第110回(R3) 看護師国家試験 解説【午後6~10】

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6 妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いのはどれか。

1.水痘
2.風疹
3.麻疹
4.流行性耳下腺炎

解答2

解説

妊娠週数

・妊娠初期:妊娠1か月~4か月(妊娠0~15週)
・妊娠中期:妊娠5か月~7か月(妊娠16~27週)
・妊娠後期:妊娠8か月~10か月(妊娠28週~)

1.× 水痘の症状に難聴は現れにくい。水痘とは、いわゆる「みずぼうそう」のことで、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気である。子供の頃にかかった水痘ウイルスが数十年の潜伏期間を経て、免疫力が低下した時などに再活性化(回帰感染)して起こる。水痘の主な症状として、低出生体重児・四肢の形成不全・皮膚の瘢痕・小頭症・白内障などがある。妊娠12週以前に妊婦が水痘に罹患した場合は、流産することが多い。
2.〇 正しい。風疹は、妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高い。風疹とは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症である。症状として、難聴・白内障・心奇形である。妊婦が妊娠初期に風疹に感染すると、不顕性であっても経胎盤的に胎児に影響を与え、先天性風疹症候群と呼ばれる先天異常を引き起こすことがある。
3.× 麻疹の症状に難聴は現れにくい。麻疹とは、麻疹ウイルスの感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症する病気のこと。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなる。流早産率は高い(30~40%)が、特徴的な児の異常はみられない。
4.× 流行性耳下腺炎の症状に難聴は現れにくい。流行性耳下腺炎とは、2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症である。通常1~2 週間で軽快する。最も多い合併症は髄膜炎であり、その他髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合がある。流産の危険性が高くなる可能性があるが明確ではない。

 

 

 

 

 

 

7 乳歯がすべて生えそろう年齢はどれか。

1.0~1歳
2.2~3歳
3.4~5歳
4.6~7歳

解答2

解説

MEMO

乳歯は生後6~8か月頃から萌出し、1歳までには乳中切歯・乳側切歯・乳犬歯・第一乳臼歯が生えそろうが、第二乳臼歯まではそろわないことが多い。1歳半を過ぎると奥歯(乳犬歯と第一乳臼歯)が生え、計16本になり、最後に第二乳臼歯が生える。通常は下顎乳中切歯から萌出し、最後に上顎の第二乳臼歯が生えて乳歯が生えそろう。

1.× 0~1歳ではそろわないことが多い。乳歯は生後6~8か月頃から萌出し、1歳までには乳中切歯・乳側切歯・乳犬歯・第一乳臼歯が生えそろうが、第二乳臼歯まではそろわないことが多い。
2.〇 正しい。2~3歳は、乳歯がすべて生えそろう年齢である。
3.× 4~5歳ではなく、3歳頃までには乳歯が生えそろっていることが多い。
4.× 6~7歳頃は、乳歯の脱落および永久歯の萌出が始まっている。

 

 

 

 

8 男子の第二次性徴による変化はどれか。

1.精通
2.骨盤の拡大
3.皮下脂肪の増加
4.第1大臼歯の萌出

解答1

解説

第二次性徴とは

二次性徴とは、性ホルモンの分泌が促進されることにより、性器および身体に現れる変化である。第二次性徴に関わるホルモンは、男性の場合はアンドロゲン、女性の場合はエストロゲンとプロゲステロンである。アンドロゲンは精巣から、エストロゲンとプロゲステロンは卵巣から分泌される。

平均的に見ると男児の場合は、10歳前後に始まり約5年間続く。 体の成長には決まった順番があり、①睾丸の発達→②陰毛の発生→③精通→④声変わり→⑤体型の変化という順番をたどる。女児の場合は、8歳前後から始まり①乳房発育→②陰毛発生→③初経という順に進行することが一般的である。その評価にはTanner分類が用いられている。

1.〇 正しい。精通は男子の第二次性徴による変化である。精通とは、精管につくられた精液が、初めて体外に射出された射精のことである。
2〜3.× 骨盤の拡大/皮下脂肪の増加は、第二次性徴によって女子に起こる変化である一方、男子第二次性徴によって筋肉が発達する。
4.× 第1大臼歯の萌出は、6~7歳頃に萌出する。第二次性徴による変化ではない。

 

 

 

 

 

 

9 医療法に基づき高度医療の提供とそれに関する研修を実施する医療施設はどれか。

1.診療所
2.特定機能病院
3.地域医療支援病院
4.臨床研究中核病院

解答2

解説

医療法とは?

医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。

1.× 診療所とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所である。患者を入院させるための施設を有しないもの又は、19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。ちなみに、20以上の病床がある医療機関を「病院」と定義されている。
2.〇 正しい。特定機能病院は、「医療法」に基づき高度医療の提供とそれに関する研修を実施する医療施設である。特定機能病院とは、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院である。1992年6月改正、1993年4月施行の医療法の第2次改正によって制度化された日本の医療機関の機能別区分のうちのひとつで、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が承認する必要がある。
3.× 地域医療支援病院とは、地域の病院・診療所の医師から、より詳しい検査や、専門的な医療が必要と紹介された患者さんに対して、適切な医療を提供することを目的に県知事の承認を受けた病院のことである。24時間体制による救急医療の提供、地域の医療機関と連携をとり、病院の施設・設備を共同で利用できる体制、地域の医療従事者の質向上を図るための研修を行うなど、地域医療の中核を担う役割がある。
4.× 臨床研究中核病院とは、日本発の革新的な医薬品や医療機器の開発に必要となる質の高い臨床研究や治験を推進するための中心的役割を担う病院として医療法上に位置づけられたものである。厳しい要件を満たした医療機関のみが厚生労働大臣の認可を受けて指定される。

 

 

 

 

10 チーム医療で適切なのはどれか。

1.他施設との間で行うことはできない。
2.チームメンバー間で目標を共有する。
3.チームリーダーは看護師に固定する。
4.経験年数が同等の者でチームを構成する。

解答2

解説

チーム医療とは?

チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている。チーム医療がもたらす具体的な効果としては、①疾病の早期発見・回復促進・重症化予防など医療・生活の質の向上、②医療の効率性の向上による医療従事者の負担の軽減、③ 医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上、等が期待される。(※引用:「チーム医療の推進について」厚生労働省HPより)

1.× 他施設との間でも行う。なぜなら、切れ目のない医療の提供につながるため。他施設・多職種それぞれが連携・補完し合うことが大切である。
2.〇 正しい。チームメンバー間で目標を共有する。チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている(※引用:「チーム医療の推進について」厚生労働省HPより)。
3.× チームリーダーは看護師に固定する必要はない。なぜなら、患者それぞれ別々の課題や目標があるため。目標に応じて、専門性の高い専門職がチームリーダーになることが多い。例えば、主な課題が下肢の筋力低下であれば「理学療法士」が、低栄養状態であれば「管理栄養士」が選ばれる。つまり、チームリーダーの職種は固定することはなく、患者の抱える問題やチームを構成する専門職の役割により、最も適切な専門職がリーダーシップをとる。
4.× 経験年数が同等の者でチームを構成する必要はない。むしろ、さまざまな職種や立場、経験年数の者がチームを構成することにより、多種多様な意見交換が可能になる。

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【3問】チーム医療についての問題「まとめ・解説」

 

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