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次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病と診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。
111 Aさんのうつ症状は改善し、多職種で退院に向けた話し合いを始めた。会社の休職制度を利用し休んでいるAさんは、「薬が効いたので、今後も薬を飲み続けることが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思うが、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と看護師に話した。
退院に向けてAさんが利用する社会資源で適切なのはどれか。
1.就労継続支援
2.リワーク支援
3.障害者社会適応訓練事業
4.ジョブコーチによる支援
解答2
解説
・うつ症状:改善(多職種で退院に向けて準備)
・会社の休職制度を利用し休んでいる。
・「薬が効いたので、今後も薬を飲み続けることが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思うが、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と。
1.× 就労継続支援は適応外である。就労継続支援とは、障害者総合支援法5条14項に「通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう」と定められている(※一部引用:「障害者総合支援法」e-GOV法令検索様HPより)。
2.〇 正しい。リワーク支援が、退院に向けてAさんが利用する社会資源である。復職支援プログラムとは、リワークプログラムや職場復帰支援プログラムともいう。リワークとは、「return to work」の略語。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムである。
3.× 障害者社会適応訓練事業は適応外である。障害者社会適応訓練事業とは、働きたいという意欲のある精神障害者が、仕事をしてい く上で必要な力を養うため、一定期間、理解のある協力事業所に通い、社会に適応していく ためのさまざまな訓練を受けることによって、一般就労への移行を目指す制度である。
4.× ジョブコーチによる支援は適応外である。ジョブコーチとは、障害者が事業所で働くため(就労支援)に、障害者と企業の双方を支援する役割をするもの。障害者が属する社会福祉法人の職員や事業所の社員などが行う。
復職支援プログラムとは、リワークプログラムや職場復帰支援プログラムともいう。リワークとは、「return to work」の略語。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムである。
【医療リワークプログラムの実施形態の定義】
(1)個人プログラム:文字や数字、文章を扱う。机上での作業を一人で行い、集中力や作業能力の確認、向上を図る
(2)特定の心理プログラム:認知行動療法やグループカウンセリングなど、特定の心理療法を実施
(3)教育プログラム:症状の自己理解を主目的とし、主に講義形式で病気について学ぶ
(4)集団プログラム:実際に役割分担をしての共同作業などを行い、対人スキルの向上などを目指す
(5)その他のプログラム:運動、個人面談等、(1)~(4)のいずれにも該当しないプログラム
(※引用:「リワークプログラムについて」日本うつ病リワーク協会様HPより)
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。
112 買い物についてAさんに助言する内容で最も適切なのはどれか。
1.宅配サービスを利用する。
2.移動には車椅子を利用する。
3.荷物は両手に分散して持つ。
4.途中で息切れを感じたら座って休む。
解答4
解説
・Aさん(65歳、女性、要支援1、1人暮らし)
・慢性心不全:定期的に外来受診。
・入院:下肢の浮腫と息切れを自覚、心不全の増悪。
・治療後:両下肢に軽度の浮腫はあるが、歩行による息切れは消失。
・退院予定:「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と。
→慢性心不全とは、心臓だけではなく、全身症状(息切れや脱力感など)をきたし、日常生活に支障をきたしている状態である。代表的な症状は、動悸・動作時の息切れ・呼吸困難・体のむくみ・体重増加などあり、さらに悪化すれば、夜間に急に息が苦しくなって目が覚めたり、じっとしていても息が切れることもある。日常生活の指導では、①塩分の過剰摂取を控える、②息切れしないように休みながら活動する、③適度な運動で体力をつける等が挙げられる。
1.× 宅配サービスを利用する必要はない。なぜなら、Aさんは「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみ」と言っていること、さらに宅配サービスについての希望は聞かれていないため。なるべく安全かつ増悪防止できるよう日常生活の指導を行う。
2.× 移動には車椅子を利用する必要はない。なぜなら、治療後、歩行による息切れは消失しているため。また車椅子駆動は、平地(屋内)であれば容易であるが、屋外は思っている以上に段差や坂道が多く、上肢の負担が強い。安易に車椅子移動に変更する前に、買い物コースや移動範囲を評価する必要がある。
3.× 荷物は、「両手に分散して」ではなく、リュックやキャリーケースを使用して持つ。なぜなら、治療後、歩行による息切れは消失しているとはいえ、荷物を持った場合、負担が大きくなるため。買い物などで帰りに荷物が多くなる場合は、タクシーを使用するなど、少しでも負担が減るように工夫する必要がある。
4.〇 正しい。途中で息切れを感じたら座って休む。なぜなら、息切れしていても歩き続けた場合、心不全の症状の増悪だけでなく、転倒の恐れもあるため。日常生活の指導では、①塩分の過剰摂取を控える、②息切れしないように休みながら活動する、③適度な運動で体力をつける等が挙げられる。
