第109回(R5)保健師国家試験 解説【午前46~50】

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次の文を読み44~46の問いに答えよ。
 人口2万人のA市にあるB地区は人口300人、老年人口割合は45%で単身の高齢者世帯が増加している。2年前に300戸の温泉付きのマンションが建設された。マンションの入居者の平均年齢は67.2歳で、都市部の会社を定年退職した者が多い。近所付き合いが少ないため、1人暮らし世帯の入居者が死後1か月以上経って発見されることがあった。現在は高齢夫婦世帯が多いが、今後は配偶者の死亡によって1人暮らし世帯が増加する見込みである。保健師は住民と協働し、安心して暮らせるB地区になるよう取り組むことにした。まず、保健師は地域の実態把握を行うことにした。

46 実態把握の結果、B地区のマンション入居者からは「近所付き合いがなく頼れる人がいないため、この先が不安」「定年退職後、趣味がないので外出する機会が少なく体力が落ちた」という意見が多かった。この調査結果をB地区の自治会長に説明したところ、「マンション入居者以外のB地区の人からも同様の意見を聞いている。近所付き合いのあるB地区にしていきたい」と話した。
 B地区で保健師が取り組むことで最も適切なのはどれか。

1.健康相談会の開催
2.健康講座のオンライン開催
3.介護予防サービスの利用案内の全戸配布
4.75歳以上の住民への健康診査の受診勧奨
5.B地区の住民へのウォーキングマップづくりの提案

解答

解説

ポイント

【マンション入居者】
・「近所付き合いがなく頼れる人がいないため、この先が不安」
・「定年退職後、趣味がないので外出する機会が少なく体力が落ちた

【自治会長】
・「マンション入居者以外のB地区の人からも同様の意見を聞いている。近所付き合いのあるB地区にしていきたい」と。

→B地区のマンション入居者と自治会長の意見は、ほとんど同じ方向を向いている。ほかの選択肢が消去される理由もあげられるようにしよう。

1.× 健康相談会の開催の優先度は低い。なぜなら、健康相談会は、個別の健康不安に対応する場で近所付き合いの活性化につながるとはいえないため。
・健康相談会とは、病気、健康診断結果、予防治療方法、その他の健康一般の問題に不安、疑問を持っている労働者に対して行われる健康に関する指導や援助であって、相談者が適切な指導・助言を受けることにより健康な生活を維持又は回復することを目的として医師保健師等に相談することである。

2.× 健康講座のオンライン開催の優先度は低い。なぜなら、健康講座のオンライン開催が直接的に、外出機会の活性化につながるとはいえないため。オンラインでは参加者同士の自然な交流も生まれにくく、「近所付き合いがない」という課題解決にもつながりにくい。

3.× 介護予防サービスの利用案内の全戸配布の優先度は低い。なぜなら、介護予防サービスが直接的に、外出機会の活性化につながるとはいえないため。マンションの入居者の課題として、①近所付き合いがないこと、②外出する機会が少なく体力が落ちたことに対して、B地区の自治会長は、「近所付き合いのあるB地区にしていきたい」と意欲を示している。
・介護予防サービスとは、高齢者ができる限り要介護状態に陥ることなく、また、状態の悪化を防ぐために生活機能の維持向上や改善を目的としたサービスである。

4.× 75歳以上の住民への健康診査の受診勧奨の優先度は低い。なぜなら、健康診査の受診は、個別の健康に対応する場で、近所付き合いの活性化につながるとはいえないため。

5.〇 正しい。B地区の住民へのウォーキングマップづくりの提案に取り組む。なぜなら、ウォーキングマップきっかけに、外出付き合いの活性化にを増えるため。また、ウォーキングマップ作成するにあたり、住民間の交流や活動の機会が増える。マンションの住人が「趣味がないので外出する機会が少なく体力が落ちた」という問題も解決できる可能性がある。

 

 

 

 

 

次の文を読み47~49の問いに答えよ。
 製造業のA社は従業員50名、平均年齢42歳である。高年齢労働者は現在20名だが、会社は高年齢労働者の活用を進めていく方針である。
製造現場で働く従業員(63歳、男性)が工場内の通路で転倒する事故が起きた。事故後に、A社の保健師が安全管理者と面談した。安全管理者は「怪我が大したことなくてよかったが、どこで転ぶか分からないから怖い。貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた。高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と保健師に話した。

