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86 甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.徐脈
2.便秘
3.眼球突出
4.皮膚乾燥
5.手指振戦
解答3・5
解説
甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節しているため。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。したがって、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。放射線性ヨウ素内用療法は、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や甲状腺がんに対して行われる治療のひとつである。甲状腺機能亢進症では、放射性ヨウ素から放出されるベーター線で正常な甲状腺細胞を破壊し、甲状腺機能亢進症を改善させる。
【治療後1週間の注意事項】
・不要な放射性ヨウ素を早く体外に出すため十分に水分を摂る。
・排泄後、2度水を流す。尿の飛散による汚染を軽減させるため便座に座る。
・汗に少量の放射性ヨウ素が出るから入浴は最後に入る。
・可能ならば1人で寝る。
・唾液や体液にごく少量の放射性ヨウ素が出るからキスやセックスを避ける。
・子供との親密に接触(距離1m以内)すること、近くで長時間過ごすこと(添い寝など)などは避ける。
1.× 「徐脈」ではなく、頻脈が起こる。ちなみに、徐脈は、甲状腺機能低下症の症状である。甲状腺機能低下症状は、甲状腺ホルモン減少により、皮膚の乾燥、疲労感、眠気、むくみ、無気力、月経異常、便秘、体重減少などが起こる。甲状腺ホルモンにはエネルギー産生作用があり、基礎代謝率を上昇させる。
2.× 「便秘」ではなく、下痢が起こる。ちなみに、便秘は、甲状腺機能低下症の症状である。
3.〇 正しい。眼球突出は、甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見である。バセドウ病の代表的な症状に、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)があげられる。
4.× 「皮膚乾燥」ではなく、皮膚湿潤(多汗)が起こる。ちなみに、皮膚乾燥は、甲状腺機能低下症の症状である。
5.〇 正しい。手指振戦は、甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見である。甲状腺機能亢進症の震え(手指振戦)は、生理的振戦が増強した状態である。生理的振戦とは、誰にでも起こる震えのことで、寒さや過度の緊張、重いものを持ち続けた時などに一時的にみられる。ちなみに、震えには①生理的振戦、②本態性振戦がある。ちなみに、②本態性振戦とは、画像の検査や血液検査などでもはっきりした原因となる病気を特定できない場合の震えのことをいう。40才以上の4%くらいに見られ、高齢者ではさらに頻度が増えるといわれている。遺伝的な素因も関係する場合があるといわれている。
87 下部尿路症状のうち蓄尿症状はどれか。2つ選べ。
1.尿失禁
2.残尿感
3.腹圧排尿
4.尿線途絶
5.尿意切迫感
解答1・5
解説
下部尿路症状とは、尿をためる、出す、に関連する症状を広く意味する用語である。主に、3つの症状(①蓄尿症状、②排尿症状、③排尿後症状)に大別される。
①蓄尿症状:排尿を支配する神経の異常や筋肉の変化によって、尿を膀胱にためる機能が障害された状態である。頻尿や尿意切迫感、不随意に尿が漏れる尿失禁などが該当する。
②排尿症状:尿勢の低下、尿線の途絶、排尿遅延などが該当する。
③排尿後症状:残尿感、排尿後尿滴下などが該当する。
1.〇 正しい。尿失禁は、蓄尿症状に分類される。尿失禁とは、簡単に言うとお漏らし、粗相である。尿が自分の意思によらず排泄してしまうことである。一般的に、①腹圧性尿失禁、②切迫性尿失禁、③溢流性尿失禁、④機能性尿失禁があげられる。
2.× 残尿感は、排尿後症状に分類される。ちなみに、残尿感とは、排尿後に完全に膀胱が空になっていない感じがするものをいう。
3~4.× 腹圧排尿/尿線途絶は、排尿症状に分類される。ちなみに、腹圧排尿とは、お腹に力を入れないとおしっこが出ない状態のことをいう。尿勢の低下(尿の勢いが弱い)や尿線の途絶(排尿が1回以上途切れる)が生じる。尿道の狭窄、前立腺肥大症、尿道炎、尿道結石などが原因となる。
5.〇 正しい。尿意切迫感は、蓄尿症状に分類される。尿意切迫感とは、膀胱が膨張して、排尿したいという切迫感や強い尿意を感じる症状である。膀胱が膨張しているため、排尿が必要であるという感覚がある。
88 妊娠の成立の機序で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.原始卵胞から卵子が排出される。
2.排卵後の卵子は卵管采によって卵管に取り込まれる。
3.受精は精子と卵子との融合である。
4.受精卵は子宮内で2細胞期になる。
5.着床は排卵後3日目に起こる。
解答2・3
解説
(※図引用:「基礎編―人体発生―」腹腔内内ヘルニア大全HPより)
