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76 閉塞性動脈硬化症〈ASO〉について正しいのはどれか。
1.橈骨動脈に好発する。
2.粥状硬化が原因である。
3.末梢血流量が増加する。
4.歩行によって痛みが改善する。
5.中小動脈の非化膿性炎症で生じる。
解答2
解説
閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気である。下肢の慢性虚血による間欠性跛行が発症症状であることが多く、虚血が進行すると壊死に至る。50~70歳代の男性、糖尿病症例に多くみられる。太ももの付け根(大腿動脈)や足の甲(足背動脈)を触診し、脈が触れないことで診断し、確定診断には血管造影検査を行う。
【病期】
Ⅰ期:「しびれ」「冷感」。
Ⅱ期:「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」。一定距離を歩くと脚が傷み、休むとまた歩けるようになる。
Ⅲ期:「安静時疼痛」。安静にしていても脚に痛みが生じる。
Ⅳ期:「潰瘍」「壊疽」。血液が足の先に行かないので、足に潰瘍ができ、ついには足が腐ってしまう。
【治療】
まず動脈硬化の原因である糖尿病・高血圧・脂質異常症の治療を行う。喫煙者は禁煙する。初期の手足の冷感やしびれには血管拡張薬や血液を固まりにくくする薬(抗血小板剤)を用いる。また歩くことによって、側副血行路が発達し血行の流れの改善をはかる。
(※参考:「閉塞性動脈硬化症」厚生労働省HPより)
1.× 「橈骨動脈」ではなく、下肢の静脈に好発する。閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気である。下肢の慢性虚血による間欠性跛行が発症症状であることが多く、虚血が進行すると壊死に至る。
2.〇 正しい。粥状硬化が原因である。粥状硬化とは、アテローム性動脈硬化のことをいい、血管内皮細胞障害に伴い、動脈内壁に脂肪やコレステロールなどが沈着する状態である。最終的には石灰化、線維化を起こす。したがって、治療として、まず動脈硬化の原因である糖尿病・高血圧・脂質異常症の治療を行う。喫煙者は禁煙する。初期の手足の冷感やしびれには血管拡張薬や血液を固まりにくくする薬(抗血小板剤)を用いる。また歩くことによって、側副血行路が発達し血行の流れの改善をはかる。
3.× 末梢血流量は、「増加する」のではなく低下する。閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気である。
4.× 歩行によって痛みが、「改善する」のではなく増悪する。歩行を続けると虚血のため下肢の痛みが強くなるが、安静にすると痛みが改善し再び歩けるようになる。この現象を間欠性跛行という。
5.× 中小動脈の非化膿性炎症で生じるのは、「閉塞性動脈硬化症〈ASO〉」ではなく、閉塞性血栓血管炎(バージャー病)である。閉塞性血栓血管炎(バージャー病)は、末梢動脈に閉塞性の内膜炎を起こし皮膚に潰瘍や壊疽を引き起こす疾患である。ちなみに、非化膿性炎症とは、多量の好中球を含む炎症のことをさす。
77 関節リウマチで起こる主な炎症はどれか。
1.滑膜炎
2.血管炎
3.骨髄炎
4.骨軟骨炎
5.関節周囲炎
解答1
解説
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。滑膜炎は、関節リウマチで起こる主な炎症である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。滑膜は滑液を作り出すが、作り出された滑液は関節包の中で潤滑油の役目を果たし、さらに軟骨の栄養にもなる。
2.× 血管炎を生じる疾患は、悪性関節リウマチやリウマチ性血管炎である。「関節リウマチ」と「悪性関節リウマチ」の違いは、既存の関節リウマチに、血管炎をはじめとする関節以外の症状を認め、難治性もしくは重症な病態を伴う場合を「悪性関節リウマチ」と定義する。