47 A社の保健師が安全管理者に対して行う提案で優先度が高いのはどれか。

1.高年齢労働者の体力測定
2.高年齢労働者に合った配置部署の検討
3.高年齢労働者に向けた注意喚起の強化
4.高年齢労働者の特性を踏まえた事故原因の検討

解答

解説

本症例のポイント

・製造業のA社:従業員50名(平均年齢42歳)、高年齢労働者20名。
・会社の方針:高年齢労働者の活用を進めていく。
・製造現場:従業員(63歳、男性)が工場内の通路で転倒。
・安全管理者「怪我が大したことなくてよかったが、どこで転ぶか分からないから怖い。貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた。高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と。
→今回、転倒事故が起こった原因がまだ断定できるほど材料があげられていない。工場の通路に張り紙が貼ってあり、注意喚起を行っていたにもかかわらず転倒しているが、まずは、その通路がどのような材質、角度(坂)、幅、手すりの有無、物が置いてあるのかなど評価する必要がある。

1.× 高年齢労働者の体力測定より優先度が高いものが他にある。なぜなら、今回の転倒事故の原因が、高年齢労働者の体力によるものと断定することができないため。また、加齢により高年齢労働者の体力は減衰することが考えられ、体力を向上させるにも時間がかかる。高年齢労働者の体力でも、転倒事故が起こりにくい環境に整えることが大切である。

2.× 高年齢労働者に合った配置部署の検討より優先度が高いものが他にある。なぜなら、会社の方針は「高年齢労働者の活用」であり、安易に配置転換を検討するのは方針に逆行する可能性があるため。まずは、事故の原因を調査し、職場環境の改善や作業負担の軽減など、現在の部署で安全に働けるように対策を講じることが基本である。

3.× 高年齢労働者に向けた注意喚起の強化より優先度が高いものが他にある。なぜなら、すでに安全管理者は「貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた」と述べているため。単に注意喚起を強化するだけでは、根本的な原因(環境の問題、加齢による身体機能の変化など)が解決されず、同様の事故が再発する可能性がある。

4.〇 正しい。高年齢労働者の特性を踏まえた事故原因の検討の優先度が高い。なぜなら、。特に今回は高年齢労働者の事故で安全管理者は「高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と訴えているため。加齢に伴う視力・聴力・筋力・バランス能力などの身体機能の変化(高年齢労働者の特性)が事故に影響した可能性がある。原因を多角的に検討することで、初めて効果的な対策(環境改善、作業方法の見直し、健康管理、教育など)を立案できる。

高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン

ガイドラインのポイント
●事業者に求められる取組
高年齢労働者の就労状況や業務の内容等の実情に応じて、国や関係団体等による支援も活用して、法令で義務付けられているものに必ず取り組むことに加えて、実施可能な高齢者労働災害防止対策に積極的に取り組むよう努める。

【具体的な取組】
(1)安全衛生管理体制の確立等
 経営トップ自らが安全衛生方針を表明し、担当する組織や担当者を指定するとともに、高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害についてリスクアセスメントを実施
(2)職場環境の改善
 照度の確保、段差の解消、補助機器の導入等、身体機能の低下を補う設備・装置の導入などのハード面の対策とともに、勤務形態等の工夫、ゆとりのある作業スピード等、高年齢労働者の特性を考慮した作業管理などのソフト面の対策も実施
(3)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
 健康診断や体力チェックにより、事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の健康や体力の状況を客観的に把握
(4)高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
 健康診断や体力チェックにより把握した個々の高年齢労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務をマッチングするとともに、集団及び個々の高年齢労働者を対象に身体機能の維持向上に取り組む
(5)安全衛生教育
 十分な時間をかけ、写真や図、映像等文字以外の情報も活用した教育を実施するとともに、再雇用や再就職等で経験のない業種や業務に従事する高年齢労働者には、特に丁寧な教育訓練を実施

(※引用:「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

次の文を読み47~49の問いに答えよ。
 製造業のA社は従業員50名、平均年齢42歳である。高年齢労働者は現在20名だが、会社は高年齢労働者の活用を進めていく方針である。
製造現場で働く従業員(63歳、男性)が工場内の通路で転倒する事故が起きた。事故後に、A社の保健師が安全管理者と面談した。安全管理者は「怪我が大したことなくてよかったが、どこで転ぶか分からないから怖い。貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた。高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と保健師に話した。

