第112回(R8)保健師国家試験 解説【午前41~45】

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次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、男性、会社員)は、妻(30歳)と長女(生後7か月)の3人暮らしである。妻と長女が乳児健康相談のため保健センターに来所した。妻から「夫が毎日20本以上喫煙しています。子どもへの影響が心配です」と保健師に相談があった。

41 面談の中で、Aさんは「私は父を尊敬していて、父のタバコを吸う姿にも憧れているのだと思います。父はがん検診を毎年受けていますが問題はなく、そんな父の息子ですから私も大丈夫です」と保健師に話した。自宅では換気扇の下、職場では喫煙ルームで喫煙しているとのことだった。Aさん家族と保健師の関係をエコマップに示す。
 Aさんの禁煙に向けた働きかけで最も適切なのはどれか。

1.妻から禁煙外来を勧める。
2.父親から禁煙のメリットを説明する。
3.母親から喫煙と肺がんの恐ろしさを説明する。
4.妻から喫煙によって長女の健康被害が生じることを説明する。
5.保健師から喫煙と疾病との関連をエビデンスに基づいて説明する。

解答

解説

ポイント

・Aさん(34歳、男性、会社員)
・3人暮らし:妻(30歳)と長女(生後7か月)
夫:毎日20本以上喫煙子どもへの影響が心配です」と。
・Aさん「タバコを吸うと落ち着くのでやめる気はなく、やめられるとも思えません。私は今まで病気になったことがなく、40年以上タバコを吸っている父親も健康です」と。
・Aさん「私は父を尊敬していて、父のタバコを吸う姿にも憧れているのだと思います。父はがん検診を毎年受けていますが問題はなく、そんな父の息子ですから私も大丈夫です」と。
・自宅では換気扇の下、職場では喫煙ルームで喫煙している
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう

1.× 妻から禁煙外来を勧める優先度は低い。なぜなら、Aさんは、まだ禁煙する意思が乏しく、禁煙外来の利用を勧めても受け入れにくい段階であるため。これは、Aさんの「タバコを吸うと落ち着くのでやめる気はなく、やめられるとも思えません」という発言から読み取れる。

2.× 父親から禁煙のメリットを説明する優先度は低い。なぜなら、Aさんにとって父親は、喫煙を肯定するモデルになっているため。これは、Aさんの「父を尊敬している」「父のタバコを吸う姿にも憧れている」という発言から読み取れる。

3.× 母親から喫煙と肺がんの恐ろしさを説明する優先度は低い。なぜなら、Aさんは、父親の健康状態を根拠に自分の健康リスクを低く見積もっているため。これは、Aさんの「父はがん検診を毎年受けていますが問題はなく、そんな父の息子ですから私も大丈夫です」という発言から読み取れる。

4.〇 正しい。妻から喫煙によって長女の健康被害が生じることを説明する。なぜなら、自宅では換気扇の下、吸っていることから、長女への影響を少なからず意識しているため。また、Aさんは「自分は大丈夫」と考えていることから、Aさん本人の肺がんや生活習慣病のリスクを説明しても、受け入れにくい可能性がある。一方、長女は生後7か月で、家庭環境の影響を強く受ける。妻から「あなたを責めたいのではなく、子どもの健康を一緒に守りたい」と伝えることで、家庭内禁煙や禁煙を考えるきっかけになりやすい。

5.× 保健師から喫煙と疾病との関連をエビデンスに基づいて説明する優先度は低い。なぜなら、Aさんは、父親の健康状態を根拠に自分の健康リスクを低く見積もっているため。これは、Aさんの「父はがん検診を毎年受けていますが問題はなく、そんな父の息子ですから私も大丈夫です」という発言から読み取れる。

 

 

 

 

 

次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 Aさん(25歳、女性、パートタイム勤務)は1人暮らしである。「妊娠検査薬で陽性が出たので、母子健康手帳をもらえますか」とB市の母子保健窓口に来所した。パートナーはいるが同居はしていない。

42 このときの面談で、保健師が把握する情報で優先度が高いのはどれか。

1.育児支援者の有無
2.Aさんの精神状態
3.健康保険加入状況
4.産科の受診の有無
5.パートナーとの同居の予定

解答

解説

ポイント

・1人暮らし:Aさん(25歳、女性、パートタイム勤務)
・「妊娠検査薬で陽性が出たので、母子健康手帳をもらえますか」とB市の母子保健窓口に来所。
・パートナーはいるが、同居はしていない
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 育児支援者の有無より優先されるものが他にある。なぜなら、現在は「妊娠検査薬で陽性が出た」という段階であるため。妊娠検査薬では、妊娠反応は分かるが、正常な子宮内妊娠か、妊娠週数はどのくらいか、母体に緊急性がないかまでは分からない。ただし、育児支援者の有無は、妊娠継続後の生活支援や産後支援を考えるうえで重要な情報である。

