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問題21 オートクレーブによる滅菌法はどれか。
1.酸化エチレンガス滅菌
2.高圧蒸気滅菌
3.放射線滅菌
4.乾熱滅菌
解答2
解説
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。
1.× 酸化エチレンガス滅菌は、温度や湿度の繊細な医療器具に適した滅菌方法である。酸化エチレンガスとは、比較的低い温度でも極めて強い殺菌力を発揮し、金属・非金属の区別なく利用できるため理想的な滅菌法として普及している。適用:カテーテル類、プラスチック製品、不織布、ゴム製品など。適用外:液体、ガスが通りにくい形状のもの、直ぐに使用したいもの。欠点として、滅菌処理・エアレーション時間(ガスの残留毒性が強いため、これらを除去する処理)が長いことがあげられる。
2.〇 正しい。高圧蒸気滅菌は、オートクレーブによる滅菌法である。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)とは、飽和水蒸気(空気が排除され蒸気で満たされた状態)の中で135℃付近まで加熱し、発生した水分により蛋白凝固を促進して微生物を死滅させる方法をいう。利点として、①浸透性が強いこと、②残留毒性がないこと、③短時間で滅菌可能であることなどがあげられる。
3.× 放射線滅菌とは、温度上昇もなく、安全で確実に菌を死滅させることができる滅菌方法である。ガンマ線は透過力に優れているため、梱包形態の制限も、線量のバラツキも少なく、金属や水入り製品粉末、フィルム原反など高密度製品も滅菌可能である。電子線は、処理スピードが速く高線量照射や改質処理に適している。欠点としては、プラスチック(樹脂)製品の場合、材質が劣化する。
4.× 乾熱滅菌とは、滅菌法の中で加熱法に分類される加熱乾燥空気で微生物を殺滅する滅菌法である。ガラス製、磁製、金属製など耐熱性の高い材質のものや鉱油、脂肪油、固形の医薬品など熱に安定なものが適している。オートクレーブと異なり、湿気が使用されない。
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問題22 薬物の吸収速度が最も早いのはどれか。
1.経口投与
2.筋肉内注射
3.静脈内注射
4.直腸内投与
解答3
解説
静脈内与薬>直腸内与薬>筋肉内注射>皮下注射>皮内注射>経口与薬の順である。
1.× 経口投与とは、消化管より吸収され、門脈を経て肝臓に達し、血中タンパク質との抱合などによる代謝を受けて、全身に循環する。その後、薬物およびその代謝物は、肝臓(胆汁)や腎臓(尿)より排出される。空腹時に服用する薬、食後に服用する薬、特定の他の薬と併用してはいけない薬、経口投与できない薬などに分けられる。
2.× 筋肉内注射とは、医薬品を直接筋肉に注射することをいう。 医薬品の投与方法の一つである。一般的には筋肉注射または筋注と呼ばれる。
3.〇 正しい。静脈内注射は、薬物の吸取速度が最も早い。静脈内注射とは、血管内に直接薬液を注入する方法で、静脈内に入った薬剤は全身から戻った血液と融合し、1分後には動脈を介して全身に達す。
4.× 直腸内投与とは、座薬とも呼び、直腸に挿入された薬剤は直腸内で溶解し、直接直腸粘膜から吸収される。薬物の吸収速度は、静脈内与薬>直腸内与薬>筋肉内注射>皮下注射>皮内注射>経口与薬の順である。
問題23 室内空気下での呼吸で、成人の一般的な酸素療法の適応の基準はどれか。
1.動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr以上
2.動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr未満
3.動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉60Torr以上
4.動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉60Torr未満
解答2
解説
①動脈血酸素分圧(PaO2)<60mmHg あるいは 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)<90%
②患者さんの判断力の低下、混迷、意識消失、不整脈、頻脈あるいは徐脈、血管拡張、血圧低下、中心性チアノーゼなどの身体所見を認めるとき
③短期治療また外科的手術の場合(麻酔回復期後など)
