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次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(55歳、男性)。胃癌のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は300mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長166cm、体重78kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1℃、呼吸数22/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)93%(鼻カニューラ2L/分酸素投与下)。Hb 13.8g/dL。尿量60mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが、膿性ではなく、異臭もない。
96 手術後14日、Aさんは食後に出現していた症状が落ち着き、退院が決まった。
Aさんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。
1.1回の食事量を増やす。
2.海草を積極的に摂取する。
3.食後の冷汗が出現した際には身体を温める。
4.空腹時はコーヒーなどの刺激物の摂取を避ける。
解答4
解説
決して食べてはいけないものではありません。手術直後や体調が悪い時、食べて調子が悪くなるものなどには気をつけましょう。いきなり一人前を食べるのではなく、体調を見ながら少しずつ量を増やしていきましょう。
(※引用:「胃癌術後評価を考える」ワーキンググループPGS対応システム構築プロジェクト胃外科・術後障害研究会/編より)
1.× 1回の食事量を「増やす」のではなく減らす。なぜなら、ダンピング症候群を予防するため。ダンピング症候群は、胃切除や食道切除の特徴的な術後合併症である。摂取した食物が急激に小腸へと流れ込むことにより、体液が腸管内に移行して循環血液量減少や低血糖症状が起こる。したがって、分割食(6~8回に分けて食べる)にして少量ずつ摂取するようにするように指導する。
2.× 海草を摂取することを控える。なぜなら、海草は食物繊維が豊富で消化されにくいため。もし摂取する場合は、よくかんで食物繊維を適量摂るように指導する。固い食物繊維の摂り過ぎは、腸閉塞の原因になることある。腸閉塞とは、小腸や大腸が何らかの原因で詰まってしまうことである。
3.× 食後の冷汗が出現した際には、身体を温める必要はない。なぜなら、冷汗に対し温熱は効果ないため。むしろ、早期ダンピング症候群による冷汗は、腸内の浸透圧が上昇し、全身の血管が広がるために起こる。したがって、温熱は血管を拡張させるため冷汗を助長する恐れがある。早期ダンピング症の症状がでた時は、頭を高くして横になって休むよう指導する。
4.〇 正しい。空腹時はコーヒーなどの刺激物の摂取を避ける。なぜなら、コーヒーは、刺激の強い食品に分類され、刺激物は腸管の嬬動を亢進させるため。他にも、辛い物、お酒、炭酸飲料等が分類され、下痢を助長する。
【早期ダンピング】
早期ダンピング症候群では、食後30分以内に全身症状と腹部症状が起こります。全身症状には、眠気・全身倦怠感・冷汗・動悸などです。腹部症状には腹部膨満・腹鳴・腹部不快感・下痢などがあります。
・1回の食事量を減らし、回数をわけて少しずつ食べましょう。
・食事中の水分量は少なめにし、流し込むような食べ方はやめましょう。
・お茶漬けにも注意しましょう。
・よく噛んでゆっくり(30分以上)時間をかけて食べるようにしましょう。
・症状がでた時は、頭を高くして横になって休みましょう。
【後期ダンピング】
後期ダンピング症候群は食後90分~3時間くらいで発症する低血糖症状です。
・予兆がある場合は早めに甘いもの(飴、ジュース、角砂糖)を摂りましょう。
・いつ起きても安心なように外出時は飴や角砂糖を持ち歩くようにしましょう。
・頻繁に起きる場合は、食後2時間くらいに糖質を多く含む捕食(わかる?)を摂るようにしましょう。
・症状がでた時は、甘いものを摂り、頭を高くして横になって休みましょう。
(※引用:「症状対処編」国際医療福祉大学様HPより)
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。
97 Aさんの骨折に対して保存療法が行われることとなった。骨折の固定法を図に示す。
Aさんの骨折部の固定として適切なのはどれか。
解答3
解説
・Aさん(75歳、女性、1人暮らし、要介護1)
・脳梗塞の後遺症で左不全麻痺。
・最近の夜間:中途覚醒が多い。
・昨夜:トイレに行く際に転倒、右手をつく。
・転倒後:右上肢の痛みあり。
・翌朝:痛みが強かった(右の上腕骨近位部骨折)。
→【高齢者の転倒の原因】①内的要因:加齢変化、疾患・障害、使用中の薬物など。②外的要因:屋内外の生活環境、履き物、衣服など。【高齢者の転倒による骨折】①大腿骨近位部骨折、②脊椎圧迫骨折、③上腕骨近位部骨折、④橈骨遠位端骨折。
1.× 前腕から手首にかけての固定が行われている。主に前腕(橈骨・尺骨の骨折)や手首の損傷の際に用いられる固定である。
