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56 産科外来を初めて受診した妊婦。夫婦ともに外国籍で、日本の在留資格を取得している。
この妊婦への説明で正しいのはどれか。
1.「母子健康手帳は有料で入手できます」
2.「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」
3.「出生届は外務省に提出します」
4.「生まれた子どもは出生時に日本国籍を取得できます」
解答2
解説
1.× 母子健康手帳は、「有料」ではなく無償である。母子健康手帳とは、母子保健法に定められた市町村が交付する、妊娠、出産、育児の一貫した母子の健康状態を記録する手帳のことである。母子健康手帳の制度化は、母子保健法:昭和41年(1966年)である。国籍に関係なく外国人妊婦にも無料で配布される。母子健康手帳の外国語版には、「英語」「ハングル」「中国語」「タイ語」「タガログ語」「ポルトガル語」「インドネシア語」「スペイン語」「ベトナム語」などほとんど網羅してある。
2.〇 「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」と説明する。妊婦健康診査は国籍や在留資格にかかわらず、現在日本で生活するすべての妊婦に適応される。ちなみに、妊婦健康診査とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うものである。 そして、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談をして、妊娠期間中を安心して過ごしていただくことが大切である。病気の有無を調べることだけが妊婦健診ではない。妊娠期間中を心身ともに健康に過ごし、無事に出産を迎えるためには、日常生活や環境、栄養など、いろいろなことに気を配る必要がある。より健やかに過ごすために、妊娠検診を活用する必要がある。検診費用には、公費による補助制度がある。日本では、「母子保健法」により、14回程度の健康診査の回数が勧められており、健康診査の間隔や実施する検査内容について、国が基準を示している。 また、公費とは、国家または公共団体の費用のことをさす。
3.× 出生届は、「外務省」ではなく市区町村の役所に提出する。出生届とは、生まれてきたお子さんの氏名等を戸籍に記載するための届出である。戸籍に記載されることで、生まれてきたお子さんの親族関係が公的に証明され、住民票が作成される。なお、外国人のお子さんであっても、日本国内で出生した場合は、出生届をしなければならない。戸籍法により、出生届は出生日を含めて14日以内に在住している市区町村の役所に提出する。両親の国籍にかかわらず、日本で出産した場合は届け出なければならない。
4.× 夫婦ともに外国籍の場合、生まれた子どもは出生時に日本にいても日本国籍を取得できない。両親のどちらかが日本人なら日本国籍を取得することも可能である。
57 大震災の2日後、避難所にいる成人への心理的援助で適切なのはどれか。
1.宗教の多様性への配慮は後で行う。
2.会話が途切れないように話しかける。
3.確証がなくても安全であると保証する。
4.ストレス反応に関する情報提供を行う。
解答4
解説
(※図引用:「 表1.災害後の時期別の被災地域の心理的変化」厚生労働省HPより)
災害とは、人間集団に死傷と苦難、資産の破壊をもたらす破壊的な出来事で、大きく自然災害(地震、洪水など)と、人為災害(事故、テロ、戦争など)に分けられる。欧米では感染症拡大も災害に含まれるが、我が国では災害救助法の範疇であり自然災害が主となっている。災害で生じる健康被害には、一次被害としての負傷、窒息、ショック、二次被害として避難環境における感染症や既往症悪化などの身体的問題に加えて、個人の対処を超えた精神的衝撃(トラウマ)と地域の被災による支援(サポート)の喪失によって個人のメンタルヘルスを悪化させる。災害発生以後の時期によって被災者の心理は時期別に表 1のような経過をたどる。(※引用:「精神保健医療福祉活動マニュアル」厚生労働省HPより)
1.× あえて、宗教の多様性への配慮は後回しにする必要はない。なぜなら、宗教は、精神的な安定を保つうえで重要であるため。トータルペイン(全人的苦痛)は、身体的・精神的・社会的・霊的(スピリチュアル)の4つの苦痛をいう。スピリチュアルペインとは、死を目前にした癌患者などが、患者自身の人生の否定・価値観の否定・存在自身の否定を受けたと感じることに起因する。抑うつ、不安、 怒り、いらだち、悲観などをいう。
2.× 会話が途切れないように話しかける必要はない。むしろ、精神的負担となることが多い。「話しかける」より、聞くこと(傾聴・受容)の方が大切である。
3.× 確証がなくても安全であると保証する必要はない。なぜなら、保証した後、何かあった際は、さらなる混乱を招くだけでなく、訴訟問題になりかねないため。信頼関係を大きく揺るがしかねない。また、大きな地震が発生すると、ほとんどの場合は震源周辺での地震活動が活発となる。確証がないことは、安易に口にするべきではない。