(引用:「酸素療法NAVI – 知っておきたい酸素療法の基礎知識 〜開始基準や酸素投与の方法について〜」ATOM MEDICAL様HPより)
1.× 動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr以上は、血中の酸素濃度が充分であると判断できる。
2.〇 正しい。動脈血酸素分圧〈PaO2〉60Torr未満は、室内空気下での呼吸で、成人の一般的な酸素療法の適応の基準である。あるいは、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)90%未満が、酸素療法の適応と開始基準となる。なぜなら、血中の酸素濃度が不十分であると判断できるため。
3.× 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉60Torr以上は、高二酸化炭素血症と判断するが、これだけでは酸素療法の適応を判断できない。動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉とは、換気の状態を表す指標である。正常値は、35~45mmHgである。主に、非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉療法が適応となる。
4.× 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉60Torr未満は、高二酸化炭素血症と判断するが、これだけでは酸素療法の適応を判断できない。動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が低下すると、血液中の二酸化炭素の量が低下しますのでpHは上昇します。つまり、呼吸性アルカローシスになる。呼吸性アルカローシスは、過換気症候群などの呼吸数の増加で起こり、PaCO2は低下し、アルカリ性に傾いている状態である。ちなみに、アルカローシス(アルカリ性)とは、pHが上昇している状態である。一方、アシドーシス(酸性)とは、pHが低下している状態である。
非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉療法は、気管切開することなくマスクを介して換気を行う治療法である。高二酸化炭素血漿を伴う呼吸不全(Ⅱ型呼吸不全)が対象となる。非侵襲的陽圧換気は、挿管をせずに鼻・口にマスクを使用した陽圧換気法で、患者にとって負担の少ない補助換気法である。気管内挿管が不要であるため患者は、苦痛が少ないが、挿管をして換気を行う侵襲的陽圧換気法の方が気道確保や換気は確実である。
【睡眠時のNPPVの適応】
①慢性肺胞低換気(肺活量が60%以下の場合はハイリスク)
②昼間に酸素飽和度以下(94%以下)または高二酸化炭素血症(45mmHg以下)
③睡眠時SpO2モニターで、apnea-hypopnea index(AHI)が10/時間以上、SpO2が92%未満になることが4回以上か、全睡眠時間の4%以上
【睡眠時に加えて覚醒時のNPPVの適応】
①呼吸困難に起因する嚥下困難
②ひと息に長い文章を話せない
③慢性肺胞低換気症状を認め、昼間に酸素飽和度以下(94%以下)または高二酸化炭素血症(45mmHg以上)
(引用:NPPVガイドライン改訂第2版より)
問題24 CO2ナルコーシスの症状で正しいのはどれか。
1.咳嗽
2.徐脈
3.浮腫
4.意識障害
解答4
解説
慢性閉塞性肺疾患の患者は、慢性的に血中CO2濃度が上昇しており、体内のCO2濃度を感知する中枢化学受容体での感受性が鈍くなっている。したがって、普段の呼吸運動は低酸素を感知している酸素の受容体(末梢化学受容体)からの刺激によって起こっている。しかし、高濃度の酸素を投与されると酸素の受容体は体内に酸素が十分にあると判断し、呼吸中枢を抑制して呼吸運動が減弱する。その結果、体内に高度のCO2蓄積が起こり、意識障害などの中枢神経症状(初期には呼吸促迫や頻脈、発汗、頭痛など)が起こる。CO2ナルコーシスの3徴候:①自発呼吸の減弱、②呼吸性アシドーシス、③意識障害があげられる。
1.× 咳嗽はみられない。咳嗽とは、気管や喉の粘膜から刺激を受け、胸や肺を使って空気を吐き出す反射的な行動で、つまり咳のことである。咳嗽は、喉や気管の炎症、感染、アレルギー、肺疾患、煙草の使用などの原因で引き起こされる。
2.× 徐脈はみられない。CO2ナルコーシスの初期症状として、頻脈があげられる。高二酸化炭素血症によって徐脈が引き起こされる。