2.× 肩関節外転位において上腕~手首までの固定が行われている。肩関節腱板断裂の際には、肩関節外転位で行われるが、肘関節屈曲位で手首までの固定は行われない。一般的に選択肢のような固定が適応となる疾患はあまりない。なぜなら、不要な固定は、日常生活を行いにくくなるだけでなく、ほかの部位まで筋力低下・関節可動域制限を招く恐れがあるため。
3.〇 正しい。上腕骨近位部骨折に対して最も一般的に行われる固定である。上腕骨近位部骨折は、血流は良く骨癒合は良好な部位である。固定をきちんと行えば偽関節を防ぐことができる。
4.× 鎖骨の固定が行われている。主に鎖骨骨折の際に用いられる固定である。鎖骨バンドは、胸をはった状態に固定し、骨折した部分がずれるのを防ぐ。転位の状態によって固定期間が異なり、通常2〜4カ月の固定が必要となる。転位が大きい場合や、粉砕が強い場合、血管や神経の損傷を伴っている場合には手術が必要となる。
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。
98 入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。
移動の方法として適切なのはどれか。
1.右腕を使って起き上がる。
2.しばらく座位をとってから立ち上がる。
3.骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く。
4.ベッドの高さは腰掛けたときにつま先が床に着くよう調整しておく。
解答2
解説
・Aさん(75歳、女性、1人暮らし、要介護1)
・脳梗塞の後遺症で左不全麻痺。
・右上腕骨近位部骨折。
・入院後2日。
・日中:ベッドで横になっていることが多い。
・看護師が付き添ってトイレに行くことになった。
→横になっている状態から立ち上がった際に起こりやすい主な症状として、起立性低血圧がある。起立性低血圧とは、臥位や坐位から起立した際に、血圧調節機能がうまく働かず血圧が低下し、脳血流が減少して、めまいや立ちくらみなどを起こす症状である。仰臥位・坐位から立位への体位変換後3分以内に、以下のいずれかが認められるとき、起立性低血圧と診断する。①収縮期血圧が20mmHg以上低下、②収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下、③拡張期血圧が10mmHg以上低下。
1.× 右腕を使って起き上がる必要はない。なぜなら、Aさんは右上腕骨近位部骨折を呈しているため。前回の問題で、固定法されていることが分かるため、患部に負荷をかけてはならない。
2.〇 正しい。しばらく座位をとってから立ち上がる。なぜなら、Aさんの日中は、ベッドで横になっていることが多いため。横になっている状態から立ち上がった際に起こりやすい主な症状として、起立性低血圧がある。起立性低血圧とは、臥位や坐位から起立した際に、血圧調節機能がうまく働かず血圧が低下し、脳血流が減少して、めまいや立ちくらみなどを起こす症状である。仰臥位・坐位から立位への体位変換後3分以内に、以下のいずれかが認められるとき、起立性低血圧と診断する。①収縮期血圧が20mmHg以上低下、②収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下、③拡張期血圧が10mmHg以上低下。
3.× あえて、骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く必要はない。なぜなら、今回の受傷は、痛みがない状態でもトイレに行く際に転倒しているため。再転倒が懸念されるため、骨折部の痛みが強いときは、①ポータブルトイレや②車いすなどの補助具の使用を検討する方が良い。
4.× ベッドの高さは腰掛けたときに、「つま先」ではなく、足裏全体が床に着くよう調整しておく。なぜなら、立ち上がる際、立ち上がりやすくなり転倒を防ぐ対策となるため。
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。
99 Aさんは入院後日で退院し、介護老人保健施設に入所した。現在はリハビリテーションを行っている。
退所後の再転倒を予防するためのAさんへの指導で適切なのはどれか。
1.家の中で過ごす。
2.歩幅を小さくして歩く。
3.足関節の底背屈運動をする。
4.就寝前に睡眠薬を内服する。
解答3
解説
・入院後日:退院
・介護老人保健施設に入所。
・現在:リハビリテーションを行っている。
→退所後の再転倒を予防するためAさんに指導する。【高齢者の転倒の原因】①内的要因:加齢変化、疾患・障害、使用中の薬物など。②外的要因:屋内外の生活環境、履き物、衣服などである。ちなみに、介護老人保健施設とは、「要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理のもとにおける介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行う」ことを目的とし、都道府県知事の許可を受けた施設である。
1.× 家の中で過ごす必要はない。むしろ、活動範囲が狭くなり、廃用症候群や認知機能の低下を引き起こすおそれがあるため、外出を推奨する。ちなみに、廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
