72時間後〜2週間後(ピークは8〜10日)が多く、脳血管攣縮による梗塞の好発部位は、「前交通動脈」である。③正常圧水頭症:数週〜数ヶ月後に認知症状、尿失禁、歩行障害などの症状が出現する。
1.× 外傷により生じる脳出血として、硬膜下血腫があげられる。硬膜下血腫は、①急性と②慢性に大きく分類される。①急性硬膜下血腫とは、短時間のうちに硬膜と脳の間に血腫が形成された状態のことであり、頭部外傷としては重症に分類される。ほとんどが頭部外傷によるもので、児童虐待の死因として最も多い。一方、②慢性硬膜下血腫とは、軽度の外傷により軽微な出血が起こり、経時的に血腫が増大し、やがて症状が現れる。症状として、認知障害、頭痛、尿失禁、歩行障害、片麻痺などである。CT画像から、急性硬膜下血腫に特徴的な①三日月状の高吸収域、②左側脳室体部の圧排変形、③midlineの偏位がみられる。
2.× 脳腫瘍とは、脳にできるがんのことである。
3.〇 正しい。脳動脈瘤は、くも膜下出血の成因で最も多い。脳動脈瘤とは、脳内部の中~小動脈(径1~6mm)に発生する瘤状あるいは紡垂状のふくれた部分のことである。原因として、高血圧や動脈硬化、家族性などが示唆されているが、要因の不明なものが大半を占めている。この拡張部が破裂すると、くも膜下出血が発生する。
4.× 脳動静脈奇形とは、脳の中で異常な動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながり、この部分がとぐろを巻いたような塊(ナイダス)となっている状態の血管奇形である。 選択肢の中で最も多いとはいえないが、正常な血管に比べて壁が薄く、破れやすいため、破れると脳出血、くも膜下出血となる。