3.× 浮腫はみられない。浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
4.〇 正しい。意識障害は、CO2ナルコーシスの症状である。CO2ナルコーシスは、二酸化炭素が血中に過剰に溜まることで生じる状態で、中枢神経症状(意識障害や錯乱、頭痛、昏睡など)の症状が現れる。
問題25 母乳栄養の児に不足しやすいのはどれか。
1.ビタミンA
2.ビタミンB
3.ビタミンC
4.ビタミンE
5.ビタミンK
解答5
解説
新生児ビタミンK欠乏性出血症とは、出生後7日以内に起きるビタミンK欠乏に基づく出血性疾患である。出血斑や注射・採血など皮膚穿刺部位の止血困難、吐血、下血が認められ、重度の場合は頭蓋内出血など致命的な出血を呈する場合もある。特に第 2~4生日に起こることが多いものの出生後24時間以内に発症することもある。合併症をもつ新生児やビタミンK吸収障害をもつ母親から生まれた新生児、妊娠中にワルファリンや抗てんかん薬などの薬剤を服用していた母親から生まれた新生児では、リスクが高くなる。また、新生児でビタミンK欠乏状態に陥るのは、①母乳中のビタミンK含量が少ないこと、②ビタミンKは経胎盤移行性が悪いこと、③出生時の生体内の蓄積量が元々少ないうえ、腸内細菌叢が十分には形成されていないことが理由として考えている。
ビタミンK欠乏性出血症の予防には、出生直後および生後1週間(産科退院時)ならびに生後1か月の3回、ビタミンK2シロップ1mL(2mg)をすべての合併症のない成熟新生児に投与する方式が普及している。
1.× ビタミンAは不足しにくい。ビタミンAは、妊娠初期の過剰な摂取によって胎児の異常が生じる危険性がある栄養素である。妊娠初期にビタミンAを過剰に摂取すると胎児に奇形(特に耳)を起こす可能性が高くなる。ビタミンAはレバーやうなぎなどに含まれ、妊娠中の必要量は1日2000 IU(600μg)で、上限は1日 5000 IU(1500μg)とされている。ちなみに、ほかにも妊娠初期に配慮すべき栄養素として、鉄・カルシウム・ビタミンA・葉酸・必須脂肪酸・ヨウ素があげられる。
2.× ビタミンBは不足しにくい。ビタミンB1は母乳にも分泌される。ただし、妊娠中や授乳中は普段よりも多めにビタミンB1を摂ることが推奨されている。ビタミンB1は肉、魚、豆類、穀類、種実類などに含まれる。
3.× ビタミンCは不足しにくい。ビタミンCは、皮膚や血管などからだの主要なタンパク質であるコラーゲンをつくるのに必要な栄養素である。妊娠中は110mg、授乳中は145mgの摂取が推奨されている。ちなみに、ビタミンCは、抗酸化作用をもち、多くのホルモン合成や薬物代謝に関わる。ビタミンC欠乏は、壊血病を生じる。壊血病は、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる。
4.× ビタミンEは不足しにくい。ビタミンEは、脂質の酸化防止である。ビタミンE欠乏は、溶血性貧血や神経障害の原因となる。溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。
5.〇 正しい。ビタミンKは、母乳栄養の児に不足しやすい。ビタミンKは、出生直後の新生児に必要であり、出生後数日間は母乳中のビタミンKは不足しがちである。ビタミンK欠乏は、出血傾向となる。新生児ではこれを予防するためシロップなどにより補充を行うことが一般的である。
ケイツーシロップは、 赤ちゃんに起こりやすい出血を防ぐためのお薬です。 ケイツーシロップ1mL あたり、 ビタミンK2を2mg含んでいます。日本の多くの産科施設では、 赤ちゃんに対してケイツーシロップを合計 3 回 (出生2~3日後:哺乳確立後、 生後1週、 生後1ヵ月時)、 各1回1mL を投与して、 ビタミンKの欠乏を防いでいます。 この方法でほとんどの赤ちゃんのビタミンK欠乏を予防できますが、 中には 3 回投与してもビタミンK欠乏性出血症を発症する赤ちゃんがいるので、 生後3か月まで毎週 1 回ケイツーシロップを投与する方法も勧められています。当院でもビタミンK欠乏をより確実に予防するために3か月法を採用しています。
新生児ビタミンK欠乏性出血症とは、生まれてから7日までに起こります。 特に生後2~4日目に起こりやすく、 消化管での出血が多いため、 血を吐いたり、便に血が混じったりします。
(※一部引用:「ビタミンK2シロップの予防投与についてのご案内」成城木下病院様HPより)