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86 労働基準法で定められているのはどれか。2つ選べ。
1.妊娠の届出
2.妊婦の保健指導
3.産前産後の休業
4.配偶者の育児休業
5.妊産婦の時間外労働の制限
解答3・5
解説
労働基準法とは、労働者の生存権の保障を目的として、①労働契約や賃金、②労働時間、③休日および年次有給休暇、④災害補償、⑤就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律である。
1.× 妊娠の届出は、『母子保健法』に定められている。これは16条「(母子健康手帳)市町村は、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならない」と記載されている(※引用:「母子保健法」e-GOV法令検索様HPより)。ちなみに、母子保健法とは、母性、乳幼児の健康の保持および増進を目的とした法律である。母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。各種届出は市町村長または特別区、指定都市の区長に届け出る。
2.× 妊婦の保健指導は、『母子保健法』に定められている。これは10条「(保健指導)市町村は、妊産婦若しくはその配偶者又は乳児若しくは幼児の保護者に対して、妊娠、出産又は育児に関し、必要な保健指導を行い、又は医師、歯科医師、助産師若しくは保健師について保健指導を受けることを勧奨しなければならない」と記載されている(※引用:「母子保健法」e-GOV法令検索様HPより)。
3.〇 正しい。産前産後の休業は、『労働基準法』に定められている。これは第65条において「6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性および産後8週間を経過しない女性は、産前産後休業することができる」と定めている。また、男女雇用機会均等法(第9条)では、労働者が妊娠、出産、産前産後休業を取得したことを理由として解雇することは禁止されている。
4.× 配偶者の育児休業は、『育児・介護休業法』に定められている。これは第10条において「事業主は、労働者が育児休業の申出をし、または育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と記載されている(※一部引用:「育児・介護休業法」e-GOV法令検索様HPより)。
5.〇 正しい。妊産婦の時間外労働の制限は、『労働基準法』に定められている。これは第66条において「産前産後休業中とその後30日間は労働者を解雇することはできない」と定めている。また、男女雇用機会均等法(第9条)では、労働者が妊娠、出産、産前産後休業を取得したことを理由として解雇することは禁止されている。
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87 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症について適切なのはどれか。2つ選べ。
1.本人より先に家族に病名を告知する。
2.国内では異性間性的接触による感染が最も多い。
3.適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
4.性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。
5.HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断できる。
解答3・4
解説
ヒト免疫不全ウイルスは、人の免疫細胞に感染してこれを破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群を発症させるウイルスである。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することで後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。後天性免疫不全症候群(AIDS)の状態にあると判断できる疾患(エイズ指標疾患)は、23種類ある。AIDS指標疾患としてもっとも頻度が高いのは、ニューモシスチス肺炎(39.3%)、ついでサイトメガロウイルス感染症(13.4%)、カンジダ症(13.1%)、活動性結核(7.1%)、カポジ肉腫(4.5%)、非結核性抗酸菌症(3.8%)の順であった。
1.× 本人より先に家族に病名を告知する必要はない。むしろ家族に告知するときは必ず本人の同意を得る必要がある。
2.× 国内では、「異性間性的接触」ではなく同性間性的接触による感染が最も多い。同性間性的接触が最も多く(71.3%)、次いで異性間性的接触が16.7%となっている(参考データ:「平成30(2018)年エイズ発生動向」厚生労働省エイズ動向委員会より)。