1.× 「原始卵胞」ではなく、グラーフ卵胞(成熟卵胞)となった卵子が排出される。グラーフ卵胞(成熟卵胞)が発育、増大すると卵巣の表面に突出して破裂し、卵細胞は卵胞液とともに卵巣から腹腔内へと放出される。この現象を排卵という。
2.3.〇 正しい。排卵後の卵子は卵管采によって卵管に取り込まれる/受精は精子と卵子との融合である。排卵後、卵子は卵巣から卵管に取り込まれる。卵管では精子との出会いを待ち、受精することで受精卵ができる。したがって、受精とは、精子と卵子が合体融合して、受精卵が生じる現象を指す。受精は卵管膨大部で起こる。男性から射精された精子と卵巣から排卵された卵子は卵管内で受精卵となり、分裂を繰り返しながら卵管を輸送され、子宮内膜に着床し、妊娠が成立する。
4.× 受精卵は、「子宮内」ではなく卵管内で2細胞期となる。その後、分裂を繰り返し桑実胚の状態となって子宮に到達する。桑実胚(4日目)とは、割球が16個から32個の状態を指す。
5.× 着床は、「排卵後3日目」ではなく、排卵後7~10日ほど経ってから起こる。着床とは、輸送された受精卵が子宮内膜に接着し、さらに埋没するまでの過程をいう。受精卵は、胚盤胞の状態で子宮内膜に接着する。着床は排卵後7~10日頃から始まり、受精後12日頃に完了する。
卵割球
・前核期胚(1日目)
・4分割期胚(2日目)
・8分割期胚(3日目)
桑実胚(4日目):割球が16個から32個の状態を指す。
胚盤胞(5日目):胎盤と胎児になる部分が確認できる状態になっているより成長した胚。
類似問題です↓
89 Aさん(65歳、女性)は、5年前に乳癌の左胸筋温存乳房切除術と左腋窩リンパ節郭清術を受けた。1年前に大骨転移のため日常生活動作(ADL)に一部介助が必要となり、訪問看護を利用し在宅で療養している。Aさんの左上腕内側の皮膚をつまむと健側より厚みがある。
訪問看護師がAさんに指導する左上腕のケア方法で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.指圧する。
2.皮膚の露出は少なくする。
3.保湿クリームを塗布する。
4.ナイロン製タオルで洗う。
5.アルカリ性石けんで洗浄する。
解答2・3
解説
・Aさん(65歳、女性)
・5年前:乳癌の左胸筋温存乳房切除術と左腋窩リンパ節郭清術。
・1年前:ADLは一部介助(大骨転移による)
・訪問看護を利用、在宅で療養。
・左上腕内側の皮膚をつまむと健側より厚みがある。
→本症例は、リンパ浮腫が疑われる。リンパ浮腫とは、がんの治療部位に近い腕や脚などの皮膚の下に、リンパ管内に回収されなかった、リンパ液がたまってむくんだ状態のことをいう。つまり、リンパ浮腫以外の浮腫を惹起する疾患や、癌の転移・再発が除外される必要がある。治療は、複合的理学療法といわれ、以下の4つの治療を組み合わせながら行う。①リンパドレナージ、②圧迫療法、③圧迫下における運動療法、④スキンケアである。リンパ液を流してあげることで突っ張った皮膚を緩め、硬くなった皮膚を柔らかくする。この状態で弾性包帯を巻いたり、スリーブといわれるサポーターのようなものや、弾性ストッキングを着用し、リンパの流れの良い状態を保ち、さらにむくみを引かせて腕や脚の細くなった状態を保つ。そして、圧迫した状態でむくんだ腕や脚を挙上する、動かすことでさらにむくみを軽減・改善をはかる。
1.× 指圧する必要はない。なぜなら、指圧は、圧迫によって筋肉のコリをほぐす手技であるため。また、強く指圧した場合は傷ができやすく、炎症の原因にもなる。リンパ浮腫の治療として、①リンパドレナージ、②圧迫療法、③圧迫下における運動療法、④スキンケアの4つの治療を組み合わせながら行う。ちなみに、②圧迫療法とは、「弾性ストッキング」や「弾性包帯」 を用いて、足先からふくらはぎにかけて圧迫し、静脈血を心臓へ戻しやすくする治療法である。
2.〇 正しい。皮膚の露出は少なくする。なぜなら、皮膚を保護するため。小さな傷や虫刺されによる炎症や細菌感染などを防ぐ。
3.〇 正しい。保湿クリームを塗布する。なぜなら、皮膚の乾燥を防ぐため。皮膚の乾燥は、皮膚の保護機能が低下し細菌感染を助長する恐れがある。
4.× あえて、ナイロン製タオルで洗う必要はない。むしろ、ナイロン製タオルは、皮膚に傷ができやすいため、柔らかい素材のスポンジやタオルを使用して優しく洗うよう指導する。
5.× あえて、アルカリ性石けんで洗浄する必要はない。むしろ、皮膚を保護するため、刺激が少ない弱酸性のものを使用するほうがよい。
90 出生体重3,200gの新生児。日齢の体重は3,100gである。
このときの体重減少率を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第位を四捨五入すること。
解答: ①.② %
選択肢①1~9、②1~9
解答①3、②1
解説
正期産により出生した正常な新生児の生理的体重減少率は,出生体重の3~10%の範囲であり、生後3~5日がそのピークである。
減少率とは、出生時体重からの減少の割合で、「(出生時の体重-現在の体重)÷出生時の体重×100」で算出される。
出生体重=3200g
日齢の体重=3100g
この場合は、
(3200-3100) ÷ 3200×100
=3.125(%)となる。
小数点以下第2位を四捨五入する。
なので、解答①3、②1となる。