2.× Aさんの精神状態より優先されるものが他にある。なぜなら、Aさん(25歳、1人暮らし)は、パートタイム勤務、パートナーとは別居という状況で、精神が不安定な発言は聞かれていないため。妊娠初期の不安や葛藤、予期しない妊娠の可能性が疑われる場合は、精神的支援や継続的な面談が必要である。

3.× 健康保険加入状況より優先されるものが他にある。なぜなら、なぜなら、現在は「妊娠検査薬で陽性が出た」という段階であるため。妊娠検査薬では、妊娠反応は分かるが、正常な子宮内妊娠か、妊娠週数はどのくらいか、母体に緊急性がないかまでは分からない。健康保険加入状況は、医療機関受診や出産費用、制度利用に関係する情報である。まずは、Aさんが産科を受診しているかを確認する必要がある。

4.〇 正しい。産科の受診の有無が最も優先して把握する情報である。なぜなら、妊娠検査薬陽性だけでは正常妊娠であるか、妊娠週数や母体の状態が確認できないため。まず産科受診の有無を確認する必要がある。

5.× パートナーとの同居の予定より優先されるものが他にある。なぜなら、現在は「妊娠検査薬で陽性が出た」という段階であるため。パートナーとの同居予定は、妊娠中や産後の生活体制・育児支援体制を考える情報である。

 

 

 

 

 

次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 Aさん(25歳、女性、パートタイム勤務)は1人暮らしである。「妊娠検査薬で陽性が出たので、母子健康手帳をもらえますか」とB市の母子保健窓口に来所した。パートナーはいるが同居はしていない。

43 その後、Aさんは、妊娠36週に経腟分娩で女児(身長46cm、出生時体重2,450g)を出産した。出産した病院から保健センターへの退院時連絡票に「Aさんは子どもの抱き方に慣れず、今後の育児が気がかり」と記載があった。そこで、退院2日後に保健師が家庭訪問した。
 保健師が援助をするために収集する情報で優先度が高いのはどれか。

1.居住環境
2.経済状況
3.授乳状況
4.Aさんの健康状態
5.保育所利用の可能性

解答

解説

ポイント

・1人暮らし:Aさん(25歳、女性、パートタイム勤務)
・パートナーはいるが、同居はしていない
・Aさん:妊娠36週に経腟分娩で女児(身長46cm、出生時体重2,450g)を出産。
・出産した病院から保健センターへの退院時連絡票に「Aさんは子どもの抱き方に慣れず、今後の育児が気がかり」と記載があった。
・退院2日後:保健師が家庭訪問。
→本症例の児は、早産・低出生体重である。早産とは、妊娠22週0日から37週未満(36週6日まで)の出産を指す。低出生体重児とは、2500g未満児のことである。この時期は、哺乳不良があると短期間で脱水や体重減少、低血糖につながる。そのため、まず授乳状況を確認する。

1~2.5.× 居住環境/経済状況/保育所利用の可能性より優先されるものが他にある。本症例の児は、早産・低出生体重で退院直後であるため。この時期は、哺乳不良があると短期間で脱水や体重減少、低血糖につながる。そのため、まず授乳状況を確認する。

3.〇 正しい。授乳状況が最も優先して収集する情報である。なぜなら、出産した病院から保健センターへの退院時連絡票に「Aさんは子どもの抱き方に慣れず、今後の育児が気がかり」と記載されているため。また、本症例の児は、早産・低出生体重で退院直後であるため。この時期は、哺乳不良があると短期間で脱水や体重減少、低血糖につながる。そのため、まず授乳状況を確認する。

4.× Aさんの健康状態より優先されるものが他にある。なぜなら、退院直後の児の生命・健康に直結する情報とはいいにくいため。退院時連絡票で「子どもの抱き方に慣れず、今後の育児が気がかり」とあり、児は早産・低出生体重児である。まずは赤ちゃんが安全に授乳できているかを確認する必要がある。

 

 

 

 

 

