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次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳) と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病(GDM)と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar(アプガー)スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3 ℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)99%であった。
106 児への対応で最も優先するのはどれか。
1.沐浴
2.血糖値の測定
3.経皮的黄疸計での測定
4.ビタミンK2シロップの与薬
解答2
解説
・Aさん(28歳、初産婦)
・2人暮らし:夫(30歳)
・妊娠25週4日:妊娠糖尿病、インスリン自己注射中。
・胎位:骨盤位
・妊娠38週2日:予定帝王切開術(3,050gの男児)
・脊髄くも膜下麻酔、経過異常なし、出血量:480mL。
・弾性ストッキングを着用中。
・アプガースコア:1分後8点、5分後10点。
・児のバイタルサイン:直腸温37.3 ℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、SpO2:99%。
→妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見、または発症した糖尿病まではいかない糖代謝異常のことである。糖代謝異常とは、血液に含まれる糖の量を示す血糖値が上がった状態である。肥満女性は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児などのリスクが高い。
1.× 沐浴は、出産直後の児に優先的に行うものではない。なぜなら、胎脂も一緒に洗い落としてしまうため。沐浴は生後約6時間以上経過してから行い、児の皮膚の大半を覆っている胎脂を洗い流さないようにする必要がある。胎脂は児の肌を細菌や乾燥などから守る効果があり、生まれてからの数日間は沐浴をせず、タオルでふくだけのドライケアなどもある。ドライテクニックとは、産まれた直後に、赤ちゃんの皮膚についた血液などの汚れのみを拭き取り、胎脂はそのまま残しておく保清方法である。胎脂には抗菌作用があるとされていて、細菌から守るだけでなく、保温・保湿効果を有している。さらに、胎脂のにおいが母児の絆を深めるのに役立つとされている。ちなみに、赤ちゃんの沐浴は、発汗が始まる生後4~5日目頃が良いとされている。(※参考「6月から赤ちゃんのドライテクニックを始めます!」愛和病院様HPより)ちなみに、沐浴とは、からだを水で洗うことである(※読み:もくよく)。出産直後は、温かい乾いたタオルで全身を拭き保温することが多い。沫浴は、生後4~5日頃までせず、血液や羊水など汚れた部位のみ拭き取り、胎脂を残しておくドライテクニックを採用している施設が多い。
2.〇 正しい。血糖値の測定を最も優先する。なぜなら、妊娠糖尿病の分娩後、母体からのグルコース供給が途絶えた新生児は、低血糖となるリスクがあるため。詳しい機序として、妊娠糖尿病(妊娠末期の血糖コントロールが高め)だと、ふつうよりも多量の血糖が胎盤を通じて胎児に供給されている。そのため、胎児の膵臓からインスリンが多めに分泌されて、出生と同時に母体からの血糖(ブドウ糖)の供給がなくなることで、低血糖となる理屈である。これは、新生児はまだ肝臓などにグリコーゲンがあまり蓄えられていないことも関係している。
3.× 経皮的黄疸計での測定は、出産直後の児に優先的に行うものではない。なぜなら、生理的黄疸は生後3~5日に現れるため。新生児黄疸(生理的黄疸)とは、生後間もない新生児の大半にみられる黄疸である。黄疸になると、皮膚や白目の色が次第に黄色味を帯びてくるが、新生児でみられる黄疸のほとんどは、生理的におきる新生児黄疸である。この新生児黄疸は、およそ生後3~5日目をピークに自然と治まっていくものなので、過度に心配する必要は必要ない。ちなみに、経皮的黄疸計値の基準値として、黄疸のピーク時(生後4、5日)に成熟児で12mg/dl、未熟児で15mg/dl以下であり、かつ1日のビリルビン値の上昇が5mg/dl以下とされている。
4.× ビタミンK2シロップの与薬は、出産直後の児に優先的に行うものではない。なぜなら、ビタミンK2シロップの与薬は、新生児ビタミンK欠乏性出血症の予防に対し、生後2~3日(哺乳確立後)、生後1週、生後1か月健診時の合計3回行われるものであるため。設問文だけでは、児の哺乳が確立しているという情報がない。
ケイツーシロップは、 赤ちゃんに起こりやすい出血を防ぐためのお薬です。 ケイツーシロップ1mL あたり、 ビタミンK2を2mg含んでいます。日本の多くの産科施設では、 赤ちゃんに対してケイツーシロップを合計 3 回 (出生2~3日後:哺乳確立後、 生後1週、 生後1ヵ月時)、 各1回1mL を投与して、 ビタミンKの欠乏を防いでいます。 この方法でほとんどの赤ちゃんのビタミンK欠乏を予防できますが、 中には 3 回投与してもビタミンK欠乏性出血症を発症する赤ちゃんがいるので、 生後3か月まで毎週 1 回ケイツーシロップを投与する方法も勧められています。当院でもビタミンK欠乏をより確実に予防するために3か月法を採用しています。
