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41 心原性ショックで現れる症状・徴候はどれか。
1.顔面の紅潮
2.胸部不快感
3.血圧の上昇
4.尿量の増加
解答2
解説
心原性ショックとは、心ポンプ機能の低下により、全身諸組織における循環不全(安静時における組織代謝需要を満たす血流が供給されない状態)が生じ、低酸素、アシドーシス、毛細血管透過性亢進をきたす重篤な病態を指す。全身および心筋組織の循環不全、低酸素化が生じ、アシドーシス、フリーラジカルの発生、サイトカインの増加、白血球凝集、血管内皮障害、微小循環障害などが生じる。心原性ショックの原因として最も多いのは急性心筋梗塞である。他にも、心臓ポンプ機能の異常による心筋収縮力低下のほか、心筋変性や心タンポナーデによる心室拡張不全、頻脈や徐脈などの不整脈で心拍出量が低下するなど、さまざまな病態が原因になる。
1.× 顔面の「紅潮」ではなく、蒼白する。ちなみに、顔面の紅潮は、アレルギー反応(Ⅰ型アレルギー)など炎症・血管透過性が亢進するアナフィラキシーショックで起こる。アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。アナフィラキシーショックの症状として(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。
2.〇 正しい。胸部不快感は、心原性ショック(急性冠症候群の症状のひとつ)で現れる。急性冠症候群(不安定狭心症や急性心筋梗塞など)が起こると心臓の動きが悪くなり心原性ショックが起こる。ちなみに、急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。心筋の壊死が生じるため血液検査にて、CRP値は1〜3日後に上昇する。
3.× 血圧の「上昇」ではなく、低下する。全身および心筋組織の循環不全、低酸素化が生じ、アシドーシス、フリーラジカルの発生、サイトカインの増加、白血球凝集、血管内皮障害、微小循環障害などが生じる。
4.× 尿量の「増加」ではなく、減少する。なぜなら、腎臓に十分な血液が流れないため。
不安定狭心症とは、安定性狭心症と比べて発作の回数が増えたり安静時にも胸痛がみられる重症・増悪型の狭心症である。冠動脈内において動脈硬化に起因する不安定プラークの破綻などにより血栓が形成され、それによって急激に冠動脈内が狭窄し、心筋虚血に至った状態である。また、心臓の栄養血管である冠動脈の高度な狭窄を反映していることが多い。つまり、心筋梗塞の前兆で突然死に至る可能性があり、早急な対処が必要である。
42 脳梗塞による右片麻痺がある成人患者に用いる日常生活動作〈ADL〉の評価として適切なのはどれか。
1.NYHA分類
2.Borg〈ボルグ〉スケール
3.Barthel〈バーセル〉インデックス
4.主観的包括的アセスメント〈subjective global assessment〉
解答3
解説
1.× NYHA分類(New York Heart Association functional classification)は、自覚症状から判断する心不全の重症度分類である。労作時の自覚症状に基づき、Ⅰ度からⅣ度の4段階で判定する。
2.× Borg〈ボルグ〉スケールは、主観的運動強度のスケールである。運動を行う本人がどの程度「つらさ」を感じているかを数値化して測定する指標である。運動中の自覚症状をもとにした指標で、0~20に分けられ、0が最も軽く、20が最もきつい運動である。
3.〇 正しい。Barthel〈バーセル〉インデックスは、日常生活活動(ADL)を評価する指標である。評価項目は10項目(①食事、②椅子とベッド間の移乗、③整容、④トイレ動作、⑤入浴、⑥移動、⑦階段昇降、⑧更衣、⑨排便コントロール、⑩排尿コントロール)あり、100点満点で評価される。
4.× 主観的包括的アセスメント〈subjective global assessment〉は、栄養状態を評価する指標である。6つの項目で構成され、①体重変化、②食物摂取量の変化、③消化器症状、④身体機能、⑤疾患と栄養必要量の関係、⑥栄養状態の評価で行う。
Ⅰ度:心疾患があるが、身体活動には特に制約がなく日常労作により、特に不当な呼吸困難、狭心痛、疲労、動悸などの愁訴が生じないもの。
Ⅱ度:心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの。安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。
Ⅲ度:心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの。安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。
Ⅳ度:心疾患があり、いかなる程度の身体労作の際にも上記愁訴が出現し、また、心不全症状、または、狭心症症候群が安静時においてもみられ、労作によりそれらが増強するもの。
43 現在の日本の終末期医療において、患者の将来の自己決定能力の低下に備えて、患者・家族と医療者が今後の治療・療養についての気がかりや価値観を定期的に話し合って共有し、患者の意向に沿った医療を提供することが望ましいとされている。
この内容を示すのはどれか。
1.グリーフケア
2.代理意思決定の支援
3.アドバンス・ケア・プランニング
4.アドバンスディレクティブ〈事前指示〉の支援
解答3
解説
1.× グリーフケア(悲嘆の援助)とは、スピリチュアルの領域において、さまざまな「喪失」を体験し、グリーフを抱えた方々に、心を寄せて、寄り添い、ありのままに受け入れて、その方々が立ち直り、自立し、成長し、そして希望を持つことができるように支援することである。在宅で療養する終末期患者を看取る家族に対し、患者の療養中から死亡した後まで、経過に合わせた援助(グリーフケア)が重要である。
2.× 代理意思決定の支援とは、患者が自身の判断能力を失ったときに備え、代理意思決定者を選定しておくことである。代理意思決定とは、患者の意思表示が困難な場合に家族が代わりに治療の選択等を行うことである。
3.〇 正しい。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセスのことである。患者さんの人生観や価値観、希望に沿った、将来の医療及びケアを具体化することを目標にしている。
