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61 Aさん(57歳、女性)は1人暮らし。統合失調症で精神科病院への入退院を繰り返しており、今回は入院してから1年が経過している。日常生活動作〈ADL〉はほぼ自立し、服薬の自己管理ができるようになってきた。
Aさんが退院に向けて利用するサービスとして適切なのはどれか。
1.療養介護
2.施設入所支援
3.地域移行支援
4.自立訓練としての機能訓練
解答3
解説
・Aさん(57歳、女性、1人暮らし、統合失調症)
・精神科病院への入退院を繰り返している。
・今回:入院してから1年が経過。
・日常生活動作:ほぼ自立、服薬の自己管理ができる。
→本症例は、日常生活はほぼ自立し、入院から1年経過しているため「維持期」と考えられる。維持期は、入退院を繰り返さないよう①再発の防止、②患者がより良い生活を維持する、③デイケアの利用、④体力つくりなど支援していく。
1.× 療養介護とは、病院において機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護、日常生活上の世話その他必要な医療を要する障害者であって常時介護を要するものにつき、主として昼間において、病院において行われる機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び日常生活上の世話を行う。また、療養介護のうち医療に係るものを療養介護医療として提供する。【対象者】病院等への長期の入院による医療的ケアに加え、常時の介護を必要とする障害者として次に掲げる者(障害支援区分5~6)とされてる。本症例は、ADLは自立しているため退院に向けてのサービスとして適さない。
2.× 施設入所支援とは、施設に入所する障害者につき、主として夜間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援を行う。【対象者】生活介護を受けている者であって障害支援区分が区分4(50歳以上の者にあっては区分3)以上である者である。本症例は、ADLは自立しているため退院に向けてのサービスとして適さない。
3.〇 正しい。地域移行支援は、Aさんが退院に向けて利用するサービスとして適切である。地域移行支援とは、障害者支援施設や精神科病院にいる障害者に対して、住居の確保や障害福祉サービスを実際に体験ができるサポートなど地域生活へ移行するための支援である。具体的には、①住居の確保や②障害福祉サービスの体験利用・体験宿泊の支援などを行う。
4.× 自立訓練としての機能訓練とは、障害者につき、障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所に通わせて当該障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所において、又は当該障害者の居宅を訪問して、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション、生活等に関する相談及び助言その他の必要な支援を行うものである。本症例は、ADLは自立しているため退院に向けてのサービスとして適さない。
「※参考:「障害福祉サービスについて」厚生労働省HPより」
62 選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉で正しいのはどれか。
1.パニック障害に対して有効である。
2.抗コリン作用は三環系抗うつ薬よりも強い。
3.うつ症状が改善したら使用はすぐに中止する。
4.抗うつ効果の評価は使用開始後3日以内に行う。
解答1
解説
パニック障害とは、誘因なく突然予期せぬパニック発作(動悸、発汗、頻脈などの自律神経症状、狂乱・死に対する恐怖など)が反復して生じる状態をいう。また発作が起こるのではないかという予期不安を認め、しばしば広場恐怖を伴う。治療として、①SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、②抗不安薬、③認知行動療法(セルフコントロール)などである。
1.〇 正しい。パニック障害に対して有効である。選択的セロトニン再取り込み阻害薬とは、抗うつ薬の一種である。脳の神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリンの両方について再取り込みを阻害することで神経細胞と神経細胞の間のセロトニンとノルアドレナリンの量を増やし、情報伝達を増強して抗うつ効果を発揮すると考えられている。適応疾患として、うつ病・うつ状態以外にもパニック障害、社交不安障害、強迫性障害などに有効とされている。
2.× 抗コリン作用は、三環系抗うつ薬よりも「強い」のではなく弱い。選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉には、三環系抗うつ薬の副作用である抗コリン作用や抗ヒスタミン作用、抗アドレナリンα1作用が少ない。(三環系)抗うつ薬の副作用は、①自律神経症状(口渇、便秘、排尿困難など)、②循環器系症状(血圧低下、頻脈、めまい、起立性低血圧など)、③中枢神経症状(眠気など)である。抗コリン作用による起こる。近年では、SSRIやSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などが用いられるようになっている。それらは吐気・眠気などが副作用である。
3.× うつ症状が改善したら使用はすぐに中止する必要はない。なぜなら、症状が改善しても持続療法を続けることで再燃・再発を防ぐことができるため。一般的に、徐々に量を減らして離脱反応を起こさないようにする。離脱反応はイライラなどの精神症状や頭痛や消化器症状などの身体的症状など内服時にはみられなかった症状が現れる。
