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61 知的障害(精神遅滞)の原因となる疾患はどれか。
1.統合失調症
2.フェニルケトン尿症
3.Alzheimer(アルツハイマー)病
4.Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病
解答2
解説
知的障害とは、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの」と定義されている。状況の判断能力が低く、他者の発言を被害的に受け取る傾向が強い。注意されたことを叱責と捉えるなど自信がなく、自分の気持ちを表現することが苦手である。知的障害では、抽象的概念の形成が困難で、言語概念の形成も遅れることが多く、学習障害を呈する。また、左右の協調的運動や微細運動が不得意であり、更衣動作などの身辺作業面に遅れを伴う。原因として、①出生前要因(染色体異常、奇形症候群、先天代謝異常、神経変性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、子宮内感染など)、②周産期要因(胎内環境異常、新生児疾患など)、③出生後要因(外傷、事故、養育環境など)が挙げられる。
1.× 統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
2.〇 正しい。フェニルケトン尿症は、知的障害(精神遅滞)の原因となる。フェニルケトン尿症とは、指定難病の一つの遺伝性疾患で、症状は、通常生後数か月から2歳頃までに脳の発達障害を来す。 小頭症、てんかん、重度の精神発達遅滞、行動上の問題などの徴候と症状を示す。 特有の尿臭(ネズミ尿臭、カビ臭)、赤毛、色白、湿疹がみられることがある。したがって、血液中にフェニルアラニンの高値が続くと、知的能力の発達が同年代の人に比べて低い水準となる知的障害の原因となる。
3.× Alzheimer(アルツハイマー)病とは、知的障害の原因ではない。アルツハイマー病とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。
4.× Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病とは、知的障害の原因ではない。Creutzfeldt-Jakob(クロイツフェルト・ヤコブ)病とは、50~60歳代の初老期に好発する疾患である。異常なプリオン蛋白が脳に蓄積する致死性神経感染症である。初期には精神症状(健忘症、抑うつなど)、視覚障害、歩行障害、運動失調などで発症し、進行すると精神症状が急速に悪化し、高度の認知症に発展する。会話、自発語不能となり、四肢のミオクローヌスも特徴的所見である。様々な症状を呈して、多くは数ヶ月から半年以内、長くとも2年以内で死亡する。
62 Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。
最も考えられる疾患はどれか。
1.睡眠時遊行症
2.ナルコレプシー
3.睡眠時無呼吸症候群
4.睡眠・覚醒スケジュール障害
解答2
解説
・Aさん(24歳、男性)
・主訴:昼間の過剰な眠気。
・半年前:居眠り運転で交通事故を起こす。
・入眠時:幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなる。
・笑ったり、怒ったりしたときに、脱力してしまう。
→本症例は、ナルコレプシーが最も考えられる疾患である。ナルコレプシーとは、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こったり、突然の筋力低下(情動脱力発作)も伴う睡眠障害である。他にも、入眠時はレム睡眠となるため、入眠時の金縛り、中途覚醒、リアルな悪夢(幻覚)によってうなされることが多い。覚醒状態の維持やその他の症状(入眠時の幻覚、睡眠麻痺)をコントロールするために薬物療法を行う。
1.× 睡眠時遊行症(夢遊病)とは、睡眠中にもかかわらず体動が出現しぼんやりと歩き回るものである。無意識の状態で起きだし、歩いたり何かをした後に再び就眠するが、その間の出来事を記憶していない状態を指す。その時間は、30秒から30分までの長さになり得る。夢の映像はまったく、または少ししか想起されないのが特徴である。睡眠障害として睡眠時随伴症(パラソムニア)のひとつに分類される。小児に好発する。
2.〇 正しい。ナルコレプシーが最も考えられる疾患である。ナルコレプシーとは、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こったり、突然の筋力低下(情動脱力発作)も伴う睡眠障害である。他にも、入眠時はレム睡眠となるため、入眠時の金縛り、中途覚醒、リアルな悪夢(幻覚)によってうなされることが多い。覚醒状態の維持やその他の症状(入眠時の幻覚、睡眠麻痺)をコントロールするために薬物療法を行う。
3.× 睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に無呼吸が繰り返され、睡眠の分断化、睡眠の減少により日中過度の眠気などを伴う病態である。子どもの睡眠時無呼吸症候群は、扁桃腺やアデノイド(鼻から喉へ向かう部分にあるリンパ腺)の肥大だけでなく、あごが小さいことや花粉症・アレルギー性鼻炎での鼻づまりが原因となって起こる。
4.× 睡眠・覚醒スケジュール障害とは、睡眠と覚醒のリズムに規則性がなくなり、昼夜を問わず途切れ途切れに眠ることが特徴である。夜間帯では入眠困難および中途覚醒が生じ、日中の時間帯では眠気、頻回の居眠りが出現する。ぐっすり眠れないために、抑うつ症状を呈することもある。原因として、アルツハイマー病などの神経変性疾患、小児の発達障害、こころの病気によって、体内時計によるサーカディアンリズムの調節が不安定になることがあげられる。
