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次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫(38歳)と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。
96 Aさんは、職場の上司と相談し、仕事を継続しながら化学療法を受けることになった。2サイクル目の治療のため、化学療法センターに来院した。Aさんは「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました。仕事も休みました」と看護師に話した。
身体所見:体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)98%。
検査所見:赤血球400万/μL、Hb 12.5g/dL、Ht 37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35 %)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP 0.3mg/dL。
2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要なのはどれか。
1.脈拍数
2.体温
3.血圧
4.体重
解答2
解説
・Aさん:仕事を継続しながら化学療法を受ける。
・Aさん「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました」と。
・身体所見:体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、SpO2:98%。
・検査所見:赤血球400万/μL、Hb 12.5g/dL、Ht 37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35 %)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP 0.3mg/dL。
→EC療法の「EC」とは、①エピルビシンと②シクロホスファミドの2種類の抗がん剤の頭文字をとった療法のことである。①エピルビシンの副作用としては、吐き気・嘔吐、口内炎、脱毛の発生頻度が高い。そのほか、頭痛や発熱、寒気、発疹、筋肉痛、肝機能や腎機能の低下がみられることがある。②シクロホスファミドの副作用として、骨髄抑制や吐き気・嘔吐、発熱、脱毛、出血性膀胱炎などが生じる。脱毛は治療が終わり薬の使用をやめれば自然に回復する。女性は無月経、男性では精子生産の停止が起こることもある。大量投与や長期投与によりめまいや動悸・息切れが生じ、骨髄抑制も増強することがある。
1.× 脈拍は、セルフモニタリングの重要性は低い。なぜなら、現在のAさんの脈拍数(脈拍70/分)で、正常範囲であるため。また、副作用としてもあげられていない。
2.〇 正しい。体温は、2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要である。なぜなら、シクロホスファミドの副作用として、骨髄抑制(易感染性)があげられるため。本症例の白血球は2,300/μL(基準値3,100~8,400/μL)で化学療法による骨髄抑制が起こっている可能性が高い。易感染の状態であり、感染徴候を見逃さないようにする。ちなみに、感染がある場合、炎症の4徴候である「熱感」「腫脹」「発赤」「疼痛」があったり、明らかな感染創がみられる。
3.× 血圧は、セルフモニタリングの重要性は低い。なぜなら、現在のAさんの血圧(120/74mmHg)で、正常範囲であるため。また、副作用としてもあげられていない。
4.× 体重より優先度が高いものが他にある。なぜなら、本症例の総蛋白7.0g/dL(6.5~8.0 g/dL)やアルブミン4.5g/dL(4.0g/dL)と基準範囲内であるため。もちろん、本症例は、食欲がなく、体重も減少しているため、モニタリングが必要であるが、選択肢の中で優先度が高いものが他にある。
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(68歳、女性)は、1人暮らし。隣の市に娘がいる。日常生活は自立している。10年前に糖尿病と診断され、血糖降下薬を服用している。最近の血液検査でHbA1cが8.5%のため、インスリンの自己注射を導入するかどうかを検討することになった。医師からAさんには自己注射についてまだ説明されていない。
97 Aさんに自己注射を導入できるかを判断するための情報で最も重要なのはどれか。
1.細かい文字が読める。
2.運動療法を行っている。
3.近所に支援をしてくれる人がいる。
4.食品交換表の使い方を理解できている。
解答1
解説
・Aさん(68歳、女性、1人暮らし、糖尿病)
・隣の市に娘がいる。
・日常生活:自立。
・10年前:糖尿病、血糖降下薬を服用。
