第109回(R2) 看護師国家試験 解説【午前36~40】

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36 片麻痺のある成人の臥床患者の患側の良肢位で適切なのはどれか。

1.肩関節は内転10度
2.肘関節は屈曲10度
3.股関節は外転10度
4.足関節は背屈10度

解答3

解説

良肢位とは?

良肢位とは、身体が何らかの理由で麻痺しているなど、関節が上手く動かせない状態にある患者を、日常生活を送る上でより過ごしやすい・動きやすい状態に保たせておくことができる肢位のことをさす。関節の拘縮や変形が起こる可能性や麻痺がある場合に、その位置に固定することで、日常生活への支障を最小限にとどめられる体位である。

1.× 肩関節は、「内転10度」ではなく、外転10~30度である。
2.× 肘関節は、「屈曲10度」ではなく、屈曲90度である。
3.〇 正しい。股関節は、外転10度(外転0~10度)である。
4.× 足関節は、「背屈10度」ではなく、底屈・背屈0度の中間位である。

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【2問】良肢位についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

37 クリップ式のプローブを用いて手指で経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定する方法で適切なのはどれか。

1.同じ指で24時間連続で測定する。
2.マニキュアをしたままで測定する。
3.装着部位に冷感がある場合は温める。
4.指を挟んだプローブはテープで固定する。

解答3

解説

パルスオキシメーターの注意点

①運動直後の数値は体動の影響がある。
②装着直後ではなく、動脈拍動を検出してから20〜30秒後の安定した値を読み取る。
③安静時の状態を測定する時は、呼吸や心拍が安静時に戻っていることを確認し測定する。
④測定部位は動かさず静止の状態で測定する。
⑤爪のマニキュアや白癬症が光の透過を妨げない。
⑥測定機器をしっかり当てる。
⑦屋外など強い光の下で測定しない。
⑧手足が血管収縮させた状態(冷たい)で測定しない。
⑨指のむくみがない状態で測定する。

(※参考:「よくわかるパルスオキシメーター」日本呼吸器学会HPより)

1.× 同じ指での測定は、「24時間」ではなく8時間以内を目安に測定部位を変える必要がある。なぜなら、センサーの光によって低体温症を起こす可能性があるため。また、組織の圧迫により、圧迫壊死が起きることもある。
2.× マニキュアをしたままで測定することはできない。なぜなら、マニキュアは、光の透過を妨げ正確に測定することができないため。マニキュアを落とす必要がある。
3.〇 正しい。装着部位に冷感がある場合は温める。なぜなら、指先の冷えなどによる末梢血管収縮時は、正確に測定できないことがあるため。また、循環を促すため、手を揉んだりすることもある。
4.× 指を挟んだプローブは、テープで固定する必要はない。むしろ、テープなどによる過度な圧迫は、血管を圧迫し安定した測定を阻害する。クリップ式の場合、測定機器をしっかり当てる必要はあるが、クリップを広げ手指に差し込むだけで測定可能である。

 

 

 

 

38 熱型を図に示す。
 熱型の種類と図の組合せで正しいのはどれか。

1.間欠熱:A
2.稽留熱:B
3.弛張熱:C
4.波状熱:D

解答2

解説

体温の基本

体温には日内変動が見られ、午前2〜6時ごろが最も低く、午後から夕方(午後3〜8時)にかけて高い状態になる。基本的には1℃以内程度の日内変動である。

1.× Aは、「間欠熱」ではなく、弛張熱(読み:しちょうねつ)である。弛張熱の特徴は、日内変動が1℃以上あるが、37℃以下にまでは下がらない熱のことである。主な疾患は、化膿性疾患、敗血症、ウイルス感染症、悪性腫瘍、肺結核などでみられる。
2.〇 正しい。Bは、稽留熱(読み:けいりゅうねつ)である。稽留熱の特徴は、日内変動が1℃以内で、38℃以上の高熱が持続する熱のことである。主な疾患は、重症肺炎や腸チフス極期、粟粒結核などでみられる。
3.× Cは、「弛張熱」ではなく、波状熱(再発熱)である。波状熱(再発熱)の特徴は、発熱する時期と発熱しない時期とが区別されており、不規則に繰り返し出現する熱のことである。主な疾患は、ブルセラ症、マラリア、ホジキン病、胆道閉鎖症などでみられる。
4.× Dは、「波状熱」ではなく、間欠熱である。間欠熱の特徴は、高熱と平熱の状態が一定期間を置いて交互に出現する。1日の体温差が1℃以上あり、37℃以下にまで下がる熱(体温差が大きい)のことである。主な疾患は、マラリアの発熱期やスティル病、フィラリア症などでみられる。

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【8問】体温の基本についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

39 薬の内服方法における頓用で正しいのはどれか。

1.週に1回服用する。
2.食事の前に服用する。
3.指定された時間に服用する。
4.症状が現れたときに服用する。

解答4

解説

頓用とは?

頓用とは、患者の主訴を軽減・消失させる目的薬の服用方法(飲み方)で、症状に応じて服用することをいう。頭痛・腹痛・不眠・発熱のときなどに症状に応じて、あらかじめ担当医から処方された薬を服用する。つまり、症状が出たときや激しいときなどに必要に応じて薬を服用する用法である。

1.3.× 週に1回服用する/指定された時間に服用する方法は、薬の飲み忘れにもつながるため、あまり聞いたことがない。分かる方がいらしたらコメント欄にてご協力をお願い致します。
2.× 食事の前に服用する方法が「食前」である。例えば、食事のタイミングに合わせて内服すべき、糖吸収阻害剤などがあたる。
4.〇 正しい。症状が現れたときに服用する方法は「頓用」である。

 

 

 

 

40 壮年期の身体的特徴で正しいのはどれか。

1.運動耐久力の向上
2.明暗順応の低下
3.持久力の向上
4.臓器の萎縮

解答2

解説

壮年期とは?

 壮年期とは、30歳代から60歳代くらいまでを指す。社会的役割が増大し、心理的に最も充実するが、種々の身体機能は徐々に低下し始める時期である。

1.3.× 壮年期では、運動耐久力/持久力の「向上」ではなく低下する。なぜなら、運動量・基礎代謝量・筋力・肺活量が低下するため。
2.〇 正しい。明暗順応の低下が起こる。なぜなら、40歳頃から水晶体の弾力性低下による調節力の低下が生じるため。明暗順応とは、視感度が光環境に順応する視覚機能で、目の網膜の感度を明るい所で低下させたり、暗い所で増大させたりして調節し、適度な視感覚を保たせることである。視感度とは、明るいところでは低くなり(明順応)、暗いところでは高くなる(暗順応)こと。また、40歳頃より視力は遠視に傾く。
4.× 臓器の萎縮は、「壮年期」ではなく、向老期(概ね 60 歳前後から 65 歳前後)において顕著に現れるようになる。向老期には、細胞・器官・結合組織などの細胞レベルの変質(臓器の萎縮、皮膚のしわ、動脈硬化)が起こる。

 

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