次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 Aさん(25歳、女性、パートタイム勤務)は1人暮らしである。「妊娠検査薬で陽性が出たので、母子健康手帳をもらえますか」とB市の母子保健窓口に来所した。パートナーはいるが同居はしていない。

44 保健師は、次は4か月児健康診査で経過を把握しようと計画していたが、未受診だった。保健師はAさんに電話をしたが、つながらなかったので自宅を訪問した。部屋にはパートナーもおり、Aさんのアパートに転居していたことがわかった。Aさんは「健診はうっかりして受けませんでしたが、特に気になることはありません。毎日2人で一緒に育児ができて嬉しいです」と話した。保健師は、子どもの発育・発達には問題がないことを確認した。
 保健師が次に確認する内容で優先度が高いのはどれか。

1.パートナーの転居理由
2.Aさんと近隣住民との交流
3.Aさんとパートナーの経済状況
4.子育て支援センターの利用経験

解答

解説

ポイント

・1人暮らし:Aさん(25歳、女性、パートタイム勤務
・Aさん:妊娠36週に経腟分娩で女児(身長46cm、出生時体重2,450g)を出産。
・4か月児健康診査:未受診。
・自宅訪問:部屋にはパートナーもおり、Aさんのアパートに転居。
・Aさん「健診はうっかりして受けませんでしたが、特に気になることはありません。毎日2人で一緒に育児ができて嬉しいです」と話した。
・保健師は、子どもの発育・発達には問題がないことを確認した。

1~2.× パートナーの転居理由/Aさんと近隣住民との交流より優先されるものが他にある。なぜなら、子どもの発育・発達には問題がないことが確認でき、次の確認事項は、現在の同居生活が児の養育環境として安定しているかであるため。

3.〇 正しい。Aさんとパートナーの経済状況が次に確認する内容として最も優先度が高い。なぜなら、経済状況は、乳児の養育環境を支える生活基盤であるため。Aさん(パートタイム勤務)が育児のために勤務を減らしている場合、収入減少により生活困難が生じる可能性もある。

4.× 子育て支援センターの利用経験より優先されるものが他にある。なぜなら、現状、Aさんから子育ての不安について聞かれていないため。
・地域子育て支援センターとは、地域において子育て親子の交流を促進する子育て支援拠点の設置を推進することにより、地域の子育て支援機能の充実を図り、子育ての不安を緩和し、子どもの健やかな育ちを支援することを目的としている。

 

 

 

 

 

 

次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 Aさん(12歳、女子、小学6年生)は5月の3週目に頭痛と立ちくらみで2回保健室に来室したが、短時間の休養で授業に戻った。5月の4週目の本日、5時間目の体育の授業中に、運動場でAさんが頭痛、嘔気、ふらつきを訴えていると養護教諭に連絡が入った。5時間目の授業開始時点の気温は32.5℃、湿度61.0%であった。体育ではリレーの練習をしていた。養護教諭が到着すると、Aさんはしゃがみこんでおり、熱中症が疑われた。

45 養護教諭が最初に行う対応はどれか。

1.衣服を緩める。
2.意識を確認する。
3.木陰に移動する。
4.濡れたタオルを体に当てる。

解答

解説

ポイント

・Aさん(12歳、女子、小学6年生)
・5時間目の授業開始時点の気温は32.5℃、湿度61.0%。
・運動場でAさんが頭痛、嘔気、ふらつきを訴えしゃがみこんでいる。
熱中症が疑われた。
→熱中症患者の初期対応をおさえておこう。熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指す。屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、 救急搬送されたり、場合によっては死亡することもある。主な初期症状として、めまい(目眩、眩暈)や立ちくらみ、一時的な失神などがあげられる。

1.3~4.× 衣服を緩める/木陰に移動する/濡れたタオルを体に当てるより優先されるものが他にある。なぜなら、冷却を助ける処置であるが、重症度を判断するための意識確認より後に行う対応であるため。

2.〇 正しい。意識を確認する。なぜなら、意識状態は、熱中症の重症度と救急搬送の必要性を判断する最重要情報であるため。現在のAさんは、頭痛、嘔気、ふらつきがあり、しゃがみこんでいる。呼びかけに対してはっきり返答し、自分で水分を飲める状態なら、木陰や涼しい室内へ移動し、衣服を緩め、冷却と水分・塩分補給を行う。しかし、呼びかけへの反応が鈍い、返答がおかしい、自力で水分を飲めない場合は、重度熱中症を疑いすぐに救急要請を行う必要がある。

 

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