新生児ビタミンK欠乏性出血症とは、生まれてから7日までに起こります。 特に生後2~4日目に起こりやすく、 消化管での出血が多いため、 血を吐いたり、便に血が混じったりします。
(※一部引用:「ビタミンK2シロップの予防投与についてのご案内」成城木下病院様HPより)
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳) と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病(GDM)と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar
(アプガー)スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3 ℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)99%であった。
107 手術後1日。Aさんのバイタルサインは、体温37.3 ℃、脈拍68/分、血圧124/66mmHgであった。排ガスはあるが、排便はない。Aさんは膀胱留置カテーテルの抜去後、看護師に付き添われ歩いて室内のトイレに行った。排尿後、すぐにベッドに横になった。Aさんは「起き上がってから頭が痛くなりました。めまいやふらつきはありませんでした」と看護師に話す。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられた。後陣痛はない。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
1.手術前から着用している弾性ストッキングを脱がせる。
2.腹部の冷罨法を行う。
3.床上排泄を促す。
4.水分摂取を促す。
解答4
解説
・手術後1日。
・バイタルサイン:体温37.3 ℃、脈拍68/分、血圧124/66mmHg。
・排ガスあり、排便なし。
・膀胱留置カテーテルの抜去後:付き添いにて室内のトイレへ。
・排尿後:すぐにベッドに横になった。
・「起き上がってから頭が痛い。めまいやふらつきはなし」と。
・子宮底の高さ:臍高、子宮:硬い、血性悪露:中等量。
・後陣痛なし。
→本症例は、とくに正常範囲から逸脱した徴候もなく過ごせている。一般的に、帝王切開術の合併症として、出血、周辺臓器の損傷、赤ちゃんの一過性多呼吸、術後の腸管麻痺、腹腔内感染、創部離開、血栓塞栓症などがあげられる。それらを予防や観察しながらの看護が必要となる。
1.× 手術前から着用している弾性ストッキングを脱がせてはならない。なぜなら、術後の深部静脈血栓症予防ため。弾性ストッキングは、医師の指示が下りるまで着用するべきである。
2.× 腹部の冷罨法を行う必要ない。なぜなら、本症例は、子宮収縮が徐々にみられているため。アイスノンなどによる冷罨法を行うと子宮収縮が促進され、臨床では多く実施されているが、現在、十分なエビデンスがないと報告されている。
3.× 床上排泄を促す必要はない。むしろ、深部静脈血栓症予防のためにも早期離床が推奨される。
4.〇 正しい。水分摂取を促す。なぜなら、水分摂取は深部静脈血栓症の予防に有効であるため。水分・食事摂取を勧めていく。
・分娩直後:①子宮底長(11~12cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・分娩後12時間:①子宮底長(15cm)、②子宮底の高さ(臍高~臍上1~2横指少し右方に傾く)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・1~2日:①子宮底長(11~17cm)、②子宮底の高さ(臍下1~2横指)、③悪露の色調・におい(赤色:鮮血性、血液のにおい)
・3日:①子宮底長(9~13cm)、②子宮底の高さ(臍下2~3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・4日:①子宮底長(9~10cm)、②子宮底の高さ(臍と恥骨結合の中央:臍恥中央)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・5日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・6日:①子宮底長(8~11cm)、②子宮底の高さ(恥骨結合上縁3横指)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・7~9日:②子宮底の高さ(恥骨結合上わずかに触れる)、③悪露の色調・におい(褐色、赤褐色:軽い異臭)
・10日以降~3週間:②子宮底の高さ(腹壁上より触知不能)、③悪露の色調・におい(黄色・無臭)
・4~6週間:③悪露の色調・におい(白色・無臭)
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳) と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病(GDM)と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar(アプガー)スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3 ℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)99%であった。
