第112回(R8)保健師国家試験 解説【午後36~40】

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36 医療法に基づき保健所が受理するのはどれか。2つ選べ。

1.医師の免許申請
2.助産所の開設届
3.歯科診療所の開設届
4.薬局の開設許可申請
5.医療保護入院の入院届

解答2・3

解説

1.× 医師の免許申請は、「医療法」ではなく医師法に基づく免許である。また、厚生労働大臣の免許を受ける制度である。

2.〇 正しい。助産所の開設届は、医療法に基づき保健所が受理する。なぜなら、助産所は、医療法上の医療提供施設であり、助産師が助産所を開設したときは開設届を提出する必要があるため。

3.〇 正しい。歯科診療所の開設届は、医療法に基づき保健所が受理する。なぜなら、歯科診療所は、医療法上の診療所であり、歯科医師が無床診療所を開設したときは開設届を提出する必要があるため。

4.× 薬局の開設許可申請は、「医療法」ではなく医薬品医療機器等法に基づく手続である。薬局開設許可申請の根拠法令は、医薬品医療機器等法第4条第1項・第5条などである。

5.× 医療保護入院の入院届は、精神保健福祉法に基づく精神科入院制度の手続である。精神保健福祉法上の届出では、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出る仕組みが規定されている。
・医療保護入院とは、①患者本人の同意:必ずしも必要としない、②精神保健指定医の診察:1人の診察、③そのほか:家族等のうち、いずれかの者の同意、④備考:入院後、退院後ともに10日以内に知事に届け出る、⑤入院権限:精神科病院管理者である。

 

 

 

 

37 令和元年に示された認知症施策推進大綱の5つの柱で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.予防
2.若年性認知症施策の強化
3.普及啓発・本人発信支援
4.認知症の人やその家族の視点の重視
5.認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進

解答1・3

解説

認知症施策推進大綱の5つの柱

基本的な考え方の下
1.普及啓発・本人発信支援
2.予防
3.医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
4.認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
5.研究開発・産業促進・国際展開
の5つの柱に沿って施策を推進する。

(※引用:「認知症施策推進大綱」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。予防は、5つの柱の第2に明記されている。ここでいう予防は、「認知症にならない」という意味だけではなく、認知症の発症を遅らせること、認知症になっても進行を緩やかにすることを含む考え方である。

2.× 若年性認知症施策の「強化」ではなく支援が該当する。

3.〇 正しい。普及啓発・本人発信支援は、5つの柱の第1に明記されている。認知症への偏見や誤解をなくし、認知症の人本人が希望を持って暮らせる社会をつくるため、本人からの発信支援が重視されている。

4.× 認知症の人やその家族の視点の重視は、大綱全体を通じた基本的姿勢である。認知症施策推進大綱では、すべての施策を認知症の人の視点に立ち、本人や家族の意見を踏まえて推進することを基本としている。ただし、5つの柱として列挙されている項目ではない。

5.× 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進は、新オレンジプランに関連する。

認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)7つの柱

①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進。
②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供。
③若年性認知症施策の強化。
④認知症の人の介護者への支援。
⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進。
⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究・開発及びその成果の普及の推進。
⑦認知症の人やその家族の視点の重視。

(※参考:「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

次の文を読み38~40の問いに答えよ。
 Aさん(45歳、男性)は製造業のB社で営業職として勤務しており、妻と2人暮らしである。定期健康診断の結果は、身長175cm、体重80kg、BMI26.1、腹囲80cm、血圧148/92mmHg。HbA1c5.2%、中性脂肪90mg/dL、LDLコレステロール136mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL、血清尿酸値5.5mg/dL。喫煙歴はなく、飲酒はビール350mL程度を1回/週であり、先々月に産業保健師から減塩について説明を受けた。

38 AさんがB社の健康管理室を訪室し「妻が来週から2週間、親の入院で家を空けることになりました。自分は料理が苦手なので、どうやって塩分を控えようか悩んでいます」と話した。
 産業保健師の最初の対応として適切なのはどれか。

1.「減塩弁当の資料をお渡しします」
2.「今から詳しい調理方法を教えます」
3.「Aさんができる料理を毎日作ってください」
4.「Aさんがこれまで食事で気をつけてきたことを教えてください」