3.× 骨髄炎を生じる疾患は、開放骨折などの外傷後や骨折の手術後の感染がある。骨髄炎とは、通常は細菌、抗酸菌、または真菌によって起こる、骨の感染症である。
4.× 骨軟骨炎も関節リウマチで生じる場合があるが主体ではない。関節リウマチの骨炎・骨軟骨炎の原因は、滑膜の炎症が軟骨、骨に波及した結果生じる。ちなみに、一般的な骨軟骨炎とは、スポーツなどにより骨軟骨と骨片がこすれたり衝突したりする外力によって炎症を生じるものである。
5.× 関節周囲炎は、いわゆる五十肩(肩関節周囲炎)などで起こる。関節周囲炎とは、関節の外、すなわち健、関節周囲の袋(滑液包)などの炎症である。関節リウマチの炎症の主体となる滑膜は関節内に存在する。
78 母子保健法に基づく届出はどれか。
1.婚姻届
2.死産届
3.死亡届
4.出生届
5.妊娠届
解答5
解説
母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。
1.× 婚姻届は、『戸籍法(74条)』に規定されている。婚姻届は、日本において、法的な結婚をしようとする者が提出する書類。正式には婚姻届書と言う。法務省の地方支分部局である法務局の戸籍課が管轄する行政機関への書類で、受付は市区町村役場が窓口となる。夫婦の氏や法令で定められている事柄を記載し、その旨を届け出なければならない。(※参考:「戸籍法」e-GOV法令検索様HPより)
2.× 死産届は、『死産の届出に関する規程』に規定されている。死産届は7日以内に提出しなければならない。死産届は死産のあった場所の「都道府県知事」ではなく市町村長に提出する。(※参考:「死産の届出に関する規程」e-GOV法令検索様HPより)
3.× 死亡届は、『戸籍法(第86~87条)』に規定されている。死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があったときはその事実を知った日から3か月以内)に届け出なければならない。(※参考:「戸籍法」e-GOV法令検索様HPより)
4.× 出生届は、『戸籍法(49条)』に規定されている。出生後14日以内(国外で出生があったときは3か月以内)に届け出なければならない。(※参考:「戸籍法」e-GOV法令検索様HPより)ちなみに、出生届とは、生まれてきたお子さんの氏名等を戸籍に記載するための届出である。戸籍に記載されることで、生まれてきたお子さんの親族関係が公的に証明され、住民票が作成される。なお、外国人のお子さんであっても、日本国内で出生した場合は、出生届をしなければならない。
5.〇 正しい。妊娠届は、『母子保健法(15条)』に規定されている。「(妊娠の届出)第十五条 妊娠した者は、厚生労働省令で定める事項につき、速やかに、市町村長に妊娠の届出をするようにしなければならない(※引用:「母子保健法」e-GOV法令検索様HPより)」。
妊娠満12週以後の死産の時に作成する。胎児と認め得ない場合や妊婦死亡の場合は作成不要である。
・死産証書は医師が立ち合う場合であり、死胎検案書は立ち合わない場合に作成する。
79 Aさん(44歳、男性、会社員)は、20年以上の喫煙歴があり、BMI26である。会社の健康診断で脂質異常症と高血圧症を指摘された。
Aさんが発症する危険性が高い疾患はどれか。
1.1型糖尿病
2.潰瘍性大腸炎
3.肺血栓塞栓症
4.労作性狭心症
5.閉塞性血栓血管炎〈TAO〉
解答4
解説
・Aさん(44歳、男性、会社員)
・喫煙歴:20年以上
・BMI26(肥満Ⅰ度)
・健康診断:脂質異常症と高血圧症。
→BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。
1.× 1型糖尿病とは、原因が自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる糖尿病である。小児~思春期の発症が多く、肥満とは関係ないのが特徴である。一方、2型糖尿病の原因は生活習慣の乱れなどによるインスリンの分泌低下である。したがって、本症例の場合は2型糖尿病の発症リスクが高い。