108 手術後7日。Aさんの術後の経過は良好である。Aさんの母乳分泌は良好で、母乳で育てていくことを希望している。Aさんは「2年後にもう1人、子どもが欲しいと思っています。避妊をどうしたらいいでしょうか」と話す。
Aさんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
1.「子宮内避妊器具(IUD)は使用できません」
2.「低用量ピルは産後1か月から使用できます」
3.「母乳を与えている間は避妊の必要はありません」
4.「コンドームは性生活を再開するときから使用できます」
解答4
解説
・手術後7日
・希望:母乳で育てていくこと。
・Aさん「2年後にもう1人、子どもが欲しいと思っています。避妊をどうしたらいいでしょうか」。
→Aさんは、2年間は避妊したい希望がある。それぞれの避妊用具の特徴を抑えておく必要がある。
1.× 子宮内避妊器具(IUD)は、使用できる(※時期に応じて)。子宮内避妊器具とは、一度挿入すれば長期間(2~3年)有効であり、除去すれば再び妊孕性(にんようせい:妊娠するために必要な能力)を回復することができるが、不正性器出血、疼痛を起こすことがある。挿入や抜去は医師が行う。経産婦より未産婦のほうが、疼痛が大きく挿入しづらい。本症例のように、手術後7日目には、子宮内避妊器具(IUD)を使用することはできないが、出産後2か月程度経過し、子宮が正常な大きさに戻っていれば使用可能である。
2.× 低用量ピルの使用は、産後1か月経過後でも使用できない。なぜなら、低用量ピルの使用(エストロゲン投与)は、乳汁分泌量を減らし、授乳期間を短縮する可能性や母乳を通して新生児に与える影響が不明のため。ピルの服用が禁忌となるものとして、分娩後6週未満の授乳婦、高血圧、喫煙、肥満、高年齢(40歳以上は慎重投与)、糖尿病、妊娠・授乳中、手術前・手術後、肝機能障害などがあげられる。主な副作用は、①不正出血、②吐き気、③気分の落ち込みや変化、④肌荒れ、⑤乳房の張りなどである。その中でも一番多い症状は不正出血で、服用者の約20%が経験するといわれている。低用量ピルとは、毎日同じ時間に服用できれば99.7%の避妊効果があり、飲み忘れたとしても91%の避妊効果を期待できる。
3.× 母乳を与えている間でも避妊の必要がある。なぜなら、母乳中でも月経は再開するため。授乳中は、プロラクチンの作用で排卵が抑制され生理の再開が遅いこともあるが、ホルモンの作用には個人差がある。授乳をしていても生理が再開している場合や、生理が再開していなくても排卵は起こっている場合もあり、授乳中でも妊娠をする可能性はある。ただし妊娠しにくい。
4.〇 正しい。「コンドームは性生活を再開するときから使用できます」と説明する。コンドーム法は、性感染症の予防ができ、日本で最も普及している避妊法である。男性主導であることが多く、性交渉の途中で付けたり、破れてしまったり、はずれてしまったりなどの失敗が少なくないことから、一般的な使用方法だと1年間の失敗率は15%といわれている。
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
109 Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。
この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.食事介助をする。
2.一緒に院内を散歩する。
3.他の入院患者との交流を促す。
4.日中に臥床しているときは声かけを控える。
解答2
解説
・Aさん(19歳、男性、専門学校生、1人暮らし、統合失調症)
・精神科病院にて任意入院。
・抗精神病薬による治療開始。
・入院後10日:日中に臥床する。
・夜間:熟睡。
・食事の時間:食堂に遅れてくることが多い。
・看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。
→本症例は、統合失調症の急性期と考えられる。統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)。
1.× 食事介助をする必要はない。なぜなら、食事時間に遅れることはあっても、食事がとれないといった記載はないため。
2.〇 正しい。一緒に院内を散歩する。本症例は、統合失調症の5つの病期(前兆期・急性期・休息期・回復期・維持期)のうち、急性期であると考えられる。夜間熟睡、看護師と会話できるようになってきたが、被害妄想がみられている状況である。この段階では、十分な睡眠や休養、安心感の確保が大切となる。一緒に院内を散歩することで、心身の回復を促し、信頼関係の構築にもつながる。
3.× 他の入院患者との交流を促す必要はない。なぜなら、他の入院患者に被害妄想がある段階で無理に交流を促せば、それがストレスとなり症状の再燃につながりかねないため。他の入院患者との交流は、回復期において、周囲への関心が出てきたら少しずつ現実世界へ関心を向けることが大切となる。
4.× 日中に臥床しているときは声かけを控える必要はない。なぜなら、日中臥床がちのままだと睡眠と覚醒のリズムが乱れ、症状を悪化させる要因にもなるため。入院環境やスタッフに慣れてもらい、安心感を獲得してもらうためにも声かけは必要である。
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
110 入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。
