第111回(R4) 看護師国家試験 解説【午後26~30】

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26 生体内でタンパク質が分解され、アミノ酸の代謝が進んで生じたアンモニアは肝臓で(  )に変換される。
(  )に入るのはどれか。

1.尿酸
2.尿素
3.亜硝酸
4.一酸化窒素

解答2

解説

1.× 尿酸とは、「プリン体」という物質が体内で分解されてできるもの。分解場所は肝臓である。プリン体は運動したり臓器を動かしたりするためのエネルギー物質で、常に体内で作られている。
2.〇 正しい。生体内でタンパク質が分解され、アミノ酸の代謝が進んで生じたアンモニアは肝臓で( 尿素 )に変換される。肝臓の主な働きは、①体に必要な蛋白の合成・栄養の貯蔵、②有害物質の解毒・分解、③食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌である。
3.× 亜硝酸(ナトリウム)とは、毒性が強く、食肉に含まれるアミンという物質と結びついて、ニトロソアミン類という発がん性物質に変化することによって、摂取し続けると、がんになる可能性が高まると懸念されている物質である。
4.× 一酸化窒素とは、アルギニンや硝酸から作られる。細菌やウイルスを攻撃したり、血管拡張作用があったり、神経伝達物質としても働く。

 

 

 

 

 

27 若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。

1.熱産生量の増加
2.熱放散量の増加
3.自律性体温調節反応の低下
4.視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下

解答3

解説

1~2.× 逆である。熱産生量/熱放散量は、高齢者よりも若年者の方が大きい。なぜなら、加齢に伴い骨格筋が萎縮し筋肉量の減少(ふるえ熱産生の減少)、汗腺・皮脂腺から分泌される皮脂量や保湿因子の減少に伴い、皮膚が乾燥しやすくなったりするため。
3.〇 正しい。自律性体温調節反応の低下が理由で、若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい。自律性体温調節反応とは、体温を維持・調節するために、主に自律神経支配臓器・器官を効果器として行われる生理反応であり、意識的に制御できない不随意反応である。自律性体温調節反応には、体内で熱の産生を行う反応と環境中への体熱の放散を調節する反応がある。
4.× 視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下は、体温が上昇しており体温を低下させたいときに生じる。つまり、熱中症との関係性は薄い。ちなみに、セットポイントとは、設定値という意味である。体温のセットポイント(設定値)が突然高くなると、通常の体温(平熱)を体温が低すぎる(寒い)と認識し、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。主に、細菌やウイルスなどの感染により白血球から放出される発熱物質により生じる。

類似問題です↓

【8問】体温の基本についての問題「まとめ・解説」
【22問】加齢の影響についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

28 ABO式血液型におけるオモテ検査とウラ検査の結果の表を示す。

 表の+は凝集あり、-は凝集なしを示す。
 血液型判定の結果がO型となるのはどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④

解答3

解説

ABO式血液型におけるオモテ検査とウラ検査

ABO式血液型の検査には、オモテ試験とウラ試験があり、2つの検査を必ず行います。

オモテ試験では、赤血球を使って検査を行います。赤血球に抗A抗体(A型あるいはAB型と反応する、あるいは抗B抗体(B型あるいはAB型と反応する)を加えて、赤血球が凝集(赤血球が塊を作る)するかを肉眼的に判定します。凝集があれば反応陽性と判定します。また、ウラ試験では、血清(血液のうち血液細胞以外の液体部分)を使って検査を行います。血清に標準赤血球(血液型判定用のA型あるいはB型の赤血球)を加えて、赤血球が凝集するかを判定します。A型ではB型赤血球と反応し。B型ではA型赤血球と反応します。O型では両者の赤血球と反応し、AB型ではどちらとも反応しません。

ABO式血液型の決定には、オモテ試験とウラ試験の検査結果が一致することが重要です。結果が一致しない場合にはいろいろな原因が考えられますので、血液型の判定は保留して精査が必要になります。Rh式血液型検査では、オモテ試験と同様に赤血球を使って検査を行います。抗D抗体(D因子と反応する)と反応した場合、Rh陽性と判定します。(※引用:「血液型の検査について」 著:日本臨床検査専門医会 窪田 良次)

1.× ①は、血液型判定の結果がA型となる。
2.× ②は、血液型判定の結果がB型となる。
3.〇 正しい。は、血液型判定の結果がO型となる。
4.× ④は、血液型判定の結果がAB型となる。

 

 

 

 

 

29 上位運動ニューロン徴候および下位運動ニューロン徴候の有無について表に示す。
 筋萎縮性側索硬化症<ALS>において正しいのはどれか。

1.a
2.b
3.c
4.d

解答1

解説
1.〇 正しい。aは、筋萎縮性側索硬化症<ALS>で起こる。なぜなら、筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が同時に障害を来す疾患であるため。
2.× bは、上位運動ニューロン障害(錐体路障害)をさす。錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。片麻痺などの症状をきたす。
3.× cは、下位運動ニューロン障害を指す。下位運動ニューロンとは、脊髄前角細胞から末梢部で筋に至るまでの経路のことである。ギラン・バレー症候群やポリオ後症候群などがあげられる。
4.× dは、運動障害をきたしていないことを指す。

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋萎縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

30 診療報酬制度について正しいのはどれか。

1.診療報酬の点数は3年に1回改定される。
2.診療報酬は都道府県が医療機関に支払う。
3.医療機関への支払いは出来高払いのみである。
4.厚生労働大臣の指定を受けた医療機関で利用できる。

解答4

解説

1.× 診療報酬の点数は、「3年に1回」ではなく2年に1回改定される。診療報酬の点数は、全国一律である。健康保険法に定められ、厚生労働大臣の告示により、点数で定められている。これを診療報酬点数表といい、原則として2年ごとに改定される。
2.× 診療報酬は、「都道府県」ではなく審査支払機関が医療機関に支払う。この診療報酬は、医療保険制度の加入者である被保険者と保険者から支払われることなっている。医療機関などは、被保険者からは医療費の一部を患者負担額として直接支払いを受けるが、保険者からは、診療報酬の請求を審査支払機関に対して行うことによって診療報酬の支払いを受けている。
3.× 医療機関への支払いは、「出来高払いのみ」ではなく、出来高払いと包括払い(DPC/PDPS:診断群分類に基づく一日あたり包括支払い制度)の組み合わせが作用されている。出来高払いとは、患者に提供した医療サービスに対応する報酬を支払う方式である。一方、包括払いとは、実際に提供した医療サービスに関わらず、患者の疾病(疾病群)に基づき定額の報酬を支払う方式である。
4.〇 正しい。厚生労働大臣の指定を受けた医療機関で利用できる。これは、健康保険法63条3項1号に「厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所または薬局」と記載されている(※一部引用:「健康保険法」e-GOV法令検索様HPより)。

 

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