3.〇 正しい。適切な対応によって母子感染率を下げることができる。適切な治療と母子感染予防対策を行えば感染率を0.5%以下に抑えられるようになってきた。また、妊娠・出産・子育てをしている女性感染者も増えてきている(※参考:「妊婦HIV検査(一次検査)陽性に関するQ&A」HIV感染妊娠と母子感染予防様HPより)。ちなみに、母子感染を防止するために、妊娠初期のHIVスクリーニング検査の実施、妊娠中や分娩時の抗HIV療法、選択的帝王切開術、帝王切開時の抗HIV薬点滴投与、出生児への抗HIV薬シロップ予防投与、人工乳哺育などを行う。
4.〇 正しい。性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。性行為に関して、予防する方法は、感染を防ぐためにコンドームの使用が有効である。性行為をする時は、いつでも効果的に使用できるようにしておく。コンドームの使用は、他人へのHIV感染を予防するだけではなく、あなた自身の性感染症予防にも効果的である。ちなみに、避妊のためにピルを服用する方がいるが、感染予防には効果がない(※参考:「妊婦HIV検査(一次検査)陽性に関するQ&A」HIV感染妊娠と母子感染予防様HPより)。
5.× HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群(AIDS)と「診断できる」とはいえない。HIVは、CD4陽性Tリンパ球をはじめとする細胞に感染し、破壊・減少させることで、細胞性免疫不全を主体とするAIDS(後天性免疫不全症候群)を引き起こす。ニューモシスチス肺炎などのエイズ診断のための指標疾患のうち、ひとつ以上を認めればエイズ発症と診断される。後天性免疫不全症候群(AIDS)の状態にあると判断できる疾患(エイズ指標疾患)は、23種類ある。AIDS指標疾患としてもっとも頻度が高いのは、ニューモシスチス肺炎(39.3%)、ついでサイトメガロウイルス感染症(13.4%)、カンジダ症(13.1%)、活動性結核(7.1%)、カポジ肉腫(4.5%)、非結核性抗酸菌症(3.8%)の順であった。
サイトメガロウィルスによりサイトメガロウイルス感染症が生じる。子宮内での発育遅延、早産、小頭症、黄疸、肝臓や脾臓の腫れ、点状出血、脳内の脳室周囲の石灰化、網膜炎、肺炎等が起こりやすく、 このような異常が見られた児では、後に難聴・精神発達遅滞・視力障害といった何らかの神経学的障害が明らかになる場合が多い。
88 Aさん(63歳、男性)。BMI 24。前立腺肥大症のため経尿道的前立腺切除術を受け、手術後日で膀胱留置カテーテルが抜去された。数日後に退院する予定である。
Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.散歩を控える。
2.水分摂取を促す。
3.長時間の座位を控える。
4.時間をかけて入浴する。
5.排便時に強くいきまないようにする。
解答2・5
解説
・Aさん(63歳、男性、BMI 24)
・前立腺肥大症:経尿道的前立腺切除術。
・手術後日:膀胱留置カテーテルが抜去された。
・数日後:退院する予定。
→経尿道的前立腺切除術(TUR-P)とは、前立腺肥大症の標準手術療法で、肥大した前立腺移行領域のみを内視鏡で切除する手術である。経尿道的前立腺切除術後に多い合併症は、①尿路感染症、②前立腺切除部位の再出血、③術後浮腫による尿閉である。前立腺周囲は血流の多い場所であり、大量に出血する可能性のある手術である。
1.× 散歩を控える必要はない。活動には特に制限はないが、自転車や腹圧がかかる動作は控える必要がある。散歩程度の軽い運動は、前立腺へのうっ血を予防することができるため、手術後には推奨される。
2.〇 正しい。水分摂取を促す。手術5時間後より水分を摂取することができる。また、手術後1日目の朝から普通に食事をとることが可能である。また、手術後の尿路感染予防のために、水分摂取(1日1500ml以上)を促し、陰部は清潔に保つよう指導する。ただし、コーヒー・香辛料などの刺激物は出血の原因となるため控えたほうが良い。
3.△ 正しい。長時間の座位を控える。長時間座っていたり、車の運転をすることは避ける必要がある(※図参照:「経尿道的前立腺切除術」赤心堂病院HPより)。前立腺へのうっ血を予防するためにも、会陰部の一部(前立腺の近く)を強く圧迫する座位の場合(自転車に乗るなど)は1か月程度控えたほうが良い。※もし分かる方いらしたらコメント欄にてご教授ください。
4.× 時間をかけての入浴は避けるべきである。なぜなら、熱いお湯の入浴や長時間の入浴は、前立腺への血流が増え、再出血のリスクが高まるため。
5.〇 正しい。排便時に強くいきまないようにする。なぜなら、強くいきむことで、前立腺に圧がかかり、再出血のリスクが高まるため。重いものを持ったり腹圧をかけ過ぎないようにする。また、便秘にならないよう下剤などで便通を整える。
(※引用:「経尿道的前立腺切除術」赤心堂病院HPより)
89 精神科病院で行動制限を受ける患者への対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.行動制限の理由を患者に説明する。
