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86 全身性エリテマトーデス(SLE)で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.遺伝素因の関与が大きい。
2.発症には男性ホルモンが関与する。
3.中枢神経症状は生命予後に影響する。
4.Ⅰ型アレルギーによる免疫異常である。
5.適切に治療しても5年生存率は50%である。
解答1・3
解説
全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。
1.〇 正しい。遺伝素因の関与が大きい。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。
2.× 発症には、「男性ホルモン」ではなく女性ホルモンが関与する。なぜなら、10~30歳代の女性に好発するため。また、妊娠中に発症あるいは増悪することがある。一卵性双生児での全身性エリテマトーデスの一致率は25%程度であることから、何らかの遺伝的素因を背景として、感染、女性ホルモン、紫外線、薬物などの環境因子が加わって発症するものと推測されている。
3.〇 正しい。中枢神経症状(抑うつ、せん妄などの精神症状のほか、けいれん、脳血管障害など)は、生命予後に影響する。予後を左右する病態としては、ループス腎炎、中枢神経ループス(中枢神経症状)、抗リン脂質抗体症候群、間質性肺炎、肺胞出血、肺高血圧症などが挙げられる。死因としては、従来は腎不全であったが、近年では日和見感染症による感染死が死因の第一位を占めている。
4.× 「Ⅰ型アレルギー」ではなく、Ⅲ型アレルギーによる免疫異常である。なぜなら、全身性エリテマトーデスの合併症であるループス腎炎において免疫複合体の関与が示唆されているため。Ⅲ型アレルギーとは、免疫複合体型やArthus型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するが、免疫複合体も関与するアレルギーである。免疫複合体が血管内皮などの組織に沈着すると補体を活性化し、結果として組織障害を生じる。血清病、全身性エリテマトーデスなどに関連する。遅発型で3~8時間で最大の紅斑と浮腫が生じる。ちなみに、Ⅰ型アレルギーとは、即時型、アナフィラキシー型ともいい、肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の放出によって起こる即時型アレルギーで、アレルゲンに接触した数分後に、皮膚・粘膜症状が出現する。まれにアナフィラキシーショックとなり重篤化(血圧低下、呼吸困難、意識障害を伴う)することがある。
5.× 適切に治療すれば5年生存率は、「50%」ではなく95%以上である。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。
アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellularimmunity)と大別される。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
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87 大量の輸液が必要と考えられる救急患者はどれか。2つ選べ。
1.前額部の切創で出血している。
2.オートバイ事故で両大腿が変形している。
3.プールの飛び込み事故で四肢が動かない。
4.デスクワーク中に胸が苦しいと言って倒れている。
5.火事で顔面、胸腹部、背部および両上肢にⅡ度の熱傷を負っている。
解答2・5
解説
まず、「大量輸液」の具体的な数値での定義は、調べてところありませんでした。もし、ご存知の方がいらしたら、コメント欄にてご協力をお願いします。そのため、どのくらいを大量投与と表現しているかをみてみると、敗血症のガイドラインでは、初期大量輸液療法として、30ml/kgあるいは2Lを概ね1時間以内と使用している。つまり、体重60kgの人の場合、だいたい1L/hくらいで大量と言えると考えられる。輸液ケア(輸液療法)の目的には、主に蘇生、生命の維持、栄養の補給があげられ、延命処置の一つに該当する。一般的に、大量の輸液が必要と考えられる救急患者は主に、循環血液量が減少した場合(①高度の脱水、②多量の出血など)である。
【輸液の目的】
①失われた水分,電解質の補充のための輸液
②体液の恒常性を維持するための輸液
③栄養補給としての輸液
④毒物排泄や副作用軽減をねらった輸液
⑤薬剤を投与する手段としての輸液
1.× 前額部の切創で出血している場合、大量輸液は必要ない。なぜなら、出血量は少量であると考えられる。ちなみに、切創とは、 ガラス片や刃物など鋭利なもので切れた、いわゆる切りキズのことである。(※読み:きりきず)
2.〇 正しい。オートバイ事故で両大腿が変形している場合、大量の輸液が必要と考えられる。なぜなら、大腿部には大腿動脈が流れており、大腿動脈が損傷すると大量出血となる危険性があるため。両方の大腿骨(両大腿)の変形という状況から骨折が考えられ、大腿骨の骨折1本につき骨折部から推定出血量は500~1,000mLといわれている。
3.× プールの飛び込み事故で四肢が動かない場合、大量輸液は必要ない。なぜなら、飛び込み事故で四肢が動かない状況は、頚髄損傷が考えられ、循環血液量の影響は少ないため。
4.× デスクワーク中に胸が苦しいと言って倒れている場合、大量輸液は必要ない。なぜなら、状況から心筋梗塞などの心原性の病態(心疾患)が最も考えられ、循環血液量の影響は少ないため。
5.〇 正しい。火事で顔面、胸腹部、背部および両上肢にⅡ度の熱傷を負っている場合、大量の輸液が必要と考えられる。なぜなら、熱傷創を含めた組織の血管透過性が亢進し、循環血液量が減少するため。基準として、「熱傷面積が成人で15%TBSA(total body surface area)程度以上、小児で10% TBSA 程度以上の症例に対して輸液療法を行うことを推奨する。ただし、それ以下の熱傷面積 であっても全身状態を診て初期輸液療法を開始してもよい」と熱傷診療ガイドライン(※日本皮膚科学会ガイドライン)に記載されている。
Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。
88 胃食道逆流症で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.青年期に多い。
2.高脂肪食の摂取を勧める。
3.食後は左側臥位で休息する。
4.下部食道括約筋の弛緩が関与する。
5.H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。
解答4・5
解説
胃食道逆流症は、主に胃の中の酸が食道へ逆流することにより、胸やけや呑酸などの不快な自覚症状を感じたり、食道の粘膜がただれたり(食道炎)する病気である。胸が詰まるような痛みを感じたり、のどの違和感や慢性的に咳が持続する。胃酸の逆流は食後2~3時間までに起こることが多いため、食後にこれらの症状を感じたときは胃酸の逆流が起きている可能性を考える。治療としては、胃酸分泌抑制薬による内服が優先される。
発症しやすい食生活の習慣として、①過食傾向、②早食い、③食べてすぐ寝る、④高脂肪食が好き、⑤アルコールをよく飲む、⑥タバコを吸う、⑦肥満傾向、⑧前かがみ姿勢になりがちなことがあげられる。
1.× 「青年期」ではなく高齢者に多い。60歳代で約15%、70歳代では約20%、80歳代を越えると30%と、加齢にともない増加する。若年から壮年での有病率は男性の方が高く、高齢者では女性のほうが有病率は高くなる。
2.× 高脂肪食の摂取を「勧める」のではなく控える。なぜなら、高脂肪食の摂取は、消化が悪く胃内での停滞が長く、逆流を起こしやすいため。例えば、フライや天ぷらなど油っぽいもの、ケーキやチョコレートなどの甘いものを控える。
3.× 食後は、「左側臥位」ではなく、食後2時間程度は上半身をやや起き上がらせて寝る姿勢(頭側挙上)で休息する。なぜなら、食後すぐ横になると、胃の中の胃酸が逆流して食道にたまりやすくなるため。
4.〇 正しい。下部食道括約筋の弛緩が関与する。下部食道括約筋が弛緩することで、胃液が食道内へ容易に逆流し、胃食道逆流症となる。食道は、のどの部分と食道と胃のつなぎ目の部分に、それぞれ括約筋と呼ばれる構造を有している。①上部食道括約筋と②下部食道括約筋である。①上部食道括約筋とは、食道に入ったものが口に戻らないようにする働きを持つ。②下部食道括約筋とは、胃に入ったものが食道に戻らないようにする働きを持つ。
5.〇 正しい。H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。治療は、H2受容体措抗薬またはプロトンポンプ阻害薬による胃酸分泌抑制作用のある薬の投与である。副作用では、頻度は稀だが、発疹、蕁麻疹などの症状があらわれる場合がある。また、消化器症状として、便秘、下痢、吐き気などの症状があらわれる場合がある。
89 健やか親子21(第2次)の基盤課題Bのうち、学童期・思春期の課題の指標となっているのはどれか。2つ選べ。
1.十代の喫煙率
2.十代の自殺死亡率
3.十代の定期予防接種の接種率
4.児童・生徒における不登校の割合
5.児童・生徒におけるむし歯(う歯)の割合
解答1・2
解説
(※図引用:「課題の概要」厚生労働省HPより)
健やか親子21は、平成25年の第1次計画の最終評価報告書を受け、平成27年度より第2次計画が開始されている。第1次計画では目標を設定した指標が多かったため、第2次計画では見直しを行い、目標を設けた52の指標と、目標を設けない「参考とする指標」として28の指標を設定した。第2次計画の中間評価は5年後、最終評価は10年後を予定している。
<目標>
1. 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進(十代の自殺、人工妊娠中絶、性感染症罹患)
2. 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援(妊産婦死亡、産後うつ病、産婦人科医・助産師数)
3. 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備(低出生体重児、事故、妊娠・育児期間中の喫煙)
4. 子どものこころの安らかな発達の促進と育児不安の軽減(虐待死亡、母乳育児、心の問題に対応する小児科医)
(※参考:「健やか親子21(第2次)について」厚生労働省HPより)
1~2.〇 正しい。十代の喫煙率/十代の自殺死亡率は、健やか親子21(第2次)の基盤課題Bのうち、学童期・思春期の課題の指標となっている。
3.× 十代の定期予防接種の接種率は、基盤課題A(切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策)である。
4.× 児童・生徒における不登校の割合は、文部科学省の施策目標の一部に挙げられているが、健やか親子21には明記されていない。
5.× 児童・生徒におけるむし歯(う歯)の割合は、健康日本21の目標のひとつである。具体的な「歯の健康」の目標は、①歯の喪失の防止、②乳幼児のう蝕予防、③学齢期のう蝕予防等、④成人期の歯周病予防の4項目に分類されている。
90 1,500mLの輸液を朝9時からその日の17時にかけて点滴静脈内注射で実施する。
20滴で1mLの輸液セットを用いた場合の1分間の滴下数を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答: ① ② 滴/分
選択肢①:0~9 ②:0~9
解答①6、②3
解説
・1,500mLの輸液をする
・9時~17時(8時間)かける。
・20滴で1mLを用いる。
・1分間の滴下数を求める。
1,500mLの輸液を8時間(60分×8時間=480分)かけて投与する。
①まずは、1分間あたりの投与量を求める。
【1分間あたりの投与量】
1,500mL÷ 480(分) = 3.125mL
②つぎに、1分間あたりの滴下数を求める。
・1mLは20滴の輸液セットを用いるため・・・。
【1分間あたりの滴下数】
3.125mL × 20滴 = 62.5
③62.5の少数点以下第1位を四捨五入すると、63となる。
よって、①6、②3となる。