2.× 潰瘍性大腸炎とは、主に大腸の粘膜を侵し、再燃と寛解を繰り返す慢性のびまん性炎症性腸疾患である。症状として、繰り返す粘血便・下痢・腹痛・発熱・体重減少などがみられる。したがって、潰瘍性大腸炎の食事は、易消化性で高エネルギー、高タンパク、低脂肪、低残渣食を基本とする。原因不明であるが、遺伝的因子と環境因子が複雑に絡み合って発症に関与していると考えられている。
3.× 肺血栓塞栓症肺血栓塞栓症とは、肺の血管に血のかたまり(血栓)が詰まって、突然、呼吸困難や胸痛、ときには心停止をきたす危険な病気である。ロング・フライト血栓症やエコノミークラス症候群などと呼ばれる。原因として、①長期臥床、②長時間フライト、③悪性腫瘍、④肥満、⑤経口避妊薬内服などが誘因となる。
4.〇 正しい。労作性狭心症は、Aさんが発症する危険性が高い疾患である。労作性狭心症は、虚血性心疾患の1つである。労作性狭心症とは、心臓に栄養を送る血管である冠動脈の一部が動脈硬化によって75%以上狭窄し、血流の流れが悪くなってしまう状態である。症状として、胸痛発作の頻度(数回/周以下)、持続時間(数分以内)、強度などが一定であることや、一定以上の運動や動作によって発作が出現する。その4大危険因子は、「①喫煙、②脂質異常症、③糖尿病、④高血圧」である。そのほかにも、加齢・肥満・家族歴・メタボリックシンドロームなどがある。
5.× 閉塞性血栓血管炎(バージャー病)とは、脚や腕の細い動脈や中間サイズの動脈が、炎症を起こして閉塞する病気である。喫煙は病変の増悪因子であるが、原因不明である。症状は、腕や脚への血流減少による冷感、しびれ、チクチクする感覚、灼熱感などである。治療で最も重要なのは禁煙で、薬剤も有効なことがある。寒さにより血管が狭くなるため(収縮)、寒さへの曝露を回避することが助けになる。
80 Aさん(48歳、男性、会社員)は、大量の飲酒の後、急激な上腹部痛と背部痛を訴え、救急外来を受診し、急性膵炎と診断された。
Aさんの救急外来受診時の血液検査結果で予測されるのはどれか。
1.血小板数の増加
2.血清LDH値の低下
3.血清γ-GTP値の低下
4.血清アミラーゼ値の上昇
5.血清カルシウム値の上昇
解答4
解説
急性膵炎とは、膵臓の突然の炎症で、軽度のものから生命を脅かすものまであるが、通常は治まる。主な原因は、胆石とアルコール乱用である。男性では50歳代に多く、女性では70歳代に多い。症状として、飲酒・過食後に左上腹部痛・心窩部痛が発症する。悪心・嘔吐、悪寒、発熱、背部への放散痛もみられ、腹痛はアルコールや脂質の摂取で増悪する。
検査:膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼとリパーゼの血中濃度)が上昇する。
【治療】
軽症例:保存療法(禁食、呼吸・循環管理、除痛 等)
重症例:集中治療[臓器不全対策、輸液管理、栄養管理(早期経腸栄養)、感染予防、腹部コンパートメント症候群対策]
(※参考:「急性膵炎」MSDマニュアル家庭版より)
1.× 血小板数は、「増加」ではなく低下する。重症例では、腹膜炎を併発し、腸管の運動が麻痺するために高頻度で腸閉塞を起こす。全身状態として、頻脈や血圧低下、出血傾向、呼吸障害などがみられる。
2.× 血清LDH値(血清乳酸脱水素酵素)は、「低下」ではなく上昇する。基準値よりも高い場合は、肝臓や心臓、血液の病気などが疑われます。
3.× 血清γ-GTP値は、「低下」ではなく上昇する。飲酒量が多いときや胆道系疾患などで値が上昇し、肝機能の指標とされる。
4.〇 正しい。血清アミラーゼ値は上昇する。アミラーゼは膵酵素のひとつである。膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼとリパーゼの血中濃度)が上昇する。
5.× 血清カルシウム値は、「上昇」ではなく低下する。重症例では、膵臓の組織が壊死を起こすため、膵臓から遊離した脂肪と血中のカルシウムが結合して低カルシウム血症を呈することがある。