解答

解説

ポイント

・Aさん(45歳、男性、営業職、身長175cm、体重80kg)
・2人暮らし:妻
・喫煙歴はなく、飲酒はビール350mL程度を1回/週。
・先々月に産業保健師から減塩について説明を受けた。
・Aさん「妻が来週から2週間、親の入院で家を空けることになりました。自分は料理が苦手なので、どうやって塩分を控えようか悩んでいます」と話した。
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 「減塩弁当の資料をお渡しします」と伝える優先度は低い。なぜなら、Aさんが本当に弁当を利用したいのか、外食が多いのか、コンビニを使うのか、自炊を少しならできるのかが分かっていないため。つまり、Aさんのこれまでの食生活や困りごとを十分に確認する前に、一方的に資料を渡すのは時期尚早といえる。

2.× 「今から詳しい調理方法を教えます」と伝える優先度は低い。なぜなら、Aさんは、料理が苦手と話しており、詳しい調理方法を教えることが本人にとって実行可能とはいえないため。

3.× 「Aさんができる料理を毎日作ってください」と伝える優先度は低い。なぜなら、Aさんのできる料理で、塩分を控えることができるか疑問であるため。一方的に毎日の自炊を求めるのではなく、本人ができる方法を一緒に探すことが大切である。

4.〇 正しい。「Aさんがこれまで食事で気をつけてきたことを教えてください」と伝える。なぜなら、Aさんのこれまでの取り組みや生活状況を把握することで、本人に合った減塩方法を一緒に考えられるため。また、Aさんは先々月に産業保健師から減塩について説明を受けている。つまり、まったく初めての指導ではなく、「説明を受けた後、実際に何をしてきたか」「何ができて、何が難しかったか」を確認できる。保健師は、本人の行動、理解度、困難感、支援ニーズを把握してから、具体的な方法を提案する。

 

 

 

 

次の文を読み38~40の問いに答えよ。
 Aさん(45歳、男性)は製造業のB社で営業職として勤務しており、妻と2人暮らしである。定期健康診断の結果は、身長175cm、体重80kg、BMI26.1、腹囲80cm、血圧148/92mmHg。HbA1c5.2%、中性脂肪90mg/dL、LDLコレステロール136mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL、血清尿酸値5.5mg/dL。喫煙歴はなく、飲酒はビール350mL程度を1回/週であり、先々月に産業保健師から減塩について説明を受けた。

39 1年後、B社は製品の販路拡大のため、営業職の社員を2年間の予定で海外に派遣することにした。Aさんは「今回、海外赴任することになりました。血圧が高くて薬を飲み始めました。そのおかげで血圧は下がっていますが、治療が継続できるか心配です」と産業保健師に相談した。相談時の血圧は126/78mmHgであり、安定していた。
 産業保健師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.海外赴任先での服薬内容を指示する。
2.血圧治療のセカンドオピニオンを提案する。
3.海外赴任先の受診可能な医療機関を情報提供する。
4.産業医が赴任期間の治療薬を処方すると説明する。
5.赴任中はテレビ会議システムで相談できることを説明する。

解答3・5

解説

ポイント

・Aさん(45歳、男性、営業職、血圧148/92mmHg)
・2人暮らし:妻
・喫煙歴はなく、飲酒はビール350mL程度を1回/週。
・1年後:2年間の予定で海外に派遣する。
・Aさん「今回、海外赴任することになりました。血圧が高くて薬を飲み始めました。そのおかげで血圧は下がっていますが、治療が継続できるか心配です」と相談した。
・相談時の血圧は126/78mmHgであり、安定していた。
→ほかの選択肢が消去できる理由をあげられるようにしよう。

1.× 海外赴任先での服薬内容を指示する「ことはできない」。なぜなら、服薬内容の決定や変更は、医師の診療行為であるため。したがって、保健師が独自に指示することはできない。

2.× 血圧治療のセカンドオピニオンを提案する「必要はない」。なぜなら、Aさんの血圧は服薬により126/78mmHgと安定しており、治療方針への疑問や診断への不信が示されていないため。
・セカンドオピニオンとは、診断や治療について、主治医以外の医師の意見を求めることを指す。主治医の意見に不安や悩みを抱えている患者に提案することが多い。

