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61 平成28年(2016年)の人口動態統計における日本の出生で正しいのはどれか。
1.出生数は過去10年で最低である。
2.出生数は100万人を上回っている。
3.合計特殊出生率は過去10年で最低である。
4.第1子出生時の母の平均年齢は30歳未満である。
解答1
解説
1 出生数は減少
出生数は97万6978人で、前年の100万5677人より2万8699人減少し、出生率(人口千対)は7.8で前年より低下した。合計特殊出生率は1.44で前年の1.45より低下した。母の年齢(5歳階級)別にみると、出生数は15~39歳の各階級及び50歳以上では前年より減少したが、14歳以下及び40~49歳の各階級では増加した。合計特殊出生率の内訳は34歳以下の各階級では前年より低下したが、35歳以上の各階級では上昇した。なお、30~34歳の階級が最も高くなっている。出生順位別にみると、出生数はいずれの出生順位についても前年より減少した。合計特殊出生率の内訳では第1子は前年を下回ったが、第2子及び第3子以上は前年より上回った。母の年齢(5歳階級)別と出生順位別を併せてみると、出生数は15~39歳の各階級ではいずれの出生順位も前年より減少したが、40~44歳の階級ではいずれの出生順位も前年より増加した。合計特殊出生率の内訳では29歳以下の各階級ではいずれの出生順位も前年より低下したが、40~44歳の階級ではいずれの出生順位も前年より上昇した。
(※一部引用:「平成28年(2016)人口動態統計(確定数)の概況」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。出生数(一定人口に対するその年の出生数の割合)は、過去10年で最低である。年々減少している。
2.× 出生数は、100万人を「上回っておらず」下回っている。出生数は97万6978人で、前年の100万5677人より2万8699人減少し、出生率(人口千対)は7.8で前年より低下した。
3.× 合計特殊出生率(一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均)は、過去10年で最低ではない。平成28年(2016年)の合計特殊出生率は1.44で前年の1.45より低下した。ちなみに、近年の動向は、2005年の1.26を底に上昇傾向をたどり、2015年には1.44まで上昇したが、その後、低下傾向に転じ、2019年には1.36と対前年でマイナス0.06と大きく低下、2020年、2021年もそれぞれ1.33、1.30とさらに低下した。最近2年の低下にはコロナの影響もある。
4.× 第1子出生時の母の平均年齢は、「30歳未満」ではなく30歳以上である。平成28年の平均初婚年齢は夫が31.1歳、妻が29.4歳、第1子出生時の母の平均年齢が30.7歳となっている。
62 エストロゲン低下によって更年期の女性に起こるのはどれか。
1.骨量の低下
2.内臓脂肪の減少
3.脳血流量の増加
4.HDLコレステロールの上昇
解答1
解説
更年期障害とは、更年期に出現する器質的な変化に起因しない多彩な症状によって、日常生活に支障をきたす病態と定義される。更年期症状は大きく、①自律神経失調症状、②精神神経症状、③その他に分けられるが、各症状は重複して生じることが多い。治療の一つに、ホルモン補充療法(HRT)があげられる。
ホルモン補充療法とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法である。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に高い効果を示す。禁忌として、エストロゲン依存性悪性腫瘍(子宮内膜癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓性疾患などがあげられる。
1.〇 正しい。骨量の低下は、エストロゲン(卵胞ホルモン)低下によって更年期の女性に起こる。エストロゲンは、破骨細胞(古い骨を吸収する細胞)と骨芽細胞(新しい骨を作る細胞)の両方に作用している。閉経にともなうエストロゲン欠乏により、破骨細胞による骨吸収が亢進して、骨量が減少すると考えられており、将来的な骨粗鬆症のリスクにつながる。
2.× 内臓脂肪の「減少」ではなく増加である。エストロゲンは、内臓脂肪を溜め込む作用に関与するアルデヒド脱水素酵素を抑える働きがある。更年期によるエストロゲンの低下により、アルデヒド脱水素酵素の働きが弱くなり、女性の身体は内臓脂肪を貯めやすい身体へと変化しやすい。したがって、将来的な肥満体形のリスクにつながる。
3.× 脳血流量の「増加」ではなく減少である。エストロゲンの脳機能に対する効果として、①神経伝達物質に対する影響(感情に関わる物質や記憶に関わる物質の活性化)、②神経細胞の保護(細胞死の抑制と抗酸化作用)、③神経栄養作用(神経栄養因子の増加と神経細胞の成長)、④脳機能の活性化(脳血流量の増加と糖の取り込み増加)、⑤脳内のアミロイドβタンパク沈着の抑制があげられる。エストロゲンが減少すれば、神経細胞の死滅が進み、脳血流量の減少から脳機能が低下し、脳内のアミロイドβタンパク沈着が増加する。したがって、将来的にアルツハイマー病が起きやすい。
4.× HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、「上昇」ではなく減少である。エストロゲンは、HDL(悪玉)コレステロールを上昇させ、LDL(善玉)コレステロールを低下させる作用がある。したがって、将来的に脂質異常症が起こりやすい。これにより動脈硬化が進みやすくなる。
