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次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aさん(77歳、男性)は、妻(79歳)と2人暮らし。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。現在のMMSE〈Mini-mental State Examination〉は18点。家では、食事は準備すれば自分で摂取できる。排泄は尿意や便意ともにあり、トイレで排泄できる。入浴は妻の介助でシャワー浴を行っているが、機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否する。Aさんはにぎやかな場所が苦手であり、また、時々1人で外に出て行ってしまい家に帰れなくなることがある。
最近、Aさんが妻の介助を激しく拒否し大声で怒鳴ることが多くなってきたため、妻は介護支援専門員に相談した。相談の結果、妻の介護負担を軽減する目的で、Aさんは通所介護を利用することになった。
101 通所介護でレクリエーションが始まり、Aさんは周囲を見ていたが、しばらくするとそわそわしながら席を離れていなくなった。その後、看護師は、介護職員からAさんがゴミ箱に排尿していたという報告を受けた。
このときのAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
1.目立たない場所にゴミ箱を置く。
2.1時間ごとに尿意を確認する。
3.パンツ型おむつを勧める。
4.トイレの際は同行する。
解答4
解説
・Aさん(77歳、男性)、2人暮らし(妻:79歳)
・5年前:アルツハイマー型認知症(現在のMMSE:18点)
・排泄:トイレ自立
・通所介護:そわそわしながら席を離れていなくなった。
・Aさん:ゴミ箱に排尿していた。
→Aさんは、トイレ自立している。ゴミ箱に放尿してしまった理由を「認知症だから・・・」と一言で片付けてしまうのではなく、なぜそのような言動に至ったのか?をAさんの立場に立ってまずは原因を考えてみることが大切である。①トイレの場所がわからなかった、②ゴミ箱をトイレと勘違いしたなどが考えられる。
1.× 目立たない場所にゴミ箱を置く優先度は低い。なぜなら、ゴミ箱に排尿した理由が明確ではないため。ゴミ箱の位置を変えてもまた別の場所で放尿する可能性が高い。トイレへの誘導など別の方法を検討すべきである。
2.× 1時間ごとに尿意を確認する優先度は低い。なぜなら、本症例は、普段尿意や便意がともにあり、トイレで排泄できているため。まずはトイレの場所の認識も含めてなぜそうなったのか原因を探ることが大切である。ちなみに、尿意を確認することは、失禁の対応として有用なこともある。
3.× パンツ型おむつを勧める優先度は低い。なぜなら、本症例は、普段尿意や便意がともにあり、トイレで排泄できているため。パンツ型おむつは一般的に失禁がある際に適応となる。
4.〇 正しい。トイレの際は同行することは、このときのAさんへの看護師の対応で適切である。なぜなら、トイレの際は同行することで、トイレの場所など混乱していないか確認できるため。また、本症例は、ゴミ箱をトイレと勘違いしたと考え、その際は口頭で指示することで修正することが可能である。
次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aさん(77歳、男性)は、妻(79歳)と2人暮らし。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。現在のMMSE〈Mini-mental State Examination〉は18点。家では、食事は準備すれば自分で摂取できる。排泄は尿意や便意ともにあり、トイレで排泄できる。入浴は妻の介助でシャワー浴を行っているが、機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否する。Aさんはにぎやかな場所が苦手であり、また、時々1人で外に出て行ってしまい家に帰れなくなることがある。
最近、Aさんが妻の介助を激しく拒否し大声で怒鳴ることが多くなってきたため、妻は介護支援専門員に相談した。相談の結果、妻の介護負担を軽減する目的で、Aさんは通所介護を利用することになった。
102 入浴の時間になり、Aさんは浴槽を見て「あれは、何?」と興味を示したが、介護職員が入浴を勧めると「今日はやめておく」と言う。看護師が再度入浴を勧めると、Aさんは「今日は忙しくて時間がない」と答えている。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.全身清拭を行う。
2.浴槽の説明を行う。
3.自宅で入浴してもらう。
4.時間をおいてから再度入浴を勧める。
解答4
解説
・入浴:妻の介助でシャワー浴。