63 現在の日本の精神医療で正しいのはどれか。
1.精神保健福祉センターは各市町村に設置されている。
2.精神病床に入院している患者の疾患別内訳では認知症が最も多い。
3.精神障害者保健福祉手帳制度によって通院医療費の給付が行われる。
4.人口当たりの精神病床数は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最も多い。
解答4
解説
(図引用:「精神病床入院患者の疾病別内訳」厚生労働省HPより)
1.× 精神保健福祉センターは、「各市町村」ではなく、各都道府県および指定都市に設置されている。精神保健福祉センターとは、精神障害者の福祉の増進を図るために設置された機関である。保健所を中心とする地域精神保健業務を技術面から指導・援助する機関である。
2.× 精神病床に入院している患者の疾患別内訳では、「認知症」ではなく「統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害」が最も多い。
3.× 通院医療費の給付が行われるのは、「精神障害者保健福祉手帳制度」ではなく、障害者総合支援法における自立支援医療に規定されているものである。自立支援医療とは、『障害者総合支援法』に定められている。障害者総合支援法とは、障害者と障害児を対象とした障害保健福祉施策についてまとめられた法律である。これにより障害者の範囲が拡大され、身体障害者、精神障害者、知的障害者、障害児の全てが対象とされている。そして、対象となっている者は、認定調査というものを受け「障害支援区分」という障害の重症度分類によって7区分(非該当、区分1~6)に分けられる。それにより受けられるサービス内容が変わってくる。①更生医療(自立支援医療)、②育成医療(軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される、生活の能力を得るために必要な自立支援医療費の支給を行うもの)、③精神通院医療(精神疾患の治療に掛かる医療費を軽減する公的な制度)、④育成医療(障害児の身体障害を除去、軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される)がある。ちなみに、精神障害者保健福祉手帳制度とは、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものである。精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方々には、様々な支援策が講じられている。精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断され、1級から3級まである。
4.〇 正しい。人口当たりの精神病床数は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最も多い。経済協力開発機構とは、先進34か国による国際経済などに関する協議・政策を提言する機関である。より良い暮らしのためのより良い政策の構築に取り組む国際機関である。目標は、あらゆる人々の繁栄、平等、機会、幸福を促す政策を形作ることである。人口千人当たり精神病床数は、日本がOECD加盟国の中で最も多く、2位のドイツの2倍ほどある。しかし、人口千人あたりの精神病床数は、年々減少している。
(図引用:「日本の病床数」著:日本医師会総合政策研究機構 前田由美子より)
①根拠法令:精神保健福祉法(6条)
②目的:地域住民の精神的健康の保持増進、精神障害の予防、適切な精神医療の推進、自立と社会経済活動の促進のための援助等。
③設置基準:都道府県、指定都市
④配置職員:精神科医、精神保健福祉士(精神保健福祉相談員)、臨床心理技術者、保健師等
【業務内容】
①企画立案。
②保健所と精神保健関係諸機関に対する技術指導と技術援助。
③精神保健関係諸機関の職員に対する教育研修。
④精神保健に関する普及啓発。
⑤調査研究。
⑥精神保健福祉相談(複雑または困難なもの)
⑦協力組織の育成。
⑧精神医療審査会に関する事務。
⑨自立支援医療(精神通院医療)の支給認定、精神障害者保健福祉手帳の判定。
(参考:「精神保健福祉センターと保健所」厚生労働省HPより)
64 Aさん(60歳、女性)は、統合失調症で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。
退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。
1.薬剤師
2.精神保健福祉士
3.ピアサポーター
4.臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)
解答2
解説
・Aさん(60歳、女性、統合失調症:10年間入院)
・来月:退院予定
・Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てる。
・Aさん「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と。
→Aさんの不安は、今後の生活費や住居である。関連が高いものを選択する。
1.× 薬剤師より優先度が高いものが他にある。薬剤師とは、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格で、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどる職種である。