身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4 ℃、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。
検査所見:クレアチンキナーゼ(CK)190 IU/LrU/Lt、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c 5.0%、Na 128mEq/L、K 3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。
Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。
1.水中毒
2.悪性症候群
3.セロトニン症候群
4.メタボリック症候群
解答1
解説
・入院後1か月。
・洗面所でボーッとしていることが多い。
・頭痛や倦怠感を訴えることが多い。
・身体所見:6時の体重60kg、→17時の体重63kg、体温36.4 ℃、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。
・検査所見:CK190 IU/LrU/Lt、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c 5.0%、Na 128mEq/L、K 3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。
→Aさんは、水中毒が疑われる。水中毒とは、水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度(塩分の濃度)が低下し、「低ナトリウム血症」という状態に陥ってしまい、場合によっては命の危険にさらされることである。 主な症状としては、めまいや頭痛、多尿・頻尿、下痢などがあげられる。血中のナトリウムの正常値は、136~147mEq/lであるが、125mEq/L以下となれば、低ナトリウム性脳症が生じる。
1.〇 正しい。水中毒が、Aさんの状況で最も考えられる。水中毒とは、水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度(塩分の濃度)が低下し、「低ナトリウム血症」という状態に陥ってしまい、場合によっては命の危険にさらされることである。 主な症状としては、めまいや頭痛、多尿・頻尿、下痢などがあげられる。血中のナトリウムの正常値は、136~147mEq/lであるが、125mEq/L以下となれば、低ナトリウム性脳症が生じる。
2.× 悪性症候群とは、抗精神病薬の使用初期や、抗精神病薬・抗Parkinson病薬の急激な中断により、発熱(ときに40℃以上)、錐体外路症状(特に筋強剛)、自律神経症状(頻脈・発汗・流涎)、精神症状(昏迷、意識障害)、高CK血症などを来すものである。
3.× セロトニン症候群とは、抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を服薬中に出現する副作用のことをいう。症状として、不安・混乱などの精神症状に加えて錐体外路症状や、発熱、発汗などの自律神経症状を生じる。ちなみに、同じ分類の抗精神病薬でも、①古いタイプの薬剤と②新しいタイプの薬剤では副作用が異なる場合がある。①古いタイプの抗精神病薬の副作用は、錐体外路症状(アカシジア、ジストニア、ジスキネジアなど)や高プロラクチン血症である。さらに、抗コリン作用による便秘や口渇が問題となる副作用であった。これに対して、②新しいタイプの抗精神病薬では、これらの副作用が少ない代わりに、体重増加や耐糖能異常が問題となるものがある。また、新しいタイプの抗うつ薬であるSSRIでは、これらの副作用が少ない代わりにセロトニン症候群が起きることがある。
4.× メタボリック症候群とは、内臓脂肪の蓄積が原因で、コレステロール・血圧・血糖値などが少し高くなり、それらが複数重なった状態をいう。この状態を放っておくと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中などを招きやすくなる。メタボリックシンドロームの診断基準として、①腹部肥満(ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上)、 ②中性脂肪値(HDLコレステロール値 中性脂肪値 150mg/dl以上、HDLコレステロール値 40mg/dl未満のいずれか、または両方)、③血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれか、または両方)、④血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)があげられる。
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低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が非常に低い状態をいう。原因として、大量の水分摂取、腎不全、心不全、肝硬変、利尿薬の使用などでナトリウム濃度が低下する。血中のナトリウムの正常値は、136~147mEq/lであるが、125mEq/L以下となれば、低ナトリウム性脳症が生じる。血中のナトリウムが120~130mEq/Lで軽度の疲労感がみられ、120mEq/L以下では頭痛や嘔吐、食欲不振、精神症状が加わり、110mEq/Lまで低下すると昏睡や痙攣等が起きる。