48 A社の保健師は、今後の事故予防の参考にするため高年齢労働者の数名に話を聞いた。「機器の警告音には注意している」「棚の影となる部分が暗く見づらい」「年齢だけで特別扱いはされたくない」「上司に会うたびに体調確認されるが、体調が悪ければ自分で伝える」という思いが聴取された。
 高年齢労働者の事故予防対策として、保健師が会社に提案することで適切なのはどれか。

1.警告音の音域を高音設定にする。
2.照明を増設する必要性を確認する。
3.体調確認は自己申告を基本とする。
4.作業スピードは他の労働者と同じにする。

解答

解説

ポイント

【高年齢労働者の話】
・「機器の警告音には注意している」
・「棚の影となる部分が暗く見づらい
・「年齢だけで特別扱いはされたくない」
・「上司に会うたびに体調確認されるが、体調が悪ければ自分で伝える」と。
→高年齢労働者の話から、変更が必要と考えられるものをピックアップしよう。

1.× 警告音の音域は、「高音設定」ではなく中低音域にする。なぜなら、加齢による老人性難聴に配慮する必要があるため。老人性難聴は、高音域の聴力から障害される。警告音を高音設定にすると、かえって高年齢労働者が聞き取りにくくなる可能性がある。また、設問には「機器の警告音には注意している」と記載されていることから、機器の警告音はすでに適切に機能していると判断でき、変更する必要性も低い。
・老人性難聴とは、加齢によって耳(内耳)と脳(聴覚中枢)が障害されて聴こえにくくなっている状態である。

2.〇 正しい。照明を増設する必要性を確認する。なぜなら、「棚の影となる部分が暗く見づらい」という意見があるため。転倒などの事故に直結する可能性のある環境要因となる。したがって、棚の影の照度を測定したり、実際に作業状況を確認したりして、照明の増設や配置変更の必要性を具体的に評価し、会社に改善を提案する。

3.× あえて、体調確認は「自己申告」を基本とする必要はない。なぜなら、設問には、「上司に会うたびに体調確認されるが、体調が悪ければ自分で伝える」と話しているが、必ずしも全員が「自己申告」できるとは限らないため。高年齢労働者の中には、体調の変化を自覚しにくかったり、遠慮して不調を言い出せなかったりする人もいる。会社(上司など)は、客観的な方法(声かけ、観察、必要に応じた健康チェックなど)も含めて体調を確認し、不調の兆候を早期に把握する体制は維持・強化すべきである。

4.× あえて、作業スピードを他の労働者と同じにする必要はない。なぜなら、加齢により作業能力(作業量・集中力・注意力など)が低下するため。むしろ、個々にあったゆとりのある作業スピードが、事故を防ぐことにつながる。設問に、「年齢だけで特別扱いはされたくない」という話もあるが、作業スピードは、年齢だけでなく、その人の能力や安全に対する配慮によって決めていることを説明すべきである。

高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン

ガイドラインのポイント
●事業者に求められる取組
高年齢労働者の就労状況や業務の内容等の実情に応じて、国や関係団体等による支援も活用して、法令で義務付けられているものに必ず取り組むことに加えて、実施可能な高齢者労働災害防止対策に積極的に取り組むよう努める。

【具体的な取組】
(1)安全衛生管理体制の確立等
 経営トップ自らが安全衛生方針を表明し、担当する組織や担当者を指定するとともに、高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害についてリスクアセスメントを実施
(2)職場環境の改善
 照度の確保、段差の解消、補助機器の導入等、身体機能の低下を補う設備・装置の導入などのハード面の対策とともに、勤務形態等の工夫、ゆとりのある作業スピード等、高年齢労働者の特性を考慮した作業管理などのソフト面の対策も実施
(3)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
 健康診断や体力チェックにより、事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の健康や体力の状況を客観的に把握
(4)高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
 健康診断や体力チェックにより把握した個々の高年齢労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務をマッチングするとともに、集団及び個々の高年齢労働者を対象に身体機能の維持向上に取り組む
(5)安全衛生教育
 十分な時間をかけ、写真や図、映像等文字以外の情報も活用した教育を実施するとともに、再雇用や再就職等で経験のない業種や業務に従事する高年齢労働者には、特に丁寧な教育訓練を実施