4.× 抗うつ効果の評価は、使用開始後3日以内に行う必要はない。なぜなら、抗うつ薬は使用開始後2~4週間経たないと効果は現れないため。※文献によって、効果発現開始まで1〜2週間(十分な効果発現まで約4〜6週間)と様々であるが時間がかかる。したがって、抗うつ効果の評価を使用開始後3日以内にしてしまうと十分な効果が出ずにタイミングが早すぎてしまう。
63 精神保健指定医について正しいのはどれか。
1.医療法で規定されている。
2.都道府県知事が指定する。
3.障害年金の支給判定を行う。
4.精神科病院入院患者の行動制限にかかわる医学的判定を行う。
解答4
解説
精神保健指定医とは、「精神保健福祉法」に基づいて、精神障害者の措置入院・医療保護入院・行動制限の要否判断などの職務を行う精神科医のことである。原則として、精神科病院では,常勤の指定医を置かなければならない。臨床経験・研修などの要件を満たす医師の申請に基づいて厚生労働大臣が指定する。
1.× 「医療法」ではなく、精神保健福祉法に規定されている。「第四章 精神保健指定医、登録研修機関、精神科病院及び精神科救急医療体制」の項目で詳しく規定されている(※参考「精神保健福祉法」e-GOV法令検索様HPより)。
2.× 「都道府県知事」ではなく、厚生労働大臣が指定する。
3.× 障害年金の支給判定は、「精神保健指定医」ではなく日本年金機構が行う。障害年金は、疾病やけがによって日常生活が制限され、障害等級1~3級までの認定を受けた場合に申請によって受給可能な年金である。厚生労働省により定められており、障害年金の受給には医師の診断書等が必要となる。なお、精神障害の等級判定は、主治医の診断書に基づき、精神保健福祉センターが行う。
4.〇 正しい。精神科病院入院患者の行動制限にかかわる医学的判定を行う。精神科病院の入院患者は、本人の意思によらない入院や一定の行動制限を行うことがあるため、精神保健指定医は入院中の行動制限にかかわる医学的判定を行う。12時間以上の患者の隔離、身体拘束には精神保健指定医の判断が必要となる。
①精神障害者の医療及び保護を行うこと、②障害者総合支援法とともに、精神障害者の社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行うこと、③精神疾患の発生の予防や、国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とした法律である。(参考:「精神保健福祉法について」厚生労働省HPより)
64 筋力低下のある在宅療養者の家屋環境において転倒するリスクが最も高いのはどれか。
1.深い浴槽
2.段差がない床
3.整理整頓された部屋
4.足元灯を設置した廊下
解答1
解説
1.〇 正しい。深い浴槽は、転倒するリスクが最も高い。深い浴槽の出入りの際に、片足になる時間ができるため転倒リスクがある。また、浴槽に入る際にバランスを崩すなど、転倒するリスクが高いと考えられる。
2.× 段差がない床より転倒するリスクが高いものが他にある。なぜなら、段差がないことでつまずきにくいため。
3.× 整理整頓された部屋より転倒するリスクが高いものが他にある。なぜなら、物が散乱している部屋は、その物を跨いだり、踏みつけたりしバランスを崩しやすいため。
4.× 足元灯を設置した廊下より転倒するリスクが高いものが他にある。足元灯とは、足元を灯すライトのことである。夜間の視界がよくなるため転倒リスクを少ない。
65 Aさん(75歳、男性)は妻(66歳)と2人暮らし。3か月前に認知症の診断を受けた。妻から訪問看護師に「夫は通所介護のときは穏やかに過ごしていると聞いているが、家では興奮することが多く、どう対応すればよいかわからない」と相談があった。
このときの妻に対する訪問看護師の最初の対応で適切なのはどれか。
1.主治医に相談するよう勧める。
2.Aさんと散歩に出かけることを勧める。
3.通所介護の頻度を増やすことを提案する。
4.Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返る。
解答4
解説
・Aさん(75歳、男性、認知症:3か月前)
・2人暮らし:妻(66歳)
・3か月前:認知症の診断を受けた。
・妻から訪問看護師に「夫は通所介護のときは穏やかに過ごしていると聞いているが、家では興奮することが多く、どう対応すればよいかわからない」と。
→Aさんは、通所介護の時は穏やかで、家では興奮することが多い。これだけだと情報が足りないため、まずは情報収集が先決される。興奮する原因が分かれば具体的に対処法をアドバイスすることができる。
1.× 主治医に相談するよう勧める優先度は低い。なぜなら、Aさんの興奮の原因が現時点では不明なため。Aさんの家での過ごし方や興奮する状況などについて話を聞いて興奮の原因を探す。ちなみに、主治医に相談する場面として、症状の悪化や薬剤調整などの場面が多い。
2~3.× Aさんと散歩に出かけることを勧める/通所介護の頻度を増やすことを提案する優先度は低い。なぜなら、妻はAさんが家で興奮することに困っているおり、その原因が分からない以上根本的な解決にならないため。Aさんと散歩に出かけることは気分転換にはなるが、家での興奮がなくなるわけではない。また、通所介護の頻度を増やしても、家での興奮がなくなるわけではない。また、金銭面や導入できるサービスの回数など難しいこともある。
4.〇 正しい。Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返ることが最も適切である。Aさんは、通所介護の時は穏やかで、家では興奮することが多い。これだけだと情報が足りないため、まずは情報収集が先決される。Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返ることで原因を探し、同じような状況を作らないようにする。
①中核症状:神経細胞の障害で起こる症状
(例:記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、失語・失行など)
②周辺症状:中核症状+(環境要因や身体要因や心理要因)などの相互作用で起こる様々な症状
(例:徘徊、幻覚、異食、せん妄、妄想、不安など)