・機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否する。
・最近:妻の介助を激しく拒否し大声で怒鳴る。
・浴槽を見て「あれは、何?」と興味を示した。
・介護職員が入浴を勧めると「今日はやめておく」と。
・再度入浴を勧めると「今日は忙しくて時間がない」と。
→妻からのAさんの入浴の情報も参考にする。機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否するという情報から、Aさんのペースを尊重するべきである。一方で、時間をおいてからや別の職員から再度入浴を勧めたり、誘いの言葉を変えたりすることで、意見が変わることがある。Aさんは、浴槽には興味を示しており、時問をおいてから、あらためて勧めると受け入れてもられる可能性が高い。
1.× 全身清拭を行う優先度は低い。なぜなら、全身清拭に同意したのならよいが、そのような情報はないため。清拭とは、入浴ができない方の身体を布巾などで拭いて清潔にすることである。身体全体を拭く場合は「全身清拭」、手足や顔など身体の一部のみを拭く場合は「部分清拭」と呼ばれる。Aさんは①自宅ではシャワー浴であること、②浴槽を見て興味を示していることからも、まだ入浴を勧める余地があると考えられる。
2.× 浴槽の説明を行う優先度は低い。なぜなら、現時点での入浴拒否の理由が「今日は忙しくて時間がない」ということであるため。浴槽を見て「あれは、何?」と興味を示した際には、浴槽の説明をする会話は成り立つ。
3.× 自宅で入浴してもらう優先度は低い。なぜなら、通所介護を利用する目的は、妻の介護負担を軽減するためであるため。自宅で入浴してもらった場合、妻の介護負担を減らすことにつながらない。
4.× 時間をおいてから再度入浴を勧めることは、Aさんへの看護師の対応で最も適切である。妻からのAさんの入浴の情報も参考にする。機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否するという情報から、Aさんのペースを尊重するべきである。一方で、時間をおいてからや別の職員から再度入浴を勧めたり、誘いの言葉を変えたりすることで、意見が変わることがある。Aさんは、浴槽には興味を示しており、時問をおいてから、あらためて勧めると受け入れてもられる可能性が高い。
次の文を読み103~105の問いに答えよ。
A君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折と診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。
103 ギプス固定にあたり、A君への看護師の説明で適切なのはどれか。
1.痛くないことを説明する。
2.すぐ終わることを説明する。
3.ギプスが乾くときに冷たくなると説明する。
4.ギプスに使うものを見せながら説明する。
解答4
解説
・A君(7歳、男児)
・本日:転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じた。
・診断名:右側の上腕骨顆上骨折
・非観血的整復とギプス固定が行われることになった。
・A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。
→A君は非観血的整復とギプス固定が行われることになり不安な表情である。病院という特殊な環境や見知らぬ医療従事者との接触などにより、子どもの多くは情緒不安定になっていることが多い。何もかもが初めての体験で、次に何されるかわからないという恐怖から、落ち着かない・泣き出し・精神的トラウマを抱えることも少なくない。そのため、処置の目的をわかりやすく伝えたり使用する材料を見せたりすることで少しでも不安を和らげることが望ましい。
1.× 痛くないことを説明する優先度は低い。なぜなら、痛みは自覚的なものであるため。また、「肘周囲に腫れと強い痛み」が生じているA君にとって、「痛くないこと」を説明されても否定されているようにA君は感じるため。A君は、「上腕骨顆上骨折」と診断されているため痛みは確実にある。
2.× すぐ終わることを説明する優先度は低い。なぜなら、「すぐに」という表現は、ひとによって感じ方はさまざまであるため。「すぐに終わる」というあいまいな表現より、「〇分で終わる」と具体的な数字を出して説明したほうが納得しやすい。ただA君は7歳であるため、「〇分」という説明も分からない可能性があるため、キッチンタイマーや砂時計など視覚的に分かるものを用意してあげるとよい。
3.× ギプスが乾くときは「冷たくなる」のではなく熱くなる。なぜなら、ギプスは水と化学反応することで重合熱を発生し硬化するため。「冷たくなる」と伝えるとウソになって信頼を失ってしまうため適さない。