(※引用:「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

次の文を読み47~49の問いに答えよ。
 製造業のA社は従業員50名、平均年齢42歳である。高年齢労働者は現在20名だが、会社は高年齢労働者の活用を進めていく方針である。
製造現場で働く従業員(63歳、男性)が工場内の通路で転倒する事故が起きた。事故後に、A社の保健師が安全管理者と面談した。安全管理者は「怪我が大したことなくてよかったが、どこで転ぶか分からないから怖い。貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた。高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と保健師に話した。

49 A社の保健師は、高年齢労働者の数名を対象とした事故予防の聴取の際に、仕事のやりがいや職場への思いについても聞いた。「技能を生かして同じ場所で働けるのは安心」という肯定的な意見とともに、「契約の変更で給与が下がり、働きが評価されていない」「若い上司の指示に従うのは抵抗がある」「後輩たちから尊重されていない」という職場への不満が聴取された。
 この情報をもとに保健師が企画する内容で優先度が高いのはどれか。

1.高年齢労働者を対象としたストレスコーピング学習会
2.若手の従業員を対象としたアサーショントレーニング
3.管理職を対象とした高年齢労働者の働き方を考える研修会
4.安全衛生委員会で部署別のストレスチェックの集団分析結果を共有

解答

解説

ポイント

・【仕事のやりがいや職場への思い】
・肯定:「技能を生かして同じ場所で働けるのは安心」
・不満:「契約の変更で給与が下がり、働きが評価されていない」「若い上司の指示に従うのは抵抗がある」「後輩たちから尊重されていない」と。
→ほかの選択肢が消去される理由もあげられるようにしよう。

1.× 高年齢労働者を対象としたストレスコーピング学習会より優先度が高いものが他にある。なぜなら、高年齢労働者から聴取された職場への不満(評価、人間関係など)は、組織として取り組むべき課題であるため。ストレスコーピング学習会は、個人へ対する働きかけで、職場への不満への対応はできず、職場の環境やシステムの改善は見込めないため。
・コーピング技能とは、普段の生活を振り返り、ストレスと上手に付き合うための方法のことである。

2.× 若手の従業員を対象としたアサーショントレーニングより優先度が高いものが他にある。なぜなら、アサーショントレーニングは、「契約の変更で給与が下がり、働きが評価されていない」といった職場の不満に対しての対応にはつながらないため。
・アサーショントレーニング(自己表現)は、自分も相手も大切にした自己表現を身につけていくためのトレーニングである。自分の気持ち、考え、信念等を正直に、率直にその場にふさわしい方法で表現できるコミュニケーションを目指す。抑うつ状態・メンタルヘルス不全にも適応となる。

3.〇 正しい。管理職を対象とした高年齢労働者の働き方を考える研修会の優先度が高い。なぜなら、聴取された不満(評価、若い上司との関係、後輩からの尊重)の多くは、管理職のマネジメントや組織の仕組みに深く関わっているため。管理職が高年齢労働者の特性、価値観、キャリア、そして彼らが抱える不安や不満を理解し、適切な評価制度、コミュニケーション方法、職場環境づくりについて学ぶことで、管理職の意識と行動の変化が期待でき、組織全体の変化につながりやすくなる。

4.× 安全衛生委員会で部署別のストレスチェックの集団分析結果を共有するより優先度が高いものが他にある。なぜなら、ストレスチェックを実施しても、具体的な改善策(不満解決)が見出せるものではないため。
・心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック制度)は、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務づける制度である。

高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン

ガイドラインのポイント
●事業者に求められる取組
高年齢労働者の就労状況や業務の内容等の実情に応じて、国や関係団体等による支援も活用して、法令で義務付けられているものに必ず取り組むことに加えて、実施可能な高齢者労働災害防止対策に積極的に取り組むよう努める。

