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71 医療法における病院の医療安全管理体制で正しいのはどれか。
1.医療安全管理のために必要な研修を2年に1回行わなければならない。
2.医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
3.特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。
4.医薬品安全管理責任者の配置は義務ではない。
解答2
解説
医療法とは、病院、診療所、助産院の開設、管理、整備の方法などを定める日本の法律である。①医療を受けるものの利益と保護、②良好かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保を主目的としている。
1.× 医療安全管理のための必要な研修の回数は、法的に決められていない。
2.〇 正しい。医療安全管理のための指針を整備しなければならない。医療法「第六条の十二 病院等の管理者は、前二条に規定するもののほか、厚生労働省令で定めるところにより、医療の安全を確保するための指針の策定、従業者に対する研修の実施その他の当該病院等における医療の安全を確保するための措置を講じなければならない」と記載されている(※一部引用:「医療法」e-GOV法令検索様HPより)。他にも医療法には、病院や診療所、助産所の管理者は、医療の安全を確保するための指針を策定すること、委員会の開催、職員の研修、改善のための方策がある。
3.× 特定機能病院の医療安全管理者は、「兼任」ではなく専従と義務付けられている。特定機能病院とは、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院である。1992年6月改正、1993年4月施行の医療法の第2次改正によって制度化された日本の医療機関の機能別区分のうちのひとつで、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が承認する必要がある。ちなみに、医療安全管理者とは、医療機関の管理者から委譲された権限に基づいて、組織全体を俯瞰した安全管理に関する医療機関内の体制の構築に参画し、委員会等の各種活動の円滑な運営を支援する。また、医療安全に関する職員への教育・研修、情報の収集と分析、対策の立案、医療事故・発生時の初動対応、再発防止策立案、発生予防および発生した医療事故の影響拡大の防止等に努める。そして、これらを通し、安全管理体制を組織内に根づかせ機能させることで、医療機関における安全文化の醸成を促進する。(※一部引用:「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針」厚生労働省HPより)
4.× 医薬品安全管理責任者の配置は、義務である。「病院、診療所又は助産所の管理者は、規則第一条の11第2項第2号イに規定する医薬品の安全使用のための責任者(以下、「医薬品安全管理責任者」という。)を配置すること。ただし、病院においては管理者との兼務は不可とする。医薬品安全管理責任者は、医薬品に関する十分な知識を有する常勤職員であり、医師、歯科医師、薬剤師、看護師(助産所の場合は助産師を含む。)又は歯科衛生士(主として歯科医業を行う診療所に限る。)のいずれかの資格を有していること 」と記載されている。
72 看護師等の人材確保の促進に関する法律における離職等の届出で適切なのはどれか。
1.届出は義務である。
2.届出先は保健所である。
3.離職を予定する場合に事前に届け出なければならない。
4.免許取得後すぐに就職しない場合は届け出るよう努める。
解答4
解説
この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、看護師等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本指針を定めるとともに、看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を、看護に対する国民の関心と 理解を深めることに配慮しつつ図るための措置を講ずることにより、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保し、もって国民の保健医療の向上に資することを目的とする(※引用:「看護師等の人材確保の促進に関する法律」厚生労働省HPより)。
(看護師等の届出等)
第十六条の三 看護師等は、病院等を離職した場合その他の厚生労働省令で定める場合には、住所、氏名その他の厚生労働省令で定める事項を、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県センターに届け出るよう努めなければならない」と記載されている(※引用:「看護師等の人材確保の促進に関する法律」厚生労働省HPより)
1.× 届出は、「義務」はなく、努力義務(届け出るよう努めなければならない)である。
2.× 届出先は、「保健所」ではなく、都道府県ナースセンターである。
3.× 離職を予定する場合に、事前に届け出なければならないという義務はない。ちなみに、病院等を離職した場合であって、事後の届出となる。
4.〇 正しい。免許取得後すぐに就職しない場合は、届け出るよう努める。業務に直ちに従事する見込みがない場合も、届け出るよう努めなければならない(努力義務)。
73 国際社会が抱えるヘルスケアを含む課題に対して、すべての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標で、2015年の国連サミットで採択されたのはどれか。
1.ヘルスフォーオール21(Health For All in the 21st century:HFA 21)
2.ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)
3.持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)
4.国連開発目標(International Development Goals:IDGs)