3.〇 正しい。海外赴任先の受診可能な医療機関を情報提供する。なぜなら、慢性疾患を抱える海外赴任者では、赴任中に治療を継続できる医療機関を事前に把握しておく必要があるため。

4.× 産業医が赴任期間の治療薬を処方すると説明する「必要はない」。なぜなら、高血圧治療は、定期的な血圧確認副作用確認薬剤調整が必要であり、赴任期間すべての薬を一括して処方することはできないため。また、産業医は職場における健康管理や就業上の配慮を助言する立場であり、必ずしもAさんの主治医として継続処方を担うわけではない。
・産業医とは、労働安全衛生法に基づき、事業所や労働者に対して労働衛生について勧告・指導・助言を行う医師のことである。業種を問わず常時使用する労働者が50人以上の事業場で、事業所が産業医を選任することが義務付けられている。原則として、少なくとも毎月1回職場巡視をしなければならない。職場巡視は、職場の作業環境や作業方法を確認し、安全衛生上の課題を見出だし改善することを目的としている。

5.〇 正しい。赴任中はテレビ会議システムで相談できることを説明する。なぜなら、海外赴任中は生活環境や医療環境が変化し、健康不安を早期に相談できる体制が必要であるため。海外勤務者の健康管理では、健康問題が発生した際に電話や電子メールなどで国内に相談できる体制を整えることが有効である。また、社内の産業保健担当者が赴任者からの相談に応じる体制を構築することも推奨される。

 

 

 

 

次の文を読み38~40の問いに答えよ。
 Aさん(45歳、男性)は製造業のB社で営業職として勤務しており、妻と2人暮らしである。定期健康診断の結果は、身長175cm、体重80kg、BMI26.1、腹囲80cm、血圧148/92mmHg。HbA1c5.2%、中性脂肪90mg/dL、LDLコレステロール136mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL、血清尿酸値5.5mg/dL。喫煙歴はなく、飲酒はビール350mL程度を1回/週であり、先々月に産業保健師から減塩について説明を受けた。

40 今回海外赴任する社員の派遣前の健康診断の結果をみると、肥満傾向の40歳代が多かった。産業保健師は、赴任中の生活習慣病のリスクを考え、海外派遣前研修を活用した健康教育を検討することにした。
 健康教育の内容を検討するために海外赴任する社員から収集する現在の情報で優先度が高いのはどれか。

1.通勤手段
2.1日の食事摂取量
3.週の平均勤務時間
4.週の平均睡眠時間

解答

解説

ポイント

・海外赴任する社員の派遣前の健康診断の結果
肥満傾向の40歳代が多かった。
・赴任中の生活習慣病のリスクを考え、海外派遣前研修を活用した健康教育を検討する。
→生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養の取り方、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・伸展に関与する疾患群」と定義されている。生活習慣病の背景因子として、①遺伝性因子、②環境因子、③生活習慣因子が考えらえているが、「生活習慣因子」は生活習慣病の積極的予防に最も重要な要素とされている。

1.× 通勤手段より優先されるものが他にある。なぜなら、海外赴任「」に通勤手段が限られる場合も考えられるため。

2.〇 正しい。1日の食事摂取量が最も優先度が高い情報である。なぜなら、肥満傾向の改善や生活習慣病予防では、摂取エネルギーや食事内容の把握が基本になるため。特に、海外赴任では、外食、会食、現地食、ファストフード、アルコール、甘味飲料、食事量の増加などにより、体重増加や血圧上昇、脂質異常を招きやすい。海外赴任前も後も、食事摂取量の指導により、生活習慣病のリスクをおさえられることに期待できる。

3~4.× 週の平均勤務時間/週の平均睡眠時間より優先されるものが他にある。なぜなら、週の平均勤務時間が必ずしも生活習慣病のリスクが上がるとは言いきれないため。主に、週の平均勤務時間は、過重労働やストレス、睡眠不足には関係する。過重労働対策やメンタルヘルス対策が優先される。

 

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