2.× あえて、歩幅を小さくして歩く必要はない。なぜなら、歩幅を小さくするとその分歩数が必要になり、歩行の効率が下がりより疲れやすくなる。結果的に疲労し転びやすくなる。そのため、歩幅を大きめに取ると良い。歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。
3.〇 正しい。足関節の底背屈運動をする。なぜなら、Aさんは起立性低血圧を起こしやすく転倒しやすいため。足関節の底背屈運動を行うことで、血流を促すことができ、転予防につながる。また、高齢者の転倒の原因のひとつとして、下肢の筋力低下があげられる。とくに足関節の筋力的かにより、つま先が上がらずつまづき、転倒に至る。足関節の底背屈運動により、つま先のスムーズな上げだけでなく、足関節でバランスを取れるようなり、転倒予防につながる。
4.× 就寝前に睡眠薬を内服する必要はない。なぜなら、高齢者の転倒の原因のひとつとして、薬物があげられる。特に睡眠薬の副作用として、注意力、集中力、運動機能の低下、眠気、ふらつき、頭痛などがあげられ、血中濃度が高い時間帯に中途覚醒した場合に転倒するリスクが非常に高い。
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aちゃん(3歳、女児)は、父親(会社員)と母親(会社員)との3人暮らし。Aちゃんは、生後11か月のときに、卵による食物アレルギーと診断され、医師の指示で卵の除去食療法をしていた。保育所では卵を除去した給食が提供されている。Aちゃんは保育所の給食の時間に、隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現した。保育士に連れられて救急外来を受診した。Aちゃんは保育士に抱っこされ、「かゆい」と訴えており、咳込みがみられた。
100 受診時に観察する項目で優先度が高いのはどれか。
1.体温
2.心拍数
3.腸蠕動音
4.蕁麻疹の範囲
解答2
解説
・Aちゃん(3歳、女児)
・生後11か月:卵による食物アレルギー。
・保育所:卵を除去した給食が提供されている。
・卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現。
・Aちゃん「かゆい」と、咳込みあり。
→本症例は、食物アレルギーによる症状がみられる。食物アレルギーとは、食物によって引き起こされる抗原特異的な反応で、さまざまの症状(じん麻疹・湿疹・下痢・咳・ゼーゼーなど)が起こる。最も多いのは、原因食物の摂取直後から約2時間以内に発症する即時型症状である。即時型症状では、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器等に症状が出現し、重症化するとアナフィラキシーショック(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。本症例は、卵を誤食した直後に、皮膚症状や呼吸器症状が出現していることから、即時型症状であると推測される。
1.× 体温より優先度が高いものが他にある。もちろん観察項目としては必要であるが、アナフィラキシーショックの症状として体温の変化は見られない。ちなみに、アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。アナフィラキシーショックは、主にⅠ型アレルギー反応の結果、血管拡張や血管透過性の亢進による血漿漏出が生じ、循環血液量の減少をきたすことで起こる。アナフィラキシーショックの症状として(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。
2.〇 正しい。心拍数は、選択肢の中では優先度の高い観察項目である。本症例は、食物アレルギーによる症状がみられる。食物アレルギーとは、食物によって引き起こされる抗原特異的な反応で、さまざまの症状(じん麻疹・湿疹・下痢・咳・ゼーゼーなど)が起こる。最も多いのは、原因食物の摂取直後から約2時間以内に発症する即時型症状である。即時型症状では、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器等に症状が出現し、重症化するとアナフィラキシーショック(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。本症例は、卵を誤食した直後に、皮膚症状や呼吸器症状が出現していることから、即時型症状であると推測される。
3.× 腸蠕動音より優先度が高いものが他にある。腸蠕動音とは、消化管内を内容物やガスが移動するときに発生する音のことで、聴診によって腸管の状態を知ることができ、正常な場合は5~15秒間ごとに「コポコポ」「キュルキュル」などのやわらかな音が聞こえる。
4.× 蕁麻疹の範囲より優先度が高いものが他にある。蕁麻疹とは、蚊に刺されたような赤い膨らみが皮膚に突然現れる病気である。形や大きさはいろいろあり、わき腹や腕、手首など、皮膚の柔らかい部分に症状が出やすいのが特徴である。多くの場合は数時間で消える。食べ物アレルギーによる蕁麻疹(皮膚症状)のみでは、生命への影響を図ることが難しい。