【具体的な取組】
(1)安全衛生管理体制の確立等
 経営トップ自らが安全衛生方針を表明し、担当する組織や担当者を指定するとともに、高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害についてリスクアセスメントを実施
(2)職場環境の改善
 照度の確保、段差の解消、補助機器の導入等、身体機能の低下を補う設備・装置の導入などのハード面の対策とともに、勤務形態等の工夫、ゆとりのある作業スピード等、高年齢労働者の特性を考慮した作業管理などのソフト面の対策も実施
(3)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
 健康診断や体力チェックにより、事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の健康や体力の状況を客観的に把握
(4)高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
 健康診断や体力チェックにより把握した個々の高年齢労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務をマッチングするとともに、集団及び個々の高年齢労働者を対象に身体機能の維持向上に取り組む
(5)安全衛生教育
 十分な時間をかけ、写真や図、映像等文字以外の情報も活用した教育を実施するとともに、再雇用や再就職等で経験のない業種や業務に従事する高年齢労働者には、特に丁寧な教育訓練を実施

(※引用:「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

次の文を読み50~52の問いに答えよ。
 A町は人口1万人で高齢化率40%。後期高齢者の割合が65%と高齢化が進行し、独居高齢者が多い。A町は広大な山間部を有し、山の中腹や谷合に集落が点在している。運動機能が低下すると坂が多いため閉じこもり傾向となる高齢者が多い。近年、介護認定率が急増しており、健康寿命を延伸し住み慣れた地域で生活できるよう、地域包括ケアシステムの構築をめざす取り組みが検討されている。

50 A町の高齢者実態調査で、他町と比べ転倒の経験がある高齢者の割合が多かった。また、介渡認定を受けていない高齢者の1日の歩数が100歩未満の割合が最も多く、このような高齢者を対象に3か月間の筋力トレーニングを実施することにした。
 この取り組みは介護保険におけるサービス・事業のどれか。

1.居宅介護支援
2.地域支援事業
3.介護予防サービス
4.地域密着型サービス

解答

解説

ポイント

・A町(人口1万人、高齢化率40%)
地域包括ケアシステムの構築をめざす取り組みが検討。
・高齢者実態調査:他町と比べ転倒の経験がある高齢者の割合が多かった。
介渡認定を受けていない高齢者:1日の歩数が100歩未満の割合が最も多い。
3か月間の筋力トレーニングを実施する。
→ほかの選択肢が消去される理由もあげられるようにしよう。A町の取り組みが介護保険制度の中でどの事業に該当するかを、各サービスの対象者や目的との比較から適切に判断する。

→地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものである。この地域包括ケアシステムが効果的に機能するために、「4つの助(自助・互助・共助・公助)」の考え方が連携し、課題解決に向け取り組んでいく必要がある。この中で「互助」とは、家族・友人・活動仲間など、個人的な関係性を持つ人間同士が助けあい、それぞれが抱える生活課題をお互いが解決し合う力のことである。

1.× 居宅介護支援とは、介護保険法保険給付対象サービスのひとつである。対象は、介護保険の要介護認定を受けたものが該当するサービスである。介護利用者が適切に介護サービスを利用できるようにするため、利用者の依頼のもと、介護支援専門員がケアプランを立てる。その計画に従い、サービスが提供されるようにサービス提供事業者との連絡・調整を行う。

2.〇 正しい。地域支援事業が、設問の介護保険におけるサービス・事業である。なぜなら、今回の対象者は、介渡認定を受けていない高齢者であるため。
・地域支援事業とは、介護保険の介護給付や予防給付とは別に、地域住民が要支援・要介護状態になることを予防し、要介護状態等になった場合も住み慣れた地域でできるだけ自立した生活が送れるように市町村が実施する事業である。

3.× 介護予防サービスとは、住み慣れた地域環境で自立した生活を継続していけるように支援するサービスの1つである。サービスを受けられる対象は基本的に自立した生活のできる要支援1、2の方である。

4.× 地域密着型サービスとは、高齢者が住み慣れた地域でサービスを受けられるようにするものである。対象は、介護保険の要介護認定を受けたものが該当するサービスである。原則として、その市町村の被保険者しか利用できない。今後増加が見込まれる認知症高齢者や中重度の要介護高齢者等が、出来る限り住み慣れた地域で生活が継続できるように、市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービスである。

地域密着型サービス9種類

①定期巡回・随時対応型訪問介護看護
②夜間対応型訪問介護
③認知症対応型通所介護
④小規模多機能居宅介護
⑤看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
⑥認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
⑦地域密着型特定施設入居者生活介護
⑧地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
⑨地域密着型通所介護

 

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