4.× アドバンスディレクティブ〈事前指示〉の支援とは、患者が判断能力を失ったときに備え、希望する延命治療やケア内容など自分の意向を、患者自身があらかじめ書面や口頭で示す行為のことである。ちなみに、リビングウィルとは、判断能力を失った際に自分に行われる治療やケアに関する意向について判断能力があるうちに表示される意思のことをいう。リビングウィルには、アドバンスディレクティブと違って、代理人の指定は含まれないのが特徴である。
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44 Aさん(34歳、女性)は、気管支喘息で定期的に通院をしている。朝から喘息発作があり呼吸困難が生じたため、救急外来を受診した。
経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%、動脈血液ガス分析(room air)で動脈血酸素分圧〈PaO2〉90Torr、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉55Torr、pH7.30、HCO3-25mEq/Lであった。
Aさんの状態で考えられるのはどれか。
1.呼吸性アシドーシス
2.呼吸性アルカローシス
3.代謝性アシドーシス
4.代謝性アルカローシス
解答1
解説
・Aさん(34歳、女性、気管支喘息)
・朝から喘息発作があり呼吸困難が生じた。
・SpO2:95%、PaO2:90Torr、PaCO2:55Torr、pH7.30、HCO3-:25mEq/L
【酸塩基平衡】
血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
1.〇 正しい。呼吸性アシドーシスはAさんの状態で考えられる。呼吸性アシドーシスは換気が低下することが原因で、CO2が体内に蓄積している状態である。本症例は、喘息による呼吸困難のため二酸化炭素(CO2)の排出が低下して、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2、基準値40mmHg = Torr)が上昇した結果、pH7.30と体液はアシドーシス(酸性)に傾いている。HCO3-(基準値24mEq/L)は25mEq/Lとそれほど変化しておらず、PaCO2の急激な上昇に対して腎臓による代謝性の代償が十分に働いていない病態である。したがって、喘息発作による呼吸性アシドーシスの状態である。気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸筋麻痺などでも起こる。
2.× 呼吸性アルカローシスは、過換気症候群などの呼吸数の増加で起こり、PaCO2は低下し、アルカリ性に傾いている状態である。
3.× 代謝性アシドーシスは、腎機能低下や下痢、糖尿病、飢餓などによる脂質分解の亢進でHCO₃⁻(重炭酸イオン)が低下している状態である。
4.× 代謝性アルカローシスは、嘔吐などで起こる。嘔吐により胃液(酸性)が失われ、HCO3−が高値となるのが特徴である。
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45 脂質異常症の成人患者に対する食事指導の内容で正しいのはどれか。
1.不飽和脂肪酸の摂りすぎに注意する。
2.コレステロール摂取量は1日600mg未満とする。
3.高トリグリセリド血症では、アルコールを制限する。
4.高LDLコレステロール血症では、トランス脂肪酸の摂取を促す。
解答3
解説
脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。
1.× 摂りすぎに注意するのは、「不飽和脂肪酸」ではなく飽和脂肪酸である。なぜなら、不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に多く含まれ、血中のLDLコレステロールを下げるなどの効果があるため。脂肪酸とは、脂肪を構成している要素である。分子の構造的な違いから①飽和脂肪酸と②不飽和脂肪酸に分類される。①飽和脂肪酸は主に動物性の脂肪に含まれる。②不飽和脂肪酸は、植物や魚の脂に多く含まれる。不飽和脂肪酸はさらに、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられる。一価不飽和脂肪酸でよく知られているオレイン酸はオリーブ油に多く含まれ、血液中のLDLコレステロールを下げる効果がある。
2.× コレステロール摂取量は、「1日600mg未満」ではなく、1日200mg未満が望ましい。食事によるコレステロールの摂取は血中のコレステロール値に直接的に影響を与えないことから、コレステロールの摂取量の基準値は定められていないが、日本人の食事摂取基準(2020年版)では、脂質異常症の重症化予防を目的として、コレステロールを200㎎/日未満に留めることが望ましいとされている(※参考:「コレステロールの働きと1日の摂取量」健康長寿ネット様HPより)。
3.〇 正しい。高トリグリセリド血症では、アルコールを制限する。なぜなら、大量のアルコール摂取は肝臓での中性脂肪の合成を促進し、高トリグリセリド血症を増悪させるため。またアルコール摂取に伴う飲食は、カロリーの過剰摂取につながる場合が多い。ちなみに、高トリグリセリド血症とは、10時間以上の空腹時採血の結果、TG値≧150mg/dLの場合診断される。食事からのエネルギーのうち、使いきれずに余ったものは肝臓でトリグリセリド(中性脂肪)に変えられ血中を移動し皮下脂肪や内臓脂肪に蓄えられる。その際、余ったエネルギーが多すぎると血中の中性脂肪濃度が高くなり、血管が詰まりやすくなってしまい動脈硬化を引き起こす。
4.× 高LDLコレステロール血症など関係なく、トランス脂肪酸の摂取を促す必要はない。むしろ控えるべきである。トランス脂肪酸の過剰摂取は動脈硬化のリスクとされ、総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるようWHO (世界保健機関)が提示している。ちなみに、トランス脂肪酸とは、構造中にトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸をいう。トランス脂肪酸は善玉(HDL)コレステロールを減らし、悪玉(LDL)コレステロールを増やす。