・血液検査:HbA1cが8.5%(基準値:4.6〜6.2%)。
・インスリンの自己注射を導入するかどうか。
・自己注射についてまだ説明されていない。
→インスリン注射にはそれぞれ種類があり、①手順、②タイミング、③部位など覚えておく必要がある。その中でも回数・タイミングは、使用する製剤や人によって異なる。医師の指示に従って、決められたタイミング・接種回数を守るよう指導する。
1.〇 正しい。細かい文字が読めることは、Aさんに自己注射を導入できるかを判断するための情報で最も重要である。なぜなら、血糖測定やインスリン製剤は、ダイヤルの目盛りを見ながら単位の調整が必要であるため。また糖尿病の合併症として、①糖尿病網膜症、②糖尿病腎症、③糖尿病神経障害があげられる。糖尿病網膜症とは、網膜の血管障害により生じ、進行すると視力低下をきたす。また、症状は不可逆性であり、進行した糖尿病網膜症は改善されない。わが国における失明原因の上位を占めている。
2.× 運動療法を行っていることより優先度が高いものが他にある。糖尿病に対する運動療法の効果として、①末梢組織のインスリン感受性の改善(ぶどう糖の利用を増加させる)、②筋量増加、体脂肪・血中の中性脂肪の減少(HDLは増加する)、③摂取エネルギーの抑制、消費エネルギーの増加、④運動耐容能の増強などがあげられる。
3.× 近所に支援をしてくれる人がいることより優先度が高いものが他にある。なぜなら、Aさんは1人暮らしで日常生活も自立しているため。またインスリンの注射ができるのは、本人とその家族、医師、看護師と限られており、近所に支援を求めるのは近所の負担が大きくなるため控えるべきである。
4.× 食品交換表の使い方を理解できていることより優先度が高いものが他にある。食品交換表とは、例えばご飯50g(1単位:80キロカロリー)を食パン 30g(1単位:80キロカロリー)に交換して食べる事が出来ることなどが記載された表である。糖尿病の食事療法に用いられる。
1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。一方、2型糖尿病の原因は生活習慣の乱れなどによるインスリンの分泌低下である。運動療法の目的を以下に挙げる。
①末梢組織のインスリン感受性の改善(ぶどう糖の利用を増加させる)
②筋量増加、体脂肪・血中の中性脂肪の減少。(HDLは増加する)
③摂取エネルギーの抑制、消費エネルギーの増加。
④運動耐容能の増強。
【糖尿病患者に対する運動療法】
運動強度:一般的に最大酸素摂取量の40~60%(無酸素性代謝閾値前後)、ボルグスケールで『楽である』〜『ややきつい』
実施時間:食後1〜2時間
運動時間:1日20〜30分(週3回以上)
消費カロリー:1日80〜200kcal
運動の種類:有酸素運動、レジスタンス運動(※対象者にあったものを選択するのがよいが、歩行が最も簡便。)
【運動療法の絶対的禁忌】
・眼底出血あるいは出血の可能性の高い増殖網膜症・増殖前網膜症。
・レーザー光凝固後3~6カ月以内の網膜症。
・顕性腎症後期以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上)。
・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある場合。
・高度の糖尿病自律神経障害がある場合。
・1型糖尿病でケトーシスがある場合。
・代謝コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値≧250mg/dLまたは尿ケトン体中等度以上陽性)。
・急性感染症を発症している場合。
(※参考:「糖尿病患者さんの運動指導の実際」糖尿病ネットワーク様HPより)
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(68歳、女性)は、1人暮らし。隣の市に娘がいる。日常生活は自立している。10年前に糖尿病と診断され、血糖降下薬を服用している。最近の血液検査でHbA1cが8.5%のため、インスリンの自己注射を導入するかどうかを検討することになった。医師からAさんには自己注射についてまだ説明されていない。
98 Aさんは、医師から自己注射について説明された。Aさんは医師に質問はないと答えたが、考え込んでいたため、看護師はAさんに心配なことがあるか質問した。Aさんは「10年間、食事療法をがんばってきたのに、注射になるのですね。今後どうしたら良いかわからなくなりました」と話した。
この時の看護師の言葉かけで適切なのはどれか。
1.「もう少しがんばれると良かったですね」
2.「治療食の配食サービスを利用しましょう」
3.「私たちの指導通りに行えばうまくいきます」
4.「これまでの食事で工夫したことを一緒に振り返りましょう」
解答4
解説
・医師から自己注射について説明された。
・Aさん「10年間、食事療法をがんばってきたのに、注射になるのですね。今後どうしたら良いかわからなくなりました」と。