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。
113 退院後、心不全の増悪を予防する目的で訪問看護を週に1回利用することになった。Aさんは夕方に下肢の浮腫が悪化するのを気にしており、訪問看護師に助言を求めた。
訪問看護師のAさんへの助言で適切なのはどれか。
1.「靴は大きめのサイズを選びましょう」
2.「外出時は弾性ストッキングを履きましょう」
3.「下肢の中枢から末梢にマッサージしましょう」
4.「就寝時には湯たんぽを身体から2、3cm離して置きましょう」
解答2
解説
・退院後:訪問看護を週に1回利用。
・目的:心不全の増悪を予防する。
・夕方に下肢の浮腫が悪化するのを気にしている。
→浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
1.× あえて、靴を大きめのサイズを選ぶ必要はない。なぜなら、夕方に下肢の浮腫が悪化したり日内変動があるため。夕方の浮腫が増悪した状態で、靴のサイズがピッタリあったとしても、朝は靴に隙間が生じてしまい、転倒の要因になりかねない。あまりにも日内変動がある場合、午前に使用する靴と、午後(浮腫増悪時)に使用する靴で2足準備することもある。
2.〇 正しい。「外出時は弾性ストッキングを履きましょう」と指導する。弾性ストッキングとは、弾力性を持った特殊なストッキングである。これを着用して締めつけることにより下肢の静脈還流を改善する。
3.× 逆である。下肢のマッサージは、「末梢」から「中枢」に行う。循環改善(血流改善)になる。
4.× 就寝時には湯たんぽを身体から、「2、3cm」ではなく10cm離す必要がある。なぜなら、湯たんぽによる熱傷(低体温症)を防ぐため。 一般的には、患者の足もとに置く。ちなみに、湯たんぽは浮腫改善には寄与しないことが多い。
ゴム製:60℃前後
金属製やプラスチック製:70~80℃
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。
114 退院後3週、Aさんの浮腫は改善し心不全の増悪もなかった。Aさんは「同年代の人との交流を広げたいと思っています。利用できるサービスはありますか」と訪問看護師に質問した。
訪問看護師が地域包括支援センターに相談してAさんに提案する社会資源はどれか。
1.高齢者サロン
2.療養通所介護
3.通所リハビリテーション
4.共同生活援助<グループホーム>
解答1
解説
・退院後3週:浮腫改善、心不全の増悪なし。
・「同年代の人との交流を広げたい」と。
→Aさん(65歳)の希望は、交流を広げたいことである。ちなみに、地域包括支援センターとは、介護保険法に基づき各市町村によって設置されており、地域の高齢者の医療・福祉・介護・虐待など様々な事柄に関する相談窓口となっている。地域包括支援センターの人員基準は、「第1号被保険者(65歳以上の高齢者)3000人~6000人ごとに、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員(準ずる者を含む)を最低限それぞれ各1人」である。
1.〇 正しい。高齢者サロンが、Aさんに提案する社会資源で最も優先度が高い。高齢者サロンとは、地域で自主的に運営されている高齢者が気軽に集まれる交流の場・仲間づくりの場である。引きこもりや閉じこもり、孤独といった状況を未然に防ぐ効果もあり、地域のニーズが高まっている。
2.× 療養通所介護とは、神経難病や末期がんなどで医療的な対応が必要な利用者に対する通所での介護である。
3.× 通所リハビリテーション(デイケア)とは、利用者が老人保健施設・病院・診療所などに通い、日常生活上の支援や、生活機能訓練を受け、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるようにするものである。自立のために理学療法士、作業療法士などによる機能訓練などを行う通所型の施設である。
4.× 共同生活援助<グループホーム>とは、『障害者総合支援法』の訓練等給付のひとつであり、ひとりで生活できない障害者が共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を受けるものである。主に夜間や休日に精神障害者が共同生活を営む住居で、食事の世話・服薬指導など、相談や日常生活の援助を行う。
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。
115 この時点の看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
1.被災状況の報告
2.入院患者の避難誘導
3.傷病者の受け入れ準備
4.入院患者の状態の把握
5.使用中の医療機器の作動状況の確認
解答4・5
解説
・午前9時頃:震度5強の地震発生。
・二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。
・病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。
→災害発生時の対応として、「災害医療の7つのポイント CSCATTT」があげられる。CSCATTT とは、災害時の組織体制と医療支援の7つの原則の頭文字をとった言葉である。
1.× 被災状況の報告は、看護師が率先して行うことではない。災害発生直後、災害対策本部を設置し、災害対策本部が迅速に病院内の被災状況を把握するとともに、災害レベルを決定し、職員に周知する。その後、傷病者の受け入れ、災害復旧、被災地支援などを指揮する。
2.× 入院患者の避難誘導/傷病者の受け入れ準備は優先度が低い。なぜなら、病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。看護師の独断で行うことは、より現場を混乱させてしまう恐れが考えられる。
4~5.〇 正しい。入院患者の状態の把握/使用中の医療機器の作動状況の確認は、CSCATTTのAssessment(評価・判断)に該当する。病院の状況(施設、負傷者、危険箇所、崩壊箇所など)、被災地の状況(負傷者、危険地域など)患者の受け入れが可能かを判断する。