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63 順調に分娩が進行している産婦から「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」と看護師に訴えがあった。流出したものを確認すると、量は少量で、羊水特有の臭いを認めた。
その時の産婦への対応で優先されるのはどれか。
1.更衣を促す。
2.体温を測定する。
3.食事摂取を勧める。
4.胎児心拍数を確認する。
解答4
解説
・分娩:順調に進行中。
・産婦から「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」と。
・量:少量、羊水特有の臭い。
→本症例は、破水が疑われる。破水とは、卵膜が破れて羊水が子宮外に流出することである。破水は、臍帯脱出や上行感染、胎児機能不全などの原因となり得る。【破水の種類】①前期破水とは、分娩が始まる前の破水のこと、②早期破水とは、分娩開始以降で子宮口全開大前の破水のこと、③適時破水:子宮口全開大に達する頃の破水のことをいう。
1~3.× 更衣を促す/体温を測定する/食事摂取を勧めるより優先度が高いものが他にある。なぜなら、直ちに生命への関係性は低いため。前期破水とは、陣痛開始前のいずれかの時点で胎児の周りの羊水が流れ出ることである。多くの場合、破水後まもなく陣痛が始まる(約70~80%が1週間以内)。破水して6~12時間以内に陣痛が始まらない場合には、妊婦と胎児の感染リスクが上昇する。
4.〇 正しい。胎児心拍数を確認する。なぜなら、破水すると臍帯脱出や臍帯圧迫などのリスクがあり、胎児機能不全の原因となりうるため。臍帯脱出や臍帯圧迫の場合は胎児心拍数が急激に下がり、胎児の予後が不良となる。胎児機能不全とは、お産の途中でさまざまな原因によって胎児が低酸素状態になることをいう。胎児仮死、胎児ジストレスとも呼ぶ。原因としては母体の妊娠高血圧症候群、胎盤早期剥離、臍帯の圧迫などである。新生児蘇生法ガイドライン(NCPR)に従って蘇生初期処置を行い、蘇生終了後、新生児の健康に不安がある場合、新生児管理に関する十分な知識と経験がある医師に相談する。
【分娩第1期】
陣痛の開始から、子宮口(子宮頸部)が完全に開く(全開大、約10cm)までの期間を指す。
・分娩第1期
「①潜伏期」と「②活動期」に分けられる。
①潜伏期:陣痛がリズミカルになり、子宮頸部が薄くなり4cmほど開いた状態まで(初産婦で12時間・経産婦で5時間程度かかる)の時期を示す。
②活動期:子宮口が4センチから10cm(全開)に開き、胎児の一部が胎盤内に降りてくる(初産婦で3時間・経産婦で2時間程度かかる)。いきみたくなって来る段階である。
・分娩第2期:赤ちゃんが産道を通っている間
子宮口が完全に開大してから胎児を娩出するまでの期間を指す。この段階は初産婦では平均45~60分間、経産婦では15~30分間続く。
・分娩第3期:「後産」の時期
胎児を娩出してから胎盤を娩出するまでの期間である。この段階は数分間で終わるのが普通であるが、最大30分ほど続くこともある。
64 新生児の反応の図を示す。
Moro(モロー)反射はどれか。
解答3
解説
原始反射は知覚や姿勢に入力された刺激が大脳の指令を受けずに脊髄や脳幹レベルで処理されることで、無意識下で筋肉が動く現象である。随意運動が発達すると徐々に原始反射は消失する。これは、新生児期の反射中枢は脊髄レベルであり、月齢とともに、脳幹部、中脳、大脳皮質と反射中枢は高次に達するため。
1.× 図は、探索(ルーテイング)反射である。原始反射のひとつであり、口唇周辺を刺激すると、刺激方向に顔を向けて探索する反射のことである。母乳やミルクを飲むために必要な反射である。出生時からみられ、生後4~7か月頃に消失する。
2.× 図は、非対称性緊張性頚反射(ATNR)である。背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後4~6か月には消失する。
3.〇 正しい。図は、Moro(モロー)反射である。背臥位の子どもの後頭部に手をやって15cmほど頭を持ち上げ、頭を落下させると,両上肢が伸展・外転し、続いて内転が起こる。出生時からみられ、生後3~4か月頃には消失する。
4.× 図は、自動歩行(自律歩行、脚踏み反射))である。新生児の腋窩を押えて起立させ、足を床につけ前傾させると数歩、歩行する。胎児期後期から出現し、生後1~2か月までに消失する。
65 飲酒したい欲求を抑圧した人が、酩酊状態の人の行動を必要以上に非難する防衛機制はどれか。
1.昇華
2.転換
3.合理化
4.反動形成
解答4
解説
防衛機制とは、人間の持つ心理メカニズムであり、自分にとって受け入れがたい状況や実現困難な目標に対して、自我を保つために無意識で発動する心理的な機構である。防衛機制には、短期的には精神状態を安定させる作用があるが、長期的にみればかえって精神を不安定にさせてしまうものもある。
1.× 昇華とは、性欲や支配欲などの基本的欲求を社会的に容認された方法で解消することである。例えば、満たされない性的欲求や攻撃欲求を芸術やスポーツ、学問という形で表現することである。
2.× 転換(置き換え)とは、受け入れ難い自己の感情を、対象を別のものに移すことで解消することである。例えば、親を攻撃する代わりに飼っているネコをいじめることである。
3.× 合理化とは、欲求が満たされないとき、その耐え難い感情をかなり強引な理屈づけを行って処理しようとすること。例えば、異性に振られたとき、「あんな奴と付き合わない方が自分のためになる」などと思い込むことである。
4.〇 正しい。反動形成とは、満たされない欲求を正反対の欲動によって打ち消すことである。本問では、飲酒に対する欲求を「非難」という正反対の形で現れている。