→本症例の発言から、否認期~混乱期と考えられる。障害受容の過程は、「①ショック期、②否認期、③混乱期、④解決への努力期(再起)、⑤受容期」の順に現れる。5段階のプロセスは順序通りに進むわけはなく、また障害受容に至らない障害者も存在する。
①ショック期:感情が鈍磨した状態
②否認期:現実に起こった障害を否認する
③混乱期:攻撃的あるいは自責的な時期
④解決への努力期(再起):自己の努力を始める時期
⑤受容期:新しい価値観や生きがいを感じる時期
1.× 「もう少しがんばれると良かったですね」と伝えることは、「努力が足りなかったから注射になった」と受け取られる可能性が高い。つまり、患者の過去の努力を否定する発言である。
2.× 「治療食の配食サービスを利用しましょう」と伝える必要はない。なぜなら、Aさんは1人暮らしで、日常生活は自立しているため。また、治療食の配食サービスの利用を、看護師が単独で決められることではない。必要に応じて、チーム医療で相談する必要がある。
3.× 「私たちの指導通りに行えばうまくいきます」と伝える断言はできない。なぜなら、何か問題が発生したとき、訴訟に発展しかねないため。また、治療者に対し依存を助長する可能性が高い。そもそも糖尿病は「治る病気」でも「治らない病気」でもなく、治療を続け血糖値を限りなく正常に近い範囲にコントロールしていれば、一生、健康な人と同じ状態でいられる病気である。
4.〇 正しい。「これまでの食事で工夫したことを一緒に振り返りましょう」と看護師は言葉かけする。なぜなら、患者の努カを認めながら今後の改善点を見つけていくことができるため。治療に前向きに取り組めるよう支援していく。
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(68歳、女性)は、1人暮らし。隣の市に娘がいる。日常生活は自立している。10年前に糖尿病と診断され、血糖降下薬を服用している。最近の血液検査でHbA1c が8.5 %のため、インスリンの自己注射を導入するかどうかを検討することになった。医師からAさんには自己注射についてまだ説明されていない。
99 朝食前の自己注射によって、Aさんの血糖値は安定していた。6年後、Aさんはサービス付き高齢者向け住宅に転居した。転居後の外来受診時、Aさんは外来看護師に「施設の食堂で食事をしている。食堂に行く前は化粧で忙しいが、毎日楽しい。間食はしていない」と話す。転居後2か月のHbA1c値が上昇していたため、外来看護師がAさんに質問すると「引っ越してから、注射を忘れることがあった」と話した。Aさんの自己注射の手技に問題はなく、Mini-Mental State Examination(MMSE)は29点だった。Aさんの娘に確認すると、Aさんの自室の冷蔵庫に、未使用のインスリンが余っていることが分かった。
外来の看護師からAさんと娘への助言で最も適切なのはどれか。
1.訪問看護師に注射を依頼する。
2.注射をしたらカレンダーに印をつける。
3.化粧で使う鏡に「朝食前に注射」のメモを貼る。
4.サービス付き高齢者向け住宅の職員にインスリンの残量を数えてもらう。
解答3
解説
・6年後:サービス付き高齢者向け住宅に転居。
・Aさん「施設の食堂で食事をしている。食堂に行く前は化粧で忙しいが、毎日楽しい。間食はしていない」と。
・転居後2か月:HbA1c値が上昇していた。
・Aさん「引っ越してから、注射を忘れることがあった」と。
・自己注射の手技に問題なし(MMSE:29点)
・Aさんの娘「自室の冷蔵庫に、未使用のインスリンが余っている」と。
→Mini-Mental State Examination(ミニメンタルステート検査:MMSE)とは、認知障害(認知症・せん妄・健忘性障害)のスクリーニングとして国際的によく用いられている検査である。内容は、見当識・記銘力・注意と計算・想起・言語・組み立ての各項目があり、30点満点で評価する。26点以下で軽度認知障害の疑いを示し、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。
1.× 訪問看護師に注射を依頼する必要はない。なぜなら、本症例は、「自己注射の手技に問題はなく、MMSE:29点」と記載があるため。ちなみに、訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。
2.× 注射をしたらカレンダーに印をつける必要はない。なぜなら、カレンダーの印付けは、自己注射したか確認する方法であるため。したがって、「注射忘れを防止する方法」ではない。また、あとから注射をしていないことに気が付いても、忘れた分をまとめて注射することは推奨できない。
3.〇 正しい。化粧で使う鏡に「朝食前に注射」のメモを貼ることが最も適切である。なぜなら、本症例は「朝食前は化粧で忙しい」ことが原因で、忘れていると考えられるため。したがって、化粧で使う鏡に貼ったメモは、忙しくても必ず目にすることができ、注意喚起として適切な方法である。