2.原則として2名以上のスタッフで対応する。
3.信書の発受の対象は患者の家族に限定する。
4.精神保健指定医による診察は週1回とする。
5.12時間を超えない隔離は看護師の判断で実施する。
解答1・2
解説
隔離とは、「内側から患者本人の意思によっては出ることができない部屋の中へ一人だけ入室させることによりその患者を他の患者から遮断する行動の制限」と定義されている。
第三 患者の隔離について
一 基本的な考え方
①患者の隔離(以下「隔離」という)は、患者の症状からみて、本人又は周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く、隔離以外の方法ではその危険を回避することが著しく困難であると判断される場合に、その危険を最小限に減らし、患者本人の医療又は保護を図ることを目的として行われるものとする。
②隔離は、当該患者の症状からみて、その医療又は保護を図る上でやむを得ずなされるものであつて、制裁や懲罰あるいは見せしめのために行われるようなことは厳にあつてはならないものとする。
③十二時間を超えない隔離については精神保健指定医の判断を要するものではないが、この場合にあつてもその要否の判断は医師によつて行われなければならないものとする。
④なお、本人の意思により閉鎖的環境の部屋に入室させることもあり得るが、この場合には隔離には当たらないものとする。この場合においては、本人の意思による入室である旨の書面を得なければならないものとする。
(※参考:「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」厚生労働省HPより)。
1.〇 正しい。行動制限の理由を患者に説明する。「④本人の意思により閉鎖的環境の部屋に入室させることもあり得るが、この場合には隔離には当たらないものとする。この場合においては、本人の意思による入室である旨の書面を得なければならないものとする」と規定されている(※引用:「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」厚生労働省HPより)。
2.〇 正しい。原則として2名以上のスタッフで対応する。「①患者の隔離は、患者の症状からみて、本人又は周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く、隔離以外の方法ではその危険を回避することが著しく困難であると判断される場合に、その危険を最小限に減らし、患者本人の医療又は保護を図ることを目的として行われるものとする」と規定されている(※引用:「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」厚生労働省HPより)。したがって、対応するスタッフ数は法律に明記されていないが、患者および医療者の安全を確保するため、原則2名以上で対応することが多い。
3.× 信書の発受の対象は患者の家族に限定する必要はない。むしろ、限定することは禁止されている。信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のことである。信書の発受の制限は、いかなる場合でも行ってはならない。
4.× 精神保健指定医による診察は、「週1回」ではなく「少なくとも毎日1回」は行う。なぜなら、行動制限がだらだらと継続されることがないようにするため。精神保健指定医とは、「精神保健福祉法」に基づいて、精神障害者の措置入院・医療保護入院・行動制限の要否判断などの職務を行う精神科医のことである。原則として、精神科病院では,常勤の指定医を置かなければならない。臨床経験・研修などの要件を満たす医師の申請に基づいて厚生労働大臣が指定する。
5.× 12時間を超えない隔離は、「看護師」ではなく医師の判断で実施する。「③十二時間を超えない隔離については精神保健指定医の判断を要するものではないが、この場合にあつてもその要否の判断は医師によつて行われなければならないものとする」(※引用:「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」厚生労働省HPより)。
90 3L/分で酸素療法中の入院患者が、500L酸素ボンベ(14.7MPaで充塡)を用いて移動した。現在の酸素ボンベの圧力計は5MPaを示している。
酸素ボンベの残りの使用可能時間を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答: ① ② 分
選択肢:①1~9.②1~9
解答①:5、②:7
解説
①酸素残量を求める。
②3L/分酸素吸入下での使用時間を算出する。
①酸素残量を求める(ボンベの容量(L)×内圧/充填圧)。
ボンベの容量:500L
内圧: 5MPa
充填圧:14.7MPa
500(L) × 5(MPa)/14.7(MPa)
=170(L)
②3L/分酸素吸入下での使用時間を算出する。
使用可能時間:酸素残量÷1分間の酸素流量(L/分)
170(L) ÷ 3(L/分)
=56.66(分)
小数点第1位を四捨五入し、57分である。