解答3
解説
1.× ヘルスフォーオール21(Health For All in the 21st century:HFA 21)とは「2000年までにすべての人に健康を」という意味である。世界保健機関(WHO)は1977年、世界保健総会において世界保健機関(WHO)の基本目標に設定した。ちなみに、世界保健機関とは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関である。
2.× ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)とは、2000年に国連ミレニアム宣言をもとに、「開発途上国の開発を目標とした世界戦略」で2015年を達成期限とした8つの目標を掲げた開発分野における国際社会共通の目標である。地球規模のさまざまな課題を解決するため策定された、世界共通の開発目標である。
3.〇 正しい。持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、国際社会が抱えるヘルスケアを含む課題に対して、すべての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標で、2015年の国連サミットで採択された。持続可能な開発目標〈Sustainable Development Goals:SDGs〉とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいる(参考:「SDGsとは?」外務省HPより)。
4.× 国連開発目標(International Development Goals:IDGs)とは、1996年にOECD開発援助委員会により採択された。「極端な貧困人口の割合減少」に焦点がおかれた。経済協力開発機構(OECD)は、先進34か国による国際経済などに関する協議・政策を提言する機関である。より良い暮らしのためのより良い政策の構築に取り組む国際機関である。目標は、あらゆる人々の繁栄、平等、機会、幸福を促す政策を形作ることである。
(図引用:「SDGsとは?」外務省HPより)
74 採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。
クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。
1.トロンビン
2.プラスミン
3.カルシウムイオン
4.ナトリウムイオン
5.フィブリノーゲン
解答3
解説
1.× トロンビンとは、血小板の凝集を増強するとともに、強固なフィブリン網を形成し、血栓を補強する(二次止血)。つまり、凝固因子の活性化の最後に活性化する因子である。血液凝固の最終過程では、トロンビンの作用でフィブリノーゲンがフィブリンに変化する。トロンビンの作用を阻害する抗凝固薬にヘパリンがある。
2.× プラスミンは、線溶(線維素溶解系に働く物質)に重要な因子である。フィブリンを分解することで凝固した血液を溶かす。線維素溶解とは、血管から出血した際に一次止血→二次止血が終わり、血管の流れが元通りになると、血栓は血液が流れるのにジャマになるため、血栓を除去する作用が始まる。この現象を線維素溶解、略して「線溶」と呼ぶ。血栓ができると、血漿中に存在するプラスミノーゲンがプラスミノゲンアクチベーターにより活性化され、プラスミンという強力なたんぱく質分解酵素(線溶物質)になり、フィブリンを分解する。
3.〇 正しい。カルシウムイオンが、クエン酸によって血液から除かれる物質である。血液凝固因子の活性化にはカルシウムイオンが欠かせない。クエン酸は、カルシウムイオンと反応してクエン酸カルシウムとなることで血漿からカルシウムイオンを除去し、抗凝固作用を示す。
4.× ナトリウムイオンは血液凝固に関係しない。ナトリウムイオンは、主にカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持している。他にも、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節している。
5.× フィブリノーゲンは、血漿タンパクの一つである。凝固因子の活性化によってフィブリンとなり、血液を凝固させる働きを持つ。増加した場合、血漿の粘稠度が上昇し血栓形成傾向を示す。 一方、低値の場合、播種性血管内凝固症候群(DIC)と肝機能障害が疑われる。
播種性血管内凝固症候群〈DIC〉とは、小さな血栓が全身の血管のあちこちにできて、細い血管を詰まらせる病気である。血液凝固が増加することで出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度の出血を引き起こす。感染、手術、出産時の合併症など、考えられる原因はいくつかある。妊娠高血圧症候群性の常位胎盤早期剥離では播種性血管内凝固症候群〈DIC〉を発生することが多い。
75 胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素はどれか。
1.アミラーゼ
2.キモトリプシン
3.トリプシン
4.ペプシン
5.リパーゼ
解答4
解説
ペプシノゲン(ペプシン):主細胞
胃酸、内因子:壁細胞
粘膜:副細胞
1.× アミラーゼとは、でんぷんを分解して糖にする酵素である。体内では主に、膵臓、耳下腺(唾液腺)から分泌される。
2~3.× キモトリプシン/トリプシンは、膵臓から分泌されるタンパク質の分解酵素である。膵液に含まれる消化酵素はトリプシン、キモトリプシン、ヌクレアーゼ、膵アミラーゼ、リパーゼである。トリプシンとキモトリプシンは蛋白を、ヌクレアーゼは核酸を、アミラーゼはデンプンと糖質を、リパーゼは脂質を分解する。
4.〇 正しい。ペプシンは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。ちなみに、蛋白質は、①胃液のペプシン、②膵液のトリプシン、③キモトリプシンが分解する。
5.× リパーゼは、主に膵液に含まれるトリグリセリド(中性脂肪)を分解する消化酵素である。脂質は、①胃リパーゼ、②膵リパーゼ、③腸リパーゼが分解する。