4.〇 正しい。ギプスに使うものを見せながら説明することは、A君への看護師の説明で適切である。A君は非観血的整復とギプス固定が行われることになり不安な表情である。病院という特殊な環境や見知らぬ医療従事者との接触などにより、子どもの多くは情緒不安定になっていることが多い。何もかもが初めての体験で、次に何されるかわからないという恐怖から、落ち着かない・泣き出し・精神的トラウマを抱えることも少なくない。そのため、処置の目的をわかりやすく伝えたり使用する材料を見せたりすることで少しでも不安を和らげることが望ましい。
次の文を読み103~105の問いに答えよ。
A君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折と診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。
104 A君は、整復術後の経過観察のため1泊入院することになった。
整復術後の合併症の観察方法で適切なのはどれか。
1.患側の肩の皮膚色を観察する。
2.患肢の観察は8時間ごとに行う。
3.感覚鈍麻の有無は患肢の手指を触れて観察する。
4.冷感はギプスの中に看護師が手を入れて観察する。
解答3
解説
上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。
1.× 患側の「肩」ではなく、前腕や手の皮膚色を観察する。なぜなら、末梢の循環障害の観察をするため。前腕や手の浮腫、水泡形成などを観察する。ギプス装着後に患部が腫脹すると、血行障害が生じ、コンパレートメントの圧が上昇し血行・筋・神経が障害される場合がある(コンパートメント症候群)。
2.× 患肢の観察は、「8時間ごと」ではなく、2時間ごとに行う。なぜなら、8時間ごとの観察では血行障害による組織の損傷(褥瘡の発生)がみられるため。
3.〇 正しい。感覚鈍麻の有無は患肢の手指を触れて観察することで、整復術後の合併症を観察する。ギプス固定により、コンパートメント症候群(区画症候群)が合併しやすい。コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。症状として6P【①pain(痛み)、②pallor(蒼白)、③paresthesia(知覚障害)、④paralysis(運動麻痺)、⑤pulselessiiess(末梢血管の拍動の消失)、⑥puffiniss(腫脹)】があげられ、それらを評価する。
4.× ギプスの中に看護師が手を入れて観察するのは、「冷感」のためではなく、知覚障害のためである。ちなみに、血行障害の有無はギプスの末梢である指先などで確認する。また、四肢冷感とは、手足が冷たくなること、または冷たく感じることである。原因として様々であるが、主に①自律神経の不調(自律神経失調症など)や②ホルモンバランスの乱れ(更年期障害など)、③血行障害(閉塞性動脈硬化症まど)、④循環不全(チアノーゼ、心不全、血圧低下、膠原病)などがあげられる。
次の文を読み103~105の問いに答えよ。
A君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折と診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。
105 退院時、A君は「明日から学校に行けるかな」と看護師に質問した。看護師は、学校には行けることを伝えた後、学校生活における注意点を説明することにした。
A君への説明で適切なのはどれか。
1.「右手の指は使わないでね」
2.「ギプスは濡れても大丈夫だよ」
3.「ギプスをぶつけないようにしてね」
4.「体育の授業は休まなくてもいいよ」
解答3
解説
【学校生活における注意点】
・筋力低下、関節拘縮の予防の指導
・循環障害への対応指導
・皮膚の清潔指導(お風呂は?)
・違和感があった時への対応(褥瘡予防)
・外力による二次的障害の予防
1.× 右手の指の使用を促す。なぜなら、手指の運動は、筋萎縮の予防、血流うっ滞や浮腫の予防、血栓症の予防などの効果があるため。上腕の固定部位は動かせないが、指を動かすことは問題ないため右手の指で「グーパ―運動」の指導を行う。
2.× ギプスは濡らさない。なぜなら、ギプスは濡れると衛生面や固定力が低下するため。お風呂はシャワー浴でサランラップを巻いてビニール袋の中に入れ濡れないように指導することが多い。また、濡らしてしまった場合は、ギプス内の皮膚が湿潤状態になり、かぶれる場合があるため注意する必要がある。
3.〇 正しい。「ギプスをぶつけないようにしてね」とA君への説明で適切である。なぜなら、ギプスをしていても外力により打撲したりひねったりすることで、骨折の転位が生じる可能性があるため。
4.× 体育の授業は休んだ方が良い。なぜなら、体育の授業(走るだけでも)は手を振り、損傷部位に外力が生じるため。したがって、上腕の固定や安静が保てない場合がある。骨折部位が安定するまでは、手指のみの運動指導を行い、体育の授業は控え、ギプスをぶつけないよう指導する。