4.〇 正しい。ストレス反応に関する情報提供を行う。なぜなら、大震災の2日後は、超急性期に該当し、この時の心理は、「被災の心理的衝撃で茫然自失となり、恐怖・衝動的行動・虚脱状態を呈する。また強い不安、緊張、過敏反応、不眠、拒食が生じる」ため。大規模災害後のストレス反応は、誰にでも起こり、多くは時間の経過とともに回復する。ただし、持続・悪化した場合は、PTSD<外傷後ストレス障害>に発展しかねない。ストレス反応に関する情報提供を行うことは、誰にでも起こりえることとして、被災者がストレス反応を肯定的に捉え、回復を促進させることに繋がる可能性が高い。ちなみに、PTSD<外傷後ストレス障害>とは、極めて強烈なストレスを受けた後、数週間から数ヵ月を経て(6ヵ月以上潜伏期間があることはまれ)、再体験、回避、認知や気分の異常、過覚醒の各症状が4週間以上持続し、著しい苦痛や社会的障害を生じている状態をいう。
58 修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。
1.保護室で行う。
2.全身麻酔下で行う。
3.強直間代発作が生じる。
4.発生頻度の高い合併症は骨折である。
解答2
解説
修正型電気けいれん療法(mECT)とは、頭部に通電することで難治性の精神疾患の症状軽減を目指すものである。特に①不安・焦燥が大きい場合や②自殺企図の危険性の高い場合、③強い抑止を伴う場合などは、急速な症状の改善を期待して行われることが多い。麻酔薬と筋弛緩薬を用いたうえで脳に通電する。脳波上には発作波が記録されるが、筋弛緩薬を用いるので全身けいれんは起こらない。
1.× 「保護室」でなく手術室で行われる。なぜなら、麻酔薬と筋弛緩薬を用いたうえで脳に通電する必要があるため。
2.〇 正しい。全身麻酔下で行う。麻酔科医の管理のもと、麻酔科医が静脈麻酔薬を用いて、全身麻酔をかけるたうえで行われる。
3.× 強直間代発作は生じない。なぜなら、筋弛緩薬を用いるため。その際、呼吸筋も弛緩するため麻酔科医が補助呼吸を行う。ちなみに、強直間代発作とは、てんかんの全般発作にみられる症状で、意識消失とともに、全身の筋肉を硬直させた状態(強直相)から、全身の筋肉の収縮・弛緩を繰り返す状態(間代相)へ移行するけいれん発作のことを指す。泡沫状の唾液や転倒による外傷、舌咳傷、失禁を伴いやすい。通常4分以内に終わり、発作後は筋弛緩が生じるとともに睡眠、またはもうろう状態となることが多い。
4.× 発生頻度の高い合併症は、「骨折」ではなく、血圧上昇や頻脈、不整脈などである。時々出現する副作用として、頭痛や一時的な記憶障害があるが、短時間で回復することがほとんどである。ちなみに、従来の電気けいれん療法では、けいれん発作時に骨折などの合併症がみられた。
59 自殺念慮を訴える患者で、自殺が最も切迫している状態はどれか。
1.自殺の手段が未定である。
2.自殺する日を決めている。
3.将来の希望について時々話す。
4.普段と変わらない様子で生活している。
解答2
解説
「自殺念慮(じさつねんりょ)」とは、死にたいと思い、自殺することについて思い巡らす事のことをいう。自殺念慮の切迫度は、計画の具体性が高い場合、また実際に準備をしている場合に高いと判断する。
【うつ病の症状】
感情面:抑うつ、不安、焦燥。
意欲面:意欲低下(日内変動があり特に朝が悪い)、自殺念慮。
思考面:微小妄想(罪業、貧困、心気)、思考抑止、離人。
身体面:不眠(早期覚醒が多い)、頭重感、めまい、倦怠感。
1.3~4.× 自殺の手段が未定である/将来の希望について時々話す/普段と変わらない様子で生活していることより、優先度が高いものが他にある。なぜなら、具体的な自殺計画や行動がみられないため。
2.〇 正しい。自殺する日を決めているのは、自殺が最も切迫している状態といえる。
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。
60 養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者が、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)に基づき通報する先として正しいのはどれか。
1.市町村
2.警察署
3.消防署
4.訪問看護事業所
解答1
解説
(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。
3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。
第八条 市町村が前条第一項若しくは第二項の規定による通報又は次条第一項に規定する届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。
(※一部引用:「高齢者虐待防止法」e-GOV法令検索様HPより)
1.〇 正しい。市町村は、高齢者虐待防止法に基づく通報先である。これは第7条に規定されている。
2.× 警察署とは、警察署は一定地域内の警察に関する事務を扱う役所である。
3.× 消防署とは、消防活動の第1線の活動部隊としての役割を果たし、火災、災害及び救急救助活動に出動するとともに、火災予防活動に従事する。
4.× 訪問看護事業所とは、住み慣れた自宅で療養生活が送れるように、医師や他の医療専門職、ケアマネジャーなどと連携し、訪問看護サービスを提供すること業所である。看護ケアを提供することで患者の療養生活をサポートするとともに、自立を目指した支援も行っている。在宅医療の一つである。訪問看護事業所は、2種類があり、①訪問看護ステーション(医療機関以外からの訪問看護事業所)と、②医療機関からの訪問看護があげられる。