2.〇 正しい。精神保健福祉士が最も優先度が高い。精神保健福祉士とは、『精神保健福祉士法』に基づき、精神障害者に対する相談援助などの社会福祉業務に携わる専門職である。また、その家族に対しても相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な援助を行う。
3.× ピアサポーターより優先度が高いものが他にある。ピアサポーターとは、障害や疾病など同じような境遇にある人が、自身の体験をもとに相談や同じ仲間として社会参加や地域交流など問題の解決を支援する活動を行う。同じ立場の当事者同士が体験を語り合うことで支え合うことをいいその当事者のことである。
4.× 臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)より優先度が高いものが他にある。臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)とは、心理学に関する専門的知識および技術を持ち、心理に関する相談に応じ、助言・指導その他の援助を行う能力を有すると認められる専門職である。
65 訪問看護制度で正しいのはどれか。
1.管理栄養士による訪問は保険請求できる。
2.精神科訪問看護は医療保険から給付される。
3.医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。
4.訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。
解答2
解説
訪問看護とは、看護を必要とする患者が在宅でも療養生活を送れるよう、かかりつけの医師の指示のもとに看護師や保健師などが訪問して看護を行うことである。訪問看護師の役割として、主治医が作成する訪問看護指示書に基づき、健康状態のチェックや療養指導、医療処置、身体介護などを行う。在宅看議の目的は、患者が住み慣れた地域で自分らしく安心して生活を送れるように、生活の質(QOL)向上を目指した看護を提供することである。療養者とその家族の価値観や生活歴を重視し、その人らしさやQOLを考える。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。②特別訪問看護指示書とは、「厚生労働大臣が定める疾病等」の療養者や指定された医療処置・管理が必要であると主治医が認める者などに交付される。医療保険が適用され、交付は原則として月1回まで、有効期間は14日である。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。
1.× 管理栄養士による訪問は、保険請求できない。なぜなら、訪問看護サービスを提供できる職種は、保健師・助産師・看護師または准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士であるため。管理栄養士とは、労働大臣の免許を受けた国家資格で、病気を患っている人から健康な人まで一人ひとりに合わせて専門的な知識と技術をもって栄養指導や栄養管理を行う職種である。管理栄養士による訪問は、介護保険制度では「居宅療養管理指導」、医療保険制度では「在宅患者訪問栄養食事指導」として保険請求できる。
2.〇 正しい。精神科訪問看護は、医療保険から給付される。精神科訪問看護とは、精神疾患を抱える方や精神的な理由でサポートが必要な方の自宅を訪問し看護を提供する制度である。訪問看護の指示書には、①訪問看護指示書、②特別訪問看護指示書、③精神科訪問看護指示書などがある。③精神科訪問看護指示書とは、精神疾患のある利用者とその家族を対象とし、地域や家庭で療養上の援助・指導が必要であると主治医が認める場合に交付される。有効期間は6か月以内で、介護保険対象者であっても医療保険によるサービス提供となる。なお、精神科訪問看護の場合は、理学療法士・言語聴覚士・助産師による訪問は給付が認められない。
3.× 医療処置がなくても、訪問看護指示書は必要(必須)である。訪問看護指示書とは、訪問看護ステーションなど指定訪問看護事業者が利用者に対して訪問看護を提供する際に、主治の医師(主治医)から指示を受けるために交付してもらう文書を指す。
4.× 訪問看護事業所の開設には、常勤換算で「3人以上」ではなく2.5人以上の看護職員が必要である。指定基準とは、介護保険法に基づいて、厚生労働省の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」に定められている。介護保険法に基づき訪問看護ステーションを開業するためには「①人員基準」、「②設備基準」、「③運営基準」の3つの指定基準を満たすことが必須である。3つの基準を満たした上で、各都道府県知事から「指定居宅サービス事業者」の指定を受ける必要があり、指定を受けると「指定訪問看護ステーション」としてサービスの提供が可能となる。
第二節 人員に関する基準(訪問介護員等の員数)
第五条 指定訪問介護の事業を行う者(以下「指定訪問介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定訪問介護事業所」という。)ごとに置くべき訪問介護員等(指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士又は法第八条第二項に規定する政令で定める者をいう。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の員数は、常勤換算方法で、二・五以上とする。
(※一部引用:「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」e-GOV法令検索様HPより)
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