4.× サービス付き高齢者向け住宅の職員にインスリンの残量を数えてもらう必要はない。なぜなら、本症例は、「自己注射の手技に問題はなく、MMSE:29点」と記載があるため。ちなみに、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住、サ付き)とは、主に民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅である。国土交通省と厚生労働省が所管する『高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)』を根拠法とする高齢者のための住宅である
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。
身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%。意識レベル清明。
検査所見:Hb 6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST(GOT)45 IU/L(U/L)、ALT(GPT)60 IU/L(U/L)、Na 130mEq/L、K 4.2mEq/L。
100 Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。
Aさんの転倒要因はどれか。2つ選べ。
1.貧血
2.腹水貯留
3.肝機能低下
4.低酸素血症
5.低カリウム血症
解答1・2
解説
・Aさん(89歳、女性)
・障害高齢者の日常生活自立度判定基準:A-2。
・腹部膨満感とふらつきを自覚。
・原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留。
・身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、SpO2:97%。意識レベル清明。
・検査所見:Hb 6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST45 IU/L、ALT60 IU/L、Na 130mEq/L、K 4.2mEq/L。
・全身の衰弱がみられる。
→本症例の検査結果から、正常範囲から逸脱しているものをまず候補に挙げる。そのうえで、高齢者の転倒の原因として、①内的要因:加齢変化、疾患・障害、使用中の薬物など、②外的要因:屋内外の生活環境、履き物、衣服などから選択していくことが重要である。
1.〇 正しい。貧血が、Aさんの転倒要因である。なぜなら、本症例のHb 6.9g/dL(女性の基準値:11g/dL)であるため。貧血とは、「単位容積の血液中に含まれているヘモグロビン(Hb)量が基準値より減少した状態」と定義している。基準値を、小児および妊婦では血液100mLあたり11g未満、思春期および成人女性では12g未満、成人男性では13g未満と定めている。貧血の症状として、立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつき、頭痛、胸の痛みなどがあげられる。
2.〇 正しい。腹水貯留が、Aさんの転倒要因である。腹水とは、タンパク質を含む体液が腹腔に蓄積した状態である。胃が圧迫されて食事がとれなくなったり吐き気が出ることや肺との境界である横隔膜を押し上げて肺が膨らみにくくなり息切れを感じることもある。それに加え、腹部が膨隆するため足元が見えにくくつまづきやすいため転倒のリスクとなりうる。
3.× 肝機能低下が生じても、直接転倒の原因とはなりにくい。肝機能障害(肝機能異常)の症状として、全身倦怠感、食欲低下、嘔気、黄疸、皮膚のかゆみ、からだのむくみ、腹水などが挙げられる。ちなみに、本症例は、AST45 IU/L(基準値: 7~38 IU/L)、ALT60 IU/L(基準値:4~44 IU/L)であり、肝機能の著明な低下は認められない。
4.× 低酸素血症は、転倒のリスクとなりうるが、本症例は低酸素血症を呈していない。なぜなら、本症例のSpO2は97%で、意識レベル清明であるため。ちなみに、低酸素血症とは、動脈血中の酸素が不足した状態である。主な症状として、息切れ(呼吸困難感)があげられる。軽症の場合は坂道や階段でのみ息切れ(労作時呼吸困難)を自覚し、重症になると身の回りのことをするだけで息切れを感じて、日常生活が困難になる。
5.× 低カリウム血症は、転倒のリスクとなりうるが、本症例は低カリウム血症を呈していない。なぜなら、Aさんの検査値はK 4.2mEq/L(基準値:3.5~4.5mEq/L)であるため。低カリウム血症は、下痢によって生じやすい電解質異常である。なぜなら、カリウムは、消化管液に含まれており、下痢によりカリウムが喪失するため。原因として、嘔吐、下痢、副腎の病気、利尿薬の使用で起こる。血清総カルシウム濃度が8.8mg/dL未満(2.20mmol/L未満)で診断される。
(※図引用:「障害高齢者の日常